【幻のネッシー写真】『なぜなに世界の大怪獣』掲載「ホームズ映画に登場したネス湖の怪物」
上の写真は昭和の伝説的な児童向けUMA本(当時はまだ「UMAという呼び方はなかったと思いますが)、
小学館発行の『なぜなに世界の大怪獣』に掲載された掲載された未確認生物界の超有名スター、
イギリスはスコットランドのネス湖に棲むとされる怪物ネッシーの写真です。
『なぜなに学習図鑑18 なぜなに世界の大怪獣』(1972年発行)
それで、このネッシー写真、妙にリアルで鮮明ですが、左横の説明文にもある通り、
映画『シャーロック・ホームズの冒険』(1970年)の撮影用に作られた模型です。
説明文の内容は以下の通り。
「右のしゃしんは、『シャーロック・ホームズのぼうけん』という、外国のえいがの中に出てきたネス湖のかいじゅう。
このえいがでは、ネス湖のかいじゅうは、せん水かんだったということになっています。」
同作は巨匠ビリー・ワイルダー監督による大作映画。
ならば、“出どころのはっきりした作り物”であり、不思議なことなど何もなそうですが、実は謎がありました。
なぜなら、実際に鑑賞すると、この映画にはこのような造形のネッシーは登場しないのです。
実際に劇中に登場するネッシーはこちら↓
ちょうど有名な「外科医の写真」のように、長い首だけのビジュアルで、
一番上の写真のような、背中に二つのコブのある怪物は出てこないのです。
これはどういうことなのか?
この映画は長くビデオが発売されず、語られることも少なかったのですが、
21世紀になってDVDソフトがリリースされ、複雑な制作背景も明らかになりました。
この映画の制作にあたっては、実際にネス湖周辺でのがロケが実施され、
二つのコブを持つネッシーの模型を湖面に浮かべての撮影も試みられたのですが、
その模型が、撮影中の事故で湖中に沈んてしまったのです。
それで、実際に公開されたネッシーの登場シーンは首だけの模型を使い、スタジオのセットで撮影したようです。
細部に不明点がありますが、これがこの写真のおおよその真相です。
それを裏付ける写真も、ネット上で見つけることができます。
ネス湖での撮影風景と思しき写真
向きが左右逆ですが、『世界の大怪獣』と同じ写真かも知れません
実は知られていた水没事故
この映画の撮影中にネッシーの模型が湖底に沈んたという話は、実は随分昔に話題になったことがあります。
1975年にボストンの応用化学アカデミーの調査チームが、ネッシー探索を目的にネス湖の水中捜査を行ない、
全身と頭部を捉えたとされる水中写真を公表し、日本でもそれなりに話題になりました。
この水中写真が、沈んだ模型を写したものだったのではないか、との説が流れたのです。
この件を含むネッシー写真については、↓こちらを参照。
ネッシー超入門/写真で観るネス湖の怪物目撃史
この話題の際に、この映画がテレビ放送され、私も視聴しましたが、
二つのコブを持つ怪物は登場せず、私にとっても、長年の謎でした。
といっても考えられる可能性のは以下の三つです。
①そもそも映画『シャーロック・ホームズの冒険』用の模型というのが誤り
②実は出ていたけど、私が見逃した(昔一度観ただけど、ビデオ発売もなく、確認できなかったので)
③まともに撮影する前に沈んてしまったので、別の模型で撮影した
結果としては③説がだいたい正解ということのようでしたが、私は長い間①説に傾いていました。
というのは、この映画のストーリー展開からすると、あの二つのコブの造形には無理があるように思えたので。
上に載せた但し書きにもあるように、この映画のネッシーの正体はイギリスが開発中の潜水艦でした。
下の画像の青枠で囲んだ部分のような構造になっているのです。
この写真はこの映画の公開時のポスターだと思いますが、
ネッシーの正体が思いっ切りネタバレしてしまっています。
この映画が、ネッシー以外にも色々といわく付きだったりします。
Wikipediaの同作の項目は私が作ったものなので、よければご覧ください。
Wikipedia 映画シャーロック・ホームズの冒険 (1970年の映画)
Old Fashioned Club 月野景史