21.俳優 映画 演劇

2024年12月19日 (木)

中山美穂 80年代を代表するアイドル/15年以上歌手と女優をトップクラスで両立させた稀有な人

先日亡くなった中山美穂さんについて少し書きます。


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1970年代から80年代はアイドル歌謡全盛時代。
特に80年代は幕開けと同時にアイドルも世代交代し、
男女とも百花繚乱の時代となりました。

ただ、男性アイドルはジャニーズの寡占状態となった感がありましたが、女性は数も多かった。
その星の数ほどいた80年代女性アイドルの中からトップ中のトップを選ぶなら、
初頭の82年までにデビューした松田聖子、小泉今日子、中森明菜。
そして80年代中期、85年に歌手デビューした中山美穂、これがトップ4でしょう。
ベスト5となるとちょっと微妙ですが、4人ならこれで決まりだと思います。

中でも中山さんは元々先にドラマで話題になった人で、
80年代から90年代、2000年代初頭まで15年以上、歌手と俳優を完全両立させた稀有な人でした。

女優デビューは80年代半ばに話題を呼んだドラマ『毎度おさわがせします』(85年1月-3月)。
中学生のツッパリ少女…というか、お転婆娘を体当たりで演じ、一躍人気者に。

その年の6月には歌手デビュー。
こちらではドラマとは違った顔も見せ、歌手としても一躍売れっ子になりました。

中山さんの楽曲といえば、例えばアイドル時代でいえば『人魚姫』のような
スローな曲のイメージが強いのかも知れませんが、
私はアイドル初期のアップテンポな曲が好みです。

振付も結構本格的で歌い踊るイメージでしたが、
そのムーブメントはキレかありながらエレガント、
綺麗で張りがある声、これは稀有な才能の人だと感嘆した記憶があります。

その初期のアップテンポ、ダンサブルの歌にも複数の名曲があり、
代表作を絞るのも難しいのですが、個人的なベストは
87年7月リリースの10枚目のシングル『50/50(フィフティー・フィフティー)』です。





90年代以降も大人の歌手・女優として活躍を続け、
歌もドラマでもヒット作を出し続けた中山さんですが、
2002年を最後に結婚・フランス移住のため、芸能界とは疎遠になります。

私が久しぶりにリアルタイムで中山さんを目にしたのは。
2017年の月9ドラマ『貴族探偵』でした。
地上波の連続ドラマレギュラーは15年ぶりかと思いますが、
長年ほぼ主演しかしてこなかった人が完全な脇役で、意外に感じました。

2021年には『警視庁ゼロ係』に出演しますが、
私には声も張りはなく、精彩を欠いているように感じ、体調が悪いのかと思いました。
だから今回の訃報を聞いて、やはり身体が悪かったのかと早合点したのですが、
これは役柄のせいでそう感じた面もあり、このドラマの後、
2023年には全国ツアーも行なっていたようで、私の思い過ごしだったのでしょう。


時代を象徴する人気者、トップアイドルであり。
歌手・俳優として長くトップクラスで活躍した大スターの早い死。
寂しいものです。

Old Fashioned Club 月野景史

2024年11月 6日 (水)

西田敏行『池中玄太80キロ』初主演秘話 ショートリリーフ的ドラマだった!?/1980年春

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2024年10月17日に死去した西田敏行さん。
数多い出演作の中でも、連続ドラマの代表作といえば『池中玄太80キロ』でしょう。
第1シリーズは1980年代の幕開けを爽やかに駆け抜けた、印象に残るドラマでした。
このドラマについては以前、ヒロインを務めた坂口良子さんの訃報の際に書いたことがあります。
坂口良子さん死去/アイドルから大人の女優へ~代表作『池中玄太80キロ』のあまり語られない真実
西田さんの訃報に際し、改めてこのドラマと、そこに至るまでの西田さんの足跡を簡単に記してみます。


池中玄太80キロ(1980年~1992年)
どちらかといえば脇役タイプ、三枚目タイプのキャラでありながら、
昭和~平成の多くの作品で主演してきた西田さんの、おそらく連続ドラマでの初主演作だと思います。
それ以前も単発の主演ドラマはあったようですが、連ドラでは初めてではないかと。


『玄太』までの西田敏行
西田さんの無名俳優から売れっ子脇役としての出世作を絞って挙げるのも難しいですが、
NHKとは比較的縁が深く、1972年『新・平家物語」、73年『国盗り物語』と大河ドラマに連続出演後、
1974年の時代劇『ふりむくな鶴吉』に岡っ引き役で主演の沖雅也さんの配下の下っ引き役、
沖さんの今でいうバディ的なポジションで1年間務めました。
1975年にはその後番組の『新・坊ちゃん』では柴俊夫さん演じる主人公の相棒格の山嵐を演じました。

1977年には長く続くこととなる刑事ドラマ『特捜最前線』のスタート時のメンバーとして出演。
2年目にはクレジット順も主演の二谷英明さんに次ぐ二番手に格上げされますますが、
この頃から更に忙しくなってほとんど『特捜』には出れなくなり、丸2年で異動の設定で降板。

その『特捜』にあまり出れなくなった時期に出演していたのが、
大きな話題を呼んだ堺正章さん主演のヒットドラマ『西遊記』(1978年)。
猪八戒を演じて人気を更に上げましたが、こちらも翌79年のパートⅡは降板します。

そして1980年春に主演作『玄太』にめぐり会うのです。
こうして見ると、脇役としての格をどんどん上げ、主役に登り詰めたことがわかります。


秘話『池中玄太80キロ』は穴埋めドラマ!?
続編シリーズ、スペシャルが後々まで制作される伝説的なドラマ。
番組から複数のヒット曲も生まれました。

ただ、最初は“穴埋め”、あるいはショートリリーフのような形で始まった番組でした。
といっても、そんなこと、おそらくどこにも書いてないと思います。
当時の雑誌の記事の記憶からの、私の推測です
“穴埋め”とはどういう意味か? この件を少し説明するために、
この時代のもうひとつの大ヒットドラマのことを書きます。


『熱中時代』ブーム
水谷豊さんが小学校の教師を演じて主演、
大ヒットした『熱中時代』(1978年10月-79年3月)というドラマがありました。
続いて制作された『熱中時代 刑事編』(1979年4月-9月)もヒット。

翌1980年、その教師編の続編が待望されていました。
教師編は違ったのですが、刑事編は土曜21時枠の放送でした。
刑事編が1979年9月に終わり、10月からは桃井かおりさん主演のドラマが放送されていましたが、
その後に教師編の続編が放送されるのか、注目されていたのです。

そんな時、テレビ誌か週刊誌で、このような記事を読んだ記憶があります。
「局側は1980年4月のスタートを希望しているが、水谷さんサイドは7月を主張している。」
双方の希望に3ヶ月の差がある。さて、どうなるのだろう? と思っていました。

すると、4月から西田敏行さん主演の『玄太』が始まったのです。
そして3ヶ月で終了、
7月から『熱中時代』教師編のパート2が始まり、翌年3月まで続きました。

つまり、『玄太』は待望の『熱中時代』再開までをつなぐ、
窮余のショートリリーフ的なドラマだったのではないか、と推測されるのです。
当時の西田さんは脇役としてかなりの売れっ子になっていましたが、連続ドラマの主演は初めて。
まだ発展途上で、穴埋めだろうと、ショートリリーフだろうと、ゴールデンタイムで主役を張るチャンスだったのです。

そして、短期集中で作られたドラマの内容はパワフルでハートウォーミング、
子役からベテランまで、活きが良い演技で、心に残る傑作となりました。

その後、『熱中時代』教師編Ⅱの終了と入れ替って、翌1981年4月からは第2シリーズがスタート。
西田さんの歌う主題歌『もしもピアノが弾けたなら』がヒットしたのはこの時です。
その後もスペシャル版が1992年まで制作されるロングシリーズとなりました。

ただ、私の感想としては、やはり第1シリーズが何事も新鮮でよかったです。
第1シリーズはどのようなドラマだったか、ちょっと振り返ってみましょう。


魅力の第1シリーズ概要
西田敏行さん演じる池中玄太は通信社の写真部所属のカメラマン。
3人の娘を持つ未亡人(丘みつ子)と結婚するが、
新婦がすぐに亡くなってしまい、
玄太は、当然自分にまだ懐いていない三人の娘を育てることになるというストーリー。
毎回様々な問題に直面しますが、基本的には明るくパワフルに乗り越えていきます。

ヒロインの坂口良子さんが演じた鳴山暁子は通信社の記者。
写真部所属の玄太とは部署は違いますが、
記者とカメラマンとして、一緒に仕事をすることが多いという関係。
加えて、暁子の母親が玄太の自宅の大家さんという関係でもあるので、
娘たちの理解者として、玄太ファミリーとも絡みます。

そして玄太の上司役の長門裕之さん、同僚の三浦洋一さんとの、
仕事をめぐる激しくも楽しいやりとりも魅力でした。
ホームドラマとお仕事ドラマ、両方の面を持つ傑作でした。


『池中玄太80キロ』
1980年代の幕開けを爽やかに飾った、忘れ得ぬドラマです。

Old Fashioned Club 月野景史

2024年1月 1日 (月)

【俳優】『アイゾウ』夏子/『心霊内科医 稲生知性』シソンヌじろう 今年の活躍を期待

昨年2023年3月、同時期に二つの深夜ドラマが連夜集中放送されました。
『稲生知性』はまったくの新ドラマでした。

当ブログとしては、『稲生知性』は大きな反響があり、今回の新作放送でも再度アクセスが集中しましたが、
『アイゾウ』の方はさっぱりでした…、まぁそれはどうでもいいのですが。


『アイゾウ』の主演は夏子
『稲生知性』の主演はお笑いコンビ「シソンヌ」のじろう
俳優としては決して知名度が高いとはいえない二人でしたが、どちらも好演であり、作品としても秀逸でした。
じろうの役柄はポーカーフェイスで、演技力の判断は難しいのですが、ピタリはまっていました。
夏子は実力を感じる演技で、私はこの二人のファンになりました。

実は昨年10月クール深夜にこの二人が共演する連続ドラマが同じフジテレビ系(制作はカンテレ)で放送されました。
『時をかけるな、恋人たち』(2023年10月-12月)

二人の共演に期待したのですが、このドラマは深夜枠とはいえ、23時と早めのスタートのためか、
主演が吉岡里帆、永山瑛太というゴールデン・プライムタイム級の組み合わせであり、
夏子とじろうは脇役での出演でした。
じろうはレギュラーですが、あまり目立った活躍はなく、
夏子は準レギュラー的な立場で、見せ場は多くはありませんでした。
じろうはその後の年末に『稲生知性』の新作があり、よかった。
『アイゾウ』の新作も希望。
もちろん他のドラマでも、二人の2024年の活躍に期待しています。
Old Fashioned Club  月野景史

 

2023年6月29日 (木)

【ドラマ】『緊急取調室』のファイナルに暗雲/市川猿之助容疑者の事件の余波

市川猿之助容疑者が一昨日、逮捕されました。
この件はまだ不明なことも多く、事件そのものを論じる気もありません。

ただ、今回の逮捕よりたいぶ前、事件の発生から間がない時期からですが、
この件はあるドラマの関係者やファンにとっては、深刻な余波を生んでしまっていました。
6月16日に予定されていた映画『劇場版 緊急取調室 THE FINAL』の公開延期です。


『緊急取調室』(通称:キントリ) は天海祐希さん主演の警察ドラマ
2014年から2021年まで不定期に4シーズン放送、2022年1月にスペシャルドラマが放送されました。
公開予定だった映画は「THE FINAL」と付くので、その最終作ということになります。
猿之助容疑者はドラマ版の出演歴はなく、劇場版のメインゲストで、取調べを受ける総理大臣役での出演。

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現在、猿之助容疑者の役に代演を立て、取り直す方向で調整されているようです。
出演者の不祥事で放送・公開中止、撮り直しになる傾向に批判的な意見もありますが、
今回の場合はさすがに仕方ないか。

キントリのメインテーマは「取調べ」です。
その取調べを受けるメインゲストが、実際の事件の容疑者で、現実に取調べを受ける側になってしまったとは。
この役柄での出演、そのまま公開は、さすがに厳しいでしょう。

しかしそれにより、4シーズン続いた人気ドラマが、
初の映画版で最後を飾る、最高の舞台が用意されたのに、暗礁に乗り上げてしまいました。

しかもこの映画、本来は昨年公開予定だったのが、安倍元首相の銃撃を余波で一度延期になっており、
そして今度は、単に延期どころではなく撮り直しとは、よくよく運がありません。



『緊急取調室』
2010年代スタートの警察ドラマの代表的傑作
私も大変好きなドラマです。
警察ドラマの人気シリーズを多く抱えるテレビ朝日の放送ですが、
『相棒』や『科捜研の女』と違い、テレ朝の関連会社である東映制作ではありません。
そのせいか、一味違った魅力があります。

主演の天海祐希さんにとっても、2010年代の代表作のひとつと言っていいでしょう。
まだ終わるのはもったいない気もしますが、一方で仕方ないかとも感じます。
一部主要キャストの高齢化問題があるのです。

このドラマは主要レギュラーとして初回から、
田中哲司、鈴木浩介、速水もこみちといった、比較的若い俳優も出演しています、
ただ、鈴木さんと速水さんは別部署の刑事、田中さんは天海さんの上司役ですが、基本的に取調べはしません。

天海さんのもっとも身近な存在で、共に取調べを担う同僚警察官=取調べ官 三人は、
小日向文世、大杉漣、でんでんと、スタート時点で60代の俳優が揃っていたのです。
60歳は警察官の定年です。
『相棒』のように、長く続けるうちにキャストが高齢化したのなら分かりますが、最初からこの年齢構成は珍しい。

このキャスティングでは早いペースで続編を作っていかないと、続けられなくなるぞと思っていたのですが、
シーズン2終了後に大杉漣さんが亡くなり、主要キャストの一角が崩れてしまいました。
大杉さんの後任で塚地武雅さんがレギュラー入りしましたが、
塚地さんの役どころはIT系に強い後方支援型で、取調べ官は実質一人空席の状態で続いてきました。


実は2021年9月にシーズン4が、キントリが活動停止になり、メンバーは他部署に異動という形で展開で終了しました。
その後、大して間を置かず、2022年1月にスペシャルが放送されたのですが、
小日向さんとでんでんさんは異動先から戻ってこず、比嘉愛未さんと野間口徹さんがチームに加わりました。

その時は、今後はこのメンバーでシリーズを続けていくのかとも思ったのですが、
劇場版が本来は2022年に公開予定だったのだとすれば、
このスペシャルはそれに向けての序章だったのでしょう。

つまり、オリジナルメンバーが元気なうちに幕を降ろそうという判断だったようです。
それはそれでひとつの考え方で、ファンとしては支持しますが、
今回の事件で、とんでもないことになってしまいました。
メインゲストの出演シーンを、すべて撮り直しとは・・・。

しかも、不幸はそれだけではない。
劇場版と連動する形でスペシャルドラマも放送予定だったとのことですが、
そちらには大麻で逮捕された永山絢斗容疑者がメインゲストとして出演しているとのこと。

まさに呪われているのか!という感じですが、
この苦難を乗り越え、なんとか取り直して劇場版公開、
そしてスペシャルドラマも放送してほしいものです。

Old Fashioned Club 月野景史

2022年12月12日 (月)

【幻のネッシー写真】『なぜなに世界の大怪獣』掲載「ホームズ映画に登場したネス湖の怪物」

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上の写真は昭和の伝説的な児童向けUMA本(当時はまだ「UMAという呼び方はなかったと思いますが)、
小学館発行の『なぜなに世界の大怪獣』に掲載された掲載された未確認生物界の超有名スター、
イギリスはスコットランドのネス湖に棲むとされる怪物ネッシーの写真です。



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『なぜなに学習図鑑18 なぜなに世界の大怪獣』(1972年発行)

それで、このネッシー写真、妙にリアルで鮮明ですが、左横の説明文にもある通り、
映画『シャーロック・ホームズの冒険』(1970年)の撮影用に作られた模型です。
説明文の内容は以下の通り。
「右のしゃしんは、『シャーロック・ホームズのぼうけん』という、外国のえいがの中に出てきたネス湖のかいじゅう。
このえいがでは、ネス湖のかいじゅうは、せん水かんだったということになっています。」

同作は巨匠ビリー・ワイルダー監督による大作映画。
ならば、“出どころのはっきりした作り物”であり、不思議なことなど何もなそうですが、実は謎がありました。
なぜなら、実際に鑑賞すると、この映画にはこのような造形のネッシーは登場しないのです。


実際に劇中に登場するネッシーはこちら↓

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ちょうど有名な「外科医の写真」のように、長い首だけのビジュアルで、
一番上の写真のような、背中に二つのコブのある怪物は出てこないのです。


これはどういうことなのか?
この映画は長くビデオが発売されず、語られることも少なかったのですが、
21世紀になってDVDソフトがリリースされ、複雑な制作背景も明らかになりました。

この映画の制作にあたっては、実際にネス湖周辺でのがロケが実施され、
二つのコブを持つネッシーの模型を湖面に浮かべての撮影も試みられたのですが、
その模型が、撮影中の事故で湖中に沈んてしまったのです。

それで、実際に公開されたネッシーの登場シーンは首だけの模型を使い、スタジオのセットで撮影したようです。
細部に不明点がありますが、これがこの写真のおおよその真相です。
それを裏付ける写真も、ネット上で見つけることができます。


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ネス湖での撮影風景と思しき写真


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向きが左右逆ですが、『世界の大怪獣』と同じ写真かも知れません


実は知られていた水没事故
この映画の撮影中にネッシーの模型が湖底に沈んたという話は、実は随分昔に話題になったことがあります。
1975年にボストンの応用化学アカデミーの調査チームが、ネッシー探索を目的にネス湖の水中捜査を行ない、
全身と頭部を捉えたとされる水中写真を公表し、日本でもそれなりに話題になりました。
この水中写真が、沈んだ模型を写したものだったのではないか、との説が流れたのです。

この件を含むネッシー写真については、↓こちらを参照。
ネッシー超入門/写真で観るネス湖の怪物目撃史

この話題の際に、この映画がテレビ放送され、私も視聴しましたが、
二つのコブを持つ怪物は登場せず、私にとっても、長年の謎でした。
といっても考えられる可能性のは以下の三つです。

①そもそも映画『シャーロック・ホームズの冒険』用の模型というのが誤り
②実は出ていたけど、私が見逃した(昔一度観ただけど、ビデオ発売もなく、確認できなかったので)
③まともに撮影する前に沈んてしまったので、別の模型で撮影した

結果としては③説がだいたい正解ということのようでしたが、私は長い間①説に傾いていました。
というのは、この映画のストーリー展開からすると、あの二つのコブの造形には無理があるように思えたので。

上に載せた但し書きにもあるように、この映画のネッシーの正体はイギリスが開発中の潜水艦でした。
下の画像の青枠で囲んだ部分のような構造になっているのです。

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この写真はこの映画の公開時のポスターだと思いますが、
ネッシーの正体が思いっ切りネタバレしてしまっています。

この映画が、ネッシー以外にも色々といわく付きだったりします。
Wikipediaの同作の項目は私が作ったものなので、よければご覧ください。
Wikipedia 映画シャーロック・ホームズの冒険 (1970年の映画)


Old Fashioned Club 月野景史

2022年3月19日 (土)

【俳優】宝田明死去/日本映画黄金期の東宝の大スター/特撮・ゴジラ映画でも活躍

訃報 俳優の宝田明さんが亡くなりました。87歳。

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宝田 明(たからだ あきら)
1934年〈昭和9年〉4月29日 - 2022年〈令和4年〉3月14日


昭和20年代後半から30年代、
西暦でいうと1950年代から60年代始め、
戦後の復興に合わせて、映画は庶民の大きな娯楽となり、
大手の映画会社が大量の映画を制作していた、日本映画の黄金時代がありました。
その黄金期の数々の作品で主演した、本当の大スターの一人です。

宝田さんは東宝映画の専属でした。
「宝田明」は本名ですが、まるで東宝の看板スターになるべくのネーミングのようです。


その時代に活躍した存命の方は少なくなりました。
まだ小林旭さんや加山雄三さんもいますが、宝田さんよりはキャリアのスタートが少し遅い。
1934年生まれの宝田さんは高校卒業後すぐに映画界入りし、
あの第一作『ゴジラ』が初主演なのですが、これが1954年(昭和29年)です。

昭和20年代に主演作のある大スター、
そして最近まで現役俳優として活躍していた人としては、本当に希少でした。

『ゴジラ』で主演デビューした宝田さんはまもなく大スターとなります。
東宝はこれ以降も特撮映画を量産しますが、
宝田さんは翌年に1本主演した後、特撮とはしばらく疎遠になり、
青春・文芸・恋愛映画の分野で若手エースとして大活躍しました。
東宝の作風でもあるのですが、明るくスマート、典型的な二枚目スターでした。

加山雄三さんは東宝の後輩で三歳年下ですが、こちらは大学卒業後の映画界入りなので、
一世代違うイメージがあります。

昭和30年代終盤になると映画ブームも終息に向かい、
全体の制作数も減少したせいもあってか、特撮映画にも復帰します。
区分けが難しい面もありますが、昭和期の本格的な特撮ファンタジー映画の出演は7本、
すべて主演で、多くは特撮映画の中でも大作に分類されるものでした。

昭和期東宝特撮主演作は以下の通り
ゴジラ(1954年)
獣人雪男(1955年)
モスラ対ゴジラ(1964年)
怪獣大戦争(1965年)
ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘
キングコングの逆襲(1967年)
緯度0大作戦(1969年)

出演本数では佐原健二さんや平田昭彦さんらが上ですが、主演本数では断然トップ。
後年は平成のゴジラシリーズにも脇役で出演しています。


宝田さんは昭和40年代に入るとテレビドラマにも進出しますが、
お茶の間のスターというほどにはなりませんでした。
この時代はむしろミュージカルスターとして、舞台での活躍が主になります。

ミュージカル俳優要請学校「宝田芸術学園」を設立し、経営者にもなりました。
ただ、これは5年ほどで閉鎖になってしまいますが。
同世代の映画スターで事業に乗り出し、経営で苦労する人は多かったです。
石原裕次郎さん、勝新太郎さん、萬屋錦之介さん、加山さんもそうでした。

早く亡くなった方も多いですが、宝田さんは晩年までコンスタントに活躍しました。
昭和の大スターに、謹んで哀悼の意を表します。

Old Fashioned Club 月野景史

2021年8月26日 (木)

【俳優】二瓶正也死去/『ウルトラマン』イデ隊員は永遠に

訃報 俳優の二瓶正也さんが8月21日に亡くなりました。80歳没

私は昭和特撮、特に初代の『ウルトラマン』のファンです。
そして、二瓶さんといえば、やはり科学特捜隊のイデ隊員役が代表作でしょう。
5人の隊員たちはそれぞれ個性的でしたが、やはり子ども達の一番人気はイデ隊員でしょう。


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二瓶正也
(にへい まさなり 1940年12月4日 - 2021年8月21日)
東京都出身

二瓶さんは『ウルトラマン』ハヤタ隊員役の黒部進さんより一歳年下で同じ東宝映画の出身。
二人とも1960年代の入社で、映画産業はそろそろ斜陽に向かう頃、
やがてテレビに活路を見いだしていく世代でした。

二瓶さんは映画では、江原達怡さんの代役で加山雄三さんの相棒役を演じた『ハワイの若大将』。
また多くは端役ではありますが、榎本喜八監督作の常連としても知られます。

特撮映画では『妖星ゴラス』の宇宙パイロット役!
ただ、特撮映画を量産していた東宝に1970年頃までいながら、
本格的な特撮ファンタジー映画は意外にもこの1本だけ。
黒部さんは端役ながら5本も出演しているのに。


イデ隊員は代役だった
二瓶さんは『ウルトラマン』の前身『ウルトラQ』に3回、
それぞれ別の役で、ゲスト出演しています。
いずれもコミカルな脇役キャラでした。

同じく『Q』にゲスト出演した黒部さん同様、
次作『ウルトラマン』でレギュラーに起用されることになります。

ただ、当初はイデ隊員には石川進さんがキュスティングされていました。
それがクランクイン後まもなく降板、原因はスケジュールの問題ともギャラとも言われています。
そして、急遽の代役に二瓶さんが抜擢されたわけです、

石川進さんも『Q』に一度ゲスト出演しており、
『オバケのQ太郎』の主題歌の歌手、『おはよう!こどもショー』の司会者としても人気者でした。

石川さんは『Q』でも快演でしたし、イデ隊員やっても面白かったかも知れません。
ただ、二瓶さんより七つ年上で、背も低くポッチャリタイプ。
二瓶さんは同じコミカルキャラですが、若くて長身で頑健。
発明家タイプとはいえ、やはり科特隊のメンバーとしては二瓶さんが相応しかったでしょう。

ともかく『ウルトラマン』は大ヒット。
そして55年を経て色褪せない名作となりました。

その中で、いつも明るく、見る人を和ませるコメディリリーフにして、
天才的な科学者・技術者の顔を持つバイタリティの持ち主
そして感受性豊かで人間味溢れるギャラクターのイデ隊員は永遠の人気者になりました。


『ウルトラマン』の後は同じ円谷プロの『マイティジャック』にレギュラー出演。
東宝を退社した1970年代は俳優の他にバラエティにも出演していました。

またテレビCMでも活躍しました。
カルビーのポテトチップス発売以前のヒット商品「サッポロポテト バーべQあじ」のCMは大量に放送されました。

もうひとつ、「サッポロ一番」のサンヨー食品が「カップスター」以前に出したカップ麺、
たしか「サッポロスナック」という名称だったと思いますが(スナック菓子ではなく、カップ麺です)、
このCMも大量に流れました。今だに流れていた歌詞も憶えています。
何故かカップ麺を紙箱に入れたスタイルで、無駄と言えば無駄であり、長くは販売されなかったと思います。
Wikipediaのカップスターの項目に「サッポロ一番スナック」として紹介されていますが、「一番」は入ってなかったと思います。


二瓶さんは80年代になると、副業もされていたようで、芸能活動は控えめになります。
しかし90年代以降、再び『ウルトラマン』が注目されると、黒部さんやフジ隊員役の桜井浩子さんら共に、
特撮物や、関連番組、雑誌等のメディアに登場する機会が増えました。

2005年には黒部さんと桜井さんがレギュラー出演していた『ウルトラマンマックス』に
彼らの旧友であるダテ博士役でセミレギュラー出演し、懐かしい共演が実現しました。

その後も時々顔を見せていたのですが、その頃からかなり太りだしたようで、
さすがにあれでは身体に良くないだろうと心配していました。

謹んで哀悼の意を表します。

Old Fashioned Club 月野景史

2021年5月22日 (土)

【俳優】田村正和死去 最後のスターらしいスター俳優/正和ワールドは超多彩

訃報 俳優の田村正和さんが先月3日に亡くなっていたことが、5月19日に公表されました。


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田村 正和(たむら まさかず)
1943年8月1日 - 2021年4月3日 77歳没


最近は有名人も一般人も、死去の際には広く公表せず、
葬儀も内々に済ます傾向にありますが、それにしても随分時間が経ってからの公表でした。


田村正和!
私生活を見せない、明かさない、生活感を匂わせない
最後のといっていい、スターらしい“スター俳優”、別格的な人でした。

といっても、トーク番組には時々出演していたし、
舞台挨拶等に登場することもあったので、
ドラマや映画の画面以外、一切出なかったというわけではありません。
そうであっても、私生活を感じさせないところが、逆に凄いといえます。

時代劇映画の伝説の大スター坂東妻三郎の息子で、いわば二世俳優。
兄の田村高廣さん、弟の田村亮さんも有名俳優で、そのこと自体よく知られていますが、
そういう点を超越した、特別な存在でした。

もうひとつ、スターらしい点は、主役以外やらないところ。
この点もあるでしょう。
晩年まで貫きました。

ただ、実は若い頃からそうだったのでもありません。
1970年代頃までは脇役というか、重要な役だけど主役ではないということも結構ありました。
主演しかなくなったのはだいたい80年代以降、40歳近くなってからだと思います。


魅惑の田村正和ワールド
主役だけになって、若い頃は頻繁に出ていたNHK大河ドラマへの出演は途絶え、
出演作品はすべて“田村正和ワールド”といった趣きになっていきました。
といっても、正和ワールドもジャンルは幅広い。

元々、テレビでは父親譲りか時代劇が多く、
現代物では恋愛物・メロドラマのイメージがありましたが、
『うちの子にかぎって…』(1984年)でコメディ路線に新境地を開き、
(御本人は「ライトコメディ」と言っていたかと思います)
ホームドラマに業界物をミックスしたような『パパはニュースキャスター』(1987年)も人気。

と思うと、原点回帰したようなちょっと重めで浮世離れしたトレンディドラマ『ニューヨーク恋物語』(1988年)。
そして、縁の薄いように思えた刑事ドラマの『古畑任三郎』が後年の代表作となりました。
個人的にはトレンディドラマブームに5年ほど先んじて作られた『夏に恋する女たち』(1983年)。
最高にかっこいいドラマでした。


近年はスペシャルドラマに年1本ほど出演するペースでしたが、
『眠狂四郎 The Final(2018年2月17日)が遺作となりました。
最後は、青年時代から演じてきた時代劇で締めくくりました。

晩年は見ていて、少し辛い面もありました。
やはりどうしても実年齢より若い役柄が多く、無理を感じたのと、
元々、少し苦しそうな発声をするところがあり、
年齢を経て苦しい感じが顕著になった面もあるかと思います。

考えてみると、昭和と平成の両方の時代で大スターだったという点では、
No.1ではないでしょうか。

私もファンだった昭和~平成の名優。
謹んで哀悼の意を表します。

Old Fashioned Club 月野景史

 

 

2021年3月26日 (金)

【俳優】田中邦衛死去 /映画の代表作『若大将シリーズ』永遠の“青大将”を語る

訃報 昭和~平成の名優 田中邦衛さんが亡くなりました。88歳。
田中さんの代表作として映画『若大将シリーズ』とドラマ『北の国から』がよく挙げられます。
実際には『北の国から』について語られ、『若大将シリーズ』は名前だけ挙がることが多いですが、
このブログでは『若大将シリーズ』の田中邦衛さんについて記します。



01
左から田中さん、ヒロインの星由里子さん、加山雄三さん
『エレキの若大将』(1965年)より


田中 邦衛
(たなか くにえ、1932年11月23日 - 2021年3月24日)

若大将シリーズ
加山雄三さん主演、東宝映画1960年代の人気シリーズ。
1961年から1971年まで、番外編的な1本を除くと16本制作され、
田中さんもすべてに出演しました。
明朗な青春コメディといった感じのシリーズでした。

加山さん演じる主人公の若大将こと好漢 田沼雄一に対して、
田中さんが演じたのは青大将こと石山新次郎。
後年の渋い田中さんのイメージからは想像し難いですが、
青大将は典型的な金持ちのドラ息子、バカ息子キャラでした。


若大将のライバル?
よく青大将は若大将の「ライバル」との言い方をされますが、
実際には適当ではありません。
青大将の方は若大将をライバル視しているようなところはありますが、
若大将にはそんな気は感じられません。

では相棒的な位置づけかといえば、
これは江口(江原達怡)というキャラがいます。
青大将は勝手に若大将に絡み、面倒をかけるような、憎まれ役ポジションです。

そもそも、若大将はだいたい毎回、大学の運動部のエースとして登場し、
クライマックスには大きな大会が描かれるのが定番なので、
ライバルというなら、その相手役であるべきなのでしょうが、
そんなことは一度もありませんでした。
ただ、中期以降の作品には、スポーツのチームメイトの場合はありましたが。

ひとついえば、ヒロイン澄子(すみちゃん=星由里子)をめぐる恋のライバル的な面はありました。
しかし、これも大抵の場合、青大将の横恋慕でしたし。

つまり、憎めないタイプの憎まれ者キャラ。
コメディリリーフのトラベルメーカーといったところです。

ところで、若大将も青大将もシリーズ終盤では社会人になるのですが、
1968年までは大学生役でした。
加山さんも31歳になる年でしたが、田中さんは更に5歳上の36歳、
そして社会人役になってもそのキャラはさほど変わらず、
39歳の年、シリーズ完結まで、役者としてドラ息子の青大将を演じ切ったのです。


帰ってきた青大将
しかし、青大将はそれで終わりませんでした。
シリーズ完結から10年、1981年に新作『帰ってきた若大将』が制作されます。

この間、加山さんは私生活でも色々あったのですが、
70年代後半には歌手として、俳優として人気も復活。
更に再三のテレビ放送で往年の『若大将シリーズ』も人気を集めていました。
そして新作制作となったのです。

一方の田中さんは実力派俳優として映画やテレビドラマでキャリアを積み重ねてきました。
個性派脇役ポジションに留まらず、ドラマでは主役を張るとこも多くなっていました。
後年の代表作となる『北の国から』がスタートする直前でしたが、
もう立派なベテランの大物俳優・名優、且つ人気の売れっ子でもありました。

ですので、私は仮に田中さんが青大将として新作に登場するとしても
特別出演的に顔を出す程度かとばかり思っていました。
ところが、思いっきり弾けて、相変わらずの、でもちゃんと大人になった青大将を演じ切ってくれました。
これぞプロ、そう感じました。

謹んで哀悼の意を表します。

Old Fashioned Club 月野景史

2021年1月16日 (土)

【俳優】高橋幸治は今回5位 /大河ドラマで一番好きな信長役

ねとらぼ調査隊で
「大河ドラマで一番好きな織田信長役は?」
とのアンケートを2020年12月15日から2021年1月14日まで行ないました。
https://nlab.itmedia.co.jp/research/articles/98334/

結果が1月15日に公表されると、
このブログのこのページへのアクセス数が急伸しました。
【俳優】織田信長役といえば…高橋幸治。存在感抜群の名優の過去と現在

俳優の高橋幸治について書いたページです。


001
『黄金の日日』で信長を演じた高橋幸治氏

このブログでも安定したアクセスのある人気ページです。
元々これは2011年に実施された同旨のアンケートの際に書いたものです。
ただ、この時は発表された5位までに幸治氏は入っていませんでした。


それから10年。
最後に幸治氏が信長を演じてから40年以上、
そして幸治氏が表舞台から姿を消してから約20年。

こんな状況ですが、
今回の調査で幸治氏は見事5位に入りました。


結果は以下の通り。

第1位:反町隆史(利家とまつ~加賀百万石物語~)2002年
第2位:渡哲也(秀吉)1996年
第3位:役所広司(徳川家康)1983年
第4位:染谷将太(麒麟がくる)2020年~
第5位:高橋幸治(太閤記/黄金の日日)1965年/1978年
第6位:豊川悦司(江~姫たちの戦国~)2011年
第7位:高橋英樹(国盗り物語)1973年
第8位:吉川晃司(天地人)2009年
第9位:市川海老蔵(おんな城主 直虎)2017年
第10位:緒形直人(信長 KING OF ZIPANGU)1992年


順位に対する雑感はありますが、それはまた改めて。
さすがに幸治氏の信長を新たな作品で見るのは残念ながら難しいかとは思いますが、
ファンとしてこの結果は嬉しいです。
もちろん、もっと上でもいいとは思いますが。

Old Fashioned Club 月野景史

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