【ルパン三世】石川五ェ門の謎/金も宝石にもまったく興味無しに思える“大泥棒”
『ルパン三世』シリーズに登場する十三代目石川五ェ門。
いわずと知れた日本の超有名漫画・アニメの主要キャラクターですが、
一方でその存在は極めて不思議で不可解、矛盾・不条理に満ちた人物だと思います。
五ェ門は大泥棒のルパン三世の仲間としてチームを組み、長年泥棒稼業をやっているのに、
ルパンが目の色変えて狙うような金(かね)や貴金属等の“お宝”に、まったく興味がないように思えるのです。
私は1971年スタートのTV第1シリーズのファンである一方、
原作漫画はほとんど知らないので、主にアニメの印象で書きます。
五ェ門は大昔の盗賊、石川五右衛門の末裔という設定ですが、
泥棒というよりは剣豪、例えば宮本武蔵とか佐々木小次郎のような、
剣の道を極める求道者のイメージではないでしょうか。
現金や宝石に興味はなくても、刀剣にはこだわりはあるでしょうが、
かといってそれを盗むことに執着するイメージもありません。
それなのになぜ、長いことルパン一味として“盗み”を続けてきたのか。
金や宝石への執着が感じられないだけでなく、
盗むという行為、盗賊としてのこだわりもまったく感じられないのです。
もっとも、それはルパンの相棒である次元大介にも見られる傾向かも知れません。
五ェ門ほど極端ではないので、目立ちませんが。
そもそもTV第1シリーズの初登場回である第5話「十三五ェ門登場」において、
五ェ門は「殺しのプロフェッショナル」と紹介されていました。
もっともその回ではルパンもそう紹介されていましたが。
かといって五ェ門に“殺し屋”のイメージもありません。
殺し屋というからには法外な報酬を得て仕事を請け負うもののように思えますが、
五ェ門には金に対する執着をまったく感じないのです。
第1シリーズでもルパンの敵である剣の達人として登場した最初の2本は
五ェ門メインともいえる話で、大いに活躍しましたが、
泥棒一味に加わってからは存在感は薄れ、まったく登場しない回も多かったです。
それでも1977年スタートのTV第2シリーズにも引き続き登場し、
キャラクターも安定して、ほとんどの回に登場しましたが、
相変わらず矛盾は抱えたまま、第2シリーズの3年の放送期間を完走しました。
そしてそのまま、第1シリーズから55年近く経った現在に至ります…、
と私が言い切るのは、最近の作品は観ていないものも多いので、無理があるのですが、おそらくそうでしょう。
金にも貴金属にも、盗むという行為自体にもこだわりはない、
むしろそういったものを忌避するような性格にすら思えるのに、
五ェ門はなぜルパンや次元らと盗賊としての活動を続けるのか?
ルパンとの切っても切れない絆があるからか。
うーん、次元はそうかも知れませんが、
五ェ門がそうかというと、ちょっと弱いか。
スリルを味わいたいから・・・、それもちょっと似合わないような。
深淵なる謎を抱えたまま、五ェ門は存在し続けるのでしょう。
Old Fashioned Club 月野景史
















