33.ミステリ

2017年3月25日 (土)

【ドラマ】『そして誰もいなくなった』渡瀬恒彦遺作 前編終了/原作通りの結末か、サプライズはあるのか?

3月25日(土)、26日(日)21時にテレビ朝日で放送される
『二夜連続ドラマスペシャル そして誰もいなくなった』。
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2017/03/32526a-0710.html


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初日の放送が終了し、残りは後半の解決編を残すのみです。

ミステリの女王アガサ・クリスティ(1890年9月15日 - 1976年1月12日)代表作のドラマ化。
国も時代も違うのだから、原作小説そのままというわけにはいく筈もありませんが、
可能な限りで極めて原作に沿って手堅く作られていると思います。
孤島に集められた10人も、きっちり原作のキャラクターに合わせられていました。


さて、結末はどうなるのでしょう。
ひとつの手法として、今回はそうしないとは思いますが、
前半は原作通りにやっておいて、後半は思い切って変える、
というサプライズもないとはいえません。

その場合、キーマンは向井理さんでしょうか。
向井さんの役は一番先に殺され退場してしまいました。
原作通りならそのままです。

ただ、大物俳優が揃えられた本作のキャストですが、
現在、連続ドラマで主役を務められる主演スターはそれほど多くはありません。

刑事役の故沢村一樹さんを除く離島に集められたメンバーとしては、
故渡瀬恒彦さんの他には、今回主演の仲間由紀恵さんと、後は向井さんくらいでしょう。
実際、クレジット順でも向井さんは仲間さんに次ぐ二番手です。
それにしては退場が早過ぎました。

のみならず、全員が過去について語るシーンでも、
向井さんだけが赤裸々にありのままを語っているようにも思え、かえって不自然だったり、
また役柄の設定も、他のキャラに比べ、原作からちょっと離れているなど、
違和感を覚える面もあります。


しかし、今回は手堅く「名作の忠実な映像作品化」といくように思います。
後は刑事役の沢村一樹さんと荒川良々さんによる解決編をどう見せるかというところでしょうか。

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このホームズ&ワトスン的なコンビもなかなかユニークです。

Old Fashioned Club  月野景史

2017年3月21日 (火)

【ドラマ】『そして誰もいなくなった』渡瀬恒彦遺作 3月25日・26日放送/A・クリスティの傑作ミステリ

3月25日(土)、26日(日)21時、テレビ朝日にて、
『二夜連続ドラマスペシャル そして誰もいなくなった』が放送されます。
http://www.tv-asahi.co.jp/soshitedaremo/
3月14日に死去した渡瀬恒彦さんのおそらく最後の出演作、遺作ということになると思います。


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渡瀬恒彦さんの遺作
渡瀬さんの闘病についてはこのプログでも何度か取り上げてきました。

一昨年に胆嚢がんが発覚した渡瀬さんはその年の末に仕事復帰しましたが、
昨年夏に体調を崩し、長く務めたTBSの『十津川警部シリーズ』の降板が伝えられました。
しかし、今年に入ってこのドラマの撮影中である事が報道されたのです。(→こちら

次いで12シーズン目を迎える『警視庁捜査一課9係』の制作も発表されたのですが、
残念ながら収録に参加する事なく亡くなりました。
ですので、今回の『そして誰もいなくなった』が最後に出演した作品、遺作という事になると思います。


女王アガサ・クリスティの傑作
さて、渡瀬さんの件は別としても、
このドラマはアガサ・クリスティの名作小説の、豪華キャストによるドラマ化として注目されます。

ミステリ、推理小説の女王アガサ・クリスティ(1890年9月15日 - 1976年1月12日))
『そして誰もいなくなった』は1939年刊行。
彼女の数多い作品の中でも『オリエント急行の殺人』『アクロイド殺害事件(アクロイド殺し)』と並ぶ代表作でしょう。
その中でもNo.1、最高傑作に推される事が多い作品です。

『オリエント』『アクロイド』と違うのは、
クリスティが生み出した名探偵エルキュール・ポアロが登場しないこと。
のみならず、クリスティ作品のもう一人の名探偵、ミス・マープルも出ません。
いわゆる“名探偵”が登場しない作品です。

絶海の孤島に集められた10人の間で起こる連続殺人。
犯人は果たして誰か?
外界から閉ざされた空間で起こる事件、いわゆる“クローズドサークル”の代表的作品です。


二つの結末
実はクリスティは原作発表後、舞台化にあたり自ら戯曲用のストーリーを書きました。
そちらでは結末が少し違います。
その後、この作品は世界中で何度か映画、テレビドラマとして映像化されてきましたが、
基本的に戯曲版が採用されることが多かったようです。
また、意外と“孤島”の舞台設定が変えられる事も多かったのです。

今回のドラマは“孤島”という原作通りの舞台設定が採用されています。
そして、公式サイトのあらすじを読む限り、戯曲版ではなく原作小説に沿った展開であるようです。
そうなると、集められた人物の職業から、真犯人も推測できるのですが、
さてそこは原作通りに描くのか?

私は原作の展開の荘厳さが好きなので、その通りに描いてほしいと思うのですが、
この配役でその通りにやってしまうと、2日連続のスペシャルドラマとしては
ちょっと意外性がなさ過ぎかも知れませんが。

原作が有名過ぎるだけに難しいですね。
さて驚愕の真相は・・・? 続きは明日までお待ちください!
とやって、原作通りの結末ではちょっと寂しい気もします。
もっとも、それもまた新鮮かも知れませんが。


公表されている出演俳優は以下の12人。

仲間由紀恵 向井理 柳葉敏郎 余貴美子 國村隼
藤真利子 大地真央 橋爪功 津川雅彦 渡瀬恒彦
沢村一樹 荒川良々

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3月3日の制作発表に揃った11人のキャストと和泉聖治監督(前列右端)。
残念ながら渡瀬さんの列席はありませんでした。


渡瀬さんを含む12人のうち、
沢村さんと荒川さんは事件後の島に渡って捜査を担当する警察官のようです。
残りの10人が島に集められたということですので、ここも原作通りです。

記者会見での荒川さんの発言によれば、沢村さん以外のキャストとは撮影で一緒になってはいないようです。


公式サイトからあらすじを引用しておきます。
☆☆☆
八丈島沖に浮かぶ孤島・兵隊島。その孤島に立つ『自然の島ホテル』のオーナー・七尾審によって10人の男女が島に呼び寄せられる。

七尾からの招待状を受け取りやってきたのは元水泳選手の白峰涼(仲間由紀恵)、元東京地裁裁判長・磐村兵庫(渡瀬恒彦)、元国会議員・門殿宣明(津川雅彦)、救急センター医師・神波江利香(余貴美子)、元傭兵・ケン石動(柳葉敏郎)、元女優・星空綾子(大地真央)、ミステリー作家・五明卓(向井理)、元刑事の久間部堅吉(國村隼)の8人。島に到着するも、ホテルの執事夫婦・翠川信夫(橋爪功)とつね美(藤真利子)からオーナーの七尾は不在であることを伝えられる。

これから何が起こるのか、自分たちはなぜこの島に招待されたのか―期待と不安に包まれながら用意された夕食をとっていると、突如としてどこかから彼らの過去の罪を暴露する“謎の声”が聞こえてくる。

それぞれの胸の内に去来する過去の出来事…。10人が互いの過去を探り合う中、突然招待客のひとりが目の前で殺害される! そしてそれをきっかけとするように、ひとり、またひとりと招待客が殺されていき…?
★★★

このあらすじを読めば、原作小説の内容を憶えている人なら、犯人はすぐに判ります。
原作通りならば・・・。

脚本は大ベテランの長坂秀佳さん。
近年、テレビドラマの仕事は多くはありません。
監督は『相棒』や渡瀬さん主演の『おみやさん』などを手掛けてきた和泉聖治さん。
さて、原作通りにやるのか、捻るのか?

Old Fashioned Club  月野景史

2015年11月 8日 (日)

【相棒】アガサ・クリスティ『オリエント急行の殺人』を基とした4本のエピソード

ミステリの女王アガサ・クリスティの『オリエント急行の殺人』。
(または『オリエント急行殺人事件』 原題「Murder on the Orient Express」1934年)

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欧州を縦断する長距離列車内で起きた殺人事件に名探偵エルキュール・ポアロ(ポワロ)が挑む。
その舞台設定の面白さに加え、明かされた驚愕の秘密とプロットで知られる傑作推理小説。
後発のミステリーに与えた影響も少なからぬものがあります。

『相棒』シリーズにも、この作品をベースとした話が、少なくとも4本あると思います。
といっても、『オリエント急行』のどの要素を基とするかで、そのテイストはだいぶ変わってきます。

もっとも分かり易いのはこの話でしょう。

◆season6 第10話 「寝台特急カシオペア殺人事件」
脚本:戸田山雅司 監督:和泉聖治
http://www.tv-asahi.co.jp/aibou_06/contents/story/0010/
密室状態となった長距離電車内で起こった殺人事件を、
乗り合わせた杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)が捜査する。
舞台設定がそのまま、そもそもサブタイトルだけ聞いても、誰でもすぐに思い付きます。

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ただ、この回以外に同様の舞台設定のエピソードは思い浮かびませんね。
他の3本はどのエピソードなのか?

改めて、『オリエント急行殺人事件』の特徴を挙げてみます。

①外界から閉ざされた、大きな密室状態の寝台列車内での殺人事件。
②犯行の動機は過去の少女誘拐殺人犯への復讐。
③同じ意志を持つ複数の人間による計画的犯行。
④関係者が他人を装って集まる。

「カシオペア」はまさに①です。
①をモデルにした作品はこれ以外にはないでしょう。
では、他の要素はどうでしょうか?

実は、②と③のテイストを併せ持つ作品が二つあります。

◆season5 第3話 「犯人はスズキ」 
脚本:岩下悠子 監督:森本浩史
http://www.tv-asahi.co.jp/aibou_05/contents/story/0003/
列車を“町内”あるいは“町内会”という器に移し替えたような異色の作品。
少女誘拐殺人事件への復讐という点はまさにそのまま。
ただし、復讐殺人自体は少女の父親による突発的なもので、計画性に乏しい。
町内会の人々が父親を庇おうとしての偽装工作が計画的で、
それを右京と亀山が崩していくのがメインストーリーでした。

大変面白い作品なのですが、偽装の過程で無関係の大悪人とまではいえない人間を
計画の為に殺害してしまう点は同情できず、少々残念でしたが。

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『科捜研の女』に研究員→所長役で長くレギュラー出演する
斉藤暁さん唯一の『相棒』出演回です。
斉藤さんは元警官で、計画の首謀者の1人の役でした。


◆season8 第11話 「願い」 脚本:太田愛 監督:安養寺工
http://www.tv-asahi.co.jp/aibou_08/story/0011/index.html
これも少女誘拐殺人犯への復讐がテーマ。
ただ、その少女は原作や「スズキ」よりはだいぶ年上です。
2代目相棒・神戸尊(及川光博)時代の作品。

この回の復讐は誘拐犯の殺害ではありません。
真相の告発が目的ですが、時効が過ぎているので、過去の犯罪で真犯人が逮捕されることはありません。
そこで、真犯人に新たな犯行をさせて逮捕させ、併せて過去の罪も明らかにして破滅させるのが目的です。
その為、少女の親族、親友、そして冤罪被害にあった男性の親族らが協力しての複雑な計画が描かれました。
無関係に見える人間達が実は繋がっているという点で、④の要素も入っています。
一方で、舞台設定の密室性は薄いですが。

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素人の復讐劇としては計画が大胆かつ念入り過ぎて、プロットに無理がありますが、
計画成功の為、忘れたい過去として無関心を装う関係者達の隠された強い思いは感動的で、私の好きな作品です。


まだ他にあるでしょうか?
もうひとつ、④をフィーチャーした話があります。

◆season9 第12話 「招かれざる客」 脚本戸田山雅司 監督:近藤俊明
http://www.tv-asahi.co.jp/aibou_09/story/0012/index.html
郊外のオーベルジュに偶然居合わせた客達、実はみな関係者であった。
そこに招かざる客の右京が現れて・・・。

過去の因縁で結ばれた人々が他人を装い、ひとつの場所に集う設定は『オリエント急行』に非常に近いです。
しかも、そのほとんどがある家の使用人であった点も同じ。
誘拐殺人は関係ありませんが、その家の娘に纏わる話であることも共通しています。

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そして、犯人だけではなく、探偵側の右京と神戸の計画的小芝居も魅力です。
更にいえば、全体に芝居がかっていて、舞台劇を思わせる雰囲気は、
クリスティ作品の持ち味が色濃く反映された作品と言えるのでしょう。

列車も誘拐殺人も復讐もないので、この回を『オリエント急行』と結び付ける人はあまりいないかも知れませんが、
作品の持つテイストでいえば、もっとも近いかも知れません。

この回はそれ以外にも、なにやらマニアックな雰囲気が漂っています。
小芝居の中で右京が演じたキャラは、『熱中時代』より前の若い頃の水谷さんの
封印されたアウトロー的な演技を彷彿とさせるものがあったりとか。
これも私の好きな作品です。


以上、4作を見てきました。
実は、ネット上にもこの4本のどれかを挙げて、『オリエント急行の殺人』との関係に言及する意見は散見されます。
しかし、4本まとめて挙げてる方はいないようです。

では、『オリエント急行の殺人』と『相棒』の決定的な違いは何か?
これは『相棒』ファンなら誰でもわかるでしょう。
ボアロと違い、右京は決して犯罪を故意に見逃したりしません。
私は、ポアロの判断も好きですが。

Old Fashioned Club  月野景史

2015年7月22日 (水)

【人形劇】『シャーロックホームズ』/2015年夏『ホームズ&ワトソン 推理の部屋』として放送

昨年2014年にNHK Eテレで放送中されて好評だった
学園ミステリー人形劇『シャーロックホームズ』。
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/post-5e10.html
この夏休みに全10回の予定で放送されます。

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ホームズ&ワトソン 推理(ミステリー)の部屋
2015年7月23日より毎週木曜日 NHK Eテレにて23:00より30分。全10回。
http://www.nhk.or.jp/sh15/


夏休みと書きましたが、夜の11時なので、リアルタイムで子どもの観る時間帯でもないですね。
公式サイトにもあまり詳しい放送内容が描かれてはいないのですが、
既に放送された直前スペシャルによると、
単なる再放送ではなく、昨年放送された全18話からのセレクションに
新構成のワトソンからの挑戦状「奇妙な謎☆クイズ」の2章立てとなるようです。


学園ミステリー『シャーロックホームズ』
古くは『ひょっこりひょうたん島』から、『新八犬伝』『プリンプリン物語』など
数多くの名作を生み出してきましたNHKの人形劇ドラマ。

その系譜にあたる本作は、題材をサー・アーサー・コナン・ドイルによる世界的人気キャラクター、
名探偵シャーロック・ホームズと、助手役を務めるジョン・H・ワトソン医師に求めました。

そして脚本を、NHKでは2016年の大河ドラマ『真田丸(堺雅人主演)』も決定している
三谷幸喜氏が担当することで話題を集めました。


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学園ミステリーと銘打っている通り、この人形劇ドラマではホームズとワトソンを全寮制の寄宿学校生にして、
その他、原作に登場する人物もすべて学校関係者として描いています。
1本だけ、学校の近所で起こった事件以外は、殺人も起こりません。
そして、原作では1話だけのゲストキャラクターが、その後も何度か登場し、
セミレギュラー化していくのも特徴です。
登場するのは寄宿学校の生徒か教師、職員、出入り業者等の関係者なので、再登場するのが自然なのです。
ハドソン夫人は寮母さんです。

シャーロック・ホームズの兄のマイクロフトをヒールとして描くなど、
人物設定への疑問もなくはありませんが、大幅な脚色は概ね上手くいっていると思います。

クラシカルな雰囲気も良し。
画家井上文太氏デザインのパペットも魅力的。
ゲストにはいわゆる声優さんだけではなく、大物俳優も多数登場します。
宮沢りえさん、中村梅雀さん、妻夫木聡さん、藤原竜也さん等々。
美しい出来のパペット達に息吹きを与えています。

もちろん、主役はこの2人。

◇シャーロック ホームズ
人並みはずれた観察眼と洞察力をもつ15歳。
ナイーブな性格。友達は少なく、学校では変わり者として知られる。
持ち前の推理力を生かし、ワトソンとともに校内で起こる奇妙な事件を次々に解決していく。
声:山寺宏一

◇ジョン・H・ワトソン
ビートン校の転入生。ベイカー寮の221Bでホームズと同室になる。
心優しく献身的な性格の15歳。元ラグビー部だったが怪我のために引退。
ホームズと出会い、彼が解決した事件の記事を学校新聞に執筆することになる。
声:高木渉

クラシカルでファンタジックな、夏の夜にもまたぴったりの人形劇ワールドです。

Old Fashioned Club  月野景史

2014年11月29日 (土)

【人形劇】『シャーロックホームズ』三谷幸喜脚本/なかなか面白い学園ホームズ

NHK Eテレで放送中の人形劇『シャーロックホームズ』。
これがなかなかおもしろいです
http://www.nhk.or.jp/sh15/

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「Eテレ」といわれても解り難いですが、つまりNHK教育テレビのことです。
NHKの人形劇ドラマといえば、古くは『ひょっこりひょうたん島』から、
『新八犬伝』『プリンプリン物語』など、数多くの名作を生み出してきました。
個人的には『ネコジャラ市の11人』の名も挙げておきます。

本作もその系譜にあたると言っていいでしょうが、
まずなんといっても題材を世界的人気キャラクターである
シャーロック・ホームズとジョン・H・ワトソンに求めたことが特筆されています。

そして、人形劇化にあたり、脚本がかの三谷幸喜氏。
超有名脚本家! NHKでは2016年の大河ドラマ『真田丸(堺雅人主演)の脚本も決定しています。


19世紀末、サー・アーサー・コナン・ドイルが生み出した世界一有名な私立探偵シャーロック・ホームズと、
その友人で助手、そしてホームズの活躍の記録係も務めるジョン・H・ワトスン医師。
生誕から100年以上を経過してもテレビに映画なと活躍を続ける二人。

その二人と三谷氏とのコラボとは、話題性が強すぎて鼻につくくらいですが、
これが三谷氏の強い個性を感じさせ過ぎず、良い感じに出来上がっているのです。


設定(公式サイトより)
舞台はロンドン郊外にある全寮制の名門校・ビートン校。
この学校にオーストラリアから一人の少年が転校してくる。
彼の名はジョン・H・ワトソン。正義感が強く心優しい少年だ。

ワトソンは寮の221Bの部屋で、問題児と呼ばれる少年と同室になる。
彼の名はシャーロック・ホームズ。クールで人を寄せ付けない雰囲気を持つ少年だが、
ワトソンを一目見るなり、彼の経歴を言い当てるなど卓越した観察眼と洞察力の持ち主だった。

やがて二人は学校内で起こる「奇妙な事件」に巻き込まれていく。
ホームズは持ち前の推理力を発揮し、事件の背後にある謎を解き明かしていく・・・。


つまり、この人形劇ドラマではホームズとワトソンを寄宿学校生にして、
その他、原作に登場する人物もすべて学校関係者として描いていくのです。
当然ながら、殺人事件は起こりません。
大幅な脚色がなされているのですが、うまい感じにいってると思います。
クラシカルの雰囲気、画家井上文太氏デザインのパペットも魅力的。
タイトルは「シャーロック」と「ホームズ」の間に「・」(ナカグロ)がないのが特徴です。

既に、今年の3月と8月に試験的に放送がされているのですが、
この10月から本格放送が始まりました。
来年の2月まで全18話が放送予定。
是非一度、視聴を薦めます。

Old Fashioned Club  月野景史


放送予定・概要は以下の通り。

シャーロックホームズ
2014年10月12日~2015年2月15日
毎週日曜日 17:30 Eテレ   
再放送 毎週金曜日 0:00(木曜深夜) Eテレ

第1回  10月12日最初の冒険 前編
第2回  10月19日最初の冒険 後編
第3回  10月26日困った校長先生の冒険
第4回  11月2日消えたボーイフレンドの冒険
第5回  11月9日赤毛クラブの冒険
第6回  11月16日生真面目な証人の冒険
第7回  11月23日イヌ語通訳の冒険
第8回  11月30日愉快な四人組の冒険 前編
第9回  12月7日愉快な四人組の冒険 後編
第10回 12月14日失礼な似顔絵の冒険
第11回 12月21日まだらの紐の冒険
第12回 1月4日バスカーヴィル君と犬の冒険 前編
第13回 1月11日バスカーヴィル君と犬の冒険 後編
第14回 1月18日百匹のおたまじゃくしの冒険
第15回 1月25日青いシロクマの冒険
第16回 2月1日ダグラスさんのお屋敷の冒険
第17回 2月8日本当に困った校長先生の冒険
第18回 2月15日最後の冒険

シャーロック ホームズ
人並みはずれた観察眼と洞察力をもつ15歳。ナイーブな性格。友達は少なく、学校では変わり者として知られる。持ち前の推理力を生かし、ワトソンとともに校内で起こる奇妙な事件を次々に解決していく。
声:山寺宏一

ジョン・H・ワトソン
ビートン校の転入生。ベイカー寮の221Bでホームズと同室になる。心優しく献身的な性格の15歳。元ラグビー部だったが怪我のために引退。ホームズと出会い、彼が解決した事件の記事を学校新聞に執筆することになる。
声:高木渉

ハドソン夫人
ベイカー寮の寮母さん。気のいい世話好きな女性。歌とともに登場し、いつも自慢のお手製クッキーを生徒たちに配っている。ホームズのことを特に可愛がっており、学園内で唯一、彼のことを「シャーロック」と呼んでいる。
声:堀内敬子

2014年4月18日 (金)

【ロング・グッドバイ】 ハードボイルドの代表作『長いお別れ』が日本を舞台にドラマ化

明日、4月19日より、NHKで『ロング・グッドバイ』というドラマが始まります。

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※追記  第1話終了後、劇中でのギムレットの扱いについて記しました。→こちらをクリック

「ロング・グッドバイ The Long Goodbye」といえば、
レイモンド・チャンドラーのバードボイルド小説『長いお別れ』の原題です。
今回のテレビドラマはこの小説を原作とし、
舞台をアメリカから、1950年代の東京に移して描かれるようです。

この小説については、以前このブログに書いたことがあります。
小説中に登場する、あまりに有名なセリフ
「ギムレットには早すぎる」を題材に、カクテル、ギムレットをテーマとして。

私の過去ブログの中でも、安定した人気のあるページです。
よろしければご覧ください。
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/post-2284-1.html
※ただし、一番下に原作小説のネタバレになってしまう記述がありますので、ご注意を。

ドラマでは、ギムレットはちゃんと登場するのでしょうか?
予告編を見ると、別の酒を飲んでいるようにも見えますが。


それはともかく、『長いお別れ』について、改めて簡単に記します。
アメリカの高名なハードボイルド作家レイモンド・チャンドラーの作。1953年刊行。
チャンドラーが創造した私立探偵フィリップ・マーロウを主役とするシリーズの第6作。
チャンドラー自身、マーロウ、そしてこの小説が、
ハードボイルドという分野の代名詞と言っていいほどの傑作・有名作です。

小説の冒頭、マーロウはテリー・レノックスという男と友人になります。
しかし、レノックスは何者かに殺されてしまいます。
そして、マーロウはこの事件の捜査に関わっていきます。

日本では 清水俊二氏訳の『長いお別れ』のタイトルで知られてきましたが、
2007年に村上春樹氏の訳で、『ロング・グッドバイ』としても刊行されています。

「ギムレットには早すぎる」の他にも、
「さよならをいうのはわずかのあいだ死ぬことだ」、
「警官はけっしてさよならをいわない。機会があったら容疑者の首実検の列のなかで顔を見たいと思っているのだ。」
などの名セリフで知られます。


さて、今回のドラマですが、
舞台をアメリカのロサンゼルスから日本に移してですから、
原作そのままともいかないでしょう。

主演は浅野忠信さん。
もちろん、マーロウにあたる役でしょう。
レノックスが綾野剛さんのようです。
綾野さんは一人で演じるのでしょうか・・・、
まぁ、ネタバレになるので、これくらいにしておきます。

ロング・グッドバイ
2014年4月19日(土)スタート
NHK総合テレビ 毎週土曜日 午後9時00分~9時58分 連続5回
原作:レイモンド・チャンドラー
出演:浅野忠信 綾野剛 小雪 古田新太 冨永愛 太田莉菜 田口トモロヲ 滝藤賢一 堀部圭亮 高橋努 泉澤祐希
福島リラ やべきょうすけ 石田えり 吉田鋼太郎 遠藤憲一 柄本明

http://www9.nhk.or.jp/dodra/goodbye


Old Fashioned Club  月野景史

2013年1月28日 (月)

【小説】江戸川乱歩翻訳のポー作品『赤き死の仮面』 初の書籍化

江戸川乱歩がエドガー・アラン・ポーの作品を唯一自ら翻訳した『赤き死の假面(仮面)』が、
1949年の探偵小説雑誌「宝石」での掲載以来、初めて書籍化されたと、
YOMIURI ONLINEが伝えています。

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『赤き死の仮面』1919年の挿絵より

エドガー・アラン・ポーはアメリカの作家。いわばミステリ作家の始祖。
江戸川乱歩はそのポーの名を模した、日本のミステリ界の父。
乱歩によるポーの翻訳となれば、ミステリや幻想小説のファンとしては垂涎の作、
これは読みたいです。

なのですが…、ちょっと気になる点もあり、
とりあえずニュース記事を引用します。

☆☆☆
乱歩訳ポー作品、初の書籍化…「赤き死の假面」
作家、江戸川乱歩(1894~1965)が、ミステリーの先達、エドガー・アラン・ポー(1809~49)作品を唯一自ら翻訳した「赤き死の假面かめん」が、1949年の探偵小説雑誌「宝石」での掲載以来、初めて書籍化された。

乱歩にとってポーは、ペンネームに名前を借用したほど愛読した作家で、日米のミステリーの祖の“合作”が約60年ぶりによみがえった。

この本を出したのは、豪華本の文化を守ろうと昨年、一人で限定版専門の出版社、藍峯らんぽう舎を設立した新潮社OBの深江英賢ひでたかさん(64)。敬愛する乱歩関連の作品から、埋もれていた本作を見つけ、第1弾として書籍化した。箱入り牛革の背表紙の豪華装丁。疫病に襲われた国の宮廷で起こる怪異譚たんが、〈暗黒と、頽廢たいはいと、「赤き死」とが凡すべてを支配した〉など、幻想味あふれる文体で訳されている。
(2013年1月27日17時36分  読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20130126-OYT1T00603.htm?from=ylist
★★★

さて、この記事を読んでも、肝心の書籍の価格等、データがよく判りません。
普通に書店で売ってるのでしょうか?

そこでネットで調べると、発行元のらんぽう舎(藍峯舎)のサイトがありました。
ここに詳しく書かれています。
http://www.rampousha.co.jp

このサイトによると、同書は既に昨年12月末に発売されているようです。
内容は表題作に、乱歩によるポーの評論12編を加えて、
350部限定 価格は10.000円。
この部数ですから、一般書店には流通しておらず、購入方法は限定されます。

そして、10.000円という価格は…おいそれとはいきませんね。
とりあえず、価格についてはこれ以上言及しません。
この『赤き死の仮面』について少し記します。


『赤き死の仮面』(The Masque of the Red Death)
エドガー・アラン・ポー(ポオ)作 1842年

誤解してしまいそうてすが、乱歩による翻訳の書籍化が初めてなだけであって、
この小説自体の日本語訳本はいくらでもあります。

本作の題名は『赤死病の仮面』と訳されることも多く、Wikipediaもそれを採用しています。
が、私見ですがゴシック小説のタイトルとしては、断然『赤き死の仮面』が優れていると思います。
10.000円の書籍になるくらいだから、大長編と思われるかも知れませんが、短編です。

ある王国を舞台に、恐ろしい疾病をテーマとする恐怖小説。
幻想的、また退廃的、そのストーリーは難解です。

藍峯舎のサイトによると、乱歩がポー作品を翻訳したのはこの1点だけとのことです。
これも意外ですね。
乱歩は翻訳家ではないですが、海外小説の日本への紹介に力を尽くした人です。
翻案小説も少なからず書いています。

ましてポーは自らその名をもじった作家であり、短編が多いのだから、
もっと訳していてもいいように思えます。
しかも1949年なので戦後、晩年とまではいえなくも、だいぶ後年ですね。
そして、それが雑誌に掲載されただけで、今まで書籍化がなかったというのも意外です。

この乱歩訳版『赤き死の假面』の、探偵小説雑誌『宝石』(岩谷書店)への掲載は
昭和24年(1949年)11月号。
同誌ではポーの没後100年祭記念として「ポオ怪奇探偵小説傑作選」の特集が組まれ、
8篇の短篇を掲載されたのですが、大半が旧訳の再録だったようですが、
そのトップを飾ったのが乱歩訳し下ろしの『赤き死』であったとのことです。

乱歩の『赤き死の仮面』…読んでみたいですが。


ここからは蛇足です。
乱歩からは離れますが、クラシックホラー映画ファンとしては、
この小説の映画化作品を紹介せずにはいられません。


The_masque_of_the_red_death1964
『赤死病の仮面』(1964年)

アメリカの映画会社AIPは、1960年からロジャー・コーマン監督による
ポー作品を原作とする映画シリーズを連続で制作をし、世界的にも成功をおさめました。
本作はその第7作目であり、最高傑作ともいわれます。
このシリーズのほとんどに主演してきた、戦後アメリカ怪奇映画の第一人者、
ヴィンセント・プライスが本作でも堂々の主役を務めています。

ただ、このシリーズはちょっと難解な面もあり、その為かは判りませんが、
これ以前のシリーズ作はだいたい日本でも劇場公開されていますが、本作は劇場未公開です。
ビデオやDVDは発売されています。



予告編
これを観ても、難解なイメージは受けるでしょう。

同時代ですと、イギリスのハマー・フィルム・プロダクションが制作した、
フランケンシュタインやドラキュラといった、おなじみの怪物達が登場する怪奇映画は、
ほとんど漏れなく公開されています。
やはりこちらの方が、少なくとも日本人わかり易いのですね。
しかし、その荘厳な雰囲気と、言い知れぬ恐ろしさはやはり極上です。

怪奇ファンとしては、ハマーの代表的な作品でヒロインを演じたヘイゼル・コートが、
アメリカに渡って『赤死病の仮面』に出演しており、その意味でも興味深い作品なのです。
このキャリアなので、ヘイゼル・コートは「ホラー・クイーン=怪奇映画の女王」とも呼ばれます。


Vincent_price_hazel_court
ヴィンセント・プライス(右)とヘイゼル・コート
(別の映画のスチールですが。)
怪奇スターとはいっても、クラシックホラーの名優は美しくて、気品があるのです。


Old Fashioned Club  月野景史

2012年3月18日 (日)

【映画】『シャーロック・ホームズ』(2009年 ロバート・ダウニー・Jr主演)と『ルパン三世』

シャーロック・ホームズ超入門などというブログを書いてるのに恥ずかしい話ですが
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/post-092f.html
2009年制作の映画版『 シャーロック・ホームズ』を日曜ロードショーで初めてみました。

ロバート・ダウニー・Jrがホームズ、
ジュード・ロウがワトソンを演じた作品です。
好評につき続編『[シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム』が制作され公開中です。

オカルト全開な話だなと思いましたが、
ホームズ物らしくきちんと種明かしがされていましたね。

しかしこの映画、基本構造が『ルパン三世』によく似ていますね。

いや、それをいうなら逆で、『ルパン三世』も、
そのネタ元のモーリス・ルブランの『アルセーヌ・ルパン』シリーズだって、
そもそもホームズシリーズの影響下にあるのだよ。

・・・といわれればその通りですが、それだけでは納得できないほど似ているように思います

まずホームズのキャラがルパン三世にそっくり。
これは吹き替えの声優・大塚芳忠氏がそのままルパン役をやってほしいくらい
山田康雄氏にも似ているし、ルパンにぴったりと感じたせいもあるのだと思います。
しかしそれだけではなく、例えばホームズとワトソンの関係も少し波長が合わない時のルパンと次元に似ています。
また、それ以上にホームズシリーズ屈指の女性キャラであるアイリン・アドラー、
この映画でのアイリーンは、本当に峰不二子そのままのキャラだと思いました。

そしてメイン悪役のヘンリー・ブラックウッド卿が、
ルパンファーストシリーズを代表する悪役である
魔術師パイカル(白乾児)と魔毛狂介を合わせたようなキャラ。

例えば、ブラックウッドのマジックの種のひとつである液体燃料は、
パイカルの魔術そのまま…と思ったのですが、
バイカルは火炎放射で、液体燃料はルパンの秘密兵器でした。

それでも、シリーズ屈指の登場人物と秘密兵器の組み合わせですし、
不死身で、まるで超能力でも持っているように演出するところも、
バイカルとブラックウッド卿はよく似ています。

断定などできませんが、この映画は『ルパン三世』の影響を受けて作られている、
そんな気がしてなりません。


ネットでも同様の指摘は散見されますが、
あまり踏み込んだ分析はないようです。
もちろん、今回のはすべて私の勝手な私見ですが。

Old Fashioned Club  月野景史

2011年5月 9日 (月)

【カクテル】「ギムレットには早すぎる」はマーロウのセリフではない/ギムレット超入門と『長いお別れ』

*注 一番下にネタバレあり


「ギムレットには早すぎる」
レイモンド・チャンドラーのハードボイルド小説『長いお別れ』に登場する有名なセリフです。

ギムレットとはジンベースのメジャーなスタンダードカクテルの名前です。
このセリフは大変有名で、私自身もギムレットというカクテルを飲む前から、
また、この小説を知る前から、このセリフだけは知っていました。

そんな思い入れもあり、私も大変好きなカクテルのひとつです。
実はWikipediaの「ギムレット」の項目には結構私の筆も入っているのですが、
やはり色々編集されてわかり難くなっています。
こちらでこの台詞と、合わせてカクテルとしてのギムレットの超入門編を記します。


レイモンド・チャンドラー『長いお別れ』(The Long Goodbye 1953年)
040701

この小説はチャンドラーが創造した私立探偵フィリップ・マーロウを主役とするシリーズの1本で、
かなり長編のハードボイルド小説です。
ハードボイルドの大家チャンドラーの代表作のひとつといわれています。
日本では 清水俊二氏訳の『長いお別れ』のタイトルで知られてきましたが、
2007年に村上春樹氏の訳で、ほぼ原題通りの『ロング・グッドバイ』としても刊行されています。


「ギムレットには早すぎる」
原文は「"I suppose it's a bit too early for a gimlet," he said.」
このセリフはラスト近くに出てきます。

権威あるカクテルブックにも、
マーロウによるセリフと記されることが多いですが、これは誤りです。
マーロウの友人であるテリー・レノックスが、マーロウに対して言ったセリフです。
レノックスはこの『長いお別れ』のゲストキャラクターで、他のマーロウシリーズには登場しません。

実は前半に、レノックスがギムレットの理想的なレシピについて語るシーンもあります。
これもまた、マーロウによる言葉と書かれることが多いですが間違いです。
つまりレノックスはギムレットが好きで、拘りがあって色々語るのですね。
一方のマーロウは、カクテルの配合について語ったりはしません。
このレシピについては後でまたふれます。


「ギムレットには早すぎる」
この言葉はどういう意味でしょう。
普通に考えれば推測できる通りで、
直接的には「酒を飲むにはまだ時刻が早い」ということです。
マーロウに語りかけているのだから「まだ早いよね」というイメージです。
ハヤカワ文庫版の訳文は「ギムレットにはまだ早すぎるね」です。

しかし、実は物語全般の流れの中でもっと重要な意味が籠められています。
それを説明すると、いわゆる“ネタバレ”になってしまいます。
ミステリ小説のネタバレなので、軽々しく書くわけにもいきません。

とはいっても、『長いお別れ』はもはや古典といっていい小説で、ネット上にもネタバレはいくつもあります。
しかも、この小説はかなりの長編です。
ギムレットに興味を持ったからといって、この古典ハードボイルドを読破しようという人が多いとも思えません。
ですので、一番最後にネタバレを含めた解説を書きます。


カクテル「ギムレット」の基礎知識

基本レシピ
材料
・ドライジン 3/4
・ライムジュース(コーディアル)1/4
作り方
・シェークしてカクテルグラスに注ぐ。
 (NBA 新オフィシャル・カクテルブックより)

コーディアルとは甘味を加えたライムジュースです。
正確にいえばジュースではありません。ライムを原料として使った緑色の甘いシロップです。

さて、前述のテリー・レノックスが語ったレシピですが、以下の通りです
「本当のギムレットはジンとローズ(社製)のライム・ジュースを半分ずつ、他には何も入れない」
ローズ社のライム・ジュースとは、まさにこのコーディアルライムの事です。
ただ、現在のレシピはジンとコーディアルの比率が3:1なのに対し、
レノックスのレシピはジンとコーディアルが同量なので、この通り作ると、かなり甘くなります。
このローズ社製のものは日本での入手は困難です。

しかし、いずれにしろギムレットのスタンダードなレシピはジンとコーディアルだけで作ります。
つまりフレッシュライムのジュース(果汁)は使わないのです。
無色透明のジンとグリーンのコーディアルの組み合わせなので、
色は下の画像のように半透明の淡いグリーンになります。

Photo

しかし、こういう色のギムレットは見たことがないという人も多いかも知れません。
今、日本のBarでオーダーすると、コーディアルはではなく、
店で絞ったフレッシュのライムジュース(果汁)を使う場合が多いのです。

それは、やはりシロップよりフレッシュを使った方が香りも味わいも良いですよね。
好みがあるから断言はできないにしても、そう考える人が多いでしょう。
それだと下の写真のような外観になります。
Dsc01637

白濁色です。ライムを絞っても、緑色のジュースにはならないのですね。

ただ、果汁だけでは甘みがなく、かなり酸味が強いです。
この甘みのないドライなギムレットを出す店もありますが
本来甘みのあるカクテルですし、砂糖やガムシロップで甘みを加えるのが一般的です。
生ライムを使い、甘みとしてコーディアルを加えるという折衷案もあります。


Photo_2
レノックスが指定した、ローズ社製コーディアルと、それで作ったギムレット。
このローズという会社は現存するのですが、日本への輸入ルートはなく、大変レアな状態です。
これは日本のバーで撮った写真。バーテンダー氏がアメリカ旅行の際、購入したものです。
レノックスのレシピ通りだと甘すぎるので、ジン3にコーディアル1の割合です。


このようにギムレットは作り方が色々あります。
初めて行くBarでオーダーすると、どんなギムレットが出てくるかという楽しみもありますね。

だいたい本格的なBarではフレッシュライムを使うと思いますが、
ホテルのメインバーのようなところで、敢えてスタンダードに拘って、
コーディアル仕様が出てくる場合もあったりします。

*ところで、Wikipediaの「ギムレット」の項目に掲載の写真は
 細かい葉のようなものを散らした変わったものです。
 海外では知りませんが、日本でギムレットを頼んであのようなカクテルは出てきません。



ギムレットの由来
Wikipediaにもある通り、イギリス海軍の軍医であったギムレット卿が、
艦内で将校に配給されていたジンの飲み過ぎを憂慮し、健康維持のために
ライム・ジュースを混ぜて飲むことを提唱したことが起源とされています。

Wikipediaにはこの他に
「ギムレット(gimlet)が錐の意であることから、その味の突き刺すような鋭いイメージから命名」という記述もあります。
しかし、甘いコーディアルライムとジンを混ぜたのが古典的なスタイルであるのなら、
この説は当てはまらないようにも思えます。
ジンの酒の強さをコーディアルで抑えてしまっているのですから。


*ネタバレ注意

「ギムレットには早すぎる」
それでは、冒頭で予告した通り、レイモンド・チャンドラーの小説『長いお別れ』中の
この有名なセリフの物語の中で持つ意味を、ごくごく簡潔にまとめます。

小説の冒頭、フィリップ・マーロウはテリー・レノックスという男と友人になります。
レノックスはギムレットが好きで、二人は幾度となくBarでギムレットを飲み交わします。
しかし、レノックスは何者かに殺されてしまいます。
そして、マーロウはこの事件の捜査に関わることになります。


ここから長い時間が経過します。
結論を先にいうと、実はレノックスは生きていました。
整形手術で別人に成りすましていたのです。


ラスト近く、別人となったレノックスがマーロウを訪ねてきます。
もうラストですし、マーロウも真相に気付いています。
ですから、マーロウもハッキリとは言いませんが、「君がレノックスだということは判っているよ」
というニュアンスの語りかけをします。


それに対してレノックスは「そうだよ、僕はレノックスだよ」という代わりに、
いつも二人で一緒に飲んでいたギムレットを引き合いに出して応じるのです。
「ギムレットにはまだ早すぎるね」


Old Fashioned Club  月野景史

2010年9月 8日 (水)

シャーロック・ホームズ超入門/ワトスン、ベーカー街、世界一有名な名探偵

Holmes_by_paget_2

聖書に次ぐベストセラーともいわれる「シャーロック・ホームズ」シリーズ
世界一高名な名探偵として、誰もがその名を知っていると言ってもいいほどの有名人です。
最近も映画化されて話題になりました。
また1980年~90年代に製作されたジェレミー・ブレッド主演のTVシリーズは現在でも人気が高いですね。

とはいえ、誰もが原作小説を読んでいるわけでもないでしょう。
以前は少年時代にジュブナイル版でまずふれる事が多かったものですが、最近はどうでしょうか。
なんといっても古い作品ですし、それほど読まれてはいないのかも知れません。

しかし、その面白さ・楽しさは100年の時を経て色褪せていません。
文庫版は複数の出版社から発行されています。
また、意外と気軽に読み始められるタイプのシリーズでもあります。
是非、原作小説にも親しんでほしいものです。

以下はあくまで初心者向けのホームズ入門編。
基本設定とシリーズの歴史、ホームズ世界の本当の超概略、基礎知識です。


シリーズの全体像
シャーロック・ホームズシリーズはイギリスのサー・アーサー・コナン・ドイル (Sir Arthur Conan Doyle 1859-1930)により、19世紀末から20世紀初頭にかけて書かれた推理小説です。
作品は長編4編、短編56編の計60編。
短編は5つの短編集に収録されていますので、単行本としては全9冊です。それほど多くはありませんね。
また、長編といっても、日本語版文庫本で200~250ページ程度なので、近年のミステリーに比べければ中編くらいのイメージです。

以下、発行順に紹介します。

1.長編 『緋色の研究』(A Study in Scarlet)1887年
2.長編 『四つの署名』(The Sign of Four)1990年

3.短編集 『シャーロック・ホームズの冒険』(The Adventures of SherlockHolmes )1892年
4.短編集 『シャーロック・ホームズの回想(思い出)』(The Memoirs of SherlockHolmes)1894年

5.長編 『バスカヴィル家の犬』(The hound of the Baskervilles)1901年
6.短編集 『シャーロック・ホームズの帰還(生還)』(The Return of SherlockHolmes)1905年
7.長編 『恐怖の谷』(The Valley of Fear)1915年
8.短編集 『シャーロック・ホームズ最後の挨拶』(His Last Bow)1917年
9.短編集 『シャーロック・ホームズの事件簿』(The Case-Book of SherlockHolmes)1927年

*短編集の年次は単行本としての発行年です。各編はそれ以前に雑誌への掲載があります。
*邦題は日本語訳版の発行元により異なるものもあります。


基本設定について
シャーロック・ホームズ (Sherlock Holmes)はイギリス人の私立探偵である。
ロンドンのベーカー街221B(221B Baker Street)にある、ハドスン夫人が営むアパートメントを住居兼事務所としている。
ホームズは友人のジョン・H・ワトスン(John H. Watson)医師を助手役に、様々な難事件を解決し、警察も一目置く存在である。
彼らが解決した事件は、ワトスンによる一人称の事件記録の形態で世間に発表された。

これくらいの事は大体の人が知っているのでしょう。

ところで、ホームズとワトスンは下の写真のように、ベーカー街で同居していると思っている人が多いのではないでしょうか。Cushingsh3_2 *映画『バスカヴィル家の犬』(1959年)より ピーター・カッシングのホームズ(左)とアンドレ・モレルのワトスン。

勿論、元々はそうなのですが、意外にも第2作のラストにおいてワトスンは結婚して新居に移り、ホームズとの共同生活を解消してしまうのです。

では残りの58作品でホームズとワトスンは別居状態なのかといえば、そうではありません。
上述のようにこのシリーズはワトスンによる事件記録の体裁を取っているので、「今回発表するのはワトスンの結婚以前、ホームズとの同居時代の話である」という前提で書かれた作品も多いのです。

その後、ワトスンはホームズとの同居を復活します。理由の詳細は不明ですが、夫人との死別との説が一般的です。
更に後にホームズは探偵業を引退し、ワトスンとも離れてサセックスで隠遁生活に入りますが、その後も時に事件に関わる事もありました。

実は、ワトスンの結婚とホームズとの同居問題は単純ではないのですが、ややこしくなるので言及しません。
このシリーズの特徴として、発行順と作中年代が時系列で一致しない事は認識しておいていいと思います。

*ワトスン医師については「ワトソン」と発音される事も多いですが、「ワトスン」の表記が主流となっていますので、それに倣います。


コナン・ドイルによるシリーズ創作の歴史 超概略
コナン・ドイルは医師業の傍らホームズを主役とした2本の長編、1887年に『緋色の研究』、1890年に『四つの署名』を創作・発表しますが、大きな話題になる事はありませんでした。
しかし、創刊間もない月刊誌「ストランドマガジン」に着目され、1891年7月より短編の連載を開始します。1号に1編ずつ、1話完結の形です。これでホームズは一躍大人気となります。やがて連載された小説12本は短編集『シャーロック・ホームズの冒険』として刊行され、世界的ベストセラーとなっていきます。

しかし、ドイルは連載の終了を決断します。
1893年12月号掲載の『最後の事件』において、ホームズの死をもってシリーズは一旦完結します。
作中でホームズは宿敵のモリアーティ教授と決闘し、共に滝壺に転落して不帰の人となります。記述者であるワトスンが崖上の決闘の場に到着した時は、ホームズは書置きを残して転落した後でした。ですから、決闘の様子は具体的には描かれませんでした。こうして2年半ほどで連載は終結しました。
冒険』以降の短編は『シャーロック・ホームズの回想』として発行されました。勿論巻末には『最後の事件』が収められています。

それから8年後の1901年、根強いリクエストに応えてドイルは長編『バスカヴィル家の犬』を発表します。
しかし、これはホームズ生前のエピソードとの設定でした。

1903年、ついにドイルはホームズを短編『空き家の冒険』で10年ぶりに復活させました。
しかし、死んだホームズをどうやって復活させたのか?
「実はホームズは生きていた」という事にしたのです。死の様子を具体的に描かなかった事が幸いしました。
滝壺に転落したのはモリアーティだけ、つまりホームズは決闘に勝ったのです。
そして、ホームズは残っている多くの犯罪者を壊滅する為、自分は死んだ事にして身を隠し、隠密裏に活動していた、というストーリーにしたのです。

ところで、ホームズが死んだと思われた『最後の事件』は1893年初出。生還したのは1903年。
10年間も隠密裏に活動していたのかと誤解しそうですが、これはあくまでも作品が発表された年です。

作中世界でモリアーティとの決闘があったのは1891年、ベーカー街に帰還するのは1894年なので、作中においてホームズがワトスンと離れて隠密行動を取っていたのは3年ほどなのです。この期間は「大空白時代 (the Great Hiatus)」 と呼ばれます。
これ以降、発表年次と作中年代との乖離は甚だしくなりますが、ややこしくなるので今回はこれ以上はふれません。


ともかく、復活したホームズは再びワトスンと共に活躍を続けます。
やがて、毎月の連載ではなくなりますが、ドイルはホームズ作品を1927年4月号の『シェスコム荘』まで断続的に書き続けました。
その間、前述しましたように後年のホームズは俳優業を引退してサセックスで養蜂に勤しむ隠遁生活に入りますが、その生活の中で関わった事件ついてのエピソードも描かれました。


シャーロック・ホームズ 作中年譜 超概略版
以下はシリーズ作品から推定される、私立探偵シャーロック・ホームズ氏の生涯の略年譜です。

1854年頃 誕生。
1881年頃 ベーカー街221Bに転居。ワトスンとの同居開始。
1888年 ワトソンが結婚により別居。
1891年 モリアーティとの決闘に勝利するも死んだ事とし、隠密活動に入る。
1894年 ベーカー街に帰還、探偵業再開、ワトスンと再同居。
1902年 ワトスンが再び別居。
1903年 探偵業を引退。サセックスに移転。その後も時に事件に関わる。
1914年 記録に残る最後の事件。第一次大戦前夜、敵国のスパイ組織を壊滅させる。
1926年 短編2本を自ら執筆。(描かれた事件の発生年は1914年より前)

初めて読むならどの作品から?
ホームズシリーズは複数の出版社から日本語訳版が出版されています。
順番に第1作の長編『緋色の研究』からという考え方もあるでしょうが、
短編が圧倒的に多い事からも推測できるように、ホームズ物語はやはり短編がより魅力的です。
その中でも最も評価の高いのは最初の短編集『シャーロック・ホームズの冒険』でしょう。
ここから始める事を推奨します。

では、どの出版社を選ぶべきか
実はこれが今、少しややこしい事になっています。
ホームズ作品は複数の出版社から発売されてきましたが、現在、全編揃って流通していて、初心者向けの文庫版となると、
新潮文庫、創元推理文庫、光文社文庫の三種類になると思います。

新潮版は1950年代より刊行されており、延原謙氏による歴史ある名訳として知られていますが、ひとつ問題があります。
初版時の基準では、5つの短編集をそのまま発行しようとすると頁数オーバーになる為、6つに分割されて発行されたのです。
ですので、新潮版には『シャーロック・ホームズの叡智』という原作にない第6の短編集が存在するのです。
個々の作品のクオリティには関係ないのですが、他に原作通りの編成のものが存在するのに、初心者の人にあえて編成を違えたものを推奨し難い面もあります。

創元版は阿部知二氏訳による、1960年頃発行のこちらも歴史ある古典です。
ただし、最終作の『事件簿』のみ、翻訳権の問題で長く発行が適わず、1991年に深町眞理子氏訳により追加発行されました。

対して光文社版は2006年から刊行された新訳版で、訳者はホームズの評論の訳なども多く、シャーロキアンとして知られる日暮雅通氏です。

この二社だと古典が新訳かの選択だったのですが、今年(2010年)になって状況が変わりました。
創元推理文庫が深町氏による新訳版の刊行を始めたのです。
2010年9月現在、『冒険』と『回想』が既刊で、新訳発行と入れ違いに旧阿部版は順次絶版となるようです。
つまり、創元版は完全リニューアル途中で、旧版と新訳版が混在している状況です。
追記:2015年に深町版新訳の刊行が完了。創元文庫は深町版で統一されました。

この状況なのでどれを推奨するかが難しいのですが、いずれも一定の評価を得ていますので、後は文体や価格等の好みだと思います。
上述の事情を理解した上でなら、名訳として名高い新潮版からという考え方もありでしょう。
光文社版は読み易いと評価されているようです。
刊行開始まもない創元深町版の評価が難しいですが、大ベテランですし、前述の『事件簿』で好評価を受けての登用なので問題ないかと思います。

他に以下二社のものがありますが、
*ハヤカワ・ミステリ文庫版も名訳として知られますが、現在品薄状態のようです。
*ちくま文庫版は膨大な詳注が付き、作中年代順に並べ直した中・上級者向けで、こちらも入手が容易ではないようです。


最後にいくつか書き切れなかった事をQ&A形式で簡単に記します。

シャーロキアンとはなに?
ホームズファンのことですが、かなり熱心で深い知識を持っている人達を指します。

正典とはなんのこと?
ホームズファンはドイルによるホームズ作品、前述した長編4本、短編56本をThe Canon(正典、または聖典)という呼び方をします。

ワトスンによる記述の体裁ではない作品はあるの?
後期の短編に4本あります。ホームズによる記述の体裁のものが2本、三人称表記のものが2本です。

ホームズの家族は出てくるの?
兄のマイクロフト・ホームズが登場します。政府の重要な仕事をしており、優秀な頭脳の持ち主のようです。他の親族の事はほとんど判りません。結婚の記録はなく、結婚そのものについて否定的な発言をしています。

小説に書かれなかった事件があると聞いたけど?
作中でホームズとワトスンは「あの事件の時はああだったね。」という思い出話をよくします。
小説になった事件が語られる事もありますが、そうでない場合もあります。それらは断片的にしか語られないので、ホームズファンとすればそれはどういう事件だったのか、大いに気になり、議論される話題なのです。

ホームズ関連でパスティーシュという言葉を聞くけど、それはなに?
模作の事です。言葉自体の意味は辞書やwikipediaを参照ください。
ホームズ物語については後進の作家にもファンや研究家が多いですから、当然パスティーシュも多いです。

ホームズとルパンは対決した事があるの?
日本では名探偵ホームズと怪盗ルパンは双璧の人気者ですね。
ルパン対ホームズ』という作品を読んだ、あるいは聞いた事のある方も多いでしょう。
最後の最後に、この件については少し詳しく説明します。

「怪盗紳士アルセーヌ・ルパン」シリーズはホームズシリーズより18年後れて、1905年からフランスのモーリス・ルブランにより書き始められました。
ドイルのホームズ作品にルパンは一切登場しません。
ルブランのルパン作品にホームズは何度か登場し、ルパンとの対決が実現しています。

しかし、実はこれは日本だけの現象なのです。
ルブランはルパン作品の初期の雑誌発表時に少しだけホームズを登場させましたが、単行本に収めるにあたり「エルロック・ショルメ」という別人に改めました。(これはドイルの抗議を受けた為とされますが、抗議の事実ないとの説もあります。)
この名はホームズのアナグラムです。以後ショルメはルパンシリーズに何度か登場します。
つまり、原作のルパンシリーズに登場するショルメは、ホームズをモデルにしてはいますが、別のキャラクターです。ワトスンにあたるウィルソンというキャラも登場します。

しかし、日本語で翻訳されるルパン作品のほとんどで、ショルメはホームズと訳されてきました。
たしかに、「ルパン対ショルメ」よりも「ルパン対ホームズ」の方が初めて読む方としては魅力的で、販促にも繋がるだろうし、英文字のアナグラムを片仮名訳しても、イメージが伝わり難いという面もあるでしょう。
しかし、これは紛らわしい事ではあります。
特に、ショルメはあくまで主人公ルパンの引き立て役として描かれているので、必ずしもホームズのように聡明でない場合もあります。それがホームズを名乗るのは、ホームズファンならずともしっくりとはきませんね。

近年は日本の芦辺拓氏による『真説 ルパン対ホームズ』のような、両者に敬意を払ったパスティーシュも作られています。
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