34.特撮 ヒーロー

2025年5月 7日 (水)

【昭和特撮】『ジャイアントロボ』②/超個性的なBF団幹部達

※このブログは書きかけです

前回のブログの続編です。
『ジャイアントロボ』のシリーズ後半に新登場した悪の幹部達を紹介します。

1クール目最後の第13話に登場したレッドコブラはその後も断続的に登場しますが、
それ以降に初登場の幹部は単回のみで退場するケースが大半になっていきます。
そしてその幹部達も極めてインパクトが強くなり、幹部枠なのか怪獣枠なのか、迷うようなキャラも多くなります。
正直いうと、写真付きで紹介していいものかと迷うような風貌のキャラも出てきます。



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ミスターゴールド(二宮吉右衛門) 15.22話登場
黄金の西洋甲冑で完全武装した、地球人なのか宇宙人なのか不明なキャラ。
演者の「二宮吉右衛門」とは時代劇スターのような名前てす。
『ロボ』は時代劇映画やドラマを多く作ってきた東映の制作なので、名前からも時代劇畑の人かと思うのですが、
『ロボ』と同じ東映特撮の『キャプテン・ウルトラ』のバンデル星人役などごく僅かな出演歴しか確認出来ず、謎多き俳優さんです。


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ドクター・スネーク(加地健太郎) 16話登場
これまた奇怪なというか、現代では放送不可能かと思うような容貌のキャラ。
演者の加地氏は元は劇団民藝に所属した俳優で、21世紀初頭まで脇役として多くの出演作が確認出来ます。


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X7(吉井永二) 第18話登場
BF団の少年幹部。主人公の草間大作少年のユニコーンでのコードネーム「U7」に対して、こちらは「X7」
最後は大作少年との友情か芽生えるような形で終わります。
演者の吉井氏はこの時代にいくつかの他作品への出演が確認出来ます。

Old Fashioned Club 月野景史

2025年4月21日 (月)

【昭和特撮】『ジャイアントロボ』/悪の組織BF団の個性的な幹部達も魅力

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「東映特撮YouTube Official」チャンネルで
昭和特撮ドラマの名作『ジャイアントロボ』が配信されています。




『ジャイアントロボ』
東映・NET(現テレビ朝日)制作  
1967年10月11日~1968年4月1日 全26話

1966年~68年のいわゆる“第一次怪獣・特撮ブーム。
『ウルトラQ』ウルトラマン』(初代)『ウルトラセブン』の初期円谷プロ作品と同時代に
『悪魔くん』『仮面の忍者赤影』『キャプテン・ウルトラ』と特撮ドラマを作ってきた東映が、
最後に制作したのが怪獣・巨大ヒーロー物の『ジャイアントロボ』でした。

ウルトラシリーズとは違い、“ギロチン帝王”という宇宙からの侵略者がシリーズ通しての敵、ラスボスとなるタイプのドラマ。
その点では、やはり同時期の巨大ヒーロー物で、侵略者“ゴア”が登場する
マグマ大使』(ビープロダクション制作)に近いです。

ただ『マグマ大使』のゴアは手下も宇宙人でしたが、
ギロチン帝王の手下となるのは“BF団(ビーエフ団=ビッグファイア)”なる地球人の組織(らしい)という違いがありました。
帝王とBF団との関係は劇中で詳しい説明がないので、よくわからないのですが、
主にBF団の日本支局長として、個性的な幹部が次々登場するのもこの作品の魅力で、
この点は、後の『仮面ライダー』の悪の組織ショッカーの先駆けともいえます。

そして、明らかに宇宙人である幹部も登場して、
人間である日本支局長と共闘したり、微妙な人間関係(?)を垣間見せたりもします。

もちろん、タイトルロールであるジャイアントロボ、
正義の組織ユニコーン機関のメンバーとなるロボの操縦者の草間大作少年(金子光伸)、
相棒的ポジションの南十郎隊員(伊東昭夫)、東支部長(伊達正三郎)らのチームワーク。
そして、これまた個性豊かな怪獣たちと見どころいっぱいの作品でした。

それでは、悪の幹部達を中心に紹介していきます。


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BF団初代日本支局長 スパイダー(丹羽又三郎) 1-7話 全7話に登場
演者の丹羽氏はこの後『仮面ライダー』でもゲルショッカーの大幹部ブラック将軍を演じました。
徹底的に冷徹だったブラック将軍に対して、スパイダーは二枚目半のちょっとコミカルなキャラでした。
丹羽氏は元々大映時代劇の主演級映画スター。テレビでは主に悪役として多くの作品に出演しましたが、
『仮面ライダー』から間もなくの1973年頃のドラマ出演を最後に芸能界を引退、実業家に転身しました。
それが40年後の2014年に80歳で俳優復帰を宣言し、雑誌のインタビューに登場したりもしましたが、
映像作品への出演記録は確認出来ません。


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ドクトル・オーヴァ(安藤三男)3.4.9.10.12.17話 全6話に登場 
ギロチン帝王の信任厚い、別格の宇宙人幹部。強烈なヴィジュアル!
安藤氏はこの後『人造人間キカイダー』のプロフェッサーギルなどを演じ、
特撮の悪の幹部役のレジェンドとなりました。



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二代目日本支局長 ブラックダイヤ(室田日出男) 8.10-12話 全4話に登場
室田氏は2000年代初頭まで、個性派の名優・大物脇役俳優として活躍しました。
ただ私はブラックダイヤが好きなのですが、意外にも他の複数回登場の幹部に比べて印象が弱い面があります。
最期がきちんと描かれなかったことも一因かも知れません。



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ドクトル・オーヴァとブラックダイヤ
俳優としての格では室田氏やスパイダーの丹羽氏が上だと思いますが、役の上ではオーヴァが格上でした。
オーヴァの存在のため、スパイダーやブラックダイヤは小者感が漂ってしまいます。
例えればスパイダーら地球人幹部は子会社の支社長、オーヴァは本社オーナー直属の役員というイメージでした。


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三代目日本支局長 レッドコブラ(三重街恒二) 13.14.17.18.20話 全5話に登場
三重街氏は東映に所属していた脇役俳優で、この後は初期の「悪役商会」にも参加していたと思います。
スパイダーとブラックダイヤは基本的には二枚目タイプですが、
オーヴァに引っ張られたか三代目は容貌魁偉。
この傾向はこの後ますます強まります。


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ドクトル・オーヴァとレッドコブラ
コブラはオーヴァと共演したこの第17話だけメイクが違います。
そして、この回の作戦失敗により、オーヴァは元は厚く信任されていたギロチン帝王により処刑されてしまいました。

続編では更に超個性的な幹部達を紹介していきます。

Old Fashioned Club 月野景史

2024年8月30日 (金)

【ウルトラマン】「バラージの青い石」 アントラーの活動と隕石の関係

前回のブログでは『ウルトラマン』第7話「バラ―ジの青い石」について、
五千年前の「ノアの神」はウルトラマンの先祖か? という点に絞って書きました。

しかし、この回はまだ色々あります。
魅力にも溢れているし、謎・不可解な点も多いのです。
その中でも五千年問題以外の最も大きな謎なのに、あまり語られてないと思うのが、
「アントラーはなぜ復活したのか?」という点です。

こう書くと、復活とはなに? アントラーは死んでいたの?
と思う人も多いでしょう。
このあたりを少し書いてみます。


物語の発端
中近東に巨大な隕石が落下。
その後に不思議な事件が次々起こります。

この「不思議な事件」とは具体的に何なのか、実は劇中で明示されていません。
ただ多くの人は、旅客機の遭難・行方不明だと思っているでしょう。
そうでなければ話が進まないので、そう仮定して進めます。

不思議な事件(旅客機遭難)の調査の為、
科学特捜隊パリ本部やトルコ・インド両支部は現地に向かいますが、消息を絶ってしまいます。
そして、日本支部に出動要請がくる、というのが冒頭の展開です。

科特隊本部・支部は事件調査の為に現地に飛んだのですが、
旅客機は隕石落下以前も現地上空を飛んでいた筈で、
それが隕石落下以降、遭難が頻発したということだと思います。


さて、ジェットビートルで現地に向かった科特隊日本支部ですが、
地上から発射される磁気光線にエンジンをやられて砂漠に不時着してしまいます。
ここまでの展開だと、隕石が磁気光線を発射したのだと推測するのが妥当でしょう。

その後、科特隊は砂漠の調査を開始し、隕石を発見します。
しかし隕石には磁気光線を発射する能力はありません。
やがてアントラーに遭遇し、磁気光線発射がアントラーの仕業だと判明するのです。

「バラ―ジの青い石」は30分番組の限界を超えた壮大のファンタジーで、
ここからも魅力的なストーリーがどんどん展開するので、
つい見逃してしまうですが、ひとつ謎が残ります。

旅客機遭難がアントラーの磁気光線のせいだとして、
アントラーは昔から存在しているのに、なせ隕石落下後に突如遭難事件が頻発したのか。
隕石と事件の因果関係が劇中では説明がないのです。


これに似た謎がもうひとつあります。
バラ―ジの街は「ノアの神」の守護により、アントラーに襲われる事はありませんでした。
これは劇中でバラ―ジの女性チャータムが明言しています。

しかし、その話を聞いたすぐ後、アントラーは街を襲ってきます。
これも不思議です。

実は、ある特撮関連本に、この二つの謎をまとめて解決する考察が載っていました。
アントラーは「ノアの神」により、結界に封印されていたのだが、
隕石落下の衝撃で、結界が解けてしまった、という主旨でした。

それでアントラーか活動を再開(つまり復活)し、磁力光線で航空機を墜落させ、
遂にはバラ―ジの街に侵攻、破壊を開始した、という流れです。
これは、なかなか説得力ある説で、それならば納得できます。
どうでしょうか。

Old Fashioned Club 月野景史

2024年8月27日 (火)

【昭和特撮】「ノアの神」はウルトラマンの先祖か?/「バラージの青い石」五千年の深淵

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初代の『ウルトラマン』全39話の中でもマイベスト3を挙げるならば、
原点たる第1話「ウルトラ作戦第1号」は別格として、以下3エピソードです。

第5話 「ミロガンダの秘密」
第7話 「バラ―ジの青い石」
第38話「宇宙船救助命令」

いずれも少々混み入った話で、つっこみどころも多いのですが、
難しいテーマに向き合い、ドラマ作りにチャレンジしたからこそ、
30分の子ども向け怪獣番組の枠を越えた傑作になったのだと思っています。

そして3話の中でもスケール感で群を抜くのが「バラ―ジの青い石」だと思います。
しかし、色々と謎・問題点が多い話でもあります。

その中でも大変微妙なのが、5千年問題です。


ウルトラマン 第7話「バラ―ジの青い石」
隕石落下に伴う怪事件の捜査の為、中近東の砂漠の幻の都 “バラ―ジ” を訪れた科学特捜隊。
街の守り神として伝わる「ノアの神」の石像はウルトラマンと瓜二つだった。

それを見たアラシ隊員の感想
「5千年の昔、ウルトラマンの先祖は地球に現れ、その時もやはり人類の平和のために戦っていたのか…。」

旧約聖書に登場する「ノアの方舟」の「ノア」がウルトラマンの先祖とは、思い切ったことを考えたものですが、
そこはファンタジー作品なので、許してもらうことにします。

この、『「ノアの神」は5千年に地球に来訪した、ウルトラマンの先祖』という設定は
昔の怪獣本などでは事実上、公式設定として受け入れられていたと思います。

しかし、全話の検証が進み、整合性を突き詰めた考察がされていくと、無理が生じてきました。
最終話でウルトラマン自身が「自分は2万年も生きた」と語ったからです。
本人が言っているのだから、事実でしょう。

となると、少なくとも5千年前の「ノアの神」がウルトラマンの遠い“先祖”ということはあり得ません。
同時代人か、もしかしたら本人の可能性すらあります。

一方で、バラ―ジでの発言はアラシ隊員の感想・推測でしかありません。
そもそも「5千年前」というのでさえ、このアラシ隊員の発言の中でしか出てきません。
厳密に考察すれば、アラシ隊員の推察は間違いだったのだろう、ということになります。


どうでしょうか?
「ノアの神」とウルトラマンは同一人物だった、という考え方も面白くはあります。

しかし、私はやはり“先祖説”の方が魅力的に感じます。
最高傑作と推す「バラ―ジの青い石」のストーリーの格の部分のひとつが、
単なる間違いだったというのも残念ですし。

やや強引に解釈すれば、地球時間とウルトラマン(M78星雲人)の時間は同一ではないという見方もできます。

ただ、そんな奇説を持ち出さなくても、エピソードごとの整合性が取れてないことは他にもあります。
基本的には一話完結のドラマ。
エピソードを越えた整合性にはあまりこだわらず、各話の独自性を楽しみたいところです。

※私見を書くならば
整合性という観点で言えば、最終話でウルトラマンの年齢を2万歳などとしなければよかったと思います。
そんな法外な数字を持ち出す必然性がないし、例えば1200歳くらいでも、人間と比べればとてつもなく長命だし。
そうしておけば、五千年前の「ノアの神」はウルトラマンの先祖、で通用したのに。

関連MyBlog
【ウルトラマン】「バラ―ジの青い石」 アントラーの活動と隕石の関係

Old Fashioned Club 月野景史

2022年6月 1日 (水)

【昭和特撮】『仮面ライダー』第一作が東映YouTubeで無料配信/2022年6月1日より

『シン・ゴジラ』『シン・ウルトラマン』に続く、
『シン・仮面ライダー』の公開を2023年に控える「仮面ライダーシリーズ」

その原点である初代『仮面ライダー』が本日6月1日より、
毎週水曜日に2本ずつの公開が「東映特撮YouTube Official」にてスタートします。

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といっても、今日公開される第1話と2話については、
数年前より同じチャンネルで常時公開されてきたので、
それを知っているファンにとっては、実質のスタートは次回配信からになりますが。

更にいえば、本作の全話配信も2018年に行なわれ、その時もブログに書きました
とはいえ、やはり貴重な機会です。


伝説の原点たる『仮面ライダー』第1作
開始早々に主演の藤岡弘氏の撮影中の大怪我による一時降板という、
大アクシデントに見舞われながら、当時子どもたちの絶大に人気を集めた奇跡の番組。
その経緯を記したこのブログの「仮面ライダー超入門」には、今まで多くのアクセスをいただいてきました。







今回の配信も楽しみにしています。

Old Fashioned Club 月野景史

以下、「電ファミニコゲーマー」より引用
https://news.denfaminicogamer.jp/news/220531d
☆☆☆
初代『仮面ライダー』がYouTubeで無料配信決定。
50周年を迎え注目集まる特撮シリーズの草分け的作品が、毎週2話ずつ視聴できるように
2022年5月31日 11:00 公開

同名の特撮ドラマシリーズの第1作目となる『仮面ライダー』の無料配信が6月1日(水)より開始されることが明らかになった。
YouTubeチャンネル「東映特撮YouTube Official」で毎週水曜日に2話ずつ公開となる。

2021年に誕生50周年を迎え、執筆時点では最新作『仮面ライダーリバイス』が放送中の『仮面ライダー』シリーズ。
2023年3月には庵野秀明氏の脚本・監督による映画『シン・仮面ライダー』の劇場公開も控えるなか、藤岡弘、氏が主演を務めた初代作品が無料で視聴できる運びとなった。

1971年に放送が開始された本作では若き科学者にして天才レーサーの主人公「本郷猛」が、世界征服を企む悪の秘密結社「ショッカー」に誘拐されバッタの能力を持った改造人間へと変えられてしまう。
手術が脳におよぶ直前で脱出に成功した本郷は、正体を隠しながら正義のヒーロー「仮面ライダー」へと変身を遂げ、異形の肉体を武器にショッカーの怪人たちを打ち倒していく。

6月1日の配信では第1話「怪奇蜘蛛男」が21時30分より、第2話「恐怖蝙蝠男」が22時よりそれぞれプレミア公開される予定。
テレビや映画といった生誕50周年企画がさまざまに展開されていることから、あわせて視聴されるとシリーズをより一層楽しめるだろう。★★★

2022年5月23日 (月)

旧作ファンが観た『シン・ウルトラマン』/オマージュ満載で楽しめる内容 ※具体的ネタバレなし

映画『シン・ウルトラマン』を観てきました。

私はシリーズの原点である初代の『ウルトラマン』(1966-67)の熱心なファンです。
本放送リアルタイムではありませんが、ほぼそれに近い時期からの古いファン。
『シン・ウルトラマン』はその原点に立ち返る作品とのことで、早速鑑賞してきました。

その守旧派ファンからみて、新作はどうだったか?
結論からいえば、充分楽しめました。
今回は具体的ネタバレなして、ざっくり感想を書いてみます。


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前半はほぼ旧作リメイク
全体に旧作のオマージュが散りばめられていました。
特に前半は旧作の現代版リメイクといってもよい内容。
後半は新作オリジナルのストーリーも盛り込まれる展開でした。

冒頭部分が『ウルトラマン』に先行する『ウルトラQ』の
ダイジェスト版リメイクともいえる展開になっているのも、嬉しいところ。
まさに「つかみはOK!」という感じ。

逆にオマージュ、あるいはパロディともいえるシーンが満載なので、
旧作を知らない観客が楽しめたろうか、と不安になります。
特に前半はテンポが早いので、旧作を知らずにストーリー追い切れるだろうか? とも感じました。

オリジナルストーリーの部分は、
そこはそうしてほしくはなかったな、と感じるシーンもありました。
ただ、そこまで求めても仕方ない、と思います。


『ウルトラマン』全39話のうち、
今回の元ネタになったエピソードは基本的には5本だけだと思います。
(1本はエッセンスを取り入れただけで、リメイクとまでいえるのは4本だけかも)
出来れば、他のエピソードのリメイクで、続編を作ってほしいとさえ思いました。

ただ、続編は展開上、ちょっと難しいかも知れません。
『シン・ゴジラ』に続く今作、次は『シン・仮面ライダー』があるようですし、
その次に『シン・ウルトラセブン』期待した方がいいかも知れません。


旧作キャストの起用は無し
守旧派視点でいえば、ひとつ残念だったのは、
これまで、ウルトラシリーズで旧作へのオマージュ性の強い新作が作られる場合、
旧作のキャストが、たとえ別役で短いシーンであっても、起用されることが多かったですが、
今回はまったくありませんでした。

『ウルトラマン』の出演者では、
5人の科学特捜隊員のうち、小林昭二さん、二瓶正也さんは亡くなっていますが、
黒部進さん、毒蝮三太夫(石井伊吉)さん、桜井浩子さん、それにウルトラマンの着ぐるみ俳優だった古谷敏さんは健在です。
しかし、皆さんかなりご高齢になっており、仕方ないかも知れません。

いずれ、もう少し突っ込んだ感想も書きたいと思っています。

Old Fashioned Club 月野景史

※本編に関係ないですが、
クリアな大画面で大写しになるので、ひとつ気になったことがあります。

ヒロインの浅見弘子役の長澤まさみさんが、眉毛の手入れしていないように見えるのです。
浅見は仕事が忙しいと、何日も風呂に入らないようなキャラなので、役作りの一環かも知れませんが。
長澤さんの全般での熱演は旧作ファンからすると感涙もので、さすが“特撮の東宝”の今の看板女優だと思うし、
眉毛の件も好感が持てるくらいなのですが、
舞台は現代だし、さすがに今どき、ちょっと違和感あるかなとは思いました。

ネット上で眉毛についての指摘は見かけませんが、長澤さん絡みの表現で
今の時代において、あるいはこの作品でやるにしては、セクハラ気味なのではとの指摘があるようです。
これについては、そこは許容していいだろうという点もあるが、これはなくてもよかったかなと思う点もありました。


2021年8月26日 (木)

【俳優】二瓶正也死去/『ウルトラマン』イデ隊員は永遠に

訃報 俳優の二瓶正也さんが8月21日に亡くなりました。80歳没

私は昭和特撮、特に初代の『ウルトラマン』のファンです。
そして、二瓶さんといえば、やはり科学特捜隊のイデ隊員役が代表作でしょう。
5人の隊員たちはそれぞれ個性的でしたが、やはり子ども達の一番人気はイデ隊員でしょう。


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二瓶正也
(にへい まさなり 1940年12月4日 - 2021年8月21日)
東京都出身

二瓶さんは『ウルトラマン』ハヤタ隊員役の黒部進さんより一歳年下で同じ東宝映画の出身。
二人とも1960年代の入社で、映画産業はそろそろ斜陽に向かう頃、
やがてテレビに活路を見いだしていく世代でした。

二瓶さんは映画では、江原達怡さんの代役で加山雄三さんの相棒役を演じた『ハワイの若大将』。
また多くは端役ではありますが、榎本喜八監督作の常連としても知られます。

特撮映画では『妖星ゴラス』の宇宙パイロット役!
ただ、特撮映画を量産していた東宝に1970年頃までいながら、
本格的な特撮ファンタジー映画は意外にもこの1本だけ。
黒部さんは端役ながら5本も出演しているのに。


イデ隊員は代役だった
二瓶さんは『ウルトラマン』の前身『ウルトラQ』に3回、
それぞれ別の役で、ゲスト出演しています。
いずれもコミカルな脇役キャラでした。

同じく『Q』にゲスト出演した黒部さん同様、
次作『ウルトラマン』でレギュラーに起用されることになります。

ただ、当初はイデ隊員には石川進さんがキュスティングされていました。
それがクランクイン後まもなく降板、原因はスケジュールの問題ともギャラとも言われています。
そして、急遽の代役に二瓶さんが抜擢されたわけです、

石川進さんも『Q』に一度ゲスト出演しており、
『オバケのQ太郎』の主題歌の歌手、『おはよう!こどもショー』の司会者としても人気者でした。

石川さんは『Q』でも快演でしたし、イデ隊員やっても面白かったかも知れません。
ただ、二瓶さんより七つ年上で、背も低くポッチャリタイプ。
二瓶さんは同じコミカルキャラですが、若くて長身で頑健。
発明家タイプとはいえ、やはり科特隊のメンバーとしては二瓶さんが相応しかったでしょう。

ともかく『ウルトラマン』は大ヒット。
そして55年を経て色褪せない名作となりました。

その中で、いつも明るく、見る人を和ませるコメディリリーフにして、
天才的な科学者・技術者の顔を持つバイタリティの持ち主
そして感受性豊かで人間味溢れるギャラクターのイデ隊員は永遠の人気者になりました。


『ウルトラマン』の後は同じ円谷プロの『マイティジャック』にレギュラー出演。
東宝を退社した1970年代は俳優の他にバラエティにも出演していました。

またテレビCMでも活躍しました。
カルビーのポテトチップス発売以前のヒット商品「サッポロポテト バーべQあじ」のCMは大量に放送されました。

もうひとつ、「サッポロ一番」のサンヨー食品が「カップスター」以前に出したカップ麺、
たしか「サッポロスナック」という名称だったと思いますが(スナック菓子ではなく、カップ麺です)、
このCMも大量に流れました。今だに流れていた歌詞も憶えています。
何故かカップ麺を紙箱に入れたスタイルで、無駄と言えば無駄であり、長くは販売されなかったと思います。
Wikipediaのカップスターの項目に「サッポロ一番スナック」として紹介されていますが、「一番」は入ってなかったと思います。


二瓶さんは80年代になると、副業もされていたようで、芸能活動は控えめになります。
しかし90年代以降、再び『ウルトラマン』が注目されると、黒部さんやフジ隊員役の桜井浩子さんら共に、
特撮物や、関連番組、雑誌等のメディアに登場する機会が増えました。

2005年には黒部さんと桜井さんがレギュラー出演していた『ウルトラマンマックス』に
彼らの旧友であるダテ博士役でセミレギュラー出演し、懐かしい共演が実現しました。

その後も時々顔を見せていたのですが、その頃からかなり太りだしたようで、
さすがにあれでは身体に良くないだろうと心配していました。

謹んで哀悼の意を表します。

Old Fashioned Club 月野景史

2020年6月 9日 (火)

【特撮】昭和ウルトラシリーズ慨史② 『ウルトラマン』の誕生/分かり易く解説

  • Ultraman

    昭和、平成、令和と続く「ウルトラシリーズ」(ウルトラマンシリーズ)
    その金字塔である初代の『ウルトラマン』の誕生ヒストリーをどこよりもわかり易く解説します。
    前ブログ「『ウルトラQ』の誕生」の続編。
    簡潔にするために仔細は極力省略します。


    ウルトラQからウルトラマンへ
    1966年1月から放送された『ウルトラQ』は日本中に怪獣ブームを巻き起こしました。
    円谷プロダクションとTBSは『Q』の反省も踏まえ、次作の構想に取り掛かります。
    『Q』の放送は1966年1月からですが、前年中に全28本を撮り終えており、準備の時間は充分ありました。

    そして『ウルトラQ』の終了後すぐにスタートすることになる『ウルトラマン』は
    『Q』からの正常進化の枠を飛び越えた驚異の、奇跡の作品となりました。
    以下、その進化の経緯を中心に記していきます。



    対怪獣専門チーム「科学特捜隊」の誕生
    『ウルトラQ』の主人公三人は民間人でした。
    このうち、紅一点の桜井浩子さんの役は新聞社の女性カメラマンなのでまだわかりますが、
    佐原健二さんと西條康彦さんはセスナ機やヘリコプターで荷物の輸送等を行なう小さい航空会社のパイロットで、
    この三人が毎回大事件に遭遇し、解決に重要な働きをするのは無理があり、ストーリーも作り難い。

    ただ、この主人公が民間人というのは東宝特撮映画の伝統でもありました。
    多くの東宝の怪獣映画では自衛隊に類する組織(防衛隊と呼ばれることが多い)が登場し、
    怪獣と戦いますが、防衛隊員が主役となることはありません。
    だいたいいつも、主役はたまたま事件に深く関わってしまう民間人でした。

    しかし、基本的に単発ストーリーの映画ならそれでよくても、
    毎回の主人公が固定されている連続ドラマでは無理があります。
    それで怪獣が関わる事件を専門に対処するチームを登場させることになりました。
    これも、当初はトップ屋集団なども構想されていたようですが、
    実際に武器を持って怪獣や侵略宇宙人と戦うチームが設定されました。

    いうまでもありません。
    科学特捜隊の誕生です。

    「パリに本部を置く国際科学警察機構の日本支部に科学特捜隊と呼ばれる5人の隊員たちがあった。
    彼らは怪事件や異変を専門に捜査し、宇宙からのあらゆる侵略から地球を防衛する重大な任務を持っていた。」
    第1話冒頭ナレーションより

    この設定があれば、例えば『ウルトラQ』で起きたようなどんな怪事件でも、
    科学特捜隊が真っ先に捜査に乗り出せます。
    これだけでも充分な正常進化で、科学特捜隊をタイトルロールとして新番組を作ってもよかった思います。
    しかし、企画はますます進化を続けます。


    宇宙人との共闘
    前ブログで記したように、『ウルトラQ』に先行して、
    フジテレビと円谷プロダクションとの間で進行していた『Woo(ウー)』という企画がありました。
    不定型の宇宙生物が地球人と協力して事件を解決するというユニークな話でしたが、
    残念ながら実現には至りませんでした。

    この宇宙生物を登場させて人間と協調、というプロットが生かされることになります。
    企画が進むうちに宇宙生物の設定は不定型から、怪獣に近い外見の「ベムラー」、
    人間型のヒーローに近い「レッドマン」と進み、「ウルトラマン」へと繋がっていきました。

    既に東宝特撮映画では、かつては人類の恐るべき敵であったゴジラが、
    強大な宇宙怪獣キングギドラと、地球を守るために戦うヒーローに転換しつつありましたが、
    「ウルトラマン」はそこから一歩進んだ、友好的な人間型でありながら巨大、超絶な能力を持つ、
    世界のSF・娯楽作品にもおそらく例のないスーパーヒーローの誕生でした。


    一心同体の変身ヒーロー
    更にまだ別の進化ポイントがあります。
    “変身ヒーロー”スタイルの融合です。
    今となれば、ウルトラマンは変身するのが当たり前なので、何を大げさなと思うかも知れませんが、
    これもまた画期的なアイデアでした。

    変身ヒーロー自体は、アメリカではスーパーマン、バットマン、
    日本のテレビ作品でも月光仮面をはじめ、無数にありました。
    遡れば、時代劇の鞍馬天狗、怪傑黒頭巾等も同様です。

    しかし、これらはみな基本的には同じ人間が、
    覆面などで変装して正体を隠して戦うのが基本パターンです。

    それに対して『ウルトラマン』では地球人と宇宙人が故あって一心同体となり、
    状況に応じて宇宙人の姿になり、怪獣や侵略宇宙人と戦うという、斬新なアイデア。
    これにより、主人公の人間が変身により強大な力を得て、
    巨大な怪獣と互角以上に戦えることになるという、
    今となっては、あまりに当たり前の変身ヒーローのスタイルがうまれたのです。

    以上、三つ新機軸の結晶により、『ウルトラマン』は誕生したのです。



    Old Fashioned Club 月野景史



2020年6月 7日 (日)

【特撮】昭和ウルトラシリーズ慨史① 『ウルトラQ』の誕生/分かり易く解説

昭和、平成、令和と続く「ウルトラシリーズ」(ウルトラマンシリーズ)
その原点である『ウルトラQ』の誕生について、どこよりもわかり易く解説します。
簡潔にするために仔細は極力省略します。


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★原流はゴジラ
1954年(昭和29年)に東宝が制作した特撮怪獣映画の金字塔『ゴジラ』は大ヒットを記録。
以降、昭和30年代、東宝は数々の特撮映画を送り出します。
ゴジラの他にもラドン、モスラ、キングギドラなど人気怪獣を生み出しました。


この特撮ブームの裏方の立役者の一人が円谷英二氏。
ほとんどの作品で特技監督として、特撮部分の製作を仕切りました。
その英二氏が自ら社長となり「円谷プロダクション」を設立。
新しいメディアであるテレビでの特撮作品制作に、東宝の協力も得て乗り出すのです。
昭和30年代のテレビは『月光仮面』をはじめとする変身ヒーロー物が百花繚乱。
しかし、本格的な特撮の技術はほとんど導入されていませんでした。


★テレビで本格特撮ドラマを
円谷プロの最初の企画として知られるのは1962年頃、フジテレビで話の進んだ『Woo(ウー)』
不定形の宇宙人が地球人と協力して様々の事件を解決するユニークなストーリー。
しかし、実現には至りませんでした。

『Woo』に遅れて1963年頃、TBSとの間で企画が持ち上がります。
その名は『UNBALANCE(アンバランス)』
これが『ウルトラQ』の前身となるのです。

地球の、自然界の、保たれている均衡(バランス)が崩れることにより起こる様々な事件がテーマ。
アメリカのテレビドラマ『トワイライトゾーン」(邦題『ミステリーゾーン』)を意識した内容。
宇宙生物が登場するような話も予定されてはいましたが、
怪獣物というわけでもなく、超自然現象を扱うSFドラマです。
この制作が遂に決定しました。



★放映時期を決めずに制作開始
『アンバランス』の撮影は1964年9月に放送時期未定のままクランクインします。
民間の小規模の航空会社のパイロットの男性二人と新聞社の女性カメラマンが
毎回怪事件や異変に遭遇し、解決していくストーリー。
主演は多くの東宝特撮映画に主役、準主役、脇役で出演してきた佐原健二
他の二人も西條康彦桜井浩子と、東宝の俳優が起用されました。

実際の現場での製作は若手スタッフが担い、円谷英二社長は監修として関わりました。
制作第1話は古代の植物ジュランが都心に巨大な花を咲かせる「マンモスフラワー」。
植物怪獣ではなく、あくまで純粋な植物です。


こうして制作のスタートした『アンバランス』ですが、開始早々にTBSサイドから、
やはり円谷英二の会社が作るなら、怪獣を登場させてほしいとの希望が出ます。
まぁ当然のリクエストに思えます。


★怪獣路線に転換~ウルトラQへ
そうして制作第4話から、怪獣路線への転換が図られました。
タイトルも『ウルトラQ』と変更されます。
このネーミングは1963年の東京オリンピックで話題になった体操の技「ウルトラC」に由来します。

制作2クール目に入る頃からは怪獣の造詣スタッフも強化され、
本格怪獣ドラマ作りの体制を整えながらの撮影が続きました。
そして1年以上かけ、約2クール28本が完成しました。
放送開始は1966年1月と決定しました。

制作順にそのまま放送すると、SF路線から怪獣路線へと変わっていく流れになります。
しかし、最初から本格怪獣テレビ映画として売りたいのだから、これは有り得ません。
怪獣物を前面に出しつつ、SF物も織り交ぜた順番で放送されることになりました。


★1966年1月2日(日)19時 初回放送
28本の中から放送第1話に選ばれたのは「ゴメスを倒せ!」。
凶暴な怪獣ゴメスを、人間に友好的な原始怪鳥リトラが自らを犠牲にして倒す話。
まさに東宝怪獣映画の代表作『モスラ対ゴジラ』のようなストーリー。
当時の子ども達は映画館でしか観れなかった本格怪獣映画を毎週テレビで観る権利を得たのです。

第1話の視聴率は32.2%。
その後、同年7月まで27本の放送(1話のみ本放送欠番、再放送で放映)はほとんどの回で30%を超え、
『ウルトラQ』は日本中に怪獣ブームを巻き起こしました。
そして怪獣路線をより本格化させた『ウルトラマン』へと続くのです。


以上、番組の内容にはほとんどふれず、誕生の経緯を駆け足で紹介しました。
後のウルトラシリーズ各作品とは違い「ウルトラQ」というヒーローが登場するわけではありません。
おそらく、劇中で「ウルトラQ」という言葉が発せられたことすら一度もないと思います。
名高い石坂浩二のナレーションでも、「ウルトラQ」とは一度も発してないと思います。

民間人である主人公達が怪獣をはじめ様々な怪異に遭遇し、工夫を凝らして解決するストーリー。
怪獣物の枠を越えた、SFドラマの傑作となりました。

ただ連続ドラマとしては、毎回民間人が怪事件に遭遇するのは無理があります。
そのあたりの反省も踏まえ、次作の構想に取り掛かっていくのです。
そう、『ウルトラマン』の誕生です。

Old Fashioned Club 月野景史



2020年6月 5日 (金)

【昭和特撮】「ウルトラセブン」はなぜ「ウルトラマンセブン」ではないのか?/分かり易く解説

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ウルトラセブン 

ウルトラマンシリーズのヒーローたちはみな「ウルトラマン○○○」という名前なのに、
なぜウルトラセブンだけ「ウルトラマンセブン」ではないのか?
どうして「マン」がつかないのか?

この疑問、ネットでも見かけますし、リアルで訊ねられたこともあります。
今回はこの問題をできるだけ簡単に解説しますが、少々ややこしいので、先に結論を書いておきます。

「ウルトラセブン」とネーミングされた事情に元々不自然な点はありません。
問題はむしろその後で、後続のヒーローに「ウルトラマン○○○」と名付けられるようになったことの方が、
特殊な事情によるものなのです。

二作品とも「ウルトラシリーズ」として、TBS日曜19:30の同じ時間枠で放映されました。
ウルトラシリーズ第1作は『ウルトラQ』、これは番組名で“ウルトラQ”というヒーローが登場するわけではありません。
第2作が『ウルトラマン』。“ウルトラマン”という名の巨大ヒーローが登場しました。

第3作は別会社制作の『キャプテンウルトラ』を挟み、第4作として放送されたのが『ウルトラセブン』でした。
“ウルトラセブン”という名の巨大ヒーローが登場しました。
『セブン』の劇中でウルトラマンとの関係は一切説明されません。二人は別人です。
ウルトラシリーズなので「ウルトラ」が付くのは必然ですが、「ウルトラマン」の名をそのまま残したら変なのです。
大雑把にいえば、こういうことです。

今回のブログではここまでの経緯と、その後のシリーズが『ウルトラマン〇〇〇』となった事情を説明していきます。


★ウルトラセブンの命名まで
ウルトラQ」はヒーロー名ではないので割愛して、ウルトラマンの話から始めます。
一番最初の『ウルトラマン』は1966年7月に放送開始され、大ブームとなりました。
ヒーローの名前はもちろん「ウルトラマン」です。
円谷プロダクションの制作。


002
ウルトラマン(初代)

『ウルトラマン』は1967年4月、大人気の内に終了、
半年置いて同年10月から新番組『ウルトラセブン』が始まります。

この半年のインターバルの意味は?
『ウルトラマン』は視聴率も絶好調だったのですが、制作が追い付かなくなり終了、
半年間、東映制作の『キャプテンウルトラ』をウルトラシリーズ第3弾として放送している間に
円谷プロは制作体制を立て直し『セブン』がスタートしたのです。

ウルトラマンとウルトラセブンは同タイプのヒーローですが、外見はあまり似ていません。
劇中で二人の関係については説明もされないし、そもそも同一世界の物語なのかも不明です。
ただ、二人ともM78星雲出身らしいので、同郷ではあるようです。


劇中での命名経緯
今回は“名前”がテーマなので、ウルトラマンの劇中でネーミングから書いていきます。
「ウルトラマン」は一心同体となった科学特捜隊のハヤタ隊員による命名です。
同僚のイデ隊員から突如出現した巨大ヒーローの名を問われ「名前はない」と答えるのですが、
「名無しではおかしい」と突っ込まれ、ならばと即興で名づけたのが「ウルトラマン」でした。

では「ウルトラセブン」の命名経緯は?
実は脚本上ではウルトラ警備隊員による命名なのですが、
完成した本編にはそのようなシーンはなく、視聴者からすると経緯不明です。


マンとセブンの関係
さて前述のように、新ヒーローはウルトラマンとは同郷とはいえ、関係性が不明で外見も違います。
それなのに、前ヒーローの名前である「ウルトラマン」をそのまま使い、
後ろに「セブン」と付けて『ウルトラマンセブン」では不自然でしょう。

「ウルトラ」を付けるのは番組枠が「ウルトラシリーズ」として路線化されていたので必然なのですが、
ここまでの経緯なら「ウルトラセブン」でおかしいことは何もありません。
むしろ「ウルトラマンセブン」では不自然なのです。

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※なぜ「セブン(7)」なのか?
「ウルトラ」はいいとして「セブン(7)」とはどういう意味なのか?
命名由来は劇中では説明無しですが、脚本にはあるので簡単に紹介しておきます。
ウルトラ警備隊の隊員は新加入のモロボシ・ダンを含めて6人。
そして突如現れたヒーローは、7番目の隊員のような存在だからウルトラセブンとのこと。
本来の隊員6人の中には、セブンと同一人物であるダンも含まれているのでダブるのですが、
まぁそれはダン(セブン)本人しか知らないことなので。

ややこしいけど、加えてもうひとつ。
当時、円谷プロが企画していた、まったく別の番組案に『ウルトラ7(セブン)』の仮題が付けられており、
結果的にそれが流用された形になったという面もあります。
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さて、ではこの後、なぜ「ウルトラマン○○○」と名付けられるようになったかです。
以降はその経緯を説明します。


★二人のウルトラマン
『ウルトラセブン』終了から約2年半後の1971年4月、新シリーズがスタートとします。
タイトルは『帰ってきたウルトラマン』

企画当初はタイトル通り初代のウルトラマンが帰ってくる予定だったのですが、
結局別人という設定になり、しかしタイトルはそのまま開始されました。
外観は細部に違いがありますが、よく似ています。顔はほぼ同じ。

視聴者からすると、番組スタート当初はそのあたりの設定はよくわからなかったのですが、
やがて雑誌等が先行する形で、二人は別人で、兄弟分的な関係であることが明かされます。
初代の最終回に登場したゾフィーにウルトラマン、ウルトラセブン、
そして新しいウルトラマンを加えて、“ウルトラ4兄弟”の設定の誕生。
実の兄弟ではないが、宇宙の平和を守る信念と信頼で結ばれた義兄弟的関係です。

ただこうなると二人のウルトラマンが、別人なのに同じ顔で同じ名前はややこしい。
この問題は後々まで尾を引くことになります。
区別するため、後年になって“弟分”のほうに「ウルトラマンジャック」と名付けたりとか。
今回はその話は置いておき、いよいよ本題です。


★「ウルトラマンA」の命名トラブル
さて、『帰ってきたウルトラマン』は1年間の放送が終了。
新シリーズの1972年4月からのスタートが雑誌等で公表されました。

ウルトラ兄弟の5番目、その名は『ウルトラA(ウルトラエース)』。
外見はセブンよりはウルトラマンに近いですが、明らかに区別できます。
このネーミングも特におかしくはないでしょう。

ところが、問題が発生しました。
世の中に「ウルトラエース」という商品が存在しており、
商標登録上の問題が出てきて、改名をせまられることになったのです。

しかし、「A(エース)」は公表されており、ここは変え難い。
放送開始はせまっており、急遽の苦肉の策として
ウルトラマンA(ウルトラマンエース)』と変更されたのです。

当時の実感としては、そんな裏事情はわからず、
既に二人ウルトラマンがいてややこしいのに、更に面倒なことしなくてもいいのにと感じました。


しかし、このネーミングスタイルは翌年の『ウルトラマンタロウ」、
続く『ウルトラマンレオ』にも踏襲され、現代まで続くことになったのです。

結果として、「ウルトラマン」とつかないセブンだけが異質ということになってしまいました。
これが“マン”と付かない“ウルトラセブン”の経緯です。


私のような守旧派のファンからすると、
もちろん「ウルトラマン」の名がシリーズとして現在まで続いている嬉しいことなのですが、
やはり「ウルトラマン」といえば初代の『ウルトラマン』こそが唯一無二の存在であり、
「ウルトラマン」乱立はあまり歓迎しない面もあります。

また「ウルトラマンシリーズ」より、「ウルトラシリーズ」の呼び方の方が好きだったりします。


Old Fashioned Club 月野景史

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