【美術展】「佐伯祐三 自画像としての風景」東京ステーションギャラリー/パリ、東京、1920年代を駆け抜けた夭折の画家
JR東京駅直結の美術館「東京ステーションギャラリー」で4月2日まで、
「佐伯祐三 自画像としての風景」を開催中です。
夭折の天才洋画家の本格的な回顧展。
佐伯祐三 自画像としての風景
2023年1月21日(土)~4月2日(日)10:00~18:00(金曜日~20:00)
東京ステーションギャラリー
主催:東京ステーションギャラリー(公益財団法人東日本鉄道文化財団)、読売新聞社
https://saeki2023.jp/
佐伯 祐三(さえき ゆうぞう)
1898年4月28日 - 1928年8月16日 30歳没
若くして病で亡くなった画家。
30年の生涯といっても、画家としての活動はほぼ1923年頃から、
死去する1928年までの約6年ほどに集約されます。
1920年代に、異国からフランスの都パリに集った一人なので、“エコール・ド・パリ”の画家ともいえるでしょう。
本店はその芸術家ライフをほぼ俯瞰できる展覧会です。
その画業は、日本での画学生時代から最初の渡仏でのパリでの画業の修練、
一時帰国しての日本での活動から、再度渡仏して第二次フランス時代、
そして、かの地での死と、まさに時代を駆け抜けました。
パリの街並みを描く
もっとも著名な作品は最晩年の『郵便配達夫』(1928年)で、それも展示されていますが、
多く描いたのはパリの街並、特に壁や建物に貼られた広告看板やポスターが代表的です。
※広告や看板を描いたのではなく、それらが貼られた風景の描写です。
『ガス灯と広告』1927年
大阪、東京、パリ
およそ100年前、大阪、東京、パリ、の3つの街に生き、短くも鮮烈な生涯を終えた画家。
1924年に初めてパリに渡ってからわずかな本格的画業の中で、都市の風景を題材とする独自の様式に達しました。
特に、一時帰国を挟んだ後の2回目の滞仏期に到達した、繊細で踊るような線描による一連のパリ風景は、
画家の代名詞とされ、その比類ない個性は今でも多くの人を魅了し続けています。
本展では、佐伯が描いた「大阪」「東京」「パリ」の3つの街に注目しています。
最大級の質と量を誇る大阪中之島美術館の佐伯祐三コレクションを中心に、代表作が一堂に集結。
展覧会初出品となる作品も出展されています。
以上が本展のコンセプトです。
ただ、「大阪」については、佐伯は大阪生まれ、大阪育ちですが、美術学校入学時に東京に出てきており、
卒業後はすぐにパリへ、一時帰国時も拠点は東京でしたので、大阪の街を描いた作品は多くはないですが。
ともかく回顧展は15年ぶりとのこと。
佐伯芸術の魅力を再発見、あるいは新発見する貴重な機会に、きっとなると思います。
Old Fashioned Club 月野景史