01.Art 美術 (展覧会)

2018年5月 1日 (火)

【美術展】「ターナー 風景の詩」損保ジャパン日本興亜美術館/英国を代表する風景画家の決定版回顧展

東京新宿の東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館では7月1日まで
「ターナー 風景の詩(うた)」展を開催中です。 

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ターナー 風景の詩(うた)
会 期: 2018年4月24日(火)~7月1日(日)
会 場: 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館

        (新宿区西新宿1-26-1 損保ジャパン日本興亜本社ビル42階)
開館時間:午前10時~午後6時 ※入館は閉館30分前まで
        ただし5月9日(水)、16日(水)、6月26日(火)~30日(土)は午後7時まで
主 催: 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館、毎日新聞社、スコットランド国立美術館群
協 賛: 損保ジャパン日本興亜、大日本印刷
後 援: ブリティッシュ・カウンシル
協 力: 日本航空
美術館ホームページ:http://www.sjnk-museum.org/
展覧会公式サイト:https://turner2018.com/
※東京展終了後は7月7日より郡山市立美術館に巡回・開催


ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー
(Joseph Mallord William Turner、1775年4月23日 - 1851年12月19日)

イギリス・ロンドン出身。
英国絵画史を代表する画家・芸術家の1人で、特に風景画の巨匠として知られる。

本展はそのターナーの回顧展です。
いわゆる“ターナーとその周辺作”の展覧会ではなく、
ターナー作品のみの約120点で構成された(ターナーの肖像画1点を除く)
決定版ターナー展とでもいうべき催し。


開幕前日の4月23日に行われたプレス内覧会に参加しました。
この日は主催団体のひとつであるスコットランド国立美術館群より
総館長のジョン・レイトン卿が来日、主要な作品の説明を行いました。

★このページの写真は内覧会にて特別の許可を得て撮影・掲載しています。


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来場者に挨拶するジョン・レイトン卿(左から3人目)


ターナーは穏やかな田園風景、嵐の海、聳え立つ山岳など、
自然の様々な表情を優れた技法で表現しました。

本展ではターナー絵画を以下の4つのテーマに分けて展示しています。

「地誌的風景画」
「海景-海洋国家に生きて」
「イタリア-古代への憧れ」
「山岳-あらたな景観美をさがして」


わかりやすく観やすい、いい分類だと思います。

実在の風景、建築物等を描いて地誌的価値を持ちながら、
古代風景をも思わせるファンタジックな画風。
日本と同じ島国のイギリスならではの迫力ある海洋風景。
水彩画、また版画へのこだわり。
ターナーの魅力や足跡が明確に伝わる展示スタイルです。

残念ながら内覧会では各絵画単体での撮影は許可されていなかかったので、
分類に沿って個々の作品を紹介することはできません。
展覧会の雰囲気のみ紹介します。



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ターナーの風景画は独特の光や空気感に包まれています。
フランスでの印象派登場より半世紀以上前に活躍した画家ですが、
印象派絵画へ影響を与えたことが見てとれます。

また、これはレイトン卿も強調していたのですが、
ターナーは水彩画の名手です。
その技術は日本においても明治初頭から多くの画家たちの関心を集めました。

ともかく、英国各地の多くの美術館、個人収集家、
そして日本の美術館からも集めた120点による
ターナー展決定版。
この機会はそうそうないと思います。
お見逃しなく。

Old Fashioned Club  月野景史


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損保ジャパン日本興亜美術館 エントランスからの夜景

2018年4月 2日 (月)

【美術展】「ヌード NUDE —英国テート・コレクションより」

横浜美術館で6月24日まで、
「ヌード NUDE —英国テート・コレクションより」が開催中です。


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ヌード NUDE —英国テート・コレクションより
NUDE: ART FROM THE TATE COLLECTION
2018年3月24日(土) – 6月24日(日) 
横浜美術館

主催 横浜美術館、読売新聞社、テート 
協賛 大日本印刷 
協力 日本航空、みなとみらい線、横浜ケーブルビジョン、FMヨコハマ、首都高速道路株式会社 
https://artexhibition.jp/nude2018/
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NUDE ヌード
裸体画や裸体彫刻などの裸体美術の展覧会。
話題を集めそうなテーマです。

日本初公開となるロダンの大理石彫刻『接吻』をはじめ、
近現代美術の殿堂・英国テートが所蔵するターナーやマティス、ピカソやホックニーらの
「ヌード」をテーマにした作品と、その歴史を紹介する展覧会。
ヴィクトリア朝から現代までの約200年におよぶヌードの歴史が辿られています。

現在から遡って200年ほどなので、ルネサンスやバロック期の古典絵画はありません。
もっとも古典的なものでも、ジョン・エヴァレット・ミレイらラファエル前派とその周辺くらいまて。



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オーギュスト・ロダン『接吻』1901–4 年 
本展の大看板作品。日本初公開。
等身大を超える大理石彫刻、エロティシズムの傑作彫刻。
この作品は撮影可です。



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フレデリック・ロード・レイトン
『プシュケの水浴』1890年発表 
館内(展示室外)のパネルより
絵画における本展の看板作品。
レイトンは19世紀イギリスの画家で、
ラファエル前派とも近い関係にありました。


蠱惑的なテーマの展覧会というと、
昨年、上野の森美術館で開催された「怖い絵」展は連日もの凄い盛況でした。
それに比べると本展はだいぶおとなしい客入りでした。
近代絵画に偏っているせいか、あるいは彫刻を大看板に推したためか。



常設展スペースも充実。
写真撮影可。
企画展に合わせか、個性的なヌードも展示されています。


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Old Fashioned Club  月野景史

2018年3月 9日 (金)

【美術展】「FACE2018 損保ジャパン日本興亜美術賞展」/現代日本の新進画家達の公募展

東京新宿の東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館では3月30日まで
「FACE展 2018 ‐損保ジャパン日本興亜美術賞展」が開催中。
現代日本の洋画家による公募展です。

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FACE展 2018 ‐損保ジャパン日本興亜美術賞展
会期:2018年2月24日(土)~3月30日(金)
会場:東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館

主催:東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館、読売新聞社
協賛:損保ジャパン日本興亜
http://www.sjnk-museum.org/program/current/5250.html

損保ジャパン日本興亜美術財団の公益財団法人への移行を機に創設された展覧会。
今回で6回目を迎えました。


新進画家の公募展
現代日本の新進作家の動向を反映する公募展として定着しつつあり、
私も楽しみにしています。

現在放送中のドラマ『FINAL CUT』(フジテレビ系)の初回で内容とは関係ないのですが、
「現代美術の展覧会はお客が入らない」というセリフがありました。
現代美術=抽象作品というイメージがあり、敬遠されがちな傾向を反映しているのでしょう。

本展はまさに現代絵画の展覧会ですが、
何が描いてあるかまったく判別不能な抽象画は多くはありません。
ユニークでバラエティに富んだ作品が揃っています。

展示されているのは入選作71点。
そのうちの9点がグランプリをはじめとする受賞作で、最初の展示室に飾られています。

本展は写真撮影可能です。
いくつか紹介します。
まずはポスターやチラシにもメインで載っているグランプリ受賞作から。



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グランプリ 仙石裕美
『それが来るたびに跳ぶ 降り立つ地面は跳ぶ前のそれとは異なっ ている』



この展覧会では自分が一番いいと思った作品を投票できます。
正直を言うと、私の好みという点では、今年はこれという作品はなかったのですが、
迷った末にこの絵にしました。

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蜂谷真須美『歩』



その他、気に入った絵を紹介していきます。

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Old Fashioned Club  月野景史

2018年3月 7日 (水)

【美術展】「プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」国立西洋美術館/スペイン絵画黄金期の傑作群が来日

東京上野の国立西洋美術館で5月27日まで、
「日本スペイン外交関係樹立150周年記念 プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」が開催中。
17世紀スペインの巨匠ベラスケスをメインとした展覧会です。


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日本スペイン外交関係樹立150周年記念
プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光
会期:2018年2月24日(土)~2018年5月27日(日)
会場:国立西洋美術館

主催:国立西洋美術館、プラド美術館、読売新聞社、日本テレビ放送網、BS日テレ
後援:スペイン大使館特別協賛:Canon
公式サイト https://artexhibition.jp/prado2018/


17世紀はバロック絵画の時代
イタリアのカラヴァッジョを始祖とし、欧州各地に大画家が登場しました。
スペインを代表する画家がディエゴ・ベラスケス(1599年6月6日 - 1660年8月6日)です。
宮廷画家として活躍しました。

この時代のスペインはこのベラスケスをはじめ、
リベーラ、スルバランやムリーリョなどの大画家を輩出しました。

彼らの芸術をはぐくんだ重要な一因に、
歴代スペイン国王がみな絵画を愛好し収集したことが挙げられます。

ベラスケスは王室のコレクションであったティツィアーノやルーベンスの傑作群から触発を受け、
国王フェリペ4世の庇護を受けて大成しました。
スペインにおいて絵画芸術が到達し得た究極の栄光を具現した存在でした。




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プラド美術館展
スペイン・マドリードにあるプラド美術館。
スペイン王室の収集品を核に1819年に開設された、世界屈指の美の殿堂です。

本展はそのプラド美術館のコレクションから、ベラスケスの作品7点を軸に、1
7世紀絵画の傑作など61点を含む70点をご紹介されています。
フェリペ4世の宮廷を中心に、17世紀スペインの国際的なアートシーンを再現し
幅広いプラド美術館のコレクションの魅力を味わう展覧会です。



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ディエゴ・ベラスケス
『王太子バルタサール・カルロス騎馬像』1635年頃 



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ディエゴ・ベラスケス
『狩猟服姿のフェリペ4世』1632-34年

Old Fashioned Club  月野景史

2018年3月 3日 (土)

『美術展』「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」 国立新美術館/スイスの収集家による19世紀フランス絵画のコレクション

東京六本木の国立新美術館で5月6日まで、
「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」が開催中。
数ある絵画分野の中でも人気の印象派をメインとした展覧会です。

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至上の印象派展 ビュールレ・コレクション
会期 2018年2月14日(水) ~ 5月7日(月)
会場 国立新美術館 

主催 国立新美術館、東京新聞、NHK、NHKプロモーション
後援 外務省、スイス大使館
協賛 ジュリアス・ベア・グループ、損保ジャパン日本興亜協力スイス政府観光局、スイス インターナショナル エアラインズ、日本貨物航空、ヤマトロジスティクス
展覧会ホームページ http://www.buehrle2018.jp/


「ビュールレ・コレクション」とは何か?
ビュールレとは美術収集家の名前。
本展はビュールレ氏のコレクションを鑑賞する展覧会です。


エミール・ゲオルク・ビュールレ
ドイツに生まれ、スイスで後半生をすごす。
第一次・第二次世界大戦を経験し、実業家として成功して富を築きました。
心の拠りどころとして美術作品を収集し、
コレクションはチューリヒにある邸宅の隣の別棟に飾られました。

ビュールレ死後、別棟は美術館として一般公開されましたが、
スイス国外にコレクションがまとまって公開されたのは過去に数回のみ。
2008年、世界的に報じられた4点の絵画盗難事件以来、
一般公開が規制され、2020年にチューリヒ美術館に全コレクションが移管されることになっています。
ですので、今回はビュールレのコレクターとしての全体像がみられる最後の機会です。

つまり本展はスイスに所蔵されているフランス絵画の展覧会。
(一部イタリア絵画などもあり)
19世紀フランス画壇のビッグネームの作品が揃います。
ドラクロワ、ドガ、マネ、ルノワール、ファン・ゴッホ、ゴーギャン、モネ、セザンヌ、マティス、ピカソ…。
世界に知られ、日本でも人気の高い画家の名が並びます。
そして、「この絵はビュールレ・コレクションにあったのか」と驚くような著名な作品もあります。

特に印象派・ポスト印象派の作品は傑作揃いで
絵画史上、最も有名な少女像ともいわれるルノワールの『イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)』と
セザンヌの『赤いチョッキの少年』は印象派の中でも人気の高い両巨匠の「最高傑作」として知られています。
タイトルに「印象派展」とありますが、点数でいうとポスト印象派と呼ばれるセザンヌ、ゴッホも多いです。


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『イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)』
ピエール=オーギュスト・ルノワール
1880年 油彩、カンヴァス 65×54cm
これは愛らしい! 本展の看板作品です。


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『赤いチョッキの少年』
ポール・セザンヌ
1888-90年 油彩、カンヴァス 79.5×64cm
有名な絵です。スイスにあったのですね。


出展作60点の半数は日本初公開。
モノクロのデッサンのようなものは含まれず、ほとんど油彩画の完成作品です。

なかでもモネの代表作の一つ、高さ2メートル×幅4メートルの大作『睡蓮の池、緑の反映』は、
これまでスイス国外には一度も出たことがありませんでした。日本人がまだ見たことのないモネの「睡蓮」。
門外不出といわれたモネの最高傑作です。


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『睡蓮の池、緑の反映』
クロード・モネ
1920-26年 油彩、カンヴァス 200×425cm
日本初公開の大作

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この作品だけは場内での写真撮影が許可されています。


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会場の国立新美術館で昨年行われたミャシャ展は物凄い盛況で連日長蛇の列で鑑賞が大変でした。
時間にもよるでしょうが、今回はこれだけの作品が揃っているのに、今回はだいぶゆったり観ることができました。
西洋絵画ファンならば、チェックすべき展覧会でしょう。

Old Fashioned Club  月野景史

2018年2月25日 (日)

【美術展】「ボストン美術館「パリジェンヌ展」時代を映す女性たち」世田谷美術館/米国から来たパリジェンヌ達

東京の世田谷美術館で4月1日まで、
「ボストン美術館「パリジェンヌ展」時代を映す女性たち」が開催中。
アメリカのボストン美術館が所蔵する“バリジェンヌ”たちが来日しています。


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ボストン美術館「パリジェンヌ展」時代を映す女性たち
会期 2018年1月13日(土)→4月1日(日)

会場 世田谷美術館
主催 世田谷美術館(公益財団法人せたがや文化財団)、ボストン美術館、NHK、NHKプロモーション
後援 アメリカ大使館、世田谷区、世田谷区教育委員会
公式サイト http://paris2017-18.jp/index.html
巡回予定 広島展/広島県立美術館 2018年4月11日(水)→6月10日(日)



世田谷美術館
砧公園内に佇む美術館。
東京都内の区市町村美術館としては規模も大きく、
西洋絵画の大型展もよく開催する美術館。
今回は駅などの交通広告も大きく展開し、かなり力が入っています。


☆パリジェンヌ
昔から耳にする、魅惑的な言葉です。
フランスの首都パリ。
この魅力あふれる都市に生きる女性たち・・・。

それはサロンを仕切る知的な女主人、
また子を慈しむ美しい母、
流行を生み出すファッショニスタ、
パリに集う画家、芸術家たちにとってののミューズ(女神)、
そしてまた、自ら道を切り開き才能を開花させた画家や女優であったり。

その多様な生き方は、今なお私たちを惹きつけます。

本展ではマネの『街の歌い手』をはじめ、
ドガやルノワールなど印象派の巨匠が描いた女性の肖像、
カサットやモリゾなど女性芸術家による傑作、
更にはカルダンやバレンシアガの斬新なドレスから
ブリジット・バルドーほか映画や舞台で活躍した女優のポートレートまで、
ボストン美術館所蔵の多彩な作品約120点を通して、
18世紀から20世紀のパリを体現する女性たちの姿に迫っています。


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『街の歌い手』
エドゥアール・マネ
1862年頃 油彩・カンヴァス
“パリジャン”であったマネによる本展の看板作品。

Old Fashioned Club  月野景史

2018年2月22日 (木)

美術館「ルドルフ2世の驚異の世界展」文化村ミュージアム/神聖ローマ皇帝が愛した奇想の作品達

東京渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで3月11日まで
「神聖ローマ帝国皇帝 ルドルフ2世の驚異の世界展」が開催中です。

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神聖ローマ帝国皇帝 ルドルフ2世の驚異の世界展
会期 2018/1/6(土)-3/11(日)

会場 Bunkamura ザ・ミュージアム
主催 Bunkamura、テレビ朝日、読売新聞東京本社
公式サイト http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/18_rudolf/
※巡回予定 佐川美術館(滋賀) 2018年3月21日(水・祝)~5月27日(日)



神聖ローマ帝国 皇帝ルドルフ2世
(ドイツ語: Rudolf II.、1552年7月18日 - 1612年1月20日)

プラハに宮廷を構え、神聖ローマ帝国皇帝として君臨したハプスブルク家のルドルフ2世。
稀代の収集家として、また芸術の庇護者として知られます。

16世紀末から17世紀初頭、彼の宮廷には世界各地から優れた人物たちが集結し、
芸術作品、あるいは科学機器などのあらゆる優れた創作物、
更には新たに発見された珍奇な自然物などが集められ、文字通り
「驚異の部屋」とでも呼ぶべき膨大なコレクションが形成されました。

彼の宮廷は当時のヨーロッパの芸術文化の一大拠点となっていたのです。

本展ではかの奇想の画家ジュゼッペ・アルチンボルドを始め、
ルドルフ2世が愛好した芸術家たちの作品を中心に、
占星術や錬金術にも強い関心を示した皇帝の、
時に魔術的な魅力に満ちた芸術と科学の世界が紹介されています。


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『陶製の花瓶に生けられた小さな花束』
ヤン・ブリューゲル1世(=ヤン・ブリューゲル1世(父))
1607年頃、油彩・板、ウィーン美術史美術館

東京都美術館では「ブリューゲル一族展」が開催中ですが、
あちらにもないヤン・ブリューゲル1世単独の作品も出展されています。

Old Fashioned Club  月野景史

2018年2月10日 (土)

【美術展】「ルドン-秘密の花園」三菱一号館美術館/ブルゴーニュの古城秘蔵の16点が日本に集結

東京丸の内の三菱一号館美術館で5月20日まで、
「ルドン-秘密の花園」展が開催中です。


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ルドン-秘密の花園
会期 2018年2月8日(木)~5月20日(日)

主催 三菱一号館美術館 / 日本経済新聞社
特別協力 オルセー美術館 
後援 在日フランス大使館 / アンスティチュ・フランセ日本
公式サイト http://mimt.jp/redon/ 

※開幕日2月8日の夜、ブロガー向けの内覧会が開催されたので、訪館しました。


オディロン・ルドン
(Odilon Redon、1840年4月20日または4月22日- 1916年7月6日)

19世紀後期から20世紀初期にかけて活動したフランス人画家。
ワイン産地として著名なボルドー出身で、パリに出て活躍しました。

時代として印象派の全盛期と重なりますが、
その画風は印象派とは違い、神秘的・幻想的な作品が多く、
分類するならば象徴主義・象徴派ともされますが、
いかなる流派からも自由であったといわれます。


三菱一号館美術館とルドン
本展の舞台である三菱一号館美術館は元々、
ルドンのパステル画の大作『グラン・ブーケ(大きな花束)』を所蔵しています。

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グラン・ブーケ(大きな花束)
大きく色鮮やかで美しい装飾画で、同館の他のテーマの展覧会でも展示されることが多く、
私も何度が鑑賞しています。
この絵の由来を説明しましょう。


ブルゴーニュの城を飾る
1897年、ロベール・ド・ドムシー男爵が、ブルゴーニュ地方ヴェズレー近郊の城館の
食堂装飾をルドンに依頼しました。
ブルゴーニュの城を飾る装飾画をボルドー出身のルドンに依頼。
ワイン好きにはそれだけで楽しくなるような話です。

さてワインはともかく、装飾画は1900年から1901年にかけて設置され、16点が現存します。
『グラン・ブーケ』もその中の1点ですが、それを除く15点は1978年に食堂から外され、
現在ではオルセー美術館が所蔵しています。

『グランブーケ』だけは別格扱いでその後も秘蔵されていたのですが、
2011年に一般公開され、今は三菱の所蔵となっているのです。

本展には、そのオルセー美術館所蔵の15点が来日し、
『グランブーケ』と合わせてドムシー城の食堂を飾ったルドンの装飾画が一堂に会しました。
もちろん日本初の機会となります。

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上の写真2点は3階の大型展示室。
ここだけでは16点すべては展示し切れないので、
『グラン・ブーケ』など数点は2階の展示です。



他の作品もルドンの魅力いっぱい
さて、ルドンというと一つ目の巨人『キュクロープス』など神秘的な存在を描いた絵の印象が強いですが、
紹介した装飾画のように植物や風景も多く描いており、
本展は他にも豊かな色彩の風景画や静物画が揃えられています。


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もちろん、神秘的、あるいは怪奇を感じる作品もあり。

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存分にルドンを味わう展覧会です。


ところで、本展は同感所蔵作品をメインとした企画展のせいか、
オリジナルグッズも多彩です。

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オリジナルハンカチも見たことないほど多くの種類。
気合いを感じますね。



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『グラン・ブーケ』オリジナルラベルのワイン
左が『グラン・ブーケ』が秘蔵されていたブルゴーニュの「シャブリ」。
右がルドンの故郷ボルドーの「コート・ドゥ・カスティヨン」。

これは本展のオリジナルではなく、
『グラン・ブーケ』が元々所蔵作なので、以前からある商品です。


Old Fashioned Club  月野景史

2018年2月 1日 (木)

【美術展】「ブリューゲル展 画家一族150年の系譜」東京都美術館/西洋絵画史上最大の一族の偉業

東京上野の東京都美術館で4月1日まで、
「ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜」が開催中です。
2018年最初の西洋絵画の大型展と呼んでいいでしょう。

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ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜
会期 2018年1月23日(火)~4月1日(日)
会場 東京都美術館

主催 東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)、日本テレビ放送網、読売新聞社、BS日テレ
特設WEBサイト http://www.ntv.co.jp/brueghel


ブリューゲル一族についてはこのブログにも入門編を書いたことがあります。
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2012/07/post-3578.html

16世紀フランドルの大画家ピーテル・ブリューゲルを父祖とし、
その2人の子、そして孫達と連なり、16~17世紀にかけて多くの名作を残し、
同時代、そして後世の画家達に大きな影響を残した、
おそらく西洋絵画史上最大の画家一族といえるでしょう。

少しややこしいのは、この一族には子に、そしてその子にと
親と同じ同じ名前をつける傾向にあるのです。
だから、名前の後に(父)とか(子)つけて、区別するのが一般的でした。

この展覧会では「1世」「2世」という呼称に統一しています。
この方式が分かり易いとでしょう。


それでは、一族の代表的な画家を4世代にわたり記しておきます。

◆太祖
ピーテル・ブリューゲル1世 (Pieter Brueghel the Elder, 1525年頃 - 1569年)

◆ピーテル1世の子
ピーテル・ブリューゲル2世  (Pieter Brueghel the Younger, 1564年 - 1638年)
ヤン・ブリューゲル 1世 (Jan Brueghel the Elder, 1568年 - 1625年)

◆ヤン1世の子
ヤン・ブリューゲル2世 (Jan Brueghel the Younger, 1601年 - 1678年)
アンブロシウス・ブリューゲル (Ambrosius Brueghel, 1617年 - 1675年)

◆ヤン2世の子
アブラハム・ブリューゲル (Abraham Brueghel, 1631年 - 1690年)

この中では太祖たるピーテル1世が高名なのはもちろんですが、
次いでその次男のヤン1世がバロック期の画家として高い評価を得ています。
長男のピーテル2世はどちらかといえばピーテル1世の絵の模写で知られます。

ところで、生没年を見てもらうとわかるのですが、
第2世代のピーテル2世は1564年、
ヤン1世は1568年生まれですが、
父のピーテル1世は1569年に幼い息子2人を残して亡くなっています。
つまり息子達は偉大な父から直接絵の手ほどきを受けていないのです。
それでも父の後を継いで、偉大なる一族を築いたのでした。


祖であるピーテル・ブリューゲル1世は、現実世界を冷静に見つめ、
人間の日常生活を何の偏見もなく、ありのままに表現した革新的な画家でした。
この観察眼は、子から孫、ひ孫へと受け継がれ、
一族の絵画様式と伝統を築き上げていくことになります。

父の作品の忠実な模倣作(コピー)を手掛けた長男のピーテル2世。
父の自然への関心を受け継いで発展させ、多くの傑作を残したヤン1世。
そして、ヤン2世やアンブロシウス、アブラハムといったヤン1世の子孫たちが、
一族の作風を受け継ぎ、「ブリューゲル」はひとつのブランドとして確立されていくのです。

本展は貴重なプライベート・コレクションの作品を中心とした約100点の作品が展示されています。
残念ながらピーテル1世とヤン1世の作品はあまりないのですが、
一族と彼らと関わりのある16、17世紀フランドル絵画の全体像に迫る挑戦的な展覧会です。


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『野外での婚礼の踊り』1610年頃
ピーテル・ブリューゲル2世

ピーテル1世も得意とした農民の生活を描いた風俗画


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『机上の花瓶に入ったチューリップと薔薇』1615-20年頃
ヤン・ブリューゲル1世 ヤン・ブリューゲル2世

ヤン父子2代の共作で本展の看板作品。
ヤン1世はこのような花・植物の静物画を得意としました。


ブリューゲル一族 家系図

Photo



Old Fashioned Club  月野景史

2018年1月15日 (月)

【美術展』「クインテットⅣ-五つ星の作家たち」損保ジャパン美術館/現役作家5人の「具象と抽象の狭間」

「クインテットⅣ-五つ星の作家たち」
1月13日から2月28日まで、東京新宿の東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館で
「クインテットⅣ-五つ星の作家たち」展が開催中です。


クインテットⅣ ー 五つ星の作家たち-開催概要
会期:2018年1月13日(土)~2月18日(日)
会場:東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
  (東京都新宿区西新宿1-26-1 損保ジャパン日本興亜本社ビル42階)
主催:東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館、朝日新聞社
観覧料 一般:600円(500円)、大・高校生:400円(300円)
ホームページ:http://www.sjnk-museum.org/


開幕前日の1月12日(金)、プレス及びブロガー向けの内覧会が開催されたので、訪館しました。


クインテット展とは
本展は継続的な作品発表実績があり、将来有望な中堅作家たち5人を
セレクトして紹介するシリーズ企画第4 弾です。
5人が選ばれるので「クインテット(五重奏)」。

今回選出されたのは青木恵美子、竹中美幸、田中みぎわ、船井美佐、室井公美子の各氏。
いずれも女性アーティストで、彼女らの近作・新作約80点が展示されます。
内覧会ではこの5人に加え、主催側の代表者らが顔を揃えました。

本展は回ごとにテーマが設けられています。
第1回、第2回は「風景」、
第3回は「自然」、
そして第4回となる本展のテーマは「具象と抽象の狭間」です。

展示は5人の芸術家ごとにスペースを分け、
わかり易く構成さています。
会場での展示順にイメージカットで紹介していきます。


船井美佐
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竹中美幸
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室井公美子
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田中みぎわ
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青木恵美子

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絵画が中心ですが、その範疇を越えるアート作品もあり、
5人の作家の個性が際立つ構成です。

※本展は展示室内での作品撮影が可能です。
(ゴッホ、ゴーギャンらが展示される収蔵品コーナーは不可)


具象と抽象の狭間

現代美術=抽象美術というイメージがあります。
「抽象」の対義語は「具象」。
そして今回のテーマはその二つの「狭間」。

ポール・ゴーギャンは「芸術とはひとつの抽象なのだ」と言明し、
絵画に思想・哲学的要素を取り入れたといいます。
今回選ばれた5人の芸術家たちは、ゴーギャンの革新性を無意識に踏襲し、
理知的な線と感覚的な色彩とを組合せ、世界を写すことと自己を表出する振幅の中で制作しています。

日本でも西洋絵画の古典的名作を展示する展覧会は多数開催され、
多くの観客を集めています。

それはもちろん素敵なことですが、
日本の、今の、現役の芸術家の作品にも素晴らしいものが多くあります。

本展、そして続いてこの美術館で2月24日より開催される「FACE展2018」などで、
気鋭の現役作家のアートにふれる機会を増やしていただきたいものです。

Old Fashioned Club  月野景史

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