01.Art 美術 (展覧会)

2020年3月 3日 (火)

【美術展】「FACE展 2020」損保ジャパン日本興亜美術館/天空の美術館最後の展覧会は残念ながら途中終了

東京西新宿の「東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館」で毎年開催される
「FACE展 2020 損保ジャパン日本興亜美術賞展」は日本の新進画家の公募展。

ユニークな作品も多くて私も毎年楽しみにしており、
このブログでも何度かレポートしてきました。


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今年も2月15に開幕、3月15日まで開催の予定でしたが、
新型コロナウィルスによる政府のイベント中止要請を受け、
会期中の3月1日をもって打ち切りということになってしまいました。

これも残念だったのですが、実はそれだけではなかったのです。
「東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館」は新宿の損保ジャパン日本興亜本社ビルの
47階にある超高層美術館なのですが、実は本展を最後に閉館し、
同じ敷地内に地内に建築中の新たな美術館棟に移転し、
「SOMPO美術館」としてオープンすることが決まっているのです。

この美術館は1976年のオープン以降、親会社の合併等により何度か名称は変わりましたが、場所は同じでした。
つまり今回の「FACE展」は、47階の天空の美術館として最後の展覧会だったのです。
しかし感染症には勝てず、あっけない幕切れとなりました。

残念ですが、これは仕方ないと諦めるしかないでしょう。

新生「SOMPO美術館」は現時点では5月28日の開館を予定。
開館記念展として2期にわたるコレクション展
「開館記念展I 珠玉のコレクション一いのちの輝き・つくる喜び」(5月28日~7月5日)と、
「開館記念展II 秘蔵の東郷青児-多才な画家の創作活動に迫る」(7月18日~9月4日)を予定しています。

コロナウィルスの速やかな収束を願いつつ、
新生「SOMPO美術館」に期待しします。

Old Fashioned Club  月野景史

2019年12月 9日 (月)

【美術展】「リヒテンシュタイン 侯爵家の至宝展」文化村ミュージアム/欧州の宝石箱☆☆

東京渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムでは12月26日まで、
「リヒテンシュタイン 侯爵家の至宝展」が開催中です。
会期も残り僅かとなりました。


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リヒテンシュタイン 侯爵家の至宝展
2019/10/12(土)~12/26(木)
*好評につき、最終日が当初予定の12/23(月)→12/26(木)に延長になりました。
Bunkamura ザ・ミュージアム
主催:Bunkamura、日本経済新聞社、テレビ東京
後援:オーストリア大使館/オーストリア文化フォーラム、在日スイス大使館
作品画像提供:リヒテンシュタイン侯爵家コレクション、ファドゥーツ/ウィーン
http://www.liechtensteincollections.at/en/pages/1327.asp (英語)
公式サイト:https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/19_liechtenstein/


毎回ユニークな展覧会を開催する渋谷の文化村ミュージアム。
今回は「リヒテンシュタイン展」です。


リヒテンシュタインとは何か?
普通に考えれば人名でしょう。

系術家の名前としては聞いた記憶がないので、
コレクションしていた王族・貴族・富豪の名前か。
それも間違いではないですが、実は人名=国名なのです。

世界で唯一、侯爵家(君主)の家名が国名となっているのがリヒテンシュタイン。
スイスとオーストリアにはさまれた小国ながら、
世界でも屈指の規模を誇る個人コレクションを有し、
その華麗さが宝石箱にもたとえられ世界の注目を集めています。


西洋絵画のあのビッグネームが!
本展は、侯爵家秘蔵のルーベンス、ヤン・ブリューゲル(父)、クラーナハ(父)らビッグネームを含む、
北方ルネサンス、バロック、ロココを中心とする油彩画と、
ヨーロッパでも有数の貴族の趣向が色濃く反映されたウィーン窯を中心とする優美な陶磁器、
合わせて約130点で構成されます。

絵画はもちろん、名家所有の陶磁器の美も魅力です。
絵画と陶磁器の共演は、優雅さとくつろぎが調和。
貴族の宮廷空間へ誘ってくれます。

Old Fashioned Club  月野景史

2019年12月 1日 (日)

【美術展】「ハプスブルク展 600年にわたる帝国コレクションの歴史」国立西洋美術館/壮大なる美術絵巻

東京上野の国立西洋美術館では来年1月26日まで、
「日本・オーストリア友好150周年記念 ハプスブルク展 600年にわたる帝国コレクションの歴史」展が開催中です。

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日本・オーストリア友好150周年記念
ハプスブルク展 600年にわたる帝国コレクションの歴史
2019年10月19日(土)~2020年1月26日(日)
国立西洋美術館
毎週金・土曜日:9:30~20:00 
主催:国立西洋美術館、ウィーン美術史美術館、TBS、朝日新聞社共催:日本経済新聞社
後援:オーストリア大使館、オーストリア文化フォーラム、BS-TBS
https://habsburg2019.jp/


日本が誇る西洋美術の殿堂「国立西洋美術館」
2019年秋から2020年初春にかけての目玉は「ハプスブルグ」展です。


ハプスブルグ家
西洋史において、そして西洋美術・文化を語る時に
多く耳にする言葉です。

しかし、大変な栄華を誇った名門・名家であることはわかっても、
その系譜は複雑で、概要を理解するのはなかなか大変です。

13世紀後半にオーストリアに進出後、同地を拠点に勢力を拡大し、
広大な帝国を築き上げたハプスブルク家。
15世紀以降は神聖ローマ皇帝の位を独占します。

同家がオーストリア系とスペイン系に系統分化した16-17世紀には、
後者がアジアやアフリカ、南アメリカにも領土を有したことにより、
まさに「日の沈むことのない帝国」となります。

ナポレオン戦争を引き金とした神聖ローマ帝国の解体後は、
オーストリア帝国(1867年にオーストリア=ハンガリー二重帝国に改組、~1918年)を統治しました。
数世紀にわたって広大な領土と多様な民族を支配し続けた同家は、まさに欧州随一の名門と言えるでしょう。


ハプスブルグ家と芸術
西洋美術史・絵画史ととハプスブルグの関係は切っても切れません。

ハプスブルク家の人々は豊かな財とネットワークを生かして、
質量ともに世界屈指のコレクションを築いたことでも知られます。

このうちオーストリアを拠点とし続けた同家本流による収集品の主要部分は、
オーストリア=ハンガリー二重帝国「最後の皇帝」ことフランツ・ヨーゼフ1世肝煎りで
1891年に開館したウィーン美術史美術館の礎となりました。

オーストリアと日本の国交樹立150周年を記念する本展では、
同館の協力のもと、絵画、版画、工芸品、タペストリー、武具など100点、
5章7セクションによって、そのコレクションがご紹介されています。

個性豊かなハプスブルク家の人々や、当時の宮廷生活の紹介も行いつつ、
時代ごとに収集の特色やコレクションに向けられたまなざしのあり方を浮き彫りにしていきます。


印象派やフェルメールもいいですが、やはりこの時代のコレクションのスケールは抜群。
数世紀にわたってヨーロッパの中心に君臨した、
帝室ならではの華麗なるコレクションの世界が堪能できます。

Old Fashioned Club  月野景史

2019年9月23日 (月)

【美術展】「コートールド美術館展 魅惑の印象派」東京都美術館/麗しの『フォリー・ベルジェールのバー』(マネ)が遂に来日

上野の東京都美術館では9月10日まで、
「コートールド美術館展 魅惑の印象派」展を開催中です。



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コートールド美術館展 魅惑の印象派
2019年9月10日(火)~12月15日(日)
東京都美術館 企画展示室
主催:東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)、朝日新聞社、NHK、NHKプロモーション
https://courtauld.jp/index.html



本展は絵画のジャンルとして人気の高い
19世紀フランスの“印象派”をメインとした展覧会。

しかし、来日した作品はフランスの美術館に所蔵されているわけではありません。
「コートールド美術館」はイギリス・ロンドンにある美術館です。
今回展示されているのはそこの所蔵作品です。

もっとも、これは珍しいことではもありません。
例えば今年の4月~6月に渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで開催され
このブログでも「印象派への旅 海運王の夢 バレル・コレクション」も
フランス印象派絵画メインの展覧会でしたが、作品達は英国スコットランドから来日しました。

イギリスやアメリカ、その他の国の美術館でも印象派に限らず
フランス絵画をコレクションしている美術館は多く、
そこの作品を借りて日本で展覧会を開催されることもまた多いのです。


ロンドンのコートールド美術館
イギリスが世界に誇る印象派・ポスト印象派の殿堂。

美術館の創設者サミュエル・コートールド(1876-1947)はイギリスの実業家。
卓越した審美眼を持つコレクターでもありました。

フランス近代絵画の魅力を母国に伝えたいと、1920年代中心に精力的な収集を行います。
1932年、ロンドン大学に美術研究所が創設されることが決まると、コレクションを寄贈。
研究所はコートールド美術研究所と名付けられ、その展示施設としてコートールド美術館が誕生しました。


フォリー・ベルジェールのバー
そして今回、美術館の改修工事のために多くの名作が来日することになりました。
ルノワールが第一回印象派展に出品した記念碑的作品『桟敷席』、
セザンヌ『カード遊びをする人々』、ゴーガン『ネヴァーモア』など巨匠たちの代表作がずらりと並びます。

その中でも注目はやはりマネ最晩年の傑作『フォリー・ベルジェールのバー』(1882年)でしょう。
私も大好きな作品で、以前にこのブログでも本作について書いたことがあります。
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2010/07/post-7883.html



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『フォリー・ベルジェールのバー(A Bar at the Folies-Bergere)』
エドゥアール・マネ(1882年)


19世紀の麗しき女性バーテンダーとの邂逅。
是非お見逃しなく。

Old Fashioned Club  月野景史

2019年7月31日 (水)

【美術展】「みんなのミュシャ」文化村ミュージアム/ミュシャとその影響を受けた作品たち

東京渋谷の文化村 ザ・ミュージアムでは9月29日まで、
「Bunkamura 30周年記念 みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ ― 線の魔術」が開催中です。


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Bunkamura 30周年記念 みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ ― 線の魔術
2019/7/13(土)~9/29(日)
Bunkamura ザ・ミュージアム
主催:Bunkamura、ミュシャ財団、日本テレビ放送網、BS日テレ、読売新聞社
https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/19_mucha


アルフォンス・ミュシャ
(Alfons Maria Mucha 1860年7月24日 - 1939年7月14日)
チェコ出身でフランス等で活躍した画家、グラフィックデザイナー
特に美しく華やかなポスター芸術で知られます。

19世紀末から20世紀初頭のアール・ヌーヴォーの時代。
ミュシャが作り出した「線の魔術」ともいえるポスターは、
没後80年経った今でも、世界中の人たちを魅了し続けています。

本展は彼が手がけたポスターなどのグラフィック作品をはじめ、
その作品に強い影響を受けた日本の明治期の文芸誌、
1960年代を中心にアメリカ西海岸やロンドンで一大ブームを巻き起こしたグラフィック・アート作品、
そして日本のマンガ家やグラフィック・アーティストの作品などおよそ250点を展示し、
時代を超えて愛されるミュシャの人気の秘密を探る、斬新な展覧会です。


本展のタイトルは「みんなのミュシャ」
たしかにミュシャの人気は日本でも大変高い。
このブログ「Old Fashioned Club」  第1回のテーマもミュシャでした。

その後、2017年に東京六本木の国立新美術館で開催されたミュシャ展には
晩年の油彩画の超大作『スラブ叙事詩』が展示されました。
圧倒的なスケールで、連日満員の大盛況でした。

今回はこの時に比べれば小規模ですが、
ミュシャといえばポスターに代表されるグラフィックアート。
それは充分に揃えられています。
展示作品から少し紹介します。



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『ジスモンダ』(1894年)
ミュシャの出世作として伝説的な作品。

19世紀末のパリ。
ミュシャは故郷のチェコを離れ、この芸術の都にいました。
絵の勉強に励むも支援を打ち切られ、本の挿絵などで生計を立てるその日暮らし。

1894年のクリスマスの時期。
ミュシャが校正の仕事をしていた印刷所に、
大女優サラ・ベルナールの公演『ジスモンダ』の急なポスター制作依頼が舞い込みます。
ミュシャにポスターの原画制作の実績はありませんでしたが、
年末の休暇の時期で他に人がおらず、ミュシャが手がけることになります。

出来上がったポスターはベルナールに気に入られたのみならず、
パリ中の話題になり、ミュシャは一躍時代の寵児となりました。

虚実入り交ざっているかも知れませんが、これがミュシャの成功譚の大枠です。
当時、ミュシャは既に34歳。
今ならともかく、当時としてはだいぶ遅咲きです。



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 『舞踏(ダンス)』~連作『四芸術』より (1898年)
今回の看板作品としてパンフレットにメインで使用されています。
『四芸術」という4点の作品からなる連作の1点です。

他の“三芸術”は『詩』『絵画』『音楽』。
本展では『詩』と『絵画』も出展されていますが、『ダンス』とは別の場所にあります。


ポスターと装飾パネル
この作品は『ジスモンダ』と同様のグラフィックアートですが、
ポスターではありません。

ポスターは広告宣伝の為に制作される非売品。
商品、イベント等、なんらかの告知が含まれています。
『ダンス』の方は観賞用インテリアとしての販売を目的に作られたもので、
宣伝は含まれていません。

このような作品は「装飾パネル」と呼ばれます。
ただ、この名称はあまり一般的ではないかも知れません。
「装飾パネル」でネット検索しても、建築素材がヒットしたりします。

ともかく、印刷物ですから当然、本画よりは廉価
一般市民が広く芸術を楽しむようになった時代を象徴するアイテムといえるでしょう。


若き日の作品も
本展には、上述のベルナールとの出会い以前、
ミュシャが20代の頃に描いた貴重なイラストや、
本人がコレクションしていた書物・工芸品も数多く展示され、
ポスター画家として一世を風靡するまでの足跡をたどることができます。

その中には鳥や花が描かれた日本の七宝焼の壺など、
19世紀後半からヨーロッパで流行した日本趣味(ジャポニスム)の工芸品も含まれます。
ミュシャの孫であるジョン・ミュシャによると
ミュシャはジャポニスムから大きな影響を受けており、
『ジスモンダ』など縦長の作品の形状は、間違いなく日本美術の影響があるとのこと。
他にも、ミュシャがわずか8歳で描いたという『磔刑図』も必見。


ミュシャの影響を受けた作品群
本展には後の時代においてミュシャの影響を受け描かれたとされる作品が多く展示されています。

1960-70年代にアメリカやイギリスで発売されたレコード・ジャケットやロック・ポスター。
そして、日本の文芸誌やマンガ、イラストの数々。
つまり、ミュシャの生きた時代だけどはなく、現代に至る作品が展示されているので、
大変多彩な展覧会になっているのです。

Old Fashioned Club  月野景史

2019年7月15日 (月)

【美術展】「開館60周年記念 松方コレクション展」国立西洋美術館

東京上野の国立西洋美術館では9月23日まで。
「国立西洋美術館開館60周年記念 松方コレクション展」が開催中です。


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国立西洋美術館開館60周年記念 松方コレクション展
2019年6月11日(火)~2019年9月23日(月)
国立西洋美術館
主催:国立西洋美術館、読売新聞社、NHK、NHKプロモーション
協賛:清水建設、損保ジャパン日本興亜、NISSHA、三井住友銀行協力:日本航空、西洋美術振興財団
https://artexhibition.jp/matsukata2019/


日本における西洋美術の殿堂といえば国立西洋美術館。
現在は開館60周年企画として「松方コレクション展」が開催中です。
ところで、松方コレクションとは何か?


松方コレクションとは
神戸の川崎造船所(現・川崎重工業株式会社)を率いた
実業家・松方幸次郎(1866-1950)が収集した美術コレクションのこと。

彼は第一次世界大戦による船舶需要を背景に事業を拡大しつつ、
1916-1927年頃のロンドンやパリで大量の美術品を買い集めます。
当時の松方のコレクションは、モネやゴーガン、ゴッホからロダンの彫刻、近代イギリス絵画、
中世の板絵、タペストリーまで多様な時代・地域・ジャンルからなり、
更に日本のために買い戻した浮世絵約8000点も加えれば1万点に及ぶ規模でした。

しかし1927年、昭和金融恐慌のあおりで造船所は経営破綻に陥り、
そこからコレクションは流転の運命をたどります。
日本に到着していた作品群は売り立てられ、

ヨーロッパに残されていた作品も一部はロンドンの倉庫火災で焼失、
他の一部は第二次世界大戦末期のパリでフランス政府に接収されました。

そして戦後を迎え、ようやくフランスから日本へ寄贈返還された375点とともに、
1959年、国立西洋美術館が誕生した際、松方コレクションは安住の地を見出したのです。
つまりは松方コレクションとは、国立西洋美術館の根幹となる作品群なのです。


開館60周年を記念した本展では、名高いゴッホ《アルルの寝室》や、
2016年に発見されたモネの《睡蓮、柳の反映》など国内外に散逸した名品も含め、
作品約160点や歴史資料が展示されます。
近代日本において、時代の荒波に翻弄され続けた松方コレクションの
百年に及ぶ航海の軌跡をたどる展覧会です。

Old Fashioned Club  月野景史

2019年6月23日 (日)

【美術展】「キスリング展 エコール・ド・パリの夢」/“モンパルナスのプリンス”の美しき作品たち

東京目黒の東京都庭園美術館では7月7日まで、
「キスリング展 エコール・ド・パリの夢」が開催中です。
会期も残り僅かとなっています。


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キスリング展 エコール・ド・パリの夢
2019年4月20日(土)– 7月7日(日)
東京都庭園美術館
主催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都庭園美術館
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
https://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/190420-0707_kisling.html


キスリング
(Kisling 1891-1953)

エコール・ド・パリを代表する画家

エコール・ド・パリとは
20世紀前半、各国各地からパリのモンマルトルやモンパルナスに集まり、
創作活動生活をしていた画家たちのことを言います。
よく知られた名称ですが、「印象派」のように作風による分類とは異なります。

主に1920年代を中心にパリで活動し、出身国も画風もさまざまな画家たちの総称です。
フランス人以外が多いですが、フランス人を含む場合もあります。


キスリングはポーランドのクラクフ出身
母国の美術学校を卒業後、19歳でパリにきました。
モンマルトルやモンパルナスで、ピカソ、ジョルジュ・ブラック、
モディリアーニ、パスキン等、多くの芸術家と知り合います。

キスリングといえば肖像画。
少女マンガのような大きな瞳が特徴で、本展でも堪能できます。
しかしそれ以外にも風景画、静物画、裸婦などにおいて独自のスタイルを発展させました。
ひれらも豊富に展示されています。
丁寧な筆致による洗練されたレアリスムと、静謐なムードに満ち、輝かしく官能的な色彩が魅力。
きれいな筆致、きれいな色の画家です。

1920年代~30年代、
キスリングは「モンパルナスのプリンス」と呼ばれ、時代の寵児となりました。
早くから評価され、社交的な性格で人望もあり、家族や友人にも恵まれた幸福な画家・・・
というイメージが強いのですが、
第一次世界大戦ではフランスの外国人部隊に入隊して負傷したり、
第二次世界大戦ではユダヤ人であったためにナチスの標的となり、
戦禍を避けてアメリカに身を寄せたり、その生涯は意外にも波乱に満ちていたりもします。


本展は2007年に日本国内を巡回した「キスリング」展以来、
12年ぶりに開催されるキスリングの個展。
「モンパルナスのプリンス」の筆による美しい作品たちは必見です。

Old Fashioned Club  月野景史

2019年6月 1日 (土)

【美術展】「ドービニー展 バルビゾン派から印象派の架け橋」損保ジャパン日本興亜美術館

東京新宿の損保ジャパン日本興亜美術館では6月30日まで、
「シャルル=フランソワ・ドービニー展 バルビゾン派から印象派の架け橋」を開催中です。

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シャルル=フランソワ・ドービニー展
バルビゾン派から印象派への架け橋
2019年4月20日(土)~6月30日(日)
東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
主催 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館、読売新聞東京本社
https://www.sjnk-museum.org/program/5750.html


シャルル=フランソワ・ドービニー(1817~1878)
19世紀フランスの風景画家
今回はドービニーの日本初の本格的な展覧会となるようです。

ドービニーは絵画のジャンルでいうと、
「バルビゾン派」として知られます。
ただし、本展では“バルビゾンの画家”と表現されることを好まず、
その多様な活動を紹介しているように感じます。

刻々と変化する水辺の情景をみずみずしく表現したドービニーは、
バルビゾン派から印象派への架け橋となり、
クロード・モネやフィンセント・ファン・ゴッホらに影響をあたえました。
本展覧会では初期から晩年まで、ドービニーによる作品約60点、
ならびにコロー、クールベ、ドーミエ、デュプレ兄弟、息子のカールといった
ドービニー周辺の画家たちによる作品約20点が展示されています。


水の画家
ドービニーはモネも賞賛したという“水の画家”として知られます。
刻々と変化する水辺の情景を素早いタッチで描き、
印象派の画家たちの指針となり、モネやファン・ゴッホなど、
次世代の画家たちに大きな影響を与えました。

フランスのランス美術館を中心に、国内外各地の美術館・個人が所蔵する作品たち、
特に魅力深い水辺の絵を堪能できます。

Old Fashioned Club  月野景史

2019年5月20日 (月)

【美術展】「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」国立新美術館/オーストリア美術の真髄

東京六本木の国立新美術館では4月24日から
「日本・オーストリア外交樹立150周年記念 ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」を開催中。
8月5日までなので、3ヶ月近いロングラン開催です。
更にその後は大阪中之島の国立国際美術館で8月27日から12月8日まで開催予定。
東京・大阪の日本の二大都市で足掛け9ヵ月に及ぶ大型展です。


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日本・オーストリア外交樹立150周年記念 ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道
2019年4月24日(水)〜8月5日(月)
国立新美術館 企画展示室1E
主催 国立新美術館、ウィーン・ミュージアム、読売新聞社
後援 外務省、オーストリア大使館/オーストリア文化フォーラム、ウィーン市、ウィーン市観光局


二つの“クリムト展”
先日は東京都美術館で開催中の「クリムト展」(4月23日-7月10日)を紹介しました。
本展もタイトルに「クリムト」を冠した世紀末オーストリア・ウィーン美術中心の展覧会です。

今年は日本とオーストリアの外交が始まってから150年の記念の年で、
国立西洋美術館でも秋に関連の大型展が予定されています。

しかしそれはハプスブルグ展なので、時代が違いますが、
本展とクリムト展は「世紀末、ウィーン、クリムト」とあまりにテーマが被り、
そろが同じ東京の大美術館で時期ももろ被りとは、さすがにどうにかならなかったのかと感じます。
混同してしまう人も多いでしょう。

ただ、見比べると内容にはだいぶ違いがありました。
「クリムト展」の方が文字通り19世紀末ウィーンにほぼ特化しているのに対し、
この「ウィーン・モダン」展はもう少し幅広く、ハプスブルグ王朝をイメージさせる古典的な絵に
工芸品なども合わせた総合オーストリア芸術展の赴きがありました。

タイトルにも「世紀末への道」とあり、
そこに至るまでのアートについてもかなりのボリュームで展示されています。
ならばもう少しそれがわかるようなタイトルにすればとも思いますが、
そのあたりはまた改めるとして、本展の概要を少しだけ記しておきます。


花開く世紀末ウィーンへの道程
19世紀末から20世紀初頭にかけて、ウィーンでは絵画や建築、デザインなど、
それぞれの領域を超えて新しい芸術を求めた、独自の装飾的で煌びやかな文化が開花しました。

現在では「世紀末芸術」と呼ばれるこの時代には
絵画ではグスタフ・クリムト(1862-1918)やエゴン・シーレ(1890-1918)、
建築家オットー・ヴァーグナー(1841-1918)、アドルフ・ロース(1870-1933)など
各界を代表する芸術家たちが登場し、ウィーンの文化は黄金時代を迎えます。

本展は、ウィーンの世紀末文化を「近代化(モダニズム)への過程」という視点から紐解く新しい試みの展覧会です。
18世紀の女帝マリア・テレジアの時代の啓蒙思想がビーダーマイアー時代に発展し、ウィーンのモダニズム文化の萌芽となり、
19世紀末の豪華絢爛な芸術運動へとつながっていった軌跡をたどる本展は、
ウィーンの豊穣な文化を知る展覧会の決定版と位置づけられています。

Old Fashioned Club  月野景史

2019年5月18日 (土)

【美術展】「印象派への旅 海運王の夢」文化村ミュージアム/フランス印象派の名画がスコットランドより来日

東京渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムでは同館の30周年記念事業として、
「印象派への旅 海運王の夢 バレル・コレクション」が開催中です。

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印象派への旅 海運王の夢 バレル・コレクション
2019年4月27(土)-6月30日(日)
Bunkamura ザ・ミュージアム
主催 Bunkamura、毎日新聞社


日本でも人気も知名度の高い「印象派」絵画。
19世紀後半のフランス・パリで花開き、
西洋絵画に革新をもたらしたジャンルです。

本展はそのフランス印象派絵画を中心とした催しですが、
フランスではなく、イギリスのスコットランドから来た絵が展示されています。

タイトルに「海運王の夢 バレル・コレクション」とありますが、
これは何なのか?

「バレル」とはこの人のこと。

ウィリアム・バレル(1861-1958)
1861年に英国スコットランドの海港都市グラスゴーに生まれる。
15歳で家業の海運業を手伝い始め、24歳で父親の跡を継ぐ。
その後、船舶の売買で大成功し「海運王」と称された。
19世紀末から20世紀前半に大実業家の富豪となった人です。

当時、英国随一の海港都市として経済成長が著しかったグラスゴーでは、
美術品市場も活況となっていました。

バレル氏も少年の頃から美術品に関心を持って収集を始めており、
1890年代から1920年代にかけて、グラスゴー出身の画商アレクサンダー・リードから作品を購入。
5,000年に及ぶ、古今東西の美術工芸品を収集したました。

つまり「バレル・コレクション」とはこの海運王ウィリアム・バレル氏が
収集した芸術作品のコレクションなのです。


門外不出の作品たち
バレル氏は亡くなる前にコレクションをグラスゴー市に寄贈しました。
その条件として、当時深刻な社会問題であった大気汚染の影響が少ない郊外に
コレクションの作品を展示することを求めました。

グラスゴー市はその条件を守り、1983年に郊外のポロック公園内にコレクションを移し、
バレル・コレクション(The Burrell Collection)として一般公開。
以降、近代名画を集めた世界屈指のコレクションと称され多くの観光客が訪れています。

そしてバレル氏はもうひとつ条件を出していました。
それは英国外に作品を持ち出さないこと。
だから今まで、英国以外でコレクションを観ることは出来なかったのです。

しかし、同館は2015年から2020年まで改修工事により閉館しているため、
英国外への作品の貸し出しが可能になり、海を越えて本展の開催が実現したわけです。

この話を聞くと、
休館中だからといって海外に持ち出していいということにはならないのでは?
という疑問は感じますが、まぁそこは言わないことにして。
門外不出の名画たちを日本で気軽に観る機会に恵まれたのだからいいとしましょう。

本展は全国5ヶ所を巡回中で既に福岡と愛媛は終了。
この東京展の後は8月7日(水)~10月20日(日)に静岡市美術館、
11月2日(土)~2020年1月26日(日)に広島県立美術館で開催されます。

Old Fashioned Club  月野景史

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