01.Art 美術 (展覧会)

2017年3月10日 (金)

【美術展】「FACE展 201‐損保ジャパン美術賞展」/現代日本の芸術家達による公募展

東京新宿の東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館では3月30日まで
「FACE展 2017 ‐損保ジャパン美術賞展」が開催中です。

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FACE展 2017 ‐損保ジャパン美術賞展
2017年2月25日(土)~3月30日(木)
東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
主催:東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館、読売新聞社
http://www.sjnk-museum.org/program/4591.html

本展は損保ジャパン日本興亜美術財団の公益財団法人への移行を機に創設され、
今回で5回目の開催。
新進作家の動向を反映する公募コンクールです。

「年齢・所属を問わず、真に力がある作品」を公募し、
全国各地の幅広い年齢層の902名の新進作家たちのご応募がありました。
四次の「入選審査」と二次の「賞審査」を経て入選作品71点(内受賞作品9点)が決定、展示されています。

昨年は開幕前に内覧会があったのですが、
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2016/02/face-2016-3f6f.html
今年は特に内覧会の案内はなく(キャンペーンはありましたが)
少々出遅れました。

現代の、日本の新進画家達の展覧会。
これはなかなか楽しいです。
既に受賞作は決まっていますが、
観覧者は好きな作品を1点選び、投票するシステムになっています。

ただ、あくまで私の好みですが、今回は昨年に比べるとやや不作でした。
昨年は1位に推したい作品が何点かあって迷いましたが、
今年はそこまでは思いませんでした。
だからひとつ選ぶのは逆に迷いましたが。

いくつか気に入った作品を揚げさせてもらいます。


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Old Fashioned Club  月野景史

2017年3月 7日 (火)

【美術展】「マティスとルオー展 」パナソニック 汐留ミュージアム/書簡から浮かぶ二人の画家

東京のパナソニック 汐留ミュージアムでは3月26日まで、
「マティスとルオー展 ―手紙が明かす二人の秘密―」が開催中です。
会期も残り少なくなってきました。

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マティスとルオー展 ―手紙が明かす二人の秘密―
2017年1月14日(土)~3月26日(日)
パナソニック 汐留ミュージアム
主催:パナソニック 汐留ミュージアム、産経新聞社
後援フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本、港区教育委員会特別協力ジョルジュ・ルオー財団 協力日本航空
https://panasonic.co.jp/es/museum/exhibition/17/170114/

パナソニック 汐留ミュージアムはジュルジュ・ルオーのコレクションで知られます。
今回はルオーと、アンリ・マティスの展覧会。

アンリ・マティス
(Henri Matisse, 1869年12月31日 - 1954年11月3日)

ジョルジュ・ルオー
(Georges Rouault, 1871年5月27日 - 1958年2月13日)

ジャンルでいえば、共にフォーヴィスム(野獣派)の代表画家ということになります。


マティスとルオー
この二人は若き日にフランスの国立美術学校で共に学んだ間柄。
本店は二人の間で交わされた書簡をベースに構成されています。

1906年8月30日、アフリカ旅行から戻った36歳のマティスは、
「中でも砂漠はすごかった」と、その強い印象を友人のルオーに書き送りました。
以来、二人の偉大なフランス人画家が交わした膨大な手紙のやりとりは、
マティスが亡くなる前年の1953年まで、断続的に続きました。

マティスとルオーの画風は全く異なります。
しかし、フランス絵画の伝統の継承者としての誇りと責任感を共有していました。

それは、外国人を受け入れて輝きを増すフランス、
あるいは第二次世界大戦に苦悩するフランス、
そのいずれにあっても揺らぐことなく、
自らの絵画で回答し続けた姿勢にも表れています。

本展では、二人や家族の手紙を紹介しながらその時期の絵画作品が展示されています。
マティスの静物画《スヒーダムの瓶のある静物》をはじめとする貴重な初期の作品や、
ルオーの重要な版画集『気晴らし』の油彩原画シリーズの全点出品など、
フランスからの初来日作品を含む合計約140点を通して、
マティスとルオーの友情の秘密に立体的に迫っています。

私はマティスの1920年代前半のニース時代の明るく優しい色彩が気に入りました。

Old Fashioned Club  月野景史

2017年1月11日 (水)

【美術展】「マティスとルオー展 -手紙が明かす二人の秘密 -」パナソニック 汐留ミュージアム 1月14日開幕

東京のパナソニック 汐留ミュージアムでは2017年1月14日から3月26日まで、
「マティスとルオー展 ― 手紙が明かす二人の秘密 ― 」が開催されます。

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マティスとルオー展 ― 手紙が明かす二人の秘密 ―
2017年1月14日(土)~3月26日(日)
パナソニック 汐留ミュージアム

主催:パナソニック 汐留ミュージアム、産経新聞社
後援:フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本、港区教育委員会
特別協力:ジョルジュ・ルオー財団
協力:日本航空
http://panasonic.co.jp/es/museum/exhibition/17/170114/index.html


パナソニック 汐留ミュージアム
2003年オープンの比較的新しい美術館。
そもそも汐留という街自体が都心の複合都市として生まれ変わったのは最近の事で、
それと共に誕生した美術館です。
本館は19世紀末から20世紀にかけて活躍したフランスの画家
ジョルジュ・ルオー(1871-1958)の作品のコレクションで知らせれいます。


マティスとルオー
今回はそのルオーともう一人、フランス近代絵画の巨匠アンリ・マティス(1869-1954)の展覧会です。

この二人はパリの国立美術学校の盟友です。
象徴派の巨匠で名教師としても知られるギュスターヴ・モロー教室で共に学んだ関係なのです。
ジャンルでいえば、二人はフォーヴィズムを代表する画家という事になります。

本展ではこの二人のあいだに交わされた半世紀にわたる手紙のやりとりを手がかりに、
油彩画を中心として、手紙、デッサン、版画、彫刻、絵付け陶磁器、タピスリーや、
当時最高の技術と気概を持つ出版人との協働で生み出された美麗な挿絵本などを紹介しながら、
タイトルにあるように、手紙に秘められた二人の友情を解き明かす展覧会となるようです。

出品作は、マティスの貴重な初期の静物画、ルオーの重要な版画集『気晴らし』油彩画シリーズ全点など、
日本初公開作品を含む約140点が公開されます。

Old Fashioned Club  月野景史

2017年1月 9日 (月)

【美術展】「クインテットⅢ‐五つ星の作家たち‐」損保ジャパン日本興亜美術館 1月14日開幕/日本の5人の現役画家の競演

東京新宿の東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館では1月14日より2月19日まで
企画展「クインテットⅢ ‐五つ星の作家たち‐」が開催されます。


クインテットⅢ ‐五つ星の作家たち‐
2017年1月14日(土)~2月19日(日)
東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館

主催:東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館、朝日新聞社
協賛:損保ジャパン日本興亜、SHISEIDO
http://www.sjnk-museum.org/program/4512.html


東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
東京都庁をはじめ高層ビルが立ち並ぶ新宿西口のオフィス街。
その一角を為す損保ジャパン日本興亜本社ビルの42階、
まさに東京の摩天楼にある美術館。

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美術と共に絶景も楽しめます。

館名にあるように東郷青児作品のコレクションで知られますが、
のみならず毎年数多くのユニークな展覧会を開催してくれます。
私は新宿近隣在住なので、ここの展覧会はほぼすべて楽しませてもらっています。

西洋絵画史上の巨匠の回顧会も多いのですが、今回は日本の現役画家の展覧会。
これもまた楽しみです。


クインテットⅢ ‐五つ星の作家たち‐
タイトルにある「クインテット」とは五重奏、つまり5人の画家の展覧会。
約20年間の継続的な作品発表実績があり、また将来も有望な5人の作家たちを紹介する
シリーズ企画の第3弾で、今回は川城夏未、木村佳代子、橋本トモコ、堀由樹子、
横溝美由紀各氏の近作・新作約70点が展示されます。

この展覧会は回ごとにテーマがあり、第1回、第2回は「風景」、
第3回となる本展のテーマは「自然」とのことです。
「風景」と「自然」・・・。
ちょっと聞くと同義にも思えますが、そうではないですね。

公式サイトの紹介文から引用します。
「5人の作家たちは、都会に生まれ育ち暮らしながら憧憬の念と共に「自然」を見つめ、
取り囲む環境を手掛かりに制作しています。それらは写実的に描写する作品という
よりも、日常接する「自然」に自らの記憶や思考を重ね、豊かな感性と個性で形象化
する作品と言えます。

私たちと同時代に制作された5人の絵画の前に佇むことで、私たちの心に奏でられる
各々の五重奏は、爽やかな「残響」としてしばらく留まることでしょう。」


Old Fashioned Club  月野景史

2017年1月 6日 (金)

【美術展】「デトロイト美術館展 大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち」/月・火写真撮影可 米国から欧州の名画が来日

東京の上野の森美術館で1月21日まで
「デトロイト美術館展 大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち」が開催中です。

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デトロイト美術館展 大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち
2016年10月7日 (金) 〜 1月21日 (土)
上野の森美術館

主催:フジテレビジョン、産経新聞社、ぴあ、上野の森美術館
後援:外務省
http://www.detroit2016.com/


上野の森美術館
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名立たる美術館・博物館が建ち並ぶ上野公園周辺の一角。
国立西洋美術館や東京都美術館と比べるとやや規模は小さいですが、
上野の森美術館ではなかなかユニークに展覧会が開催されています。
会期も残り僅かとなりました。


デトロイト美術館
アメリカ東部、五大湖周辺地区の都市ミシガン州デトロイトの美術館。
五大湖地区は自動車産業の中心地として繁栄してきました。

デトロイト美術館は1885年に創立。
以来、自動車業界の有力者らの資金援助を通じて、
世界屈指のコレクションを誇る美術館として成長してきました。
ゴッホやマティスの作品をアメリカの公共美術館として初めて購入したのもデトロイト美術館でした。
ヨーロッパの名画が大西洋を越え、アメリカ東部の美術館に集まったのです。

しかし産業の衰退により、2013年、デトロイト市は財政破綻。
市の財源確保を目的として所蔵品売却の可能性が取りざたされましたが、
国内外からの協力、そしてデトロイト市民の声により、
作品は1点も失われることなく市民の憩い・学びの場として存続しています。

かつて富の象徴であった、その町が可能にした奇跡のコレクション。
モネ、ドガ、ルノワール、ゴッホ、ゴーギャン、セザンヌ、マティス、モディリアーニ、ピカソ等、
印象派、ポスト印象派、20世紀のフランス、ドイツの数々の傑作の中から選らばれた全52点。
まさにヨーロッパ近代絵画の「顔」というべき名画達が来日しています。

本展は既に昨年春から豊田、大阪と巡回済み。
東京展がラストです。
お見逃しなく。

この展覧会は珍しく、月曜日と火曜日は展示室内の写真撮影が可能です。

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Old Fashioned Club  月野景史

2016年11月23日 (水)

【美術展】『拝啓 ルノワール先生 ―梅原龍三郎に息づく師の教え』三菱一号館美術館/国と年齢を越えた師弟関係

東京丸の内の三菱一号館美術館で12月18日まで、
『拝啓 ルノワール先生 ―梅原龍三郎に息づく師の教え』が開催中です。


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拝啓 ルノワール先生 ―梅原龍三郎に息づく師の教え
Bonjour, Monsieur Renoir; Renoir et Umehara –Joie de peindre 
10月19日(水)〜 2017年1月9日(月・祝)

主催 三菱一号館美術館、朝日新聞社
http://mimt.jp/renoirumehara/
※本展終了後は大坂・あべのハルカス美術館に巡回 2017年 1月24日(火)~ 3月26日(日)

日本の近代洋画界を代表する画家、
梅原龍三郎(1888年3月9日 - 1986年1月16日)
彼は1908年、二十歳の時に渡仏し、翌年、ルノワールに出会います。

ピエール=オーギュスト・ルノワール
(Pierre-Auguste Renoir 1841年2月25日 - 1919年12月3日)

フランスの印象派絵画の巨匠。
日本でもその人気は高く、今年も国立新美術館で大規模な回顧展が開催されました。
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2016/07/post-8a85.html

梅原と会った時のルノワールは67歳。
既に大御所で晩年にさしかかっており、リューマチ性の疾患に苦しんでいたのですが、
旺盛な制作意欲は衰えていませんでした。

本展はルノワールと梅原の師弟関係を軸に、その画業を追った展覧会です。
ルノワールの他にもルオーやピカソなど、
梅原が出会い収集した西洋美術コレクションも紹介されています。
梅原の優れた蒐集家としての面に接する機会でもあります。


Old Fashioned Club  月野景史

2016年11月22日 (火)

【美術展】『ゴッホとゴーギャン』東京都美術館/因縁深き二人W主役の展覧会

東京上野の国立新美術館で12月18日まで『ゴッホとゴーギャン展』が開催中です。

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ゴッホとゴーギャン展
Van Gogh and Gauguin: Reality and Imagination
2016年10月8日(土)~12月18日(日)
東京都美術館

主催:東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)、東京新聞、TBS
http://www.g-g2016.com/

フィンセント・ウィレム・ファン・ゴッホ
(Vincent Willem van Gogh、1853年3月30日 - 1890年7月29日)
オランダ出身で主にフランスで活動したポスト印象派の画家。

ウジェーヌ・アンリ・ポール・ゴーギャン
( Eugène Henri Paul Gauguin 1848年6月7日 - 1903年5月8日)
フランスのポスト印象派の画家。姓は「ゴギャン」「ゴーガン」とも。


19世紀末の同時代を生きた、共に西洋絵画史におけるスーパースター。
そして、極めて因縁深い二人の名を冠した、いわばW主演の展覧会です。

ジャンルでいうと、二人とも“ポスト印象派”
といっても、そう呼ばれるのはこの二人とポール・セザンヌくらいなのですが。

オランダの牧師の家庭に育ったファン・ゴッホと、
南米ペルーで幼年期を過ごしたゴーギャン。
生い立ちや性格だけではなく、絵画表現も大きく異なります。

その彼らが1888年、南仏アルルで約2カ月の共同生活を送ります。
芸術家逹の理想郷を作るべく、先にアルルに移り住んだゴッホの誘いにゴーギャンが応じたのです。
時には激しい議論を重ねながら刺激を与え合い、共に制作に励みました。
そして・・・悲劇的な結末を迎えました。

あまりに有名なエビソードです。


本展にはファン・ゴッホとゴーギャンの初期から晩年にわたる
油彩画約50点を含む約60点が展示されます。
二人の画家の特徴を浮き彫りにし、その関係性と芸術性に光を当てられているのです。

公式サイトのイントロダクションでは表現を抑えているように感じますが、
この二人をセットで考えれば、いたたまれない悲痛を感じざるを得ません。
しかしこれは今更変えられないこと。
痛みを乗り越え、 偉大な画家の作品を同時に鑑賞できる楽しみに浸りましょう。

Old Fashioned Club  月野景史

2016年11月21日 (月)

【美術展】『クラーナハ展―500年後の誘惑』国立西洋美術館/北方ルネサンス巨匠 日本初の大規模展

東京上野の国立西洋美術館で来年1月15日まで、
『クラーナハ展―500年後の誘惑』が開催中です。

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クラーナハ展―500年後の誘惑
2016年10月15日(土)~2017年1月15日(日)
国立西洋美術館

主催:国立西洋美術館、ウィーン美術史美術館、TBS、朝日新聞社
http://www.tbs.co.jp/vienna2016/
※本展終了後は大阪に巡回
国立国際美術館にて 2017年1月28日(土)~ 4月16日(日)

呼称としては、私は「ルーカス・クラナハ」に馴染みがありますが、
本展では「ルカス・クラーナハ」、
wikipediaでは「ルーカス・クラナッハ」と、日本語表記が割れています。
この展覧会に合わせ、本項では一応「ルカス・クラーナハ」を採用します。


ルカス・クラナーハ
(Lucas Cranach der Ältere、1472年10月4日 - 1553年10月16日)

ルネサンス期のドイツの画家。
同名の息子も画家なので、ルカス・クラーナハ (父) と表記されることもありますが、
一般に「クラーナハ」といえばこの人を指します。
西洋絵画史上の超ピッグネームです。


北方ルネサンスの代表画家
ルネサンスについてはこのプログで超入門編を記しています。
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2012/01/post-2628.html

ルネサンス芸術の中心地はイタリアのフィレンツェとローマ。
次いで北のヴェネツィア
これらイタリアの地域よりも更に北の国々にも伝播したものを、北方ルネサンスと呼びます。
主にネーデルラント(現在のベルギー、オランダあたり)、そしてドイツが知られます。
クラーナハはアルブレヒト・デューラーと並び、ドイツルネサンスを代表する画家です。

特にアダムとイブやヴィーナスの立ち姿を描いた裸体画は特徴的で、
クラーナハの名を知らなくとも、見た記憶のある人は多いと思います。

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『ヴィーナス』 1532年 フランクフルト シューデル美術館
本展の出品作
クラーナハといえばこの身体のライン。そしてこの蠱惑的な表情です。


本展は日本初のクラーナハの大回顧展
ローマ、ロンドン、パリ、ブリュッセル等に次いでの日本開催で、
世界10カ国以上から、クラーナハ作品が日本に集結しました。
これほどの有名画家の展覧会が今まで日本で行われていなかったというのも意外ですが、
作品が世界に分散しているので、多くの作品を集めるのが難しかったのでしょう。
今回は大変貴重な機会です。

Old Fashioned Club  月野景史

以下、公式サイトより引用
ルカス・クラーナハ(父、1472-1553年)は、ヴィッテンベルクの宮廷画家として名を馳せた、ドイツ・ルネサンスを代表する芸術家です。大型の工房を開設して絵画の大量生産を行うなど、先駆的なビジネス感覚を備えていた彼は、一方でマルティン・ルターにはじまる宗教改革にも、きわめて深く関与しました。けれども、この画家の名を何よりも忘れがたいものにしているのは、ユディトやサロメ、ヴィーナスやルクレティアといった物語上のヒロインたちを、特異というほかないエロティシズムで描きだしたイメージの数々でしょう。艶っぽくも醒めた、蠱惑的でありながら軽妙なそれらの女性像は、当時の鑑賞者だけでなく、遠く後世の人々をも強く魅了してきました。
日本初のクラーナハ展となる本展では、そうした画家の芸術の全貌を明らかにすると同時に、彼の死後、近現代におけるその影響にも迫ります。1517年に開始された宗教改革から、ちょうど500年を数える2016-17年に開催されるこの展覧会は、クラーナハの絵画が時を超えて放つ「誘惑」を体感する、またとない場となるはずです。

2016年11月19日 (土)

【美術展】『世界に挑んだ7年 小田野直武と秋田蘭画展』サントリー美術館/江戸の世の謎深き“天才洋画家を“観賞

先日のブログで紹介した『世界に挑んだ7年 小田野直武と秋田蘭画展』を鑑賞してきました。
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2016/11/7-8d1e.html


世界に挑んだ7年 小田野直武と秋田蘭画展
2016年11月16日(水)~2017年1月9日(月・祝)
サントリー美術館
公式サイト:http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2016_5/


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重要文化財 不忍池図(部分)
小田野直武筆 一面 江戸時代 18世紀 秋田県立近代美術館
【展示期間:11/16~12/12】

本展の看板作品。

まさに“蘭画”。
日本人により、日本の風景を題材にし、
西洋の技術である遠近法を取り入れて描かれた、
江戸期日本の西洋風絵画といった趣きの絵です。

鑑賞して目に付いたのはやはりこの絵と、
もうひとつ、こちらは掛け軸で『鷹図』という力作がありました。
個人所像作のためか、残念ながら公式サイトやパンフにも載っていません。


さて、本展の主人公である小田野直武は秋田藩士の家に生まれですが、
江戸に出て平賀源内の下で蘭画を学びました。

『解体新書』の挿絵を描き、秋田蘭画の創始者となるのですが、
30歳になる前に謹慎を命じられて秋田に戻り、
翌年31歳の若さでなくなりました。

謹慎の事情は定かではありません。
謹慎と前後して源内の殺人罪による投獄があったのですが、
これと謹慎との因果関係も不明です。

そして、若くしての死の事情もよくわかっていません。
つまり、謎に満ちた人物なのです。

本展のタイトルに「世界に挑んだ7年」とありますが、
そのような意図を持って画業に取り組んでいたのか、
おそらく、人となりもあまりわかっていないようです。

しかし、主筋にあたり、絵師としても知られる秋田藩主の佐竹曙山や角館城代の佐竹義躬、
そして、西洋の技法を取り入れた画風で知られる高名な司馬江漢を指導したともされ、
短い生涯ながらその影響力は大きかったようです。

残された作品からも、並々ならぬ技量を感じます。
夭折の天才と呼んでいいでしょう。

秋田蘭画という分野自体、直武や曙山の死後、永く忘れられており、
再評価されたのは20世紀以降といいます。
なかなか面白い展覧会でした。

Old Fashioned Club  月野景史

2016年11月16日 (水)

【美術展】『ダリ展』国立新美術館/革命児の若き日からの才能に圧倒される

東京六本木の国立新美術館で12月12日まで『ダリ展』が開催中です。
盛況で会期末は更に混み合うかも知れません。
早めの来館をお薦めします。

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ダリ展
2016年9月14日(水)~12月12日(月)
国立新美術館 企画展示室1E

主催:国立新美術館、ガラ=サルバドール・ダリ財団、サルバドール・ダリ美術館、国立ソフィア王妃芸術センター、読売新聞社、日本テレビ放送網、BS日テレ 
http://salvador-dali.jp/


サルバドール・ダリ
(Salvador Dalí 1904年5月11日 - 1989年1月23日)

スペインのフィゲーラス出身。
いわゆるシュルレアリスムの代表的な画家です。

間違いなく20世紀を代表する芸術家の一人。
1929年に彗星のようにパリの美術界に登場し、
シュルレアリスムを代表する画家として活躍しますが、
やがてアメリカに進出し、大きな成功と人気を獲得しました。

映画や演劇、ファッションなどの異分野にも積極的に取り組み、
あのウォルト・ディズニーらともコラボレーションを行いました。

そして、自らジャーナリズムやメディアにも盛んに登場した人でもあります。
その奇抜な言動やファッションでも話題を集めてきました。
その意味では、芸術家のあり方を変革したともいえます。
作品も人物像も革命的、そして実にシュールで魅力的です。


ダリの傑作が世界から集結
本展は、ガラ=サルバドール・ダリ財団(フィゲラス)、
サルバドール・ダリ美術館(フロリダ州セント・ピーターズバーグ)、
国立ソフィア王妃芸術センター(マドリード)の、
世界の3つの主要なダリ・コレクションから来日する作品を中心に、
国内所蔵の重要作品を加えて、約250点によって多面的なダリの世界を紹介する、
日本では約10年ぶりとなる本格的な回顧展です。


若き才能に圧倒
本展はダリの長い画業における多くの作品が時代を追って8つのコーナーに分けて展示されていますが、
いかにもダリというイメージのシュルレアリスムに到達するはるか前、
若き日の初期作品において、その天才ぶりに圧倒されます。

是非鑑賞を推奨しますが、
土日祝日は混雑が予想さされますので(私も一度あきらめました)、
会期間際を避けてなるべく早めに、
また公式サイトで混雑状況の確認などされることもお薦めします。


Old Fashioned Club  月野景史

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