【生誕60年】『ウルトラマン』第8話「怪獣無法地帯」/五大怪獣 怪獣島の大激戦
『ウルトラマン』の前番組『ウルトラQ』第1話「ゴメスを倒せ!」は
東宝怪獣映画の代表作『モスラ対ゴジラ』のような本格怪獣対決物を
お茶の間のテレビで観る権利を当時の子どもたちに与えた画期的なものでした。
それからわずか9ヵ月、
ウルトラシリーズは今度はいわば“怪獣島”を舞台に五大怪獣が跋扈する一大巨編を送り出しました。
『ウルトラマン』 第8話「怪獣無法地帯」
1966年9月4日放送
ただ、五大怪獣とはいっても、スフランは植物怪獣ではなく植物ですし、
ピグモンは人間並みの大きさの友好珍獣なので、
巨大怪獣という意味では、レッドキング、チャンドラー、マグラーの三体です。
しかし、忘れがちですが、これにウルトラマンが加わるわけです。
もちろん、われらが科学特捜隊も大奮戦です。
だから、言ってみれば、
“五大怪獣 科学特捜隊 ウルトラマン 怪獣島の大激戦”
怪獣島のイメージ
この回の舞台となる多々良島はまさに“怪獣島”
このイメージは『ウルトラマン』オリジナルというわけでもありません。
古くは怪獣映画の古典『キングコング』(1933年)の
コングが住む島には恐竜たちもいましたし、
東宝怪獣映画でも例えば『モスラ』のインファント島、
他にも怪獣島とイメージさせるような舞台は登場します。
しかし、三体以上の怪獣が登場し、島内で物語が完結する本格怪獣島物となると、
東宝では1966年12月公開の『ゴジラ エビラ モスラ 南海の大決闘』が最初かと思うので、
「怪獣無法地帯」の方が順番が先ということになります。
この後、東宝は怪獣島物を連発するので、
いわば『ウルトラマン』が時代を作ったともいえます。
『南海の大決闘』の元企画自体は結構古いとも聞きますが、
あくまで公開順でいえば、「ウルトラマン」が先。
と、賛辞ばかりなのですが、少しネガティブなことも書きます。
引き立て役怪獣の功罪
日本に怪獣ブームを巻き起こした『ウルトラQ』ですが、
SFサスペンス色が強いドラマであり、本格的な巨大怪獣はそんなに多くはありません。
代表的なのはペギラ、ガラモン、パゴスの三体でしょうか。
この三体は着ぐるみの改造で、「怪獣無法地帯」に登場します。
ペギラ→チャンドラー
ガラモン→ピグモン
パゴス→マグラー
そもそも着ぐるみの存在しないスフランは別にして、
新造はレッドキングだけです。
パゴスはネロンガを経てのマグラーへの再改造で、厚い被り物をしているので、
元のイメージは上手い具合に分かり難くなっています。
ガラモンですが、日本を恐怖に陥れたあの不気味なロボットモンスターが、
ビジュアルはほぼそのまま、愛らしい友好珍獣に生まれ変わるのですから、不思議です。
演出の力ともいえるでしょうか。
しかしチャンドラーはどうか。
頭部に若干の改造を施してはいるが、全体としてはほぼペギラ。
ペギラは『ウルトラQ』における“怪獣王”とでもいうべき存在か。
魔神、絶対神などといってもいいかと。
二度の登場でも倒されていません。
そのペギラを新怪獣王レッドキングの引き立て役というか、
やられ役、かませ犬にしてしまったのは、さすがに感心しません。
またそうまでしてまつり上げたレッドキングを、
あんなに簡単にウルトラマンに負けさせたのも不可解です。
そういえば、後続の『ウルトラセブン』で、
ペギラやレッドキングをカプセル怪獣として登場させる案もあったと聞きます。
ちょっと聞くと面白そうですが、カプセル怪獣といえばまさに引き立て役。
怪獣王の演じる役割ではありません。
没になってよかったです。
Old Fashioned Club 月野景史
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