« 2026年7月 | トップページ

2026年8月

2026年8月12日 (水)

【生誕60年】『ウルトラマン』岩本博士(平田昭彦)の専門分野・守備範囲は?

Photo_20260813001201

科学特捜隊を支える科学ブレーンである岩本博士として出演し、
その怜悧な洞察力で『ウルトラマン』を引き締めた平田昭彦氏。

1954年の第一作『ゴジラ』で伝説的な芹沢博士を演じて以来、
東宝特撮映画で数々の名演を残してきた平田氏なので、
岩本博士はまさに適役でした。

その岩本博士ですが、そもそも専門分野は何か?
…というより、どういった分野に詳しいのか、守備範囲はどこまでなのか、
簡単に考察してみようかと思います。

別に粗さがしをしようというわけではありません。
岩本博士の偉大さの再発見が記述意図です。
『ウルトラマン』全39話中、岩本博士の登場回は全6話。
印象が強いキャラクターですが、意外と少ないのです。
順番に見ていきます。


第5話
ミロガンダの秘密
初登場回。
殺人事件の現場に残された証拠物を分析して、
動物性か植物性かを考察しているので、生物学が専門のように思えます。

ただ、ちょっとわかり難いのですが、最初の登場シーンは
事件現場である地質学者の研究室に臨場し、証拠物の調査をしています。
まるで『科捜研の女』の榊マリコ(沢口靖子)のような仕事ぶりで、
そもそもどういう立場で臨場したのか、よくわかりません。


第12話
ミイラの叫び
冒頭の発掘現場に登場。
遺跡の発掘というと考古学ということになりますが、
関心はミイラのみのようなので、となると広義の生物学か。

この回で科学センターの関係者であることが明らかになります。
Wikipediaでは関連資料から「所長」とされていますが、
この後の回を含め、劇中では所長とは明言されません。


第13話
オイルSOS
連続登場。
この回では、怪獣ペスターの出現後に現場に現れ、ペスターについての考察を述べています。
怪獣学の専門家といった趣です。

以上、第1クールである13話までの検証だと、
怪獣だって生物ですから、生物学が専門という印象です。
しかし、第2クールになると状況が一変します。


第16話
科特隊宇宙へ
この回で岩本博士は金星探査ロケット「フェニックス」を開発中であることが明らかになります。
となると守備範囲はロケット工学・航空宇宙工学系にまで広がります。

のみならず、科学特捜隊の主力機ジェットビートルの設計者であることも明かされます。
ビートルはただの超音速航空機ではなく、対怪獣・侵略宇宙人用の攻撃装備を持った戦闘機ですから、
単に航空工学の枠にも収まりません。

ともかく、ここにきて一気に工学系のイメージが強まりました。


第25話
怪彗星ツイフオン
この回では地球に接近する彗星ツイフォンについて分析しています。
天文学も守備分野か!
電子計算機で軌道について分析しており、天文学専門とまでは言えないかもですが、
博識であることはよりハッキリしました。


第39話(最終回)
さらばウルトラマン
この回ではなんといっても、ウルトラマンを倒した最強怪獣ゼットンを、
一撃で粉砕した無重力弾(ペンシル爆弾)の開発でしょう。
これにより、岩本博士の名はウルトラシリーズの伝説になりました。


以上、ごく簡単に振り返りました。
登場6話のうちの後半、特に16話と39話の強印象で工学系のイメージが強くなりましたが、
それだけでない博識ぶりがうかがえます。

実は、各話の企画段階では岩本博士登場予定の回はもっと多く、
平田氏のスケジュールが合わず、別の俳優が別人の科学者して演じた例がいくつもあるといいます。
守備範囲はもっと広がっていたのかも知れません。

一方で、結局専門は何なんだというツッコミどころも生じます。
しかし「博士」の「博」は「博識」「博学」「博物」の「博」。
つまり広い知識を持っている学者こそが「博士」なのだともいえます。

『ウルトラQ』の一の谷博士(江川宇礼雄)もそうでした。
もっとも一の谷博士に比べると岩本博士はビートル、フェニックス、無重力弾の印象から、
工学系のイメージが強いように思います。


平田昭彦氏について
平田氏はこの後、『ウルトラセブン』第1話に地球防衛軍参謀役で出演します。
この回に防衛軍幹部役で出演した方のうち、藤田進氏、佐原健二氏、宮川洋一氏は、
この後の回にも同じ役でセミレギュラーとして出演しますが、
平田氏は第1話のみの出演に終わってしまいました。
更なる登場が実現していれば、更なる伝説も生まれていたろうにと、残念に感じています。


Old Fashioned Club  月野景史

2026年8月 7日 (金)

【生誕60年】『ウルトラマン』第8話「怪獣無法地帯」/五大怪獣 怪獣島の大激戦

Photo_20260808004001

『ウルトラマン』の前番組『ウルトラQ』第1話「ゴメスを倒せ!」は
東宝怪獣映画の代表作『モスラ対ゴジラ』のような本格怪獣対決物を
お茶の間のテレビで観る権利を当時の子どもたちに与えた画期的なものでした。

それからわずか9ヵ月、
ウルトラシリーズは今度はいわば“怪獣島”を舞台に五大怪獣が跋扈する一大巨編を送り出しました。

『ウルトラマン』 第8話「怪獣無法地帯」
1966年9月4日放送

ただ、五大怪獣とはいっても、スフランは植物怪獣ではなく植物ですし、
ピグモンは人間並みの大きさの友好珍獣なので、
巨大怪獣という意味では、レッドキング、チャンドラー、マグラーの三体です。
しかし、忘れがちですが、これにウルトラマンが加わるわけです。
もちろん、われらが科学特捜隊も大奮戦です。

だから、言ってみれば、
“五大怪獣 科学特捜隊 ウルトラマン 怪獣島の大激戦”


怪獣島のイメージ
この回の舞台となる多々良島はまさに“怪獣島”
このイメージは『ウルトラマン』オリジナルというわけでもありません。

古くは怪獣映画の古典『キングコング』(1933年)の
コングが住む島には恐竜たちもいましたし、
東宝怪獣映画でも例えば『モスラ』のインファント島、
他にも怪獣島とイメージさせるような舞台は登場します。

しかし、三体以上の怪獣が登場し、島内で物語が完結する本格怪獣島物となると、
東宝では1966年12月公開の『ゴジラ エビラ モスラ 南海の大決闘』が最初かと思うので、
「怪獣無法地帯」の方が順番が先ということになります。

この後、東宝は怪獣島物を連発するので、
いわば『ウルトラマン』が時代を作ったともいえます。
『南海の大決闘』の元企画自体は結構古いとも聞きますが、
あくまで公開順でいえば、「ウルトラマン」が先。

と、賛辞ばかりなのですが、少しネガティブなことも書きます。


引き立て役怪獣の功罪
日本に怪獣ブームを巻き起こした『ウルトラQ』ですが、
SFサスペンス色が強いドラマであり、本格的な巨大怪獣はそんなに多くはありません。
代表的なのはペギラ、ガラモン、パゴスの三体でしょうか。

この三体は着ぐるみの改造で、「怪獣無法地帯」に登場します。
ペギラ→チャンドラー
ガラモン→ピグモン
パゴス→マグラー

そもそも着ぐるみの存在しないスフランは別にして、
新造はレッドキングだけです。

パゴスはネロンガを経てのマグラーへの再改造で、厚い被り物をしているので、
元のイメージは上手い具合に分かり難くなっています。

ガラモンですが、日本を恐怖に陥れたあの不気味なロボットモンスターが、
ビジュアルはほぼそのまま、愛らしい友好珍獣に生まれ変わるのですから、不思議です。
演出の力ともいえるでしょうか。

しかしチャンドラーはどうか。
頭部に若干の改造を施してはいるが、全体としてはほぼペギラ。
ペギラは『ウルトラQ』における“怪獣王”とでもいうべき存在か。
魔神、絶対神などといってもいいかと。
二度の登場でも倒されていません。

そのペギラを新怪獣王レッドキングの引き立て役というか、
やられ役、かませ犬にしてしまったのは、さすがに感心しません。

またそうまでしてまつり上げたレッドキングを、
あんなに簡単にウルトラマンに負けさせたのも不可解です。


そういえば、後続の『ウルトラセブン』で、
ペギラやレッドキングをカプセル怪獣として登場させる案もあったと聞きます。
ちょっと聞くと面白そうですが、カプセル怪獣といえばまさに引き立て役。
怪獣王の演じる役割ではありません。
没になってよかったです。


Old Fashioned Club  月野景史

2026年8月 4日 (火)

【生誕60年】『ウルトラマン』第5話「ミロガンダの秘密」:怪奇ミステリの傑作/連続殺人を追う科特隊

Photo_20260804003401


初代の『ウルトラマン』全39話の中でもマイベスト3を挙げるならば、

原点たる第1話「ウルトラ作戦第1号」は別格として、以下3エピソードです。

第5話 「ミロガンダの秘密」
第7話 「バラ―ジの青い石」
第38話「宇宙船救助命令

いずれも少々混み入った話で、つっこみどころも多いのですが、
難しいテーマに向き合い、ドラマ作りにチャレンジしたからこそ、
30分の子ども向け怪獣番組の枠を越えた傑作になったのだと思っています。

今回はその中から「ミロガンダの秘密」を取り上げます。
上に挙げた他の2本は極めてスケールも大きな話で、
それらに比べてスケール感という点では劣りますが、
若干のホラーテイストも含んだミステリドラマとして、傑作です。


冒頭、科学特捜隊員たちは近々に発生した三件の殺人事件の捜査に手分けして取り掛かります。
怪獣が出現して暴れているから出動したわけではありません。

なぜ科特隊が連続殺人事件の捜査を?
と思うかも知れませんが、
そもそも第1話で明言されている彼らの任務は
「怪事件や異変の捜査と、宇宙からの侵略に対する防衛」であり、
怪獣退治が専門ではないのです。

この回はまさに怪事件の捜査からストーリーが始まる典型ですが、
この回に限らず、最初から怪獣が現れて出動というパターンは意外に少なく、
捜査を進めるうちに怪獣に行き着く流れがほとんどです。
その意味で、『ウルトラマン』は基本的にはミステリドラマであるといえます。

科学捜査の助力者として登場するのは、初お目見えとなる岩本博士(平田明彦)。

セミレギュラーとして強い印象を残すキャラですが、
意外にも平田氏の出演は全39話中の6話のみで、貴重な登場回です。

そうするうちに更に一人が殺害されます。
科特隊は被害者が全員オイリス島調査団のメンバーだったことを突き止め、
メンバーの残る一人である女性カメラマンの浜口節子(若林映子)の自宅でボディガードに付きます。

若林さんは東宝の特撮映画やスパイアクション物でもヒロイン格で演じてきた
ちょっとミステリアスな魅力を持った女優。
平田昭彦、若林映子、俳優陣も最高の顔ぶれです。

そして、浜口節子の口からオイリス島での体験談が語られます。
もちろん、映像作品ですから、オイリス島での模様も映像で再現されます。

このゲスト登場人物によって異境・秘境での冒険譚が語られるという手法は、
かのシャーロック・ホームズシリーズの長編4作のうちの3作
『緋色の研究』『四つの署名』『恐怖の谷』に共通します。
まさに古典ミステリの王道!

そしてこの探検譚を聞いたハヤタ隊員は名探偵ぶりを発揮、
怜悧な推理力を披露し、連続殺人の真相を解き明かします。
ハヤタのこういうシーンは意外とレアだったりします。


と、ここまでがミステリパート。
この後は奇怪な植物怪獣グリーンモンスと科学特捜隊、そしてウルトラマンとの激闘に移っていきます。

ネットでの意見、またAIに聞いてみても、物語パートに比べて怪獣パートが弱いとの見方があるようです。
しかし人間大、そして巨大化したグリーンモンスと科特隊の攻防、
また夜の都会を舞台にしたウルトラマンとの対決は魅力的です。


Old Fashioned Club  月野景史

« 2026年7月 | トップページ

フォト
2026年8月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想
無料ブログはココログ