【長嶋茂雄】年間最多安打10回/“記録より記憶に残る男”の知られざる大記録
先日亡くなったプロ野球界の大スター、長嶋茂雄氏。
ミスタージャイアンツ、ミスター巨人軍、あるいはミスタープロ野球、
そして、燃える男、戦後最大のヒーローなどとも呼ばれまました。
その長嶋さんは「記録より記憶に残る男」などとも形容されます。
というと、記録面では大した実績を残してないのかと誤解しそうですが、そんなことはなく、
主要タイトル獲得歴を見ても、首位打者6回、打点王5回、本塁打王2回、最優秀選手5回など、
輝かしい実績を残しています。
特に首位打者6回は令和の今でもセ・リーグ最多記録です。
ただ…、同時代の大打者でライバルでもあり盟友でもあった王貞治氏や野村克也氏に比べると
タイトル獲得数では見劣りしてしまいます。
更に生涯通算記録となると、安打数、ホームラン数、出場試合数などでも、
大卒でプロとしてのスタートが遅かった長嶋氏は
高校卒でプロ入りした王氏、野村氏、そして3000本安打の張本勲氏らに水を開けられています。
その長嶋氏が、実は2位以下に大差をつけて1位の大記録があるのです。
それは、シーズン最多安打、いわば“安打王”、“ヒット王”です。
打撃の年間タイトルは本塁打は本数、打点は点数の最多者が獲得しますが、
安打は本数ではなく、打率で「首位打者」を決めます。
1994年以降、年間最多安打は連盟表彰されるタイトルになりましたが、
長嶋氏の現役時代はタイトルではありませんでした。
しかし、記録は残っています。
長嶋氏は年間最多安打10回の記録を残しており、断然のトップなのです。
2位は巨人の先輩である川上哲治氏の6回。
戦前の記録も含まれており、比較するには古過ぎます。
半分の3回は1リーグ時代なので、逆に凄いともいえますが。
3位はあのイチロー氏の5回。
これは日本にいたら長嶋氏を抜いていたかも知れませんが、タラレバの話。
では前述の王、野村、張本氏はどうか?
実は生涯通算安打の1-3位は張本、野村、王の順です。
しかし年間最多安打は張本氏と王氏が3回ずつ、野村氏は1回てす。
そして、あの落合博満氏。
もっと獲ってそうですが、以外にも1回だけです。
数々の記録に残る選手たちも、この記録についてはこんな感じです。
こうして見ると、長嶋氏の10回という記録がいかに凄いかがわかります。
もちろん、連盟表彰がないからタイトル争いにならず、獲り易かったという見方もあるでしょう。
しかし、バッターなら誰もがヒットを打とうと打席に立つもの。
その中で、シーズン最多安打10回獲得。
打者として大きな勲章でしょう。
Old Fashioned Club 月野景史