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2024年11月 6日 (水)

西田敏行『池中玄太80キロ』初主演秘話 ショートリリーフ的ドラマだった!?/1980年春

Ikeneka80

2024年10月17日に死去した西田敏行さん。
数多い出演作の中でも、連続ドラマの代表作といえば『池中玄太80キロ』でしょう。
第1シリーズは1980年代の幕開けを爽やかに駆け抜けた、印象に残るドラマでした。
このドラマについては以前、ヒロインを務めた坂口良子さんの訃報の際に書いたことがあります。
坂口良子さん死去/アイドルから大人の女優へ~代表作『池中玄太80キロ』のあまり語られない真実
西田さんの訃報に際し、改めてこのドラマと、そこに至るまでの西田さんの足跡を簡単に記してみます。


池中玄太80キロ(1980年~1992年)
どちらかといえば脇役タイプ、三枚目タイプのキャラでありながら、
昭和~平成の多くの作品で主演してきた西田さんの、おそらく連続ドラマでの初主演作だと思います。
それ以前も単発の主演ドラマはあったようですが、連ドラでは初めてではないかと。


『玄太』までの西田敏行
西田さんの無名俳優から売れっ子脇役としての出世作を絞って挙げるのも難しいですが、
NHKとは比較的縁が深く、1972年『新・平家物語」、73年『国盗り物語』と大河ドラマに連続出演後、
1974年の時代劇『ふりむくな鶴吉』に岡っ引き役で主演の沖雅也さんの配下の下っ引き役、
沖さんの今でいうバディ的なポジションで1年間務めました。
1975年にはその後番組の『新・坊ちゃん』では柴俊夫さん演じる主人公の相棒格の山嵐を演じました。

1977年には長く続くこととなる刑事ドラマ『特捜最前線』のスタート時のメンバーとして出演。
2年目にはクレジット順も主演の二谷英明さんに次ぐ二番手に格上げされますますが、
この頃から更に忙しくなってほとんど『特捜』には出れなくなり、丸2年で異動の設定で降板。

その『特捜』にあまり出れなくなった時期に出演していたのが、
大きな話題を呼んだ堺正章さん主演のヒットドラマ『西遊記』(1978年)。
猪八戒を演じて人気を更に上げましたが、こちらも翌79年のパートⅡは降板します。

そして1980年春に主演作『玄太』にめぐり会うのです。
こうして見ると、脇役としての格をどんどん上げ、主役に登り詰めたことがわかります。


秘話『池中玄太80キロ』は穴埋めドラマ!?
続編シリーズ、スペシャルが後々まで制作される伝説的なドラマ。
番組から複数のヒット曲も生まれました。

ただ、最初は“穴埋め”、あるいはショートリリーフのような形で始まった番組でした。
といっても、そんなこと、おそらくどこにも書いてないと思います。
当時の雑誌の記事の記憶からの、私の推測です
“穴埋め”とはどういう意味か? この件を少し説明するために、
この時代のもうひとつの大ヒットドラマのことを書きます。


『熱中時代』ブーム
水谷豊さんが小学校の教師を演じて主演、
大ヒットした『熱中時代』(1978年10月-79年3月)というドラマがありました。
続いて制作された『熱中時代 刑事編』(1979年4月-9月)もヒット。

翌1980年、その教師編の続編が待望されていました。
教師編は違ったのですが、刑事編は土曜21時枠の放送でした。
刑事編が1979年9月に終わり、10月からは桃井かおりさん主演のドラマが放送されていましたが、
その後に教師編の続編が放送されるのか、注目されていたのです。

そんな時、テレビ誌か週刊誌で、このような記事を読んだ記憶があります。
「局側は1980年4月のスタートを希望しているが、水谷さんサイドは7月を主張している。」
双方の希望に3ヶ月の差がある。さて、どうなるのだろう? と思っていました。

すると、4月から西田敏行さん主演の『玄太』が始まったのです。
そして3ヶ月で終了、
7月から『熱中時代』教師編のパート2が始まり、翌年3月まで続きました。

つまり、『玄太』は待望の『熱中時代』再開までをつなぐ、
窮余のショートリリーフ的なドラマだったのではないか、と推測されるのです。
当時の西田さんは脇役としてかなりの売れっ子になっていましたが、連続ドラマの主演は初めて。
まだ発展途上で、穴埋めだろうと、ショートリリーフだろうと、ゴールデンタイムで主役を張るチャンスだったのです。

そして、短期集中で作られたドラマの内容はパワフルでハートウォーミング、
子役からベテランまで、活きが良い演技で、心に残る傑作となりました。

その後、『熱中時代』教師編Ⅱの終了と入れ替って、翌1981年4月からは第2シリーズがスタート。
西田さんの歌う主題歌『もしもピアノが弾けたなら』がヒットしたのはこの時です。
その後もスペシャル版が1992年まで制作されるロングシリーズとなりました。

ただ、私の感想としては、やはり第1シリーズが何事も新鮮でよかったです。
第1シリーズはどのようなドラマだったか、ちょっと振り返ってみましょう。


魅力の第1シリーズ概要
西田敏行さん演じる池中玄太は通信社の写真部所属のカメラマン。
3人の娘を持つ未亡人(丘みつ子)と結婚するが、
新婦がすぐに亡くなってしまい、
玄太は、当然自分にまだ懐いていない三人の娘を育てることになるというストーリー。
毎回様々な問題に直面しますが、基本的には明るくパワフルに乗り越えていきます。

ヒロインの坂口良子さんが演じた鳴山暁子は通信社の記者。
写真部所属の玄太とは部署は違いますが、
記者とカメラマンとして、一緒に仕事をすることが多いという関係。
加えて、暁子の母親が玄太の自宅の大家さんという関係でもあるので、
娘たちの理解者として、玄太ファミリーとも絡みます。

そして玄太の上司役の長門裕之さん、同僚の三浦洋一さんとの、
仕事をめぐる激しくも楽しいやりとりも魅力でした。
ホームドラマとお仕事ドラマ、両方の面を持つ傑作でした。


『池中玄太80キロ』
1980年代の幕開けを爽やかに飾った、忘れ得ぬドラマです。

Old Fashioned Club 月野景史

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