【衆院選】石破執行部の誤算 与党“大敗”の理由
衆議院選挙はこの十余年の連立与党の強さを思えば、劇的な「与野党逆転」の結果だった。
もっとも「与野党逆転」の言葉はあまり使われていないように思える。
議席数は逆転したとはいえ、野党が連立して新政権が誕生する可能性は極めて低いからだろうか。
それにしても、そもそも実施の経緯からして、違和感のある選挙だった。
裏金問題等で批判が多かったとはいえ、任期満了に伴う自民党総裁選を大騒ぎして行ない、
石破茂新総裁が決まって首相となり、新内閣が発足したばかりで、直後に解散総選挙とは。
まずは石破内閣として仕事をして、ある程度時を経てから、その成否を問うのが筋でないのか。
まして、度々総裁選を戦い、ようやく掴んだ石破氏なのだから、色々やりたい事があるだろうに。
特に今回の場合、自民党及び与党全体としても、議席減の可能性が極めて高いのになぜ強行したのか。
石破氏及び自民党執行部の意図はどこにあったのかを推測してみる。
想定外の“大敗”
まず、石破内閣発足直後に選挙を行なえば、たとえ議席を減らしても、
それば岸田前政権の責任であって、石破氏の退陣論にはならないという読みがあったのだろう。
その前提として、たとえ議席を減らしたとしても、公明党を含めた与党の過半数割れはないと踏んでいたのだろう。
最悪、非公認候補の当選後の追加公認まで含めれば、過半数は確保できると予測していたのではないか。
与党過半数さえ確保出来れば、今までで同様安定した政権運営は担保出来る。
しかし結果はその予測を超える“大敗”になってしまった。
しかも、選挙中に露呈した非公認候補の地区への2,000万円配布が更に逆風になった。
この問題は現執行部の責任であり、想定していなかった石破退陣論まで出てくる結果になってしまった。
今後の展開
とはいえ、自民にとっては想定を超える“大敗”であったとはいえ、
与野党の政権交代に繋がるような、本当の意味での大敗とはいえない、
大幅に議席数を伸ばした立憲民主党だが、党としての獲得総投票数でいえば、
前回から微増でほとんど変わってない。
それも当然といえば、当然。
なにしろ立民の代表は、公約違反の消費増税を強行し、旧民主党政権が国民からノーを突きつけられ、
選挙で正真正銘の“大敗”を喫した時の総理大臣だった野田氏なのだから。
今回議席数、総票数とも大きく伸ばしたのは国民民主党とれいわ新選組。
しかし、両党はそもそも選挙区の立候補者は多くはない。
自分の選挙区に国民やれいわの候補者がいない有権者が、
選挙区では消去法で立民、比例では国民、れいわと書いたケースが多かったと推測できる。
今後の日本の政治はどうなるのであろうか。
少なくともこの十余年の自公連立政権の絶対安定時代に比べれば、
緊張感があり、国民に目を向けた政治を期待したい。
Old Fashioned Club 月野景史
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