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2024年10月

2024年10月31日 (木)

【相棒23】第3話「楽園」は過去作「招かざる客」「待ちぼうけ」オマージュのクローズドサークル物

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2時間ドラマとしてのスタートが2000年なので、24年目となる『相棒』。
season23が無事スタートし、昨日第3話が終了しました。

1-2話は前後編で、初回・最終回に多い政治絡みのネタでした(正直やや食傷気味)。
今回は過去作へのオマージュ色の強い、少々マニアックな回でしたので、
レトロマニアックが本来のテーマである当ブログとしては、
簡単に感想など記さずにはいられません。


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『相棒season23』第3話「楽園」
2024年10月30日 放送

今回はいわゆる「クローズド・サークル」もの。
外界との連絡が閉ざされた山荘や孤島で起きる事件の犯人当て。
名探偵が活躍する古典的な推理小説に多い主題です。

『相棒』にもいくつか印象的な作品がありますが、
ネットや携帯電話・スマホが普及した現代では舞台設定が難しく、
まして主人公が警視庁の刑事である『相棒』では作り難く、数は多くはありません。
つまりクローズドサークルものというだけで『相棒』では異色作ということになります。
今回はネットが一切繋がらない、固定電話だけが連絡手段という地という舞台設定でした。

『相棒』のクローズドサークルで最も有名なのはおそらく、
“イカ”が凶器で知られるシーズン2第3話「殺人晩餐会」かと思いますが、
今回の「楽園」に最も近いのはこのブログでも佳作として取り上げたことがある
シーズン9第12話「招かれざる客」でしょう。

山奥の宿泊施設に偶然来合わせたように思える複数組の客。
杉下右京(水谷豊)も身分を隠して来訪する。
他の客もそれぞれ何かを隠している。

迎える宿側の人間もなにやらありげな男女1人ずつ。
そんな点が両方に共通の話。
宿は前回がオーベルジュで今回はペンション。
落ち着いた雰囲気でそこそこの高級感も共通ですが、別々の客がひとつの食卓を囲むのはペンション風といえるのか。

一般にクローズドサークルといえば、その閉ざされた空間内で殺人事件が起こり、
サスペンス感が高まりつつある中で話が進むのですが、
「招かざる客」も「楽園」も閉ざされた空間では殺人は起こりません。
その前に事件は起こっており、右京はその捜査の過程で、宿泊施設に行きつくという展開。
しかも右京は冒頭で宿泊施設に行着いており、それより前の事は追って描かれるという点も共通しています。

話が進むにつれ、客や宿側の人間たちの事情も明らかになってきますが、その中身までは似ていません。
そこまで同じだと、オマージュというよりリメイクになってしまいます。


そしてもうひとつ、別の回のオマージュともいえます。

これも傑作として当ブログで紹介した事のある
シーズン12第18話「待ちぼうけ」です。

今回、右京は亀山薫(寺脇康文)の休暇中に遠征して連絡が途絶えてしまったので、
亀山は右京ならどう行動するかを推理して、後を追いました。
その点が「待ちぼうけ」に似ています。

置いてきぼりをくらって後を追うのは「招かざる客」の2代目相棒 神戸尊(及川光博)も同じなのですが、
いちいち右京の足跡をたどる点は「待ちぼうけ」に近いです。

ただ、似ているとはいっても、展開は逆ともいえます。
「待ちぼうけ」で右京の後追いをするのは捜査一課の伊丹刑事ですが、
伊丹は独自推理をしたつもりが、結果的に右京の後追いだったと後で判明しガッカリというオチでした。
今回の亀山は意図的に右京の後追いをしており、その点の構図は逆。変則的なオマージュといえます。


そもそも私はミステリ好きなので、今回のような話は好みで、最近の回では比較的楽しめました。
今回はそれに加えて今風な犯罪組織のネタも入れ込んできましたが、少しゴチャゴチャしたし、
筋立てにもかなり無理があり、傑作とまではいえないかも知れませんが。

Old Fashioned Club 月野景史

2024年10月30日 (水)

【衆院選】石破執行部の誤算 与党“大敗”の理由

衆議院選挙はこの十余年の連立与党の強さを思えば、劇的な「与野党逆転」の結果だった。
もっとも「与野党逆転」の言葉はあまり使われていないように思える。
議席数は逆転したとはいえ、野党が連立して新政権が誕生する可能性は極めて低いからだろうか。

それにしても、そもそも実施の経緯からして、違和感のある選挙だった。
裏金問題等で批判が多かったとはいえ、任期満了に伴う自民党総裁選を大騒ぎして行ない、
石破茂新総裁が決まって首相となり、新内閣が発足したばかりで、直後に解散総選挙とは。
まずは石破内閣として仕事をして、ある程度時を経てから、その成否を問うのが筋でないのか。
まして、度々総裁選を戦い、ようやく掴んだ石破氏なのだから、色々やりたい事があるだろうに。

特に今回の場合、自民党及び与党全体としても、議席減の可能性が極めて高いのになぜ強行したのか。
石破氏及び自民党執行部の意図はどこにあったのかを推測してみる。


想定外の“大敗”
まず、石破内閣発足直後に選挙を行なえば、たとえ議席を減らしても、
それば岸田前政権の責任であって、石破氏の退陣論にはならないという読みがあったのだろう。

その前提として、たとえ議席を減らしたとしても、公明党を含めた与党の過半数割れはないと踏んでいたのだろう。
最悪、非公認候補の当選後の追加公認まで含めれば、過半数は確保できると予測していたのではないか。
与党過半数さえ確保出来れば、今までで同様安定した政権運営は担保出来る。
しかし結果はその予測を超える“大敗”になってしまった。

しかも、選挙中に露呈した非公認候補の地区への2,000万円配布が更に逆風になった。
この問題は現執行部の責任であり、想定していなかった石破退陣論まで出てくる結果になってしまった。


今後の展開
とはいえ、自民にとっては想定を超える“大敗”であったとはいえ、
与野党の政権交代に繋がるような、本当の意味での大敗とはいえない、
大幅に議席数を伸ばした立憲民主党だが、党としての獲得総投票数でいえば、
前回から微増でほとんど変わってない。

それも当然といえば、当然。
なにしろ立民の代表は、公約違反の消費増税を強行し、旧民主党政権が国民からノーを突きつけられ、
選挙で正真正銘の“大敗”を喫した時の総理大臣だった野田氏なのだから。

今回議席数、総票数とも大きく伸ばしたのは国民民主党とれいわ新選組。
しかし、両党はそもそも選挙区の立候補者は多くはない。
自分の選挙区に国民やれいわの候補者がいない有権者が、
選挙区では消去法で立民、比例では国民、れいわと書いたケースが多かったと推測できる。


今後の日本の政治はどうなるのであろうか。
少なくともこの十余年の自公連立政権の絶対安定時代に比べれば、
緊張感があり、国民に目を向けた政治を期待したい。

Old Fashioned Club 月野景史

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