【昭和特撮】「ノアの神」はウルトラマンの先祖か?/「バラ―ジの青い石」五千年の深淵
初代の『ウルトラマン』全39話の中でもマイベスト3を挙げるならば、
原点たる第1話「ウルトラ作戦第1号」は別格として、以下3エピソードです。
第5話 「ミロガンダの秘密」
第7話 「バラ―ジの青い石」
第38話「宇宙船救助命令」
いずれも少々混み入った話で、つっこみどころも多いのですが、
難しいテーマに向き合い、ドラマ作りにチャレンジしたからこそ、
30分の子ども向け怪獣番組の枠を越えた傑作になったのだと思っています。
そして3話の中でもスケール感で群を抜くのが「バラ―ジの青い石」だと思います。
しかし、色々と謎・問題点が多い話でもあります。
その中でも大変微妙なのが、5千年問題です。
ウルトラマン 第7話「バラ―ジの青い石」
隕石落下に伴う怪事件の捜査の為、中近東の砂漠の幻の都 “バラ―ジ” を訪れた科学特捜隊。
街の守り神として伝わる「ノアの神」の石像はウルトラマンと瓜二つだった。
それを見たアラシ隊員の感想
「5千年の昔、ウルトラマンの先祖は地球に現れ、その時もやはり人類の平和のために戦っていたのか…。」
旧約聖書に登場する「ノアの方舟」の「ノア」がウルトラマンの先祖とは、思い切ったことを考えたものですが、
そこはファンタジー作品なので、許してもらうことにします。
この、『「ノアの神」は5千年に地球に来訪した、ウルトラマンの先祖』という設定は
昔の怪獣本などでは事実上、公式設定として受け入れられていたと思います。
しかし、全話の検証が進み、整合性を突き詰めた考察がされていくと、無理が生じてきました。
最終話でウルトラマン自身が「自分は2万年も生きた」と語ったからです。
本人が言っているのだから、事実でしょう。
となると、少なくとも5千年前の「ノアの神」がウルトラマンの遠い“先祖”ということはあり得ません。
同時代人か、もしかしたら本人の可能性すらあります。
一方で、バラ―ジでの発言はアラシ隊員の感想・推測でしかありません。
そもそも「5千年前」というのでさえ、このアラシ隊員の発言の中でしか出てきません。
厳密に考察すれば、アラシ隊員の推察は間違いだったのだろう、ということになります。
どうでしょうか?
「ノアの神」とウルトラマンは同一人物だった、という考え方も面白くはあります。
しかし、私はやはり“先祖説”の方が魅力的に感じます。
最高傑作と推す「バラ―ジの青い石」のストーリーの格の部分のひとつが、
単なる間違いだったというのも残念ですし。
やや強引に解釈すれば、地球時間とウルトラマン(M78星雲人)の時間は同一ではないという見方もできます。
ただ、そんな奇説を持ち出さなくても、エピソードごとの整合性が取れてないことは他にもあります。
基本的には一話完結のドラマ。
エピソードを越えた整合性にはあまりこだわらず、各話の独自性を楽しみたいところです。
※私見を書くならば
整合性という観点で言えば、最終話でウルトラマンの年齢を2万歳などとしなければよかったと思います。
そんな法外な数字を持ち出す必然性がないし、例えば1200歳くらいでも、人間と比べればとてつもなく長命だし。
そうしておけば、五千年前の「ノアの神」はウルトラマンの先祖、で通用したのに。
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