« 2024年7月 | トップページ

2024年8月

2024年8月30日 (金)

【ウルトラマン】「バラ―ジの青い石」 アントラーの活動と隕石の関係

前回のブログでは『ウルトラマン』第7話「バラ―ジの青い石」について、
五千年前の「ノアの神」はウルトラマンの先祖か? という点に絞って書きました。

しかし、この回はまだ色々あります。
魅力にも溢れているし、謎・不可解な点も多いのです。
その中でも五千年問題以外の最も大きな謎なのに、あまり語られてないと思うのが、
「アントラーはなぜ復活したのか?」という点です。

こう書くと、復活とはなに? アントラーは死んでいたの?
と思う人も多いでしょう。
このあたりを少し書いてみます。


物語の発端
中近東に巨大な隕石が落下。
その後に不思議な事件が次々起こります。

この「不思議な事件」とは具体的に何なのか、実は劇中で明示されていません。
ただ多くの人は、旅客機の遭難・行方不明だと思っているでしょう。
そうでなければ話が進まないので、そう仮定して進めます。

不思議な事件(旅客機遭難)の調査の為、
科学特捜隊パリ本部やトルコ・インド両支部は現地に向かいますが、消息を絶ってしまいます。
そして、日本支部に出動要請がくる、というのが冒頭の展開です。

科特隊本部・支部は事件調査の為に現地に飛んだのですが、
旅客機は隕石落下以前も現地上空を飛んでいた筈で、
それが隕石落下以降、遭難が頻発したということだと思います。


さて、ジェットビートルで現地に向かった科特隊日本支部ですが、
地上から発射される磁気光線にエンジンをやられて砂漠に不時着してしまいます。
ここまでの展開だと、隕石が磁気光線を発射したのだと推測するのが妥当でしょう。

その後、科特隊は砂漠の調査を開始し、隕石を発見します。
しかし隕石には磁気光線を発射する能力はありません。
やがてアントラーに遭遇し、磁気光線発射がアントラーの仕業だと判明するのです。

「バラ―ジの青い石」は30分番組の限界を超えた壮大のファンタジーで、
ここからも魅力的なストーリーがどんどん展開するので、
つい見逃してしまうですが、ひとつ謎が残ります。

旅客機遭難がアントラーの磁気光線のせいだとして、
アントラーは昔から存在しているのに、なせ隕石落下後に突如遭難事件が頻発したのか。
隕石と事件の因果関係が劇中では説明がないのです。


これに似た謎がもうひとつあります。
バラ―ジの街は「ノアの神」の守護により、アントラーに襲われる事はありませんでした。
これは劇中でバラ―ジの女性チャータムが明言しています。

しかし、その話を聞いたすぐ後、アントラーは街を襲ってきます。
これも不思議です。

実は、ある特撮関連本に、この二つの謎をまとめて解決する考察が載っていました。
アントラーは「ノアの神」により、結界に封印されていたのだが、
隕石落下の衝撃で、結界が解けてしまった、という主旨でした。

それでアントラーか活動を再開(つまり復活)し、磁力光線で航空機を墜落させ、
遂にはバラ―ジの街に侵攻、破壊を開始した、という流れです。
これは、なかなか説得力ある説で、それならば納得できます。
どうでしょうか。

Old Fashioned Club 月野景史

2024年8月27日 (火)

【昭和特撮】「ノアの神」はウルトラマンの先祖か?/「バラ―ジの青い石」五千年の深淵

Photo_20240827124801

初代の『ウルトラマン』全39話の中でもマイベスト3を挙げるならば、
原点たる第1話「ウルトラ作戦第1号」は別格として、以下3エピソードです。

第5話 「ミロガンダの秘密」
第7話 「バラ―ジの青い石」
第38話「宇宙船救助命令」

いずれも少々混み入った話で、つっこみどころも多いのですが、
難しいテーマに向き合い、ドラマ作りにチャレンジしたからこそ、
30分の子ども向け怪獣番組の枠を越えた傑作になったのだと思っています。

そして3話の中でもスケール感で群を抜くのが「バラ―ジの青い石」だと思います。
しかし、色々と謎・問題点が多い話でもあります。

その中でも大変微妙なのが、5千年問題です。


ウルトラマン 第7話「バラ―ジの青い石」
隕石落下に伴う怪事件の捜査の為、中近東の砂漠の幻の都 “バラ―ジ” を訪れた科学特捜隊。
街の守り神として伝わる「ノアの神」の石像はウルトラマンと瓜二つだった。

それを見たアラシ隊員の感想
「5千年の昔、ウルトラマンの先祖は地球に現れ、その時もやはり人類の平和のために戦っていたのか…。」

旧約聖書に登場する「ノアの方舟」の「ノア」がウルトラマンの先祖とは、思い切ったことを考えたものですが、
そこはファンタジー作品なので、許してもらうことにします。

この、『「ノアの神」は5千年に地球に来訪した、ウルトラマンの先祖』という設定は
昔の怪獣本などでは事実上、公式設定として受け入れられていたと思います。

しかし、全話の検証が進み、整合性を突き詰めた考察がされていくと、無理が生じてきました。
最終話でウルトラマン自身が「自分は2万年も生きた」と語ったからです。
本人が言っているのだから、事実でしょう。

となると、少なくとも5千年前の「ノアの神」がウルトラマンの遠い“先祖”ということはあり得ません。
同時代人か、もしかしたら本人の可能性すらあります。

一方で、バラ―ジでの発言はアラシ隊員の感想・推測でしかありません。
そもそも「5千年前」というのでさえ、このアラシ隊員の発言の中でしか出てきません。
厳密に考察すれば、アラシ隊員の推察は間違いだったのだろう、ということになります。


どうでしょうか?
「ノアの神」とウルトラマンは同一人物だった、という考え方も面白くはあります。

しかし、私はやはり“先祖説”の方が魅力的に感じます。
最高傑作と推す「バラ―ジの青い石」のストーリーの格の部分のひとつが、
単なる間違いだったというのも残念ですし。

やや強引に解釈すれば、地球時間とウルトラマン(M78星雲人)の時間は同一ではないという見方もできます。

ただ、そんな奇説を持ち出さなくても、エピソードごとの整合性が取れてないことは他にもあります。
基本的には一話完結のドラマ。
エピソードを越えた整合性にはあまりこだわらず、各話の独自性を楽しみたいところです。

※私見を書くならば
整合性という観点で言えば、最終話でウルトラマンの年齢を2万歳などとしなければよかったと思います。
そんな法外な数字を持ち出す必然性がないし、例えば1200歳くらいでも、人間と比べればとてつもなく長命だし。
そうしておけば、五千年前の「ノアの神」はウルトラマンの先祖、で通用したのに。

関連MyBlog
【ウルトラマン】「バラ―ジの青い石」 アントラーの活動と隕石の関係

Old Fashioned Club 月野景史

« 2024年7月 | トップページ

フォト
2024年8月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想
無料ブログはココログ