松本人志さんのこと 才能と権力 歪んだ特権意識
ダウンタウンの松本人志さんと、もちろん浜田雅功さんとも同世代です。
近い世代の人でも
「ダウンタウンの笑いはよくわからない」
「松本で笑ったことはない」
という声は昔から一定数ありました。
たしかに、元々のダウンタウンの笑いは不条理でわかり難い面もありました。
それでも、多くの支持を受けて、お笑いのトップランナーになりました。
私もダウンタウンは面白い、そして松本さんは天才だと思う1人です。
そして、トップに立ってから約30年、そのポジションを維持しています。
衰えがまったくないとは思いません。
さすがに、昔に比べると・・・とは感じます。
私も、今も欠かさず視聴しているのは『ガキの使いやあらへんで』だけです。
それでも、現役トップであることは間違いないでしょう。
一部で批判もされましたが、お笑い関係の賞の審査員長的な立場が松本さんに集中するのも道理です。
現役トップの人に認められることこそ、最高の権威であるのは当然だから。
まして、浜田さんが審査員をしないスタンスのようなので、余計松本さんに集まるのでしょう。
そういうわけで、間違いなくダウンタウンファン、松本人志ファンである私ですが、
松本さんの発言全般については、共感する部分もあれば、それはどうかなと思うこともありました。
女性関係と人間関係
松本さんは独身時代が長かったこともあり、女性関係を明け透けに話す面がありました。
とはいえ、話してよいこととまずいことは分けていたとは思います。
そして結婚してからは、少なくとも私が知る限り、話さなくなったと思います。
交遊関係については話すのは専ら後輩芸人、一部スタッフとの男同士のことに絞り、
おもしろおかしく語ることが多くなったように感じます。
松本さんの発言については、意外なほどの庶民目線を感じることもあれば、
自らが特権階級であることを自認しているのかな、などと感じることもありました。
今回の性加害疑惑は、松本さんは事実無根としているし、裁判もまだこれからですが、
文春報道からの印象だと、どうもこの“特権意識”がちらつきます。
女性は自分にあこがれて当然、
後輩芸人は自分のためにお膳立てして当然、のような。
もしかしたら、本人は自分の才能についての自負からくる特権意識なのかも知れません。
才能があり、充分過ぎる実績を残しており、今もトップを走り続けているのだから、
自分に会えた女性は喜ぶのも当然、もてて当然だみたいな。
松本さんが女性に渡していたという“車代”が安過ぎると揶揄されていますが、
それも、金の力で女性を好きにしているのではないという自意識の現れと取れなくもない。
しかし、周りからすれば、芸能界のトップに君臨し続ける松本さんの“権力”は強大化しており、
まずそこに畏れを感じてしまうのだけど、本人はその意識が薄いのではないかと。
よくされる言い方ですが、“裸の王様”になってしまっていたように感じます。
今回の文春における最初の告発者の“A子”さんは芸能界の仕事もしていたそうで、
松本さんの“権力”を恐れるのも当然ですが、そうでなくても、その“権力”は怖く感じます。
その力は巨大芸能事務所である吉本興業の権力ともイコールのように思えるし。
はき違えてしまったのか?
吉本といえば、今更ですがこの件の初動での「当該事実は一切ない」という発信はまずかった。
何を調査して「一切ない」と言い切ったのか。
吉本興業ほどの大事務所がなぜそんなことを?
しかし吉本のこういう件についての対応のまずさは過去にも例があるので、さほど意外ということもないですが。
ともかく当面、松本人志さんはメディアから消えます。
松本さんが主軸として絡むテレビ番組やその他の企画は多く、関わる人々は大変でしょう。
しかし、テレビ番組だけ見ても、全体の膨大な量においては、ごく僅かです。
何事もなかったように回っていくのでしょう。
Old Fashioned Club 月野景史