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2023年11月

2023年11月27日 (月)

【相棒9】第12話「招かれざる客」 まるで舞台劇 マニアック感漂う神戸尊時代の異色作

昨日のブログの続きということになります。
以前、アガサ・クリスティ作の有名ミステリ『オリエント急行の殺人』
(または『オリエント急行殺人事件』1934年)を基とした
相棒の4本のエピソードについて書いたことがあります。
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2015/11/4-ab9e.html

その1本が以下の回でした。

0912

◆『相棒』season9 第12話 「招かれざる客」 
2011年1月19日放送  脚本:戸田山雅司 監督:近藤俊明
http://www.tv-asahi.co.jp/aibou_09/story/0012/index.html
※本作は2023年11月28日午後にテレビ朝日にて再放送されます。
それに合わせ、改めてこの回について少し書いてみます。


さて、『オリエント急行の殺人』は欧州を縦断する長距離列車内で起きた殺人事件に
名探偵エルキュール・ポアロ(ポワロ)が挑む作品。
前回書いた「犯人はスズキ」同様、今回のテーマの「招かれざる客」にも
列車内の殺人などまったく出てこず、どこか『オリエント』と関係するのかと思うでしょう。

改めて、『オリエント急行殺人事件』の特徴を挙げてみます。

①外界から閉ざされた寝台列車内という、大きな密室状態の場での殺人事件。
②犯行の動機は過去の少女誘拐殺人犯への復讐。
③同じ意志を持つ複数の人間による計画的犯行。
④関係者が他人を装って集まる。


「招かざる客」は④の舞台設定が『オリエント』と非常に近いです。
過去の因縁で結ばれた人々が他人を装い、ひとつの場所に客として集う設定。
しかも、そのほとんどがある家の使用人であった点も同じ。
幸いなことに誘拐殺人は起きていませんが、その家の娘に纏わる話であることも共通しています。

郊外のオーベルジュ(レストランと宿泊施設を兼ね備えた施設)に偶然居合わせたように見える客達、
実はみな関係者であった。
そこに招かざる客の杉下右京(水谷豊)が現れて・・・。
探偵役が客の一人として参加する点も同じ。

ただし、ポワロか偶然でしたが、右京は意図的な参加。
といっても、それは話が進んでから明らかになります。


まるで舞台劇
更にいえば、舞台のほとんどはオーベルジュ内での展開であり、
全体に芝居がかったイメージで、舞台劇を思わせる雰囲気は、
戯曲も手掛けたクリスティ作品の持ち味が色濃く反映された作品と言えるのでしょう。
ゲストキャストが知り合いでありながら他人を装っているので、芝居がかっているのは当然なのですが、
探偵側の右京と神戸尊(及川光博)の二代目相棒コンビの計画的小芝居も魅力です。

列車も誘拐殺人も復讐もないので、この回を『オリエント急行』と結び付ける人はあまりいないかも知れませんが、
元使用人達の、かつての主(あるじ)と、その家の娘(孫)への強い思いという点は共通しています。
作品の持つテイストは、『オリエント』に近いと思います。


封印されたアウトロー水谷豊
この回はそれ以外にも、なにやらマニアックな雰囲気が漂っています。
小芝居の中で右京が演じたキャラは、『熱中時代』より前の若い頃の水谷さんの
封印されたアウトロー的な演技を彷彿とさせるものがあったりとか。
右京は身分を偽ることもありますが、アウトロー的人物を装うのは稀だと思います。
私の好きな作品です。

この回が放送された神戸期のシーズン9は視聴率にも『相棒』の全盛期で、本回も20.4%を記録しています。

Old Fashioned Club 月野景史

2023年11月26日 (日)

【相棒6】第3話「犯人はスズキ」 “町内会”という閉ざされた世界の事件/亀山期異色の佳作

以前、アガサ・クリスティ作の有名ミステリ『オリエント急行の殺人』
(または『オリエント急行殺人事件』1934年)を基とした
『相棒』の4本のエピソードについて書いたことがあります。
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2015/11/4-ab9e.html

その1本が以下の回でした。

0503

◆『相棒』season5 第3話 「犯人はスズキ」 
2006年10月25日放送  脚本:岩下悠子 監督:森本浩史
http://www.tv-asahi.co.jp/aibou_05/contents/story/0003/
※本作は2023年11月29日午後にテレビ朝日にて再放送されます。
それに合わせ、あらためてこの回について記してみます。

さて、『オリエント急行の殺人』は題名通り、欧州を縦断する長距離列車内で起きた殺人事件に
名探偵エルキュール・ポアロ(ポワロ)が挑む推理小説。
対して「犯人はスズキ」は列車内の殺人などまったく出てこず、どこが関係するのかと思うでしょう。


では改めて、『オリエント急行殺人事件』の特徴を挙げてみます。

①外界から閉ざされた寝台列車内という、大きな密室状態の場での殺人事件。
②犯行の動機は過去の少女誘拐殺人犯への、遺族・関係者による復讐。
③同じ意志を持つ複数の人間による計画的犯行。
④関係者が他人を装って集まる。

「犯人はスズキ」は②と③の要素を色濃く持っています。
特に②の少女誘拐殺人事件の犯人への、遺族による復讐という点はまさにそのままです。

ただし③については、『オリエント』での復讐殺人は、多数の関係者による計画性の高いものですが、
この回の復讐殺人は少女の父親による突発的なもので、それ自体に計画性は乏しい。

その代わり、事実を知った町内会の人々が父親を庇おうとしての偽装工作が計画的で、
それを右京と亀山が崩していくのがメインストーリーでした。
結果的に導き出された真相は違いますが、捜査の過程は『オリエント』と似ているのです。


シーズン5なので、『相棒』は亀山時代後期。
町内会という独特にコミュニティを“密室”に見立てたともいえる、ユニークな佳作です。
亀山が右京とほぼ同等の推理力を披露しているのも特徴。

ただ、偽装の過程で誘拐殺人とは無関係の人間(犯罪者ではあるが、極悪人とまではいえない)を
計画の為に巻き込み、殺害してしまう流れがあり、この男が通称スズキなのですが、
この点は同情し難く、少々残念に感じます。


『科捜研の女』の日野所長 斉藤暁出演作
本作には『相棒』と並ぶテレビ朝日の長寿警察ドラマ『科捜研の女』に研究員→所長役で
長くレギュラー出演する斉藤暁さんの、現在までて唯一の『相棒』出演回です。
斉藤さんは元警官で、計画の首謀者の1人の役でした。

斉藤さんは水谷豊さんのひとつ年下の1953年生まれで、当時53歳。
劇中では警察官を定年(60歳)で退職したとは明示されていなかったと思いますが、
印象としては定年退職後の元警官という感じでした。
昔から老成したイメージがある人で、今や好々爺風ともいえますが、
この頃の『科捜研』ではまだ所長ではなく、一研究員としてボケ役を担っており、少し違うイメージでの出演でした。
現在のだいぶ落ち着いた日野所長のイメージに近いかも知れません。

Old Fashioned Club 月野景史

2023年11月20日 (月)

【相棒22】マーロウ矢木(高橋克実)が12年ぶり再々登場/11月22日放送第6話「名探偵と眠り姫」

今年の4月に『相棒』シリーズの過去の傑作2本について書きました。
「名探偵登場」相棒 season5 第10話 2006年12月13日放送 初代相棒亀山薫期
「名探偵再登場」相棒 season10 第11話 2012年1月11日放送 2代目相棒 神戸尊期
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2023/04/post-b5bfad.html

『相棒』22年の歴史の中でも、コミカル色の強い傑作といわれる回で、
1作目が初代亀山薫(寺脇康文)時代、2作目が2代目神戸尊(及川光博)時代と、
二代に亙る姉妹編です。

メインゲストは高橋克実さん。
マーロウ矢木」を自称する“チャンドラー探偵社”の私立探偵・矢木明を演じます。
名探偵というよりは“迷探偵”

Aibou22_06

そのマーロウ矢木が、現在放送中『相棒seazon22』の2023年11月22日放送第6話「名探偵と眠り姫」で、
12年ぶりの再々登場を果たします。

更に、放送に先駆け、テレビ朝日では11月21日と22日午後に旧作2本を再放送します。

『相棒』の複数回登場のゲストキャラの中でもユニークで人気の高い矢木の登場。
楽しみです。

Old Fashioned Club 月野景史

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