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2023年9月 1日 (金)

ジャニー喜多川氏の性加害問題①/最初の告発本『光GENJIへ』フォーリーブス北公次著

4年前、ジャニー喜多川氏の没後に書いたこのブログのページが、
英国BBCテレビの番組を発端に表面化したジャニー氏の性加害問題の余波か、アクセス数が急伸しました。
ジャニーズ王国前史/70年代 最初の全盛期から低迷の時代、80年代の大躍進へ

このブログ自体は主に1970年代から80年代初頭のジャニーズ事務所の動向について記したもので、
性加害問題について書いてはおらず、ジャニー氏への一応の賛辞で締めくくっています。
あくまで、ジャニーズ王国の隆盛という“結果”に対してのものですが。

さて、ジャニー喜多川氏による性加害を中心にしたジャニーズ事務所に対する最初の暴露本・告発本は、
今から約35年前に発行されたこの書籍だと思います。


Hikaru
『光GENJIへ-元フォーリーブス北公次の禁断の半生記』
  単行本 1988年12月1日 データハウス社 発行

サブタイトルにもある通り、元フォーリーブスのメンバーだった北公次氏の著作。
タイトルの「光GENJI」はこの本の発行当時、1988年頃のジャニーズのトップアイドルです。

フォーリーブスは1960年代末から70年代にかけて活躍した、ジャニーズ所属の4人組グループ。
70年代を代表する男性アイドルグループで、全盛期は凄まじい人気を誇り、78年に解散しました。
「コーちゃん」の愛称で知られた北氏は華麗なバック転と少し陰のある雰囲気、グループ屈指の人気者でした。

つまりこの本は、かつてのジャニーズのトップアイドルから、
発行当時のトップスターへのメッセージの体裁で、
ジャニー氏の性加害、ジャニーズ事務所の問題点を告発しているのです。


フォーリーブスについて、私はリアルタイムではっきりと記憶しているのは1978年の解散前の1~2年だけですが、
このグループ、特に北氏のファンで、このブログでもフォーリーブスのことは何度も書いています。
元フォーリーブスの北公次さんが闘病中とのことです
元フォーリーブスの北公次さん死去/1970年代を代表するアイドルとして活躍
フォーリーブスの名曲を辿る① 全盛期のヒット曲達
フォーリーブスの名曲を辿る② 活動後期の佳作達
フォーリーブス 1978.8.29 最初で最後の夜 永遠の夏


しかし、北さんはグループ解散の翌1979年に覚醒剤で逮捕、
その後芸能界に復帰するも軌道に乗らず、波乱の人生を送っていた人でした。
80年代末には再びセミリタイヤ状態になり、故郷へ帰っていたようです。

一方のジャニーズ事務所は、フォーリーブスの解散する70年代後半は低迷期でしたが、
80年代に入ると一気に盛り返し、男性アイドル市場をほぼ一強で独占するようになっていました。

『光GENJIへ』はそういう時代、北氏も生活のため、勧める人もあって、ビジネスとして書いたのかと思います。
とはいえ、性加害の部分は概ね事実だったのでしょう。
まさか、35年後にそれが実証されるとは思いませんでしたが。


ベストセラーとなるも主要メディア黙殺
この本は大変売れてベストセラーになり、続編的なものも出たのですが、大手メディアは見事に黙殺しました。

Hikaru2

既に“ジャニーズタブー”が、マスコミにおいても確立されていたのです。
あるいは、この件があってこそ、確立されたのかも知れませんが。

※ただ、ネット上にこの時期の北さんが関西ローカルのテレビ番組に出演したとの情報があります。
私は当時関西在住で、内容まで詳しく記憶していませんが、この番組を間違いなく視聴しています。
おそらく『ノックは無用!』という横山ノックさんと上岡龍太郎さん司会の番組で、
北さんは何組かいるゲストの1人という位置づけだったと思いますが、
(当時組んでいたバンド「北公次&スカーフェイス」のメンバーと一緒だったかも知れません)
ローカル番組とはいえ、大都市関西で全国区の有名タレント司会の番組によく、と思いました。


その後の北公次とフォーリーブス
ともかく、告発本がベストセラーになったにも関わらず、主要メディアが無視という、凄い事態になりました。
このジャニーズとマスコミとの歪んだ関係が、後々まで禍根を残すことになります。

北さんはその後、再び消息を聞かなくなりましたが、
1994年に突如、北さんの結婚(再婚)をキー局のワイドショーが揃って取り上げ、
元メンバーが揃って祝福する結婚式の様子が放送されました。
これは、何らかの形で“手打ち”が行なわれたのだろうと推測しました。
でなければ、放送されるわけないので。

その後、フォーリーブスは他のメンバーにも色々あったりしましたが、
2002年に再結成、往年のファンの支持を受けて、メンバーの青山孝史氏が亡くなる2009年まで、ライブ中心に活動しました。
数は少ないですがテレビ出演もあり、素晴らしいパフォーマンスを披露したこともありました。
【アイドル】フォーリーブス 2006年夏 解散から28年目の奇跡

北さんも2012年に亡くなりました。
残った江木俊夫氏、おりも政夫氏は、近年も活動を続けています。

北さんは死去に際し、ジャニー喜多川氏、メリー喜多川氏への感謝の言葉を残しています。
北さんの波乱の生涯を思うと、最期が綺麗に締め括られ、これはこれで良かったのかな、とは思いました。
しかし、このような一ファンの姿勢もまた、異常な“ジャニーズタブー”を助長する遠因になったのかも知れません。

ここで一旦締め括り、ジャニーズタブーについて、項を改めます。

Old Fashioned Club 月野景史

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