【ドラマ】『緊急取調室』のファイナルに暗雲/市川猿之助容疑者の事件の余波
市川猿之助容疑者が一昨日、逮捕されました。
この件はまだ不明なことも多く、事件そのものを論じる気もありません。
ただ、今回の逮捕よりたいぶ前、事件の発生から間がない時期からですが、
この件はあるドラマの関係者やファンにとっては、深刻な余波を生んでしまっていました。
6月16日に予定されていた映画『劇場版 緊急取調室 THE FINAL』の公開延期です。
『緊急取調室』(通称:キントリ) は天海祐希さん主演の警察ドラマ
2014年から2021年まで不定期に4シーズン放送、2022年1月にスペシャルドラマが放送されました。
公開予定だった映画は「THE FINAL」と付くので、その最終作ということになります。
猿之助容疑者はドラマ版の出演歴はなく、劇場版のメインゲストで、取調べを受ける総理大臣役での出演。
現在、猿之助容疑者の役に代演を立て、取り直す方向で調整されているようです。
出演者の不祥事で放送・公開中止、撮り直しになる傾向に批判的な意見もありますが、
今回の場合はさすがに仕方ないか。
キントリのメインテーマは「取調べ」です。
その取調べを受けるメインゲストが、実際の事件の容疑者で、現実に取調べを受ける側になってしまったとは。
この役柄での出演、そのまま公開は、さすがに厳しいでしょう。
しかしそれにより、4シーズン続いた人気ドラマが、
初の映画版で最後を飾る、最高の舞台が用意されたのに、暗礁に乗り上げてしまいました。
しかもこの映画、本来は昨年公開予定だったのが、安倍元首相の銃撃を余波で一度延期になっており、
そして今度は、単に延期どころではなく撮り直しとは、よくよく運がありません。
『緊急取調室』
2010年代スタートの警察ドラマの代表的傑作
私も大変好きなドラマです。
警察ドラマの人気シリーズを多く抱えるテレビ朝日の放送ですが、
『相棒』や『科捜研の女』と違い、テレ朝の関連会社である東映制作ではありません。
そのせいか、一味違った魅力があります。
主演の天海祐希さんにとっても、2010年代の代表作のひとつと言っていいでしょう。
まだ終わるのはもったいない気もしますが、一方で仕方ないかとも感じます。
一部主要キャストの高齢化問題があるのです。
このドラマは主要レギュラーとして初回から、
田中哲司、鈴木浩介、速水もこみちといった、比較的若い俳優も出演しています、
ただ、鈴木さんと速水さんは別部署の刑事、田中さんは天海さんの上司役ですが、基本的に取調べはしません。
天海さんのもっとも身近な存在で、共に取調べを担う同僚警察官=取調べ官 三人は、
小日向文世、大杉漣、でんでんと、スタート時点で60代の俳優が揃っていたのです。
60歳は警察官の定年です。
『相棒』のように、長く続けるうちにキャストが高齢化したのなら分かりますが、最初からこの年齢構成は珍しい。
このキャスティングでは早いペースで続編を作っていかないと、続けられなくなるぞと思っていたのですが、
シーズン2終了後に大杉漣さんが亡くなり、主要キャストの一角が崩れてしまいました。
大杉さんの後任で塚地武雅さんがレギュラー入りしましたが、
塚地さんの役どころはIT系に強い後方支援型で、取調べ官は実質一人空席の状態で続いてきました。
実は2021年9月にシーズン4が、キントリが活動停止になり、メンバーは他部署に異動という形で展開で終了しました。
その後、大して間を置かず、2022年1月にスペシャルが放送されたのですが、
小日向さんとでんでんさんは異動先から戻ってこず、比嘉愛未さんと野間口徹さんがチームに加わりました。
その時は、今後はこのメンバーでシリーズを続けていくのかとも思ったのですが、
劇場版が本来は2022年に公開予定だったのだとすれば、
このスペシャルはそれに向けての序章だったのでしょう。
つまり、オリジナルメンバーが元気なうちに幕を降ろそうという判断だったようです。
それはそれでひとつの考え方で、ファンとしては支持しますが、
今回の事件で、とんでもないことになってしまいました。
メインゲストの出演シーンを、すべて撮り直しとは・・・。
しかも、不幸はそれだけではない。
劇場版と連動する形でスペシャルドラマも放送予定だったとのことですが、
そちらには大麻で逮捕された永山絢斗容疑者がメインゲストとして出演しているとのこと。
まさに呪われているのか!という感じですが、
この苦難を乗り越え、なんとか取り直して劇場版公開、
そしてスペシャルドラマも放送してほしいものです。
Old Fashioned Club 月野景史
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