【時代劇】『江戸を斬るⅡ~Ⅵ』西郷輝彦主演/異色の遠山金四郎ドラマ
先日、昭和の名作時代劇ドラマ『江戸を斬る 梓右近隠密帳』について書きました。
チバテレビでの再放送に絡めての執筆でしたが、チバテレでは引き続いて
シリーズ第2部となる『江戸を斬るⅡ』の再放送が始まりました。
今回はこちらについて書きます。
『江戸を斬るⅡ』
1975年11月10日-1976年5月17日
メインタイトル『江戸を斬る』は同じでも、
1部と2部では登場人物も時代も(もちろん江戸時代ではありますが)まったく違うドラマです。
第1部は江戸時代もまだ初期の三代将軍徳川家光の時代、
家光の腹違いの弟で、架空の人物 梓右近(竹脇無我)が主役。
第2部は幕末に近い天保時代。有名キャラクターの遠山金四郎を西郷輝彦が演じました。
好評につき、第6部となる『江戸を斬るⅥ』まで5シーズンが制作され、
『水戸黄門』『大岡越前』と人気時代劇が並び立つ、「ナショナル劇場」の黄金期を築きました。
時代劇の新ヒーロー誕生
遠山金四郎、ご存じ“遠山の金さん”が主役といっても、お白州で桜吹雪の入れ墨を見せて見栄を切る、
映画やNET(現テレビ朝日)のシリーズでのお馴染みのシーンはほとんどない、
「金さん」ものとしては、異色のドラマということになるかと思います。
主演の西郷輝彦は1960年代は橋幸夫、舟木一夫と共に“御三家”として知られた人気歌手として活躍。
1970年代になると、歌謡界の主役は新御三家に取って代わられますが、
戦中戦後の大坂を舞台としたドラマ『どてらい男(やつ)』(1973年-77年)の主演で俳優としてブレイクします。
そして、『江戸を斬るⅡ』の主役に抜擢されたのでした。
前作の竹脇無我は完璧な二枚目ヒーローでしたが、
本作の西郷輝彦さんは更に若く(年齢は竹脇さんとさほど変わらないけど)、
細身でシャープ、キリっとした男っぽいイメージ、時代劇の新ヒーロー誕生を印象づけました。
金四郎の出番が少ない!?
さて、今回第2部を久々に再見して違和感を覚えたのですが、
主人公 遠山金四郎の西郷さんの出番が少ない、あまり出てこないように感じるのです。
例えば、ラストで金四郎の仲間のレギュラーと善玉ゲストが顔を揃えて大団円、
というような場に、当然いるべき金四郎がいなかったりとか。
実は西郷さん、前述の俳優としての出世作『どてらい男』とのかけもちだったのです。
それはさぞかし忙しかったことでしょう。
『とてらい男』は「戦後編」「激闘編」などと分かれているので、私はその間にインターバルがあり、
休止中に『江戸を斬るⅡ』を撮っていたのかと思っていたのですが、休止期間のないドラマでした。
となると、当時の西郷さんの細くてシャープなイメージも、もしかしたらスケジュールがきつ過ぎて痩せていた?
その分、大活躍だったのがヒロインの松坂慶子さん。
第1部『梓右近隠密帖』と同様の名家の娘ながら剣の達人、覆面姿で立ち回りもするヒロイン。
ただ、第1部ではヒロインとはいっても、出演回は少なく、実質のヒロインは榊原るみさんでした。
今回は文句なしのヒロイン。
いなせな魚屋姿から町娘、お姫様、覆面女剣士「紫頭巾」と姿を変えつつ大活躍しています。
Old Fashioned Club 月野景史