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2023年6月

2023年6月30日 (金)

【時代劇】『江戸を斬るⅡ~Ⅵ』西郷輝彦主演/異色の遠山金四郎ドラマ

先日、昭和の名作時代劇ドラマ『江戸を斬る 梓右近隠密帳』について書きました。
チバテレビでの再放送に絡めての執筆でしたが、チバテレでは引き続いて
シリーズ第2部となる『江戸を斬るⅡ』の再放送が始まりました。
今回はこちらについて書きます。

Edo500

『江戸を斬るⅡ』
1975年11月10日-1976年5月17日
メインタイトル『江戸を斬る』は同じでも、
1部と2部では登場人物も時代も(もちろん江戸時代ではありますが)まったく違うドラマです。

第1部は江戸時代もまだ初期の三代将軍徳川家光の時代、
家光の腹違いの弟で、架空の人物 梓右近(竹脇無我)が主役。

第2部は幕末に近い天保時代。有名キャラクターの遠山金四郎を西郷輝彦が演じました。
好評につき、第6部となる『江戸を斬るⅥ』まで5シーズンが制作され、
『水戸黄門』『大岡越前』と人気時代劇が並び立つ、「ナショナル劇場」の黄金期を築きました。


時代劇の新ヒーロー誕生
遠山金四郎、ご存じ“遠山の金さん”が主役といっても、お白州で桜吹雪の入れ墨を見せて見栄を切る、
映画やNET(現テレビ朝日)のシリーズでのお馴染みのシーンはほとんどない、
「金さん」ものとしては、異色のドラマということになるかと思います。

主演の西郷輝彦は1960年代は橋幸夫、舟木一夫と共に“御三家”として知られた人気歌手として活躍。
1970年代になると、歌謡界の主役は新御三家に取って代わられますが、
戦中戦後の大坂を舞台としたドラマ『どてらい男(やつ)』(1973年-77年)の主演で俳優としてブレイクします。
そして、『江戸を斬るⅡ』の主役に抜擢されたのでした。

前作の竹脇無我は完璧な二枚目ヒーローでしたが、
本作の西郷輝彦さんは更に若く(年齢は竹脇さんとさほど変わらないけど)、
細身でシャープ、キリっとした男っぽいイメージ、時代劇の新ヒーロー誕生を印象づけました。


金四郎の出番が少ない!?
さて、今回第2部を久々に再見して違和感を覚えたのですが、
主人公 遠山金四郎の西郷さんの出番が少ない、あまり出てこないように感じるのです。
例えば、ラストで金四郎の仲間のレギュラーと善玉ゲストが顔を揃えて大団円、
というような場に、当然いるべき金四郎がいなかったりとか。

実は西郷さん、前述の俳優としての出世作『どてらい男』とのかけもちだったのです。
それはさぞかし忙しかったことでしょう。

『とてらい男』は「戦後編」「激闘編」などと分かれているので、私はその間にインターバルがあり、
休止中に『江戸を斬るⅡ』を撮っていたのかと思っていたのですが、休止期間のないドラマでした。
となると、当時の西郷さんの細くてシャープなイメージも、もしかしたらスケジュールがきつ過ぎて痩せていた?

その分、大活躍だったのがヒロインの松坂慶子さん。
第1部『梓右近隠密帖』と同様の名家の娘ながら剣の達人、覆面姿で立ち回りもするヒロイン。
ただ、第1部ではヒロインとはいっても、出演回は少なく、実質のヒロインは榊原るみさんでした。

今回は文句なしのヒロイン。
いなせな魚屋姿から町娘、お姫様、覆面女剣士「紫頭巾」と姿を変えつつ大活躍しています。

Edomatsu

Old Fashioned Club 月野景史

2023年6月29日 (木)

【ドラマ】『緊急取調室』のファイナルに暗雲/市川猿之助容疑者の事件の余波

市川猿之助容疑者が一昨日、逮捕されました。
この件はまだ不明なことも多く、事件そのものを論じる気もありません。

ただ、今回の逮捕よりたいぶ前、事件の発生から間がない時期からですが、
この件はあるドラマの関係者やファンにとっては、深刻な余波を生んでしまっていました。
6月16日に予定されていた映画『劇場版 緊急取調室 THE FINAL』の公開延期です。


『緊急取調室』(通称:キントリ) は天海祐希さん主演の警察ドラマ
2014年から2021年まで不定期に4シーズン放送、2022年1月にスペシャルドラマが放送されました。
公開予定だった映画は「THE FINAL」と付くので、その最終作ということになります。
猿之助容疑者はドラマ版の出演歴はなく、劇場版のメインゲストで、取調べを受ける総理大臣役での出演。

Kintori_s


現在、猿之助容疑者の役に代演を立て、取り直す方向で調整されているようです。
出演者の不祥事で放送・公開中止、撮り直しになる傾向に批判的な意見もありますが、
今回の場合はさすがに仕方ないか。

キントリのメインテーマは「取調べ」です。
その取調べを受けるメインゲストが、実際の事件の容疑者で、現実に取調べを受ける側になってしまったとは。
この役柄での出演、そのまま公開は、さすがに厳しいでしょう。

しかしそれにより、4シーズン続いた人気ドラマが、
初の映画版で最後を飾る、最高の舞台が用意されたのに、暗礁に乗り上げてしまいました。

しかもこの映画、本来は昨年公開予定だったのが、安倍元首相の銃撃を余波で一度延期になっており、
そして今度は、単に延期どころではなく撮り直しとは、よくよく運がありません。



『緊急取調室』
2010年代スタートの警察ドラマの代表的傑作
私も大変好きなドラマです。
警察ドラマの人気シリーズを多く抱えるテレビ朝日の放送ですが、
『相棒』や『科捜研の女』と違い、テレ朝の関連会社である東映制作ではありません。
そのせいか、一味違った魅力があります。

主演の天海祐希さんにとっても、2010年代の代表作のひとつと言っていいでしょう。
まだ終わるのはもったいない気もしますが、一方で仕方ないかとも感じます。
一部主要キャストの高齢化問題があるのです。

このドラマは主要レギュラーとして初回から、
田中哲司、鈴木浩介、速水もこみちといった、比較的若い俳優も出演しています、
ただ、鈴木さんと速水さんは別部署の刑事、田中さんは天海さんの上司役ですが、基本的に取調べはしません。

天海さんのもっとも身近な存在で、共に取調べを担う同僚警察官=取調べ官 三人は、
小日向文世、大杉漣、でんでんと、スタート時点で60代の俳優が揃っていたのです。
60歳は警察官の定年です。
『相棒』のように、長く続けるうちにキャストが高齢化したのなら分かりますが、最初からこの年齢構成は珍しい。

このキャスティングでは早いペースで続編を作っていかないと、続けられなくなるぞと思っていたのですが、
シーズン2終了後に大杉漣さんが亡くなり、主要キャストの一角が崩れてしまいました。
大杉さんの後任で塚地武雅さんがレギュラー入りしましたが、
塚地さんの役どころはIT系に強い後方支援型で、取調べ官は実質一人空席の状態で続いてきました。


実は2021年9月にシーズン4が、キントリが活動停止になり、メンバーは他部署に異動という形で展開で終了しました。
その後、大して間を置かず、2022年1月にスペシャルが放送されたのですが、
小日向さんとでんでんさんは異動先から戻ってこず、比嘉愛未さんと野間口徹さんがチームに加わりました。

その時は、今後はこのメンバーでシリーズを続けていくのかとも思ったのですが、
劇場版が本来は2022年に公開予定だったのだとすれば、
このスペシャルはそれに向けての序章だったのでしょう。

つまり、オリジナルメンバーが元気なうちに幕を降ろそうという判断だったようです。
それはそれでひとつの考え方で、ファンとしては支持しますが、
今回の事件で、とんでもないことになってしまいました。
メインゲストの出演シーンを、すべて撮り直しとは・・・。

しかも、不幸はそれだけではない。
劇場版と連動する形でスペシャルドラマも放送予定だったとのことですが、
そちらには大麻で逮捕された永山絢斗容疑者がメインゲストとして出演しているとのこと。

まさに呪われているのか!という感じですが、
この苦難を乗り越え、なんとか取り直して劇場版公開、
そしてスペシャルドラマも放送してほしいものです。

Old Fashioned Club 月野景史

2023年6月27日 (火)

“世界三大がっかり”の旧マーライオン 誕生した1972年の貴重な姿

このブログの過去記事で、今でもアクセス数の多いページのひとつがこちらです。

マーライオンの真実/世界三大がっかりは旧設置場所のせい? 移設前・後の新旧マーライオンを写真で比較


シンガポールの名所であるマーライオン(Merlion) ですが、
だいぶ以前から、「世界三大がっかりスポット」などという失礼な言われ方をしてきました。
それはなぜか?

実はマーライオンは2002年に移設されており、
移設前の老朽化した姿が「がっかり」などとされてきたのではないのかとの推測の元、
新旧のマーライオンを写真で比較してみよう、という主旨のページです。

結果としてはその通りで、ただマーライオン本体もですが、それ以上に周辺環境の悪化が原因。
そして現在の移設後のマーライオンは「がっかり」と言われる筋合いはない、というのが当ブログの結論でした。


ただ、ひとつ宿題が残りました。
2002年に移転した旧マーライオンですが、設置は1972年とのことで、
実はそんなに古いものではありません。
そもそも設置当時はどうだったのか、という疑問があったのです。
当時の写真がないだろうか、と。

その設置当時の貴重なマーライオンの姿を発見しました。
日本のドラマの中にあったのです。


『なんたって18歳!』(1971年10月~1972年9月)
岡崎友紀さん主演のアイドルドラマシリーズの1作で、
その終盤の1972年9月前半に放送された2本でシンガポールロケが行われており、
その中に登場したマーライオンが、下の画像です。

18-700pc

Wikipediaによればマーライオンの設置は1972年。
まさに誕生年。

ただ、別のサイトによれば、お披露目されたのが72年の9月15日とのことで、となると9月前半の放送は無理があります。
海外ロケであることを考えると、遅くとも、8月中には撮り終えてないと難しいでしょう。

この点は、お披露目の日にちに誤りがあるのか、
あるいは「お披露目」とはイベントが開催された日で、その前に撮影することは出来たのかも知れません。
いずれにしろ、誕生した1972年のマーライオンであることには間違いないでしょう。


それで、どうでしょう、このマーライオン。
画質がよくないので、評価は難しいかも知れません。
たしかに前回のプログで「がっかり」の元凶と指摘した土手の劣化は、
↓前回掲載の同じ構図の、末期の旧マーライオンと思しき写真と比べれば、そこまで進んではないようです。

Merlion_003

とはいえ、72年の時点でも「綺麗」とは形容し難い。
そして、眺望としても、あまり良くないように感じます。

Old Fashioned Club 月野景史

2023年6月26日 (月)

【科捜研の女23】『相棒』と同じ水曜21話枠で8月スタート/『特捜9』『刑事7人』を繰り上げ

Kasou2023

『科捜研の女』の新シーズンが2023年8月よりスタートします。
seazon23の放送がテレビ朝日から正式発表されました。
https://www.tv-asahi.co.jp/kasouken2023/

これは少々意外に感じた人もいるでしょう。
まず、連続ドラマで8月スタートというのが、変則的です。
1月、4月、7月、10月のスタートで、三ヶ月1クールの放送というのが一般的なので。
そして『科捜研』の場合、『相棒』のように初期から固定されていたわけではありませんが、
近年は10月スタートが定着していました。

また、長年の定番だった木曜20時からの「木曜ミステリー」枠ではなく、
『相棒』と同じ水曜21時枠に移動しての放送となります。
なぜそうなったのか?

まず枠移動は、「木曜ミステリー」が2022年7-10月期をもって枠自体が無くなったので、仕方ありません。
昨年の『科捜研の女』は10月から、新設の火曜21時枠で放送されました。


今年は水曜21時が変則放送
一方、水曜21時枠は10月から翌年3月の2クールが『相棒』で、
4-6月が『特捜9』、7-9月が『刑事7人』というのが、ここ数年の定番でした。

それが今年は、3月に『相棒』が終わった後、
4月スタートの『特捜9』が例年より一ヶ月短く5月末で終了、
6月から『刑事7人』が始まっていました。

となると、『刑事7人』も7月までの二ヶ月で終了し、
8-9月は別のドラマを放送というのは、容易に予測できました。
(その後は、テレビ朝日の大看板である『相棒』の10月スタートをずらすことはないでしょう)

その場合、8-9月には何がくるのか?
私は『科捜研』の可能性もあるが、同じ「木曜ミステリー」の定番作品だった、
『警視庁・捜査一課長』か『遺留捜査』の方が可能性が高いかと思っていました。

『科捜研』は昨年同様、火曜21時枠かと思っていましたが、ここは外しました。

それでも、シリーズ終了も噂されるなか、
新シーズン放送決定は、ファンとしては嬉しいことです。

一方で、私の予想通り、『科捜研の女』の二カ月に短縮されるなら、
テレ朝・東映のロングランシリーズである『科捜研』『特捜9』『刑事7人』が揃って短縮されることになり、
以前に比べて視聴率が下降していることもあって、少々寂しく感じます。

ただし、『科捜研』は三ヶ月放送でも休止回があったり、最終月は早めに終了したりで、
8-9回の放送のことが多かったので、二ヶ月みっちりやってくれるなら、あまり変わりはないのですが。

Old Fashioned Club 月野景史

2023年6月25日 (日)

【ドラマ】『相棒』で多くの傑作を残した古沢良太氏/大河ドラマとの相性は(?)

今年の大河ドラマ『どうする家康』は古沢良太さんの作。
(「ふるさわ」ではなく「こさわ りょうた」と読みます)

古沢さんは『リーガル・ハイ』シリーズや『コンフィデンスマンJP』など、
民放の人気連続ドラマのライターとして知られます。
(『コンフィ~』は連ドラとしては視聴率的に成功作とも言い難いですが、映画版はよかったようです)


その古沢氏ですが、かつては『相棒』の主力脚本家の一人で、
印象的な傑作を多く残してきました。

大作ではシーズン5、2007年の元日スペシャル「バベルの塔〜史上最悪のカウントダウン!」などは
『相棒』の長時間スペシャルの中でも屈指の傑作でしょう。

他にこのブログでも通常回の傑作として紹介した以下のエビソードも古沢氏の作です。
シーズン5 「スウィートホーム」
シーズン12 「待ちぼうけ

更に、花の里2代目女将・月本幸子(鈴木杏樹)がレギュラー入りする前の、
初登場回を除く3本の登場回も古沢脚本で、こちらもいずれも傑作回です。

随分「傑作」を連呼しました。
私が“古沢『相棒』”のファンなのだと言うべきかも知れません。

しかし、残念ながら上述の「待ちぼうけ」(2014年)を最後に、
古沢さんは『相棒』と疎遠になっているのですが。


さて『どうする家康』はどうなのか?
どうも評判は今ひとつに感じます。

視聴率も二桁をギリギリ保っているような状況で、
今の時代に悪いとまではいえなくても、「良い」ともいえないでしょう。

古沢さんの身上は、一話完結の中で見せるトリッキーな展開にあるように思います。
特に「待ちぼうけ」などはその典型。
冒頭から何が起こっているのがさっぱり分からないけど、
テンポの良い流れと、ユニークで印象的なシーンで視聴者を惹き付け、
やがて全体像が見えてきた時の驚き、見事でした。


しかし、大河ドラマではどうか。
やはり1年かけて継続していく物語だし、
歴史物なので、大枠でいえば先のストーリーは分かっています。

もちろん、その上で面白く作っていくのが腕の見せどころでしょう。
ですが、どちらかといえば向かない分野のようにも思えます。

Old Fashioned Club 月野景史

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