【心霊内科医 稲生知性】霊と話す医師/深夜のフジで4夜連続放送された、思わぬ拾い物ドラマ
『心霊内科医 稲生知性』
(しんれいないかい いなおちせい)
2023年3月28日(27日深夜)~31日(30日深夜)まで4夜連続放送済。
昨日のブログで紹介した『アイゾウ』の後の時間帯で4夜連続で放送された、フジテレビ深夜の30分ドラマ。
『アイゾウ』とはテイストが似ているといえば似ているが、こちらは今回初登場のオリジナル作品。
『アイゾウ』からの流れで観たのですが、思わぬ拾い物でした。
☆追記:2023年暮れ、新作が4夜連続で放送されます
『心霊内科医 稲生知性2』
12月26日(火)24:25~24:55
12月27日(水)24:05~24:35
12月28日(木)24:50~25:20
12月29日(金)24:55~25:25
******最後にネタバレあり*******
レギュラーキャストは4人
主人公の稲生知性を演じるのは、じろう(お笑いコンビ「シソンヌ」のメンバー)
心療内科医として「稲生心療内科」開業しているが、
実は患者に取り憑いた怨霊が見え、話すことが出来る「心霊内科医」。
不愛想な変人で、医院はいつも閑古鳥。
ヒロインポジションは稲生の医学部時代の同期で、こちらは普通の心療内科医の中岡俊子(伊勢佳世)。
中岡は稲生の特殊能力を知っており、自分が診察し、心霊絡み(このドラマでは「霊障」と表現される)だと、
判断した患者を、稲生の診察室へ連れてくるところから、毎回の話がスタートします。
他に稲生の助手(と思われる)髙橋守に若手歌舞伎俳優の中村鶴松。
「稲生心療内科」の受付、小池志摩子に平田敦子。
左から稲生知性(じろう)、助手の高橋守(中村鶴松)、稲生の同期の中岡俊子(伊勢佳世)
お笑い芸人「シソンヌじろう」が主役
シソンヌは単独活動では、じろうさんの相方の長谷川忍さんの方がバラエティ系で見かけます。
じろうさんはドラマにそこそこ出ているようですが、主演は初めてのこと。
失礼ながら、「せっかく面白そうなテーマなのに、お笑い芸人主演か」などと思ったのですが、
じろうさんは、ちょっと松田龍平さんに似た独特の雰囲気を醸し出し、好演でした。
思えば、昨年のR1グランプリなども、まるでアングラ芝居の一幕のような、演技力が必要なコントが多かった。
シソンヌは2014年のR1王者なので、昨年の出場者よりは少し世代が上ですが、
最近のコント師は演技力が高いということでしょう。
死者の霊が見え、会話が出来る
この“能力”、元ネタが挙げるなら、映画の『シックスセンス』でしょう。
稲生は患者に取り憑いた “怨霊” と話すことにより、
本来の目的は患者の治療ですが、結果的に殺人事件を解明することになります。
その意味でこのドラマは、いわば“オカルト探偵もの”
死者と話せる能力を利用しての事件解明となると、『シックスセンス』にもその要素はあるし、
日本のドラマだと、小栗旬さん主演の『BORDER(ボーダー)』が思い浮かびます。
殺人事件の被害者の霊と話せるなら、真実はすぐにわかりそうなものですが、
実は霊にも真相か分かってない場合もあり、更に霊も嘘をつく事があるというのが、このドラマの胆。
患者と霊の思惑は複雑に絡み合い、そこから真相が導き出されていきます。
個性的な脇役たち
ヒロインの中岡俊子役の伊勢佳世さんは舞台女優のようで、ドラマでは見かけない顔ですが、達者な演技。
無表情でスローな稲生に対し、表情豊かで軽妙、アップテンポにしゃべるキャラで、そのコントラストがいい。
変人の稲生に対し、ややエキセントリックではあるが、常識的思考の人間として、
稲生と患者の間に立ち、ストーリーを牽引しています。
ヒロイン 中岡俊子役は舞台女優の伊勢佳世(いせ かよ 1981年5月30日~)
そして、助手ポジションの高橋守役は中村鶴松さん。
一般家庭の出でありながら、歌舞伎界入りした若手俳優。
高橋は次回の診察までの間に依頼者(患者)と霊の周辺調査をしているようで、それが事件解明に役立っています。
ただ、どのように調査をしているかは、まったく描かれません。
医院のみで展開、まるで舞台劇だが
このドラマの舞台は稲生の診療所(主に診察室で、後はビル内の階段と受付が少し)のみで展開します。
私は勘違いしていて、レギュラー4人の登場は医院のみだが、
ゲスト俳優による事件シーンは映像で描かれていると思っていたのですが、
見直すと、それらは僅かな静止写真にセリフを重ねて表現されているだけでした。
まるで舞台劇のような作り、深夜枠ならではの低予算ぶりともいえますが、それを感じさせない演出でした。
********以下、ネタバレあり*******
最終第4夜のラストで、驚愕の真相が明かされました。
実は助手の高橋は稲生や中岡の医学部の同期生で、学生時代の16年前に亡くなっており、
それ以来、稲生に取り憑いている霊だというのです。
助手の高橋は霊だった!
霊が見えて対話ができるのは稲生だけ。
つまり、中岡や患者達には、高橋の姿は見えず、もちろん声も聞こえてなかったのです。
なんと驚くべき真実、
・・・といっても、これは初回の時点で、たぶんそうだろうな、とは思っていました。
よく観ると、高橋は稲生以外とは、まともに会話のやりとりがないのです。
この手法も『シックスセンス』のラストと同一といえば同一です。
ただ、そうミスリードして、実は違うというパターンもあり得るとは思っていましたが、
そこまでの捻りはありませんでした。
助手の高橋守(左)は大学同期の稲生(右)に取り憑いた霊だった
そしてラスト、中岡が高橋の霊の存在に気が付きます。
中岡は高橋は自殺だと思っていたようですが、実は殺されていたことが明らかになりました。
しかも犯人は不明、稲生と中岡は16年間、真相を追い求め続けているとのこと。
更に一番最後、もしかしたら高橋殺害の犯人は稲生では、と匂わせるようなシーンでドラマは終わりました。
言葉では表現されていません、演者の眼差しだけで、そんな疑惑を感じさせていました。
続編は?
もし、このドラマの続編が作られるとしたら、この高橋殺害の件が、ストーリーの縦軸となるのでしょう。
私はこの件の真相にはあまりこだわりませんが、一話完結の心霊探偵ドラマとして、本作はなかなか面白かったです。
ゲストの患者や関係者、霊の演者たち、有名俳優は少なかったですが、印象の強い好演が目立ちました。
是非続編を、期待しています。
追記:2023年12月に続編となる新作が放送されました
【ドラマ】『心霊内科医 稲生知性2』/春に話題を呼んだドラマが4夜連続で新作放送
【ドラマ】『心霊内科医 稲生知性2』終了/今回も面白かったが
Old Fashioned Club 月野景史
※見逃し配信等の情報は公式サイトから
https://www.fujitv.co.jp/inaochisei/