『相棒21』2023元日スペシャル「大金塊」は江戸川乱歩「少年探偵団」へのオマージュ?!
正月恒例の『相棒』元日スペシャル、シーズン21第11話「大金塊」の放送が終了しました。
今回は江戸川乱歩作の『少年探偵団』シリーズのオマージュ的な作品でしたが、
ちょっと中途半端な出来だったように思います。
サブタイトルの「大金塊」は『少年探偵団』シリーズの一本(第4作)の題名と同様です。
こちらは小林少年率いる少年探偵団が、名探偵明智小五郎の助けを借りて悪と戦うお馴染みの内容ですが、
『大金塊』は敵役が「怪人二十面相」ではありません。
その意味ではシリーズ全作の中でも、異色作といえます。
ただ、『大金塊」はシリーズ4作目と、かなり初期の作品なので、
前3作の怪人二十面相編から離れ、そろそろ新機軸をという意図だったのかも知れません。
二十面相が出てこないので、マイナーといえばマイナーの作品なのですが、
「ししがゑぼしをかぶるときからすのあたまのうさぎは三十ねずみは六十いはとのおくをさぐるべし」
(獅子が烏帽子をかぶる時、カラスの頭のウサギは三十、ネズミは六十、岩戸の奥をさぐるべし)
この宝探しの暗号が魅力的で、印象に残る作品です。
子どもの頃、熱心に読んだシリーズなので、題材として取り上げられたことは嬉しいです。
しかし、この『大金塊』と今回の『相棒』の「大金塊」、タイトルは同じですが、内容はあまり関係ありません。
「少年探偵団」に絡めて「熟年探偵団」を登場させたりしましたが、
主筋は昨年の元日スペシャルで登場した悪徳政治家と右京との決着編でした。
ここがちょっと中途半端だったかも知れません。
少年探偵団のパロディやるなら、もちろん最後は『相棒』的にきっちりまとめるとしても、
全体には“お正月番外編”的にファンタジー寄りにしてしまった方が、よかったようにも思います。
別に『相棒』にそのようなものを求めているわけでもありませんが、やるとしたらばです。
それにしても亀山復帰の『相棒21』も早や後半戦。
これからどのようにまとめていくのか?
Old Fashioned Club 月野景史
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