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2022年8月 8日 (月)

【漫画・アニメ】天才バカボンのパパの職業は “植木職人”? /幻の靴職人説も

昭和の人気漫画『天才バカボン』
そして昭和漫画の超人気・有名キャラクターである「バカボンのパパ」。
今回は、バカボンのバハの職業についての話です。

バカボンのパパといえば、無職の風来坊キャラ(自宅と家族はあるけど)ですが、
ある程度年齢の上の人だと、バカボンのパパは植木職人(植木屋さん)ではないかと思う人もいると思います。


Bakabonpapa01

上の画像が証拠、間違いではありません。
Wikipdiaにも詳しく載ってるし、大仰に種明かし! というほどのこともないのですが、
「パパ=植木職人」 は原作漫画にはない、アニメ第一作(1971年9月-72年6月 全40回)だけの設定なのです。
これから、この植木職の事情について書きますが、その前に簡単に原作初期の“幻の設定”にふれておきます。


原作漫画の最初は靴職人
実は原作第1話でパパは靴職人(靴屋)。
昔は稀にあった、町なかに小さな工房を構えているタイプの靴屋だったのです。

私は子どもの頃、近所に同じような業態の、老職人さんが営む店があったので、ピンとくるのですが、
そんなスタイルの店は見たことないという人がほとんどでしょう。

パパの靴屋設定は、確認出来る限りこの原作初回だけです。
パパはその後も、単発でアルバイト的に仕事に就くこともあったので
靴職人も同じようなものでは、との説もネットにはあるようですが、
私は元々は靴屋が家業という設定だったように感じます。
この件は掘り下げてもしょうがないので、ここまで。


さてアニメ第1作の放送は1971年9月-72年6月
1年続かず終わっており、大人気とまではいえないかも知れませんが、そこそこには支持され、
ダウンタウンの松本人志さんも、最終回が見れず悲しかったとの主旨を語っています。
ただ、繰り返しの再放送で人気が高まった面もあり、私はその口です。

アニメのスタートは原作開始の1967年3月からは3年半後。
原作ではアナーキーな作風やパパのキャラクターもある程度定着しており、
初期はアニメも、基本的にはそのスタイルでした。

Wikiによれば、その作風にPTA団体やスポンサーサイドからクレームが入り、
バカボン一家の家族の繋がりを重視した、ファミリーコメディ、ホームドラマ風に路線変更し、
そうなるとパパが無職は不自然で、後付けで植木職人にとしたいうのが、裏事情であるとのこと。

関係者がそう証言しているのだからそうなのでしょうが、
視聴者からすると、この説明はちょっと印象が違うというか、言葉足らずに感じます。
何が足らないか?


そもそも家族愛がテーマ
原作漫画は一家の第二子、バカボンにとっては弟となる「ハジメ」を
バカボンのママが妊娠中の設定でのスタートです。
パパとバカボンはハジメの誕生を待ちわびるあまり、様々な騒動を引き起します。
そして、生まれた可愛い次男のハジメは天才だったということで、またひと騒動。

つまり、原作漫画でも最初は過剰な家族愛がテーマだったのです。
この点はアニメのスタート時も一緒です。
パパのキャラはその当時の原作に寄っていますが、
ハジメ誕生を中心とした家族愛中心のストーリーが、ほぼ原作のまま作られていました。


アニメを最初から通して見ると、
スタート当初はハジメ誕生にまつわる家族愛を軸にしたエピソードが主筋で、
それが一段落して、アナーキー路線がメインになったが、
やがてホームコメディ路線にゆり戻した、という印象もあるのです。

つまりファミリーテイストはまったくのアニメオリジナルでもなく、
また途中からの突然の路線変更でもなく、
原点回帰ともいえるのです。


パパの植木職人設定は、シリーズ中盤で唐突に登場します。
元々そうであり、今まではたまたまそういうシーンは描かれなかった、という見せ方だと思います。

しかし、パパが植木職人になるまでの経緯をアニメで見たことがあるという人もいると思います。
それは植木職設定が定着してから、後付けで作られた、↓この回です。
【1972年5月13日放送第34回(67話)「パパはこうして植木屋になったのだ」】
全40回中の34回目なので、だいぶ終盤です。

この回ではパパのかつての職歴が回想の形で描かれます。
パパは様々の仕事を経験しますが、すべて「ハサミ」を持ち出して失敗してしまいます。
しかし、最後はハサミを使う、天職ともいえる植木職に出会います。
諺「バカとハサミは使いよう」がテーマとなっており、なかなか洒落ています。


この植木職設定の後付けは、なかなか上手かったと思います。
普段のパパの定番の腹巻姿に、職人風の法被を羽織れば、もう植木屋さんに見えます。
個人で営む自営業の職人なので、パパのマイペースなキャラを大きく変えることなく、職業人に変化させました。
つまり、それまでの流れにさほどの違和感もなく、「実は植木職人だった」設定を導入することに成功したのです。

これにより、家族だけでなく、近隣の人々との繋がりを描くエピソードも増えました。
ホームコメディとして、深みのある作品もあります。
ただ、この改変は原作者の赤塚不二夫氏には不評だったようです。
しかし、テレビアニメ用の改変としては、成功例ではないかと思います。


踏襲されなかった“植木職”
本作アニメ終了から約3年後の1975年10月、
アニメ第2作である『元祖天才バカボン』がスタートします。
私は第1作の再放送人気が第2作に繋がった面もあるし、
同じ日本テレビ系、制作会社も同じ東京ムービーなので、植木職設定も踏襲するかと思ったのですが、
そうはなりませんでした。

再放送でのアニメ人気以上に、原作漫画のパパの存在感が巨大化しており、
アニメ第1作のイレギュラーな設定を踏襲する余地はあり得なかったのでしょう。

Old Fashioned Club 月野景史

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