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2022年8月10日 (水)

【ドラマ】 『初恋の悪魔』 珍しい警察職員による “合議制の安楽椅子探偵もの”(!?)

「この7月-9月クールのドラマはミステリ、事件捜査物が少ないな、
定番枠の『刑事7人』、『遺留捜査』、『警視庁強行犯係・樋口顕』以外は皆無ではないか」
などと思っていたら、タイトルからは推察不可能な、意外なドラマが警察ミステリでした。


Hatsukoi

『初恋の悪魔』(日本テレビ系 土曜22時-)
このタイトルでは、こじれた恋愛物、ラブサスペンスにしか思えませんが、実は謎解きミステリ。
しかも、大変珍しい、「合議制の安楽椅子探偵物」といえるかと思います。


安楽椅子探偵
(アームチェア・ディテクティブ、Armchair Detective)
ミステリ用語です。

自らは事件現場に赴いたり、捜査したりはせず、
捜査担当者から話を聞いて、真相を推理する探偵のことを指します。
自分は動かず、安楽椅子に腰かけたまま推理する名探偵、という意味合い。

古典的な推理小説において安楽椅子探偵物の元祖とされるのが
バロネス・オルツィの『隅の老人』シリーズ。
最も有名なのはアガサ・クリスティが創造した「ミス・マーブル」でしょうが、
マーブルは自ら捜査活動をすることもあり、この枠には入らないとの見方もあります。


縦軸と横軸
さて、ちょっとわかり難いのですが、連続ドラマを語るのに「縦軸」と「横軸」という言い方をします。
特に、警察系ミステリで使われることが多いです。

簡単にいうと、シリーズを通しての謎、解決すべき課題、テーマといったものが「縦軸」。
一方で、警察官が主役だと、縦軸の課題とは別に毎回色々な事件が起こり、捜査するのが一般的。
それらは一応一話完結で、その回ごとに解決する場合が多い。こちらをその回ごとのテーマとして「横軸」と呼びます。
が、どちらかというと「縦軸」の方が使われ、「横軸の事件」みたな言い方はあまりしないかも知れません。
※「縦軸」「横軸」は連ドラとは違うスタイルのストーリーでは、使い方も違ってきます。


『初恋の悪魔』
中心人物は比較的若い世代の男性3人、女性1人の4人組
(林遣都 仲野太賀 松岡茉優 柄本佑)
全員警察の人間ですが、そのうち男2人は「警察官」ではなく、「警察行政職員」。
残りの男女1人ずつは警察官ですが、それぞれ別の事情で事件捜査からは外れています。

縦軸と思われる謎がいくつか提示されており、
今後それがどう繋がっていくのか、というところでしょう。

一方横軸は、毎回色々な事件が起こりますが、
主役の4人組は捜査権はないのて、原則として捜査は出来ません。
そこで、林遣都を中心に、主に彼の家で “自宅捜査会議” を行ない、事件の真相を推理する、
というのが、今までのところ、毎回の定番になっています。
このスタイルを「合議制の安楽椅子探偵物」と表現してみました。

なかなか面白い趣向なのですが、残念ながらこの各回ごとの推理部分は、少し浅く感じます。
おざなりというか、ちょっとおまけみたいにも。
私はミステリ好きなので、そこを充実させてほしいと思うのですが、
ネットの意見を見ても、そこへ期待している人はあまりいなさそうです。

これからますます縦軸の方が混み入ってきそうなので、
安楽椅子探偵部分の充実は難しいのかも。
だとしても、今期の中で、楽しみにしているドラマです。


ところでこのドラマ、クレジット上は林遣都さんと仲野太賀さんのW主演なのですが、
上に貼った公式サイトのトップ画像だと、松岡茉優さんと仲野さんのW主演に見えます。
実は今のところ、ドラマの内容からも、仲野さんと松岡さんが主役とヒロイン、もしくはW主演で、
林さんは“トメ”に来るような役回りに感じます。
ここは林さんの役の動向しだいの面もあり、今後どうなっていくのかもポイントです。


Old Fashioned Club 月野景史

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