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2022年6月 9日 (木)

【ドラマ】終了決定のテレビ朝日「木曜ミステリー」の歴史を辿る/『科捜研』『迷宮案内』『おみやさん』『京都地検』『一課長』『遺留捜査』

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終了が公表されたテレビ朝日木曜20時のドラマ枠「木曜ミステリー」について、
2015年7月、このブログに書いたことがあります。

その時は、『科捜研の女』以外の人気シリーズが終了し、
新作が軒並み低視聴率で、存続の危機である、という主旨でした。
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2015/07/post-8767.html

しかし、その後に新たな人気作も生まれて立て直しに成功、通算20年以上続いてきたのですが、
残念ながら今年の7月クール(7月-9月)をもって終了ということになりました。
改めて「木ミス」の歴史を辿ってみます。


「木曜ミステリー」とは
この枠のドラマは警察や報道関係者、探偵等を主人公とし、
原則として京都を舞台とした事件捜査物である事が特徴。
2000年代には『科捜研の女』の他にも
『京都迷宮案内』(橋爪功主演)
『おみやさん』(渡瀬恒彦主演)
『京都地検の女』(名取裕子主演)

常時視聴率12%~14%台、大ヒット作とはいえないまでも、安定した人気シリーズを4本抱えていました。


東映京都撮影所枠
そもそもこの枠のドラマはなぜ京都が舞台なのか?
それは、原則としてすべて東映京都撮影所で制作されているからです。

戦後の映画黄金期、東映は東京で現代劇、京都で時代劇を制作していましたが、大黒柱は京都で作られる時代劇でした。
そして、他の映画会社も時代劇を作っていましたが、時代劇の総本山といえば東映だったのです。
1960年代後半になると時代劇映画は衰退しますが、舞台をテレビに移し、多くの作品が作られました。

しかし1980年代から90年代へと進む中、テレビ時代劇も少しずつ退潮していきました。
このテレ朝木曜8時も東映京都制作の時代劇枠だったのですが、
1999年1月から「木曜ミステリー」として現代劇を放送するようになったのです。


時代劇は京都で撮影していても、劇中の舞台は江戸というのがほとんどです。
しかし現代劇、とくに屋外ロケを多用する刑事ドラマ、事件捜査物では、
京都で撮影しながら、舞台は東京の設定は無理です。
だからみな、京都が舞台なのです。


『迷宮案内』も『科捜研』も一桁スタート
「木曜ミステリー」は20世紀末の1999年1月スタート。
原則として1クール3ヶ月で、第1弾が『京都迷宮案内』、10月スタートの第4弾が『科捜研の女』でした。

第1シーズンの平均視聴率は『迷宮案内』が9.6%、『科捜研』が9.3%。
この頃はテレビ番組全体も、ドラマ分野も、現在と比べて全般に視聴率が良かった筈です。
それなのにこの視聴率では、通常続編は考えられません。
にも関わらず続編が作られたという時点で、この枠が特別であることがわかります。
実は、初期2年の間に放送された他の作品はこの2作より更に数字が悪く、2作を続けるしかなかったのです。

翌2000年の続編で『迷宮案内』は数字を伸ばし、その後も安定した数字を残してこの枠の柱となりました。
しかし『科捜研』は大幅にキャストを入れ替えて臨みましたが、9.2%と僅かですが下げてしまいます。
ですが、同年に放送された他の2本の新作ドラマよりはいいので、また入れ替えを行い、シーズン3を制作します。

視聴率が悪いのに続けようというのだから、リニューアルを繰り返すことになります。
このシーズン3では数字を伸ばしましたが、4でまた落としと、まだしはらく迷走が続きました。
結局、シリーズ6(2005年)頃まで極端なリニューアルを繰り返し、ようやく安定期を迎えたのです。


全盛期へ
そうこうしているうちに2002年に『おみやさん』、2003年に『京都地検の女』がスタート。
2005年頃には4作とも12%~13%台を獲るようなりました。

まさに人気シリーズが目白押し状態、2010年頃まで全盛期が続きます。
ただ、1年間でこの4作がすべて放送されたのは2006年だけです。

シーズンごとの視聴率では2005年~2010年の間に『科捜研』と『おみやさん』は13%以上が4回ありました。
『科捜研』はその内1回が14%突破(2009年 14.5%)。『おみやさん』は2008-9年の13.5%が最高。
『迷宮案内』の13%越えは1回だけですが、13.9%の好数字。(2006年)
『京都地検』は13%越えはなく、最高が12.8%でした。(2007年)


『京都迷宮案内』の終焉
2008年、『迷宮案内』が第10シリーズを持って休止します。
(翌2009年には単発スペシャルを放映。これが現時点での最終作。)

シーズン10の視聴率は12.6%で、これは全10シーズン中第2位の数字。
やめる必要はなかったように思いますが、これには橋爪功さん初め主要キャストの年齢や、
橋爪さんの劇団円の代表就任等の事情があったともいいます。

他に人気シリーズもあり、『科捜研』や『おみやさん』に比べるとやや数字も低く、
出演者の高齢化も目立ってきた『迷宮案内』に、区切りの良いところで終止符を打ったのでしょうか。

2007年の新作『その男、副署長』(船越英一郎主演)が13.5%を獲ったことも原因のひとつかと思います。
ただ、『副署長』はその後2回、11%台2回が続き、終了してしまいました。

もう一作『女刑事みずき』(浅野ゆう子主演 2005年~)もそうですが、この頃は11%台が続くと継続は難しかったようです。
初期を思えば、そして今から考えれば贅沢な話です。


低迷期へ~ 『おみやさん』『京都地検』の休止
『迷宮案内』の休止後も好調を維持していた3作ですが、
2011年頃を境に、数字の落ち込みが目立つようになります。
『おみやさん』と『京都地検』が12%を割り込み、『科捜研』でさえも13%を切るようになりました。

そして『おみやさん』は2012年の第9シリーズ、
『京都地検』は2013年のやはり第9シリーズを最後に休止状態となりました。
これには、裏番組の影響も指摘されていますが、番組側にも事情がありました。

『おみやさん』はスタート以来2011年まで10年8期、渡瀬さんの相棒役を務めた櫻井淳子さんが、
シーズン9(2012年)の第1話冒頭で、脇役陣の会話だけで異動による降板が告げられるという、少々不可解な展開でした。
この9期で11.0%まで落とし、連ドラ休止となってしまいました。
ただ、その前の8期は11.5%に落とし、低落傾向にはあったのですが。

一方の『京都地検』は、スタート時から名取さんの上司役を務めてきた蟹江敬三さんが
2014年3月に死去したことが理由との見方もされます。
ただ、それ以前の2011年~2013年の数字が11.5%→10.3%→11.1%と低迷しており、
蟹江さんが健在ならば続いていたかというと微妙です。


新作ドラマが不調
こうして長寿シリーズ二作に区切りをつけ、新作を送り出しますが、2014年になると一気に数字が悪化します。
2013年の第1期が12.1%だった『刑事110キロ』の第2期が7.7%と急落。
続いて木ミスを一旦休止し、時代劇に先祖帰りした『信長のシェフ』も7.3%と、
二桁が当たり前だった枠としては信じられない低視聴率が続きました。

2015年は年初から新機軸の新作が次々と打ち出しますが、
結果は1月期の『出入り禁止の女』が6.4%、4月期の『京都人情ファイル』が6.7%と、
コンスタントに13%前後を獲っていた2010年頃までに比べると、半分まで数字が落ち込んでいます

7月期はかつての人気シリーズ『京都迷宮案内』の橋爪功さんと、
『京都地検の女』の名取裕子さんをW主演に迎えた『最強のふたり』で勝負にでましたが、7.3%に終わりました
2015年のブログには、この時期の危機的状況について書いたのです。


掟破りの奇策で復調
その後の2016年、ついに掟破りの奇策に打ってでます。
2時間ドラマの土曜ワイド劇場で好評だった『警視庁・捜査一課長』を4月から連続ドラマとしてスタートさせたのです。
これの何が奇策なのか?

『一課長』は東京の警視庁が舞台で、制作も東映の東京の撮影所。
つまり、木ミス= “京都制作・京都舞台” の原則を崩したのです

しかも主演の内藤剛志さんは『科捜研の女』の準主役格。
この頃の『科捜研』は2クール放送のことも増えていたので、
その場合、「木ミス」は年の4分の3を内藤さんに頼り切ることになりました。
この点も奇策というか、なりふり構わずです。

ともかく、『一課長】は二桁視聴率を獲得して4月期にシリーズ化され、「木ミス」の救世主となりました。

この後も京都制作の新作が作られますが、それも不調。
2017年7月にまた別の手段に出ます。


更なる奇策で安定確保
東京を舞台に不定期に3シーズン作られ、人気ドラマだった『遺留捜査』を、
主演の上川隆也さんの役が京都府警に異動した設定で、
京都制作、京都舞台で放送したのです。

上川さん演じる糸村は警視庁の警察官なので、京都への異動など現実にはないのですが、そこはドラマなので。
こちらもまずまずの視聴率を確保しました。

こうして『科捜研』『一課長』『遺留捜査』の新三本柱が確立し、「木ミス」は一応の復活を遂げたのです。


2019年の1月クールには久々の京都制作の新作『刑事ゼロ』(沢村一樹主演)も好評。
4月からは20周年を迎えた『科捜研』が異例の1年間放送、映画化も決定と話題にも事欠きませんでした。

今回の終了決定については総合的判断ということで、具大的な説明はされませんでした。
もちろん、コロナの影響はあったでしょうが、それは他のドラマも同じことです。

ただ、“噂”で流れた情報としては、京都制作であることによるコスト高が挙げられていました。
それはその通りだと思います。

キャスト絡みだけ考えても、レギュラー陣から主要ゲスト、脇役にいたるまで、
大半の俳優さんは東京近辺在住だろうから、交通費・宿泊費は膨大な額になるでしょう。
まして内藤さんのような売れっ子が主要レギュラーだと、スケジュール調整も大変だろうし。

数年前に犯人役の俳優さんのブログを読みました。
メインゲストの俳優が犯人かと思わせつつ話が進み、実は最初の方に少しだけ出てきた、
あまり有名でない役者さんが犯人だった、というパターンでした。
その人はクランクインからアップまで一か月近く、その間東京-京都を少なくとも二往復していたようでした。
大変です。

もっとも、こういったことは今に始まったことではない筈ですが、
コロナ禍の影響で、見直しが求められたかも知れません。

ともかく、木曜ミステリーの終了は発表されました。
仕方ありません。
新たなドラマ枠は作られるのか?
『『科捜研』『一課長』『遺留捜査』はどうなるのか?
それはまだこれから、ということのようです。

Old Fashioned Club 月野景史

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