【元彼の遺言状】視聴率女王 綾瀬はるかの月9初主演作は迷走気味/“痛快ドラマ”となるのか?
今のドラマ分野で“視聴率女王”と言えば、
断トツとまでは言えませんが、綾瀬はるかさんでしょう。
米倉涼子さんもいるけど、ほぼ『ドクターX』1本になっていますし、
局やジャンルを越えて色々ドラマに出てとなると、綾瀬さんかなと。
その綾瀬さんの、意外にも月9初主演となるドラマ『元彼の遺言状』がスタートしています。
初主演どころか、月9ドラマの出演自体初めてのようで、これも意外です。
4月11日に初回スペシャル、4月18日に第2話が前後編として放送されました。
綾瀬さんの役は敏腕女性弁護士とのことですが、
公式サイトを読むと、ジャンルとしては法廷物ではなく、謎解き主体のミステリーのようで、
私はも好きな分野で期待しましたが、残念ながらちょっと迷走気味のようです。
視聴率も、初回の12.1%から、2話は10.3%に落としてしまい、早くも二桁割れのピンチに陥っています。
痛快ドラマか?
このドラマ、公式サイトのイントロダクションによると、
“痛快リーガルミステリードラマ”とのこと。
綾瀬さんも以下のようにコメントしています。
「痛快な物語に毎週スカッとする、視聴者の皆様の明日の活力になるような作品にしたいです」
随分「痛快」を強調していますが、2話まで観た限り「痛快感」には乏しいです。
むしろ皆無と言ってもいいかも知れません。
ストーリー展開にも原因はありますが、
それ以上に綾瀬さん演じる主人公の弁護士・剣持麗子(けんもち れいこ)のキャラクターです。
金の亡者にしか見えないのです。
公式サイトによると、たしかに剣持は金にもこだわるキャラのようですが、
それ以前にまずクライアント第一、そのためにはどんな手を使っても勝ちにいくというように書かれています。
1・2話では、その部分がまったく見えません。
自分の利益と金儲けしか眼中になく、その為にはどんなことてもするタイプに思えます。
痛快なドラマとは?
またストーリーの面でも、
一般にこの手のドラマで“痛快”をアピールするなら、
善と悪がはっきりしていて、善が幸せになり、悪は滅びる展開が最も分かり易いでしょう。
しかし、それ以前の問題として、まずストーリーの結末が明快でないと、痛快足りえないと思います。
これらの点でも、1・2話は“痛快”とは言い難い、モヤモヤの残る話でした。
剣持のキャラを変える気がないなら、
逆に剣持が毎回手段を選ばす金儲けに万進して、結果的にひどい目に合う方がまだ痛快かも知れません。
制作初期に混乱?
ネットには、このドラマはキャスティングや設定が当初の構想から大幅に変わってしまったとの説もあります。
その説がそのまま正しいとも思いませんが、制作初期に混乱があったのでは、とは観ていて感じます。
分かり易い例を出すと、初回冒頭近く、剣持麗子のジャケットの色が、
明らかに継続連続するシーンなのに、まったく変わってしまったりしています。
鮮やかな赤から白に変わったので、凄くわかり易く、何か意味でもあるのかと考えたのですが、あるとも思えません。
これは見た目に分かり易い事例で、逆にどのような混乱があったかは邪推するしかないですが、
これ以外にも色々とチグハグ感はありました。
原作との微妙な関係
このドラマの原作は新川帆立氏による『元彼の遺言状』、つまり同名小説。
宝島社の「第19回『このミステリーがすごい!』大賞」の大賞受賞作です。
しかし、実はこの小説『元彼の遺言状』の内容は、ドラマでは2話まででほぼ完結してしまいました。
4月25日放送の第3話以降は剣持麗子と、1・2話で知り合った篠田敬太郎(大泉洋)が
バディとなって事件を解決していく物語になるようです。
では3話以降はオリジナルストーリーかというと(公式サイトにもそのようなことが書かれています)、
実はドラマ放送開始直前の4月8日に剣持麗子シリーズの続編となる
新刊小説『剣持麗子のワンナイト推理』が発行されています。
ただ、この新刊については番組公式サイトではふれられておらず、
今後、この新刊を原作としたドラマが作られるのかは分かりません。
痛快バディドラマになるのか?
結果的にですが、第1・2話はコンビ誕生までのプロローグで、
第3話からが本編スタートということになるのかも知れません。
小説『元彼の遺言状』の内容は2話で完結しているのに、プロローグとは変ではありますが、
ともかく、3話以降は綾瀬さんと大泉さんを生かした魅力的なバディ物、
そして公式サイトが謳う通りの痛快なドラマになることを期待します。
1・2話ではアガサ・クリスティの名がやたら出てきましたが、
3話以降で二人の本拠地となる事務所はシャーロック・ホームズのベーカー街の事務所を思わせるクラシカルなインテリアです。
ホームズ&ワトスンのような名コンビとなるのかどうか。
ちょっと不安もありますが。
Old Fashioned Club 月野景史
« 【ドラマ】『ミラクルガール』(1980)YouTubeで配信/『プレイガール』後継最終作 途中打切りの問題作? | トップページ | 【国際プロレスの謎①】大木金太郎入団の経緯 独自推論 »
「13.【特集】テレビドラマ」カテゴリの記事
- 【ドラマ】怒涛の展開『VIVANT』最終回は綺麗にまとまるか/ナイツ塙さんの考察も紹介(2023.09.13)
- 【時代劇】『江戸を斬るⅡ~Ⅵ』西郷輝彦主演/異色の遠山金四郎ドラマ(2023.06.30)
- 【ドラマ】『緊急取調室』のファイナルに暗雲/市川猿之助容疑者の事件の余波(2023.06.29)
- 【ドラマ】『相棒』で多くの傑作を残した古沢良太氏/大河ドラマとの相性は(?)(2023.06.25)
- 【ドラマ】『江戸を斬る 梓右近隠密帳』竹脇無我主演 豪華キャストの伝説の傑作時代劇(2023.04.18)