【俳優】田村正和死去 最後のスターらしいスター俳優/正和ワールドは超多彩
訃報 俳優の田村正和さんが先月3日に亡くなっていたことが、5月19日に公表されました。
田村 正和(たむら まさかず)
1943年8月1日 - 2021年4月3日 77歳没
最近は有名人も一般人も、死去の際には広く公表せず、
葬儀も内々に済ます傾向にありますが、それにしても随分時間が経ってからの公表でした。
田村正和!
私生活を見せない、明かさない、生活感を匂わせない
最後のといっていい、スターらしい“スター俳優”、別格的な人でした。
といっても、トーク番組には時々出演していたし、
舞台挨拶等に登場することもあったので、
ドラマや映画の画面以外、一切出なかったというわけではありません。
そうであっても、私生活を感じさせないところが、逆に凄いといえます。
時代劇映画の伝説の大スター坂東妻三郎の息子で、いわば二世俳優。
兄の田村高廣さん、弟の田村亮さんも有名俳優で、そのこと自体よく知られていますが、
そういう点を超越した、特別な存在でした。
もうひとつ、スターらしい点は、主役以外やらないところ。
この点もあるでしょう。
晩年まで貫きました。
ただ、実は若い頃からそうだったのでもありません。
1970年代頃までは脇役というか、重要な役だけど主役ではないということも結構ありました。
主演しかなくなったのはだいたい80年代以降、40歳近くなってからだと思います。
魅惑の田村正和ワールド
主役だけになって、若い頃は頻繁に出ていたNHK大河ドラマへの出演は途絶え、
出演作品はすべて“田村正和ワールド”といった趣きになっていきました。
といっても、正和ワールドもジャンルは幅広い。
元々、テレビでは父親譲りか時代劇が多く、
現代物では恋愛物・メロドラマのイメージがありましたが、
『うちの子にかぎって…』(1984年)でコメディ路線に新境地を開き、
(御本人は「ライトコメディ」と言っていたかと思います)
ホームドラマに業界物をミックスしたような『パパはニュースキャスター』(1987年)も人気。
と思うと、原点回帰したようなちょっと重めで浮世離れしたトレンディドラマ『ニューヨーク恋物語』(1988年)。
そして、縁の薄いように思えた刑事ドラマの『古畑任三郎』が後年の代表作となりました。
個人的にはトレンディドラマブームに5年ほど先んじて作られた『夏に恋する女たち』(1983年)。
最高にかっこいいドラマでした。
近年はスペシャルドラマに年1本ほど出演するペースでしたが、
『眠狂四郎 The Final(2018年2月17日)が遺作となりました。
最後は、青年時代から演じてきた時代劇で締めくくりました。
晩年は見ていて、少し辛い面もありました。
やはりどうしても実年齢より若い役柄が多く、無理を感じたのと、
元々、少し苦しそうな発声をするところがあり、
年齢を経て苦しい感じが顕著になった面もあるかと思います。
考えてみると、昭和と平成の両方の時代で大スターだったという点では、
No.1ではないでしょうか。
私もファンだった昭和~平成の名優。
謹んで哀悼の意を表します。
Old Fashioned Club 月野景史
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