【昭和プロレス】パット・パターソン死去/ “インサイドワークの精密機械”
訃報 カナダ出身でアメリカで活躍したプロレスラー
パット・パターソンが亡くなりました。79歳没
パット・パターソン
(Pat Patterson、本名:Pierre Clemont、1941年1月19日 - 2020年12月2日)
1981年に発行されたプロレス本の名品「プロレスアルバム14 メモリアルレスラー」で、
「インサイドワークの精密機械」
と称されていました。
「インサイドワーク」はプロレスでよく使う言葉でしたが、
インサイドワークに長けてる、と言った場合、
いわゆる正統派の技のテクニックが優れていると言うのとはちょっと違い、
試合運びや駆け引き、といった部分が巧妙であることを指します。
どちらかといえばヒールレスラーに使われることが多いかも知れません。
ずる賢い、奸智に長けているといったイメージです。
パット・パターソンや、彼の先輩でタッグパートナーであった
レイ・スティーブンスなどは、その典型的なタイプということになるのでしょう。
そのプロレスラーとしての総合的実力に加え、人格も評価は高く、
現役引退後はWWF→WWEの重鎮としても活躍しました。
日本のファンには、アントニオ猪木の米国修業時代に親切に接したこともよく知られています。
WWF=東海岸のNYのイメージが強いですが、
現役生活の大半はサンフランシスコを中心とするアメリカ・カナダの西海岸で過ごしました。
猪木との出会いもカリフォルニアの北、オレゴン州・ワシントン州でした。
西海岸を離れて、本格的に各地を転戦して実績を残すのは、
実は現役生活の晩年に近づいてから。
そして、1979年に乗り込んだWWFでは、
最初ヒールとして王者のボブ・バックランドと抗争しましたが、
やがてベビーフェイスに転向、そのままフロント入りした形です。
レスラー生活全般としてはヒールが多く、スティーブンスとのブロンドボンバーズも
まさに奸智に長けた悪役コンビでしょうが、
実は西海岸でもヘビーフェイスとしてファイトしていた時期もあり、
正反対の典型的なベビーフェイスであるペドロ・モラレスや
ロッキー・ジョンソンとのチームでもタッグ王者になっています。
日本には1968年に日本プロレスに来日していますが、
新日本プロレス設立、坂口征二合流後の1973年8月、
ジョニー・パワーズとの北米タッグ王者としてロサンゼルスのオリンピックオーデトリアムに登場、
猪木・坂口組の挑戦を受けたのが、日本のファンへの最初の晴れ舞台でしょう。
後から見れば、
この王者チームはそれまで実績のない、この試合のために作られたチームだったようですが、
結果的には全盛期といえる猪木・坂口の “黄金コンビ” の挑戦をアメリカと日本、
二度にわたり退けるという実績を残しました。
パターソン(左)とパワーズのハンサムコンビ
即席どころか、この時が初対面ともいわれますが、チームワークは上々でした
パターソンはその後も新日本に度々来日、
猪木のNWFヘビー級王座に一度、
因縁の北米タッグには坂口・ストロング小林組に二度挑戦。
1979年にはWWF北米ヘビー級王者として来日し、坂口に王座を奪われました。
この年はそれ以前にパワーズもNWF版の北米ヘビーを坂口に取られています。
奇縁というか・・・、ちょっとおかしな話でしたが。
現役最後の来日は1981年暮れの第2回MSGタッグリーグ戦。
この時はほとんど目立つことなく、負傷で途中帰国となりました。
これはおそらく当初の予定通りだったのでしょう。
既にWWFのフロントにも関わっており、
その仕事の部分も含め、猪木・坂口との懇親という意味もあったのかも知れません。
だとしても、もう少しリング上の見せ場も作ってほしかったですが。
謹んで哀悼の意を表します。
Old Fashioned Club 月野景史
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