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2020年7月10日 (金)

【ミステリ】戦後日本の名探偵 金田一耕助の登場時期

先月のブログでテレビドラマとの関係で、
日本推理・探偵小説の巨匠、横溝正史が生み出した二大名探偵である、
金田一耕助由利麟太郎について書きました。
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2020/06/post-d4d6c5.html

その中で、横溝にとって、
戦前の代表作が由利シリーズ、
戦後の代表作が金田一シリーズ、
と表現したのですが、それに対して、
金田一耕助が戦後の登場とは意外だ、もっと古いと思っていた、
戦前・戦中の話を読んだ記憶もあるが、
といった声をいただきました。

ある程度年配の方なら、この疑問を持つのもわかります。
私も最初はそんなふうに感じたような気がします。
金田一シリーズの代表的な作品はかなりクラシカルな雰囲気があります。


改めていいますと、金田一耕助の初登場は戦後の作品です。
それは間違いありません。
ただし、注釈があった方が親切かも知れません。
簡単に説明します。

Honjin

金田一耕助のデビュー作は1946年4月から新聞連載された『本陣殺人事件』
代表作のひとつです。
終戦翌年ですが、間違いなく“戦後”です。

ただし、この作品の舞台となっているのが戦前、1937年なのです。
つまり、作品の発表時期より9年ほど前の世界が舞台ということ。
戦前の話があったという記憶も間違いではないのです。
当時の金田一の年齢は二十代半ば。

横溝は本作の好評を受け、翌1947年には大作『獄門島』を発表します。
こちらは舞台を初作から10年後まで一気に飛ばして発表当時に近づけ、
戦後の1946年としました。

前作では20代半ばの若者だった金田一はその後、
太平洋戦争に従軍して辛酸をなめ復員、年齢も三十代半ばになっていました。
しかし、その辛い経験も探偵業に生きることになります。
ここから戦後日本を舞台に、名探偵金田一耕助の活躍が始まるのです。


Old Fashioned Club 月野景史


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