【美術展】「印象派への旅 海運王の夢」文化村ミュージアム/フランス印象派の名画がスコットランドより来日
東京渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムでは同館の30周年記念事業として、
「印象派への旅 海運王の夢 バレル・コレクション」が開催中です。
印象派への旅 海運王の夢 バレル・コレクション
2019年4月27(土)-6月30日(日)
Bunkamura ザ・ミュージアム
主催 Bunkamura、毎日新聞社
日本でも人気も知名度の高い「印象派」絵画。
19世紀後半のフランス・パリで花開き、
西洋絵画に革新をもたらしたジャンルです。
本展はそのフランス印象派絵画を中心とした催しですが、
フランスではなく、イギリスのスコットランドから来た絵が展示されています。
タイトルに「海運王の夢 バレル・コレクション」とありますが、
これは何なのか?
「バレル」とはこの人のこと。
ウィリアム・バレル(1861-1958)
1861年に英国スコットランドの海港都市グラスゴーに生まれる。
15歳で家業の海運業を手伝い始め、24歳で父親の跡を継ぐ。
その後、船舶の売買で大成功し「海運王」と称された。
19世紀末から20世紀前半に大実業家の富豪となった人です。
当時、英国随一の海港都市として経済成長が著しかったグラスゴーでは、
美術品市場も活況となっていました。
バレル氏も少年の頃から美術品に関心を持って収集を始めており、
1890年代から1920年代にかけて、グラスゴー出身の画商アレクサンダー・リードから作品を購入。
5,000年に及ぶ、古今東西の美術工芸品を収集したました。
つまり「バレル・コレクション」とはこの海運王ウィリアム・バレル氏が
収集した芸術作品のコレクションなのです。
門外不出の作品たち
バレル氏は亡くなる前にコレクションをグラスゴー市に寄贈しました。
その条件として、当時深刻な社会問題であった大気汚染の影響が少ない郊外に
コレクションの作品を展示することを求めました。
グラスゴー市はその条件を守り、1983年に郊外のポロック公園内にコレクションを移し、
バレル・コレクション(The Burrell Collection)として一般公開。
以降、近代名画を集めた世界屈指のコレクションと称され多くの観光客が訪れています。
そしてバレル氏はもうひとつ条件を出していました。
それは英国外に作品を持ち出さないこと。
だから今まで、英国以外でコレクションを観ることは出来なかったのです。
しかし、同館は2015年から2020年まで改修工事により閉館しているため、
英国外への作品の貸し出しが可能になり、海を越えて本展の開催が実現したわけです。
この話を聞くと、
休館中だからといって海外に持ち出していいということにはならないのでは?
という疑問は感じますが、まぁそこは言わないことにして。
門外不出の名画たちを日本で気軽に観る機会に恵まれたのだからいいとしましょう。
本展は全国5ヶ所を巡回中で既に福岡と愛媛は終了。
この東京展の後は8月7日(水)~10月20日(日)に静岡市美術館、
11月2日(土)~2020年1月26日(日)に広島県立美術館で開催されます。
Old Fashioned Club 月野景史
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