【美術展】「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」国立新美術館/オーストリア美術の真髄
東京六本木の国立新美術館では4月24日から
「日本・オーストリア外交樹立150周年記念 ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」を開催中。
8月5日までなので、3ヶ月近いロングラン開催です。
更にその後は大阪中之島の国立国際美術館で8月27日から12月8日まで開催予定。
東京・大阪の日本の二大都市で足掛け9ヵ月に及ぶ大型展です。
日本・オーストリア外交樹立150周年記念 ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道
2019年4月24日(水)〜8月5日(月)
国立新美術館 企画展示室1E
主催 国立新美術館、ウィーン・ミュージアム、読売新聞社
後援 外務省、オーストリア大使館/オーストリア文化フォーラム、ウィーン市、ウィーン市観光局
二つの“クリムト展”
先日は東京都美術館で開催中の「クリムト展」(4月23日-7月10日)を紹介しました。
本展もタイトルに「クリムト」を冠した世紀末オーストリア・ウィーン美術中心の展覧会です。
今年は日本とオーストリアの外交が始まってから150年の記念の年で、
国立西洋美術館でも秋に関連の大型展が予定されています。
しかしそれはハプスブルグ展なので、時代が違いますが、
本展とクリムト展は「世紀末、ウィーン、クリムト」とあまりにテーマが被り、
そろが同じ東京の大美術館で時期ももろ被りとは、さすがにどうにかならなかったのかと感じます。
混同してしまう人も多いでしょう。
ただ、見比べると内容にはだいぶ違いがありました。
「クリムト展」の方が文字通り19世紀末ウィーンにほぼ特化しているのに対し、
この「ウィーン・モダン」展はもう少し幅広く、ハプスブルグ王朝をイメージさせる古典的な絵に
工芸品なども合わせた総合オーストリア芸術展の赴きがありました。
タイトルにも「世紀末への道」とあり、
そこに至るまでのアートについてもかなりのボリュームで展示されています。
ならばもう少しそれがわかるようなタイトルにすればとも思いますが、
そのあたりはまた改めるとして、本展の概要を少しだけ記しておきます。
花開く世紀末ウィーンへの道程
19世紀末から20世紀初頭にかけて、ウィーンでは絵画や建築、デザインなど、
それぞれの領域を超えて新しい芸術を求めた、独自の装飾的で煌びやかな文化が開花しました。
現在では「世紀末芸術」と呼ばれるこの時代には
絵画ではグスタフ・クリムト(1862-1918)やエゴン・シーレ(1890-1918)、
建築家オットー・ヴァーグナー(1841-1918)、アドルフ・ロース(1870-1933)など
各界を代表する芸術家たちが登場し、ウィーンの文化は黄金時代を迎えます。
本展は、ウィーンの世紀末文化を「近代化(モダニズム)への過程」という視点から紐解く新しい試みの展覧会です。
18世紀の女帝マリア・テレジアの時代の啓蒙思想がビーダーマイアー時代に発展し、ウィーンのモダニズム文化の萌芽となり、
19世紀末の豪華絢爛な芸術運動へとつながっていった軌跡をたどる本展は、
ウィーンの豊穣な文化を知る展覧会の決定版と位置づけられています。
Old Fashioned Club 月野景史
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