« 人気ブログランキング7位にランクイン | トップページ | 【プロレス】ペドロ・モラレス死去/MSGの帝王として君臨したラテンの魔豹 20世紀後半の名レスラー »

2019年2月12日 (火)

【大河ドラマ】『いだてん』 第6話で視聴率一桁 狂言回しが多すぎる/策士策に溺れる的迷走

NHK大河ドラマ『いだてん ~東京オリムピック噺(ばなし)~』は第6話の視聴率が9.9%。
わずか0.1%の差ながら二桁を割り、大河史上最速での一桁転落となったとのこと。
近現代大河は苦戦するとはいえ、初回は15.5%だったので、かなり下落傾向です。

このドラマについては私もだいぶ迷走していると感じていたので、これも致し方なしというところか。


宮藤官九郎さんの着想は上手いし面白いと思うのですが、
今回はそれが出来上がりに生きず、「策士策に溺れる」状態になっていると感じます。
とにかく話があちこちに飛んでわかり難い。
その最たる点、象徴的なのがビートたけしさん演じる古今亭志ん生のパートです。

日本初の五輪参加選手なる明治時代の金栗四三(中村勘九郎)を物語前半の主役として、
四三周辺をメインストーリーとして描き、
後世である東京五輪を控えた昭和の視点からの語りを、名人志ん生の噺という形で入れる、
この着想は悪くないと思いますが、いかんせんたけしさんの滑舌が悪くて聞き取り難い。
本来なら志ん生パートは明治時代の出来事についての、後の世の視点からの解説になるべきでしょうが、
返って話をわかり難くしています。

官藤さんはたけしさんのファンでこの出演を熱望したとも聞きます。
私もたけしチルドレンだったので気持ちはわかりますが、
今回は失策・ミスキャストだったといわざるを得ないか・・・、あくまで現時点ではですが。


狂言回しが多すぎる
しかし、問題はそれだけではない。
志ん生の役割はいわゆる狂言回しだと思いますが、
このドラマは狂言回し的キャラとその周辺人物が多すぎます。

例えば、志ん生の周囲の人々も、娘役の小泉今日子さんまではまだいいとしても、
弟子入りした若者やその彼女などはドラマの中でどのような役割があるのか。
オリンピックに深く関係してくるとも思えません。
主筋に絡まない狂言回しの周りに、更にわらわらと人が集まるって、どういう舞台構成?


しかも狂言回しは昭和の志ん生周辺だけではない。
明治の時代には若き日の志ん生こと美濃部孝蔵(森山未來) がいて、
これはこれで明治パートの狂言回しと語り役を務めている。

更に面倒なのは明治にもう一人、車夫の清さん(峯田和伸)なる人物がいて、
これなども典型的な狂言回し的キャラ。
私は最初、孝蔵と清さんを混同してました(笑)


第5話ではとにかく昭和の志ん生パートが長すぎでした。
その結果が第6話の数字になったのかも知れません。
といっても5話(10.2%)から6話(9.9%)はそんな下がってはいませんが。

それとこの第5話は第1話の出来事を別視点から描くという展開でした。
この手の手法は今までもなくはなかったとですが、
初回と5話の間隔が短かすぎて、同じものを二度見せられた感がある。


さて、第6話は昭和の志ん生パートは減り、前半部はまだ見易かったのですが、
後半部にはドラマ全編の後半の主人公となる田畑政治(阿部サダヲ)が出てきました。

これも・・・、後半では主役になるとはいえ、明治パートメインの今出てきたら、
田畑の役割も狂言回しです。

志ん生もやはり登場して、明治を軸に田畑パートと志ん生パートが交互に忙しく入れ替わるのですが、
田畑と志ん生は同時代だろうけど、接点を持ちそうにないし、ここもややこしい。

私も便宜上、“狂言回し”という言葉を使っていますが、
本来の「狂言回し=狂言廻し」とは視聴者・鑑賞者に物語をわかり易く説明し、共感を呼ぶ役回り。
しかしこのドラマでは逆効果、残念ながら現時点では失敗していると言わざるを得ません。


そもそも四三も田畑も歴史上の有名人物ではありません。
それに加えて、これだけ市井の狂言回し的な人物がたくさん出てきて話が転々とするのだから、
政治的なことはほとんどふれられません。そんな時間がある筈もない。
これは一概に悪いとはいえませんが、従来の大河ファンからすれば不評にもなるでしょう。

私は明治及び昭和30年代の庶民文化・風俗が描かれる点は面白いと思いますが、
やはりゴチャゴチャしていてわかり難く感じています。
金栗四三や嘉納治五郎(役所広司)、三島弥彦(生田斗真)など、
現時点での本来の主役である筈の人物たちの活躍がどうも頭に入ってこない。

それと、下ネタというかちょっと下品なネタを入れ込んでくるのも気になる。
大河には不要に思えるし、これも策に溺れるの例かも。


キャストでは、いかにも明治時代の地方のマドンナといった感じの綾瀬はるかさん、
そして富豪のメイドで、はっきりものをいう新しいタイプの女性というふうの杉咲花さん。
この女優二人はいいと思うのですが、主筋に大きく絡む感じでもないですね。

ともかく魅力はあるのだから、問題を解消すべく少し軌道修正をした方がいいかと思いますが、
撮影はかなり進んでしまっているようですし、修正がきくのかどうか・・・。
どうなりますか。

Old Fashioned Club  月野景史

« 人気ブログランキング7位にランクイン | トップページ | 【プロレス】ペドロ・モラレス死去/MSGの帝王として君臨したラテンの魔豹 20世紀後半の名レスラー »

13.【特集】テレビドラマ」カテゴリの記事

« 人気ブログランキング7位にランクイン | トップページ | 【プロレス】ペドロ・モラレス死去/MSGの帝王として君臨したラテンの魔豹 20世紀後半の名レスラー »

フォト
2024年8月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想
無料ブログはココログ