【美の巨人たち】 2/16放送 アンリ・ルソー作『戦争』 /あまり「下手」と言わないで
2月16日放送のテレビ東京『美の巨人たち』のテーマは
アンリ・ルソー作『戦争』』(1894年頃)でした。
アンリ・ジュリアン・フェリックス・ルソー
(Henri Julien Félix Rousseau、1844年5月21日 - 1910年9月2日)
19世紀末から20世紀初頭にかけて活動した画家。
技術的には未熟で、つまり“下手”なのだが、
魅力的で人気の高い画家として知られます。
今回の番組ではまずその下手さが徹底的に強調されていました。
「美術史上これだけ欠点の多い画家はいない」
“世界一下手と言われた画家”だと。
元々長く税務署に勤めた人で、専門教育も受けておらず、
人生も終盤に差しかかって本格的に描き始めた素人画家。
キャリアからしても下手なのは当たり前。
しかし、ルソーの下手さは現代人の素人にとっては、
言われなければわかりません。
ルソーと同時代からそれ以降、あまりに多種多様な絵画が生まれ、
何が描かれているのかわからない抽象画もたくさんあるのに、
何が描かれているかはだいたいわかるルソーが下手だと判断するのは難しい。
例えば、番組でも指摘されていましたが、遠近法を使い切れず、
主題に対して極端に小さく描かれた人や動物、建物などについても、
そういう表現方法なのかと理解してしまうでしょう。
また、アカデミズム絵画のブグローやカバネルにあこがれ、
彼らの絵画を模写しようとしても、こんな風になってしまうとも紹介されました。
たしかに模写だと比べて見せられれば、全然違う、ああ下手だなと思いますが、
何も言わず見せられたら、こういう画風なのかと思うでしょう。
だから、ルソーについてあまり「下手だ」と強調されるのは違和感があります。
しかし「下手だけど魅力的な絵」が有名画家ルソーの代名詞となっているのだから、
いいのかも知れませんが。
Old Fashioned Club 月野景史
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