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『科捜研の女 正月スペシャル』が本日1月3日に放送されました。
土門薫刑事(内藤剛志)退場か?
そして主演の榊マリコ役の沢口靖子さんによる重大発表とは何か?
この2点が注目されていましたが、
結局土門の退場、内藤さんの降板はないようです。
また重大発表とは『科捜研の女』がテレビ朝日開局60周年として、
2019年4月から2020年3月まで1年間放送されるとのことでした。
土門刑事は消えず
今回は諸事情からして土門刑事は本当に退場だろうと思っていたので、
残留は予想外でした。
予告は退場を強く予想されるものだったと思います。
『科捜研』では『相棒』に時々あるような“やめるやめる詐欺”まがいなことはないだろうと思っていたのですが、
今回はむしろ入念に伏線を張って退場を匂わせ、最後にきっちり裏をかいて残留という展開でした。
しっかり作っていたので、これはこれでありかなとも思います。
ゲストの宅麻伸さんが京都府警の警察官で、現在は府庁に出向中という役どころで出演したのですが、
刑事として現場復帰し、土門の後釜になるのかのごとくミスリードされました。
結局宅間さんが真犯人だったのですが、簡単にそう視聴者に悟らせぬよう、
ミスリード要員として爆弾処理班役の堀部圭亮さんを配置し、ちょっと怪しげな発言をさせる念の入れようでした。
ただ、今回こそ土門は退場と思ったのは予告や作り込みが念入りなこと以前の問題として、
他の人気シリーズを多く抱える内藤剛志さんのスケジュール調整が限界に来ていると思える点があります。
そこは後でまたふれます。
1年間放送
注目された主演の沢口靖子さんによる重大発表とは、
次のシーズン19ということになりますが、
『科捜研の女』が4月からの1年間4クール放送されるということでした。
たしかにこれは驚きです。
昔は1年、あるいはそれ以上オフシーズンなしで続くドラマも珍しくはありませんでしたが、
現在はNHK大河ドラマ以外は皆無。
『相棒』や近年の『科捜研』のような半年2クール放送さえ極めて稀です。
『科捜研』も元々は1クール放送で、しかも話数の多くないドラマだったので、
1年4クール放送とは思い切ったものです。
テレビ朝日開局60周年としての1年間放送ということで、
長く続いているわりに地味なイメージのドラマでしたが、
今や同局を代表する番組となったわけです。
『科捜研の女』が1年通して観れるのはファンとしては無論嬉しいのですが、
一方でテレ朝警察ドラマ全般のファンとしては気になることもあります。
『警視庁・捜査一課長』はどうなる?
4月から『科捜研』を1年間放送となると、他の「木曜ミステリー」枠のドラマシリーズはどうなるのか?
具体的には
2016年以降、毎年4月クールに放送されている『警視庁・捜査一課長』と、
2017年、2018年に7月クールで放送された『遺留捜査』です。
両作とも好数字を残しており、また『一課長』の主演は内藤剛志さんなので、この問題はややこしい。
特に『一課長』の最新シーズン(2018年4月-6月)は『科捜研』を上回る視聴率を記録し、
その後も7月と、もうまもなくの1月6日(日)にも単発スペシャルが放送されるなど
テレビ朝日の人気シリーズになっており、これを休止するとも思えない節もあります。
そもそも今回で土門は退場だろうと思ったのも『一課長』があるからです
内藤さんのスケジュール調整がきつそうなのは、『科捜研』を見ていても感じていました。
従来なら土門が出てきたであろうシーンに見当たらなかったり・・・ということも多く、
遂には出張ということで、ほとんど登場しない回も見られるようになりました。
もちろんこれは『一課長』だけではなく、『十津川警部』シリーズなど他局のドラマせいでもありますが、
『一課長』は内藤さんが主演で、『科捜研』に匹敵する人気シリーズになりつつある。
そろそろ長く務めた『科捜研』を離れ、テレ朝の連ドラとしては『一課長』に専念するのかと思ったのです。
しかしテレビ朝日の公式サイトによると、『科捜研』は当然ながら「木曜ミステリー」枠で放送されるようなので、
2019年は少なくともこの枠での『一課長』と『遺留捜査』の放送はないことになります。
たしかに開局60周年記念での年間放送とあれば、
『一課長』を1年休んで『科捜研』に全力投球でもおかしくはありません。
ただ、そもそも『一課長』は東京が舞台で、京都制作が原則の「木曜ミステリー」としては異色の存在。
どこか他の枠に移して放送する可能性もゼロではありません。
その場合、第一候補は『相棒』と同じ水曜21時でしょう。
例年4月クールの水曜21時に放送されている『特捜9』とどちらかが4月クール、
もう一方が7月クールという住み分けで。
しかしそうなると、内藤剛志さんはどうするのか?
今回の正月スペシャルで土門はマリコをかばって重傷を負い、
リハビリを経て復帰するまではかなり時間がかかりそうでした。
4月or7月クールは『一課長』に注力して、
『科捜研』には秋から本格復帰。
そんな予想も出来なくもないですが。
もっともこの予想通りだと『遺留捜査』と、
2015年以降毎水曜21時の7月クールに放送されている『刑事7人』が浮いてしまいます。
テレビ朝日は週3本のゴールデンタイムのドラマ枠で2017年4月以降全クール二桁視聴率と絶好調なのだから、
いっそのこと、もう1本ドラマ枠を増やしてもいいのでは?
追記:土門刑事は4月スタートの『科捜研の女』に初回から“普通に”登場しています。
足の負傷についてはまったくふれられなかったので、完治したのでしょう。
ただ、相変わらず出方が変則で、スケジュール調整がきついだろうことは感じますが。
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2019/04/post-48397c.html
Old Fashioned Club 月野景史
渋谷の文化村ザ・ミュージアムでは1月27日まで、
「国立トレチャコフ美術館所蔵 ロマンティック ロシア」展を開催中です。
Bunkamura30周年記念 国立トレチャコフ美術館所蔵 ロマンティック・ロシア
2018/11/23(金・祝)-2019/1/27(日)
Bunkamura ザ・ミュージアム
主催:Bunkamura、日本経済新聞社、電通
後援:ロシア連邦大使館、ロシア連邦交流庁(Rossotrudnichestvo)
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/18_russia/
ロシア絵画の展覧会
本展は19世紀後半から20世紀初頭の激動のロシアを代表する作家の作品72点の展覧会。
ロシア美術の殿堂・国立トレチャコフ美術館が所蔵する豊富なコレクションが来日しました。
ロシアというと世界の美術品が揃うエルミタージュ美術館もありますが、
今回はロシア絵画の粋を楽しむ催し。
自然や人物像に内在するロシア的なロマンに思いを馳せて紹介されています。
音楽・文学と絵画
この時代のロシア文化・芸術といえば、チャイコフスキー、ムソルグスキーといった作曲家や、
トルストイ、ドストエフスキーに代表される文豪は日本でよく知られています。
それに比べると美術の分野では思い起こされる名前は多くはないかも知れませんが、
実は多くの才能を輩出しています。
19世紀後半にクラムスコイら若手画家によって組織された「移動派」グループが、
制約の多い官製アカデミズムに反旗を翻し、ありのままの現実を正面から見据えて描くことをめざしていました。
「移動派」とは分かり難い呼称ですが、啓蒙的意図で美術展をロシア各地に移動巡回させたことによります。
一方、モスクワ郊外アブラムツェヴォのマーモントフ邸に集まったクズネツォフ、レヴィタン、
コローヴィンらの画家たちは、懐古的なロマンティシズムに溢れた作品を多く残しました。
彼らと移動派には共に祖国に対する愛という共通点が見出せます。
鑑賞で得た印象を言えば、風景と人物
そして人物ではやはり女性を描いた絵の印象が強く残りました。
白樺や樫の木の深い森、雪に覆われた大平原。
そして街には独特の丸屋根の教会、透き通るような白い肌の女性たち。
ロシアの日常的な情景の中に、画家たちは大いなるロマンを見出したのでしょう。
19世紀後半ですので、考えてみればロシア帝国崩壊の足音が聞こえはじめ、
やがてロシア革命が起こる激動の時代でした。
当時のロシアの複雑な社会、そしてこの時代を生き抜いた人々もまた絵画の題材となりました。
ロシア文学の世界のビジュアル化とも言える絵画たちが揃っています。
Old Fashioned Club 月野景史