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2018年7月

2018年7月27日 (金)

【美術展】「明治からの贈り物」 静嘉堂文庫美術館/真夏に楽しむ明治の超芸術

東京二子玉川の静嘉堂文庫美術館では9月2日まで、
「-明治150年記念- 明治からの贈り物」展が開催中です。

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-明治150年記念- 明治からの贈り物
The 150th Anniversary of the Meiji Restoration;GIFTS FROM THE“MEIJI”
2018年7月16日(月・祝)~9月2日(日)
静嘉堂文庫美術館
http://www.seikado.or.jp/exhibition/


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静嘉堂文庫美術館とは
このブログでも初めて扱う美術館。
人気の街である東急線二子玉川駅から少し離れた閑静な地にあります。

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賑わう駅周辺から離れ、住宅街を抜けると


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更に敷地内の森を行く


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視界が開け、静嘉堂文庫文庫本館が現れる
その隣が上の写真の美術館


静嘉堂文庫は日本および東洋の古典籍及び古美術品を収蔵しています。
三菱財閥の第2代総帥岩崎弥之助・第4代総帥岩崎小弥太父子の所有した庭園と
遺品の古典籍・古美術コレクションを基礎として発足。
併設する静嘉堂文庫美術館を通じて収蔵品を広く一般に公開する美術館活動を行っていいます。


明治からの贈り物
今回は明治150年を記念して明治の美術品を中心に、
近代絵画で初めて重要文化財の指定を受けた橋本雅邦の「龍虎図屏風」を含む、
第四回内国勧業博覧会(明治28年〈1895〉開催)出品の屏風の数々を出品。

また修理後初公開となる河鍋暁斎の代表作「地獄極楽めぐり図」の画帖、
そして当時の洋画界で“裸体画論争”を巻き起こした、日本の“ヌード”の先駆的作品である
黒田清輝「裸体婦人像」など、話題の名品が公開となります。

更に今では“超絶技巧”などとも呼ばれて人気の高い明治工芸品からは、
刺繍・金工・七宝・漆芸・陶磁器、それぞれ名工の力作が並びます。

※7月16日に開催された本展の内覧会に参加しました。
以下の写真はこの日のみ特別の許可を得て撮影しています。




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重要文化財 橋本雅邦(はしもとがほう) 「龍虎図屏風」(6曲1双) 明治28年(1895)
本展の大看板。これを観なくては



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黒田清輝(くろだせいき) 「裸体婦人像」 明治34年(1901)
裸体画論争を呼んだ問題作にして傑作。渡仏中に現地の女性を描いた絵です


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「裸体婦人像」が飾られていた屋敷内のリビング




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菊池容斎(きくちようさい) 「呂后斬戚夫人図」 江戸時代・天保14年(1843)
中国の史実に基づく残酷で恐ろしい作品。怖いけど見たくなる絵




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河鍋暁斎(かわなべきょうさい) 「地獄極楽めぐり図」(1帖40図・明治2~5年(1869~72))
数度に分けて全点が出品される




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鈴木松年(すずきしょうねん) 「群仙図屏風」(8曲1双) 明治28年(1895)



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菅原直之助(すがわらなおのすけ)
「鞍馬天狗刺繍額」 明治40年(1907)頃  「羽衣刺繍額」 明治40年(1907)頃
繊細な刺繍はまさに超絶



そして工芸の名品の数々が展示されています。

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決して大規模ではないですが、なかなか見応えのある展覧会です。
お薦めします。

Old Fashioned Club  月野景史

2018年7月25日 (水)

【科捜研の女6】(=新・科捜研の女2) 初回スペシャル 日本一の長寿ドラマへの転換点/ゲストは組対の女・鈴木杏樹

テレビ朝日の長寿警察ドラマ『科捜研の女』。
1999年スタート。今年の3月までseason17が放送されていました。

しかし初期は視聴率が安定せず、大幅なメンバーチェンジやリニューアルが繰り返されていました。
それが安定し、日本一の長寿ドラマーと成長するターニングポイントとなったのがこの回です。


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新・科捜研の女2 (科捜研の女 SEASON 6)
第1話  2005年7月14日放送 初回長時間スペシャル
「疑惑の女刑事!誤射それとも殺人?それは18年前の夏の夜に起こった!京都~信楽高原、二本の弾道を結ぶ謎」

※同話は2021年8月20日(金) 14:47よりテレビ朝日で再放送予定


現在に繋がる基礎固めがされた回
この回から主人公榊マリコ(沢口靖子)の父親である榊伊知郎(小野武彦)が登場し、科捜研の所長に就任。
また前期から刑事部の制服警官として登場していた土門美貴(加藤貴子)が事務担当として科捜研に異動、
やはり前期から登場していた研究員の日野和正(斉藤暁)、乾健児(泉政行)と合わせ、
視聴率的にはこのドラマの全盛期を支える5人のメンバーが揃います。

それまでのこのドラマは経費も時間も関係なく仕事に邁進するマリコに
基本的にはサラリーマン体質の周囲が振り回されるのが定番でした。
そのテイストが完全になくなったわけでもないですが、
所長役にマリコの父親で科学者である伊知郎が就任したため、
研究員・職員が一致団結して仕事に当たる傾向が強まりました。

ところで、小野武彦さんと斉藤暁さんは『科捜研の女』や『相棒』に少し先行する人気警察ドラマだった
『踊る大捜査線』のレギュラーで北村総一郎さんを加えたスリーアミーゴスとして人気がありました。
小野さんの起用は斉藤さんとのスリーアミーゴス再共演で、その人気にあやかった面もあるかも知れません。
もう1人の北村さんは当時、『科捜研』と同じ木曜ミステリー枠の『京都迷宮案内』に出演していました。


土門刑事がキャラ微修正
そして、これも前期からレギュラー入りした土門薫刑事(内藤剛志)ですが、
この回から、初登場時の無頼派過ぎたキャラクターを一本気な硬骨漢タイプに軌道修正し・・・、
つまり今の土門へと変化させて、マリコと信頼感で結ばれたバディ関係が固まっていきます。

更に、残念ながらすぐに降板してしまいますが、
若手刑事として好漢・谷口朝男(丸山智己)が初登場した回でもあります。


退場エピソードを描く
そしてこの回は榊新所長との入れ替えで、シーズン3から所長を務めてきた宮前守(山崎一)の
転職による退場・降板が描かれます。

それまで、初期の準主役格だった木場警部(小林稔侍)がシーズン4最終話の殉職はありましたが、
他のレギュラーは新シーズンが始まったら消えていたというパターンばかりでしたので、
最終話以外できちんと退場エピソードが描かれた最初の例になるかと思います。


ゲストは鈴木杏樹
この回のストーリーとしては麻薬関係がテーマで、ゲストキャラ達の少年時代からの長い因縁が絡む話。

メインゲストは所轄署の生活安全課、つまり組織暴力対策の刑事・久崎英子を演じる鈴木杏樹さん。
近年は『相棒』の花の里の女将・月本幸子で癒しキャラが定着した杏樹さんですが、
ここではクールで、情熱を内に秘めた“組対の女”を好演しています。
幸子も元々は凄みのある犯人役でした。

久崎英子はなかなか魅力のあるキャラクターだったのですが、
役柄的に再登場は難しく、残念ではあります。

Old Fashioned Club  月野景史

2018年7月23日 (月)

【美術展】「モネそれからの100年」横浜美術館/モネと後世代26作家の作品達

横浜みなとみらいの横浜美術館では9月24日まで、
「モネそれからの100年」展を開催中です。

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モネ それからの100年
2018年7月14日(土) ~ 9月24日(月・休)
横浜美術館

主催:横浜美術館、東京新聞、テレビ朝日
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
http://monet2018yokohama.jp/ 


※開催初日に催された特別鑑賞会に参加しました。
展示室内の写真は特別の許可を得て撮影しており、通常開催中の撮影はできません。


クロード・モネ
(Claude Monet, 1840年11月14日 - 1926年12月5日)


フランス印象派を代表する画家。
日本でもその名を知れぬ人はいないといえるほどのビッグネームで、
モネの名を冠した展覧会も数多く開催されてきました。

ところで本展のタイトルにある「それからの100年」とは何か?
モネは1840年生まれなので生誕100年ということはないし、
比較的長命で1926年没なので、没後100年には少し足りない。

実はこれはモネの画業の集大成となる『睡蓮』大装飾画の制作に着手してから“約100年”ということ。
そしてモネの作品と、後世代の画家達の多くの作品を同時に展示し、100年を俯瞰しようという試みです。

点数でいうと、モネの初期から晩年までの絵画25点と、
後世代の26作家による絵画・版画・写真・映像66点を一堂に展示されています。

後世代の画家達は必ずしもモネから直接薫陶を受けたというわけではないですが、
一堂に展覧することにより、両者の時代を超えた結びつきが浮き彫りにされています。


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写真ではわかり難いですが、
本展はモネ作品と後世のアート同一展示室内て鑑賞できる構成になっており(例外もあり)、
その関連性を見比べることができます。


本展には「わたしがみつける 新しいモネ。」のキャッチコピーがつけられています。
今回、モネと関連づけられて展示された後世の作品はいわば主催側からの提案です。
あまりになじみの深いモネですが、このような展示形式により、
新たな魅力の発見に繋がるかも知れません。



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エントランスの巨大パネル。
これは写真撮影できます。



Old Fashioned Club  月野景史

2018年7月22日 (日)

【相棒】大木刑事役の俳優・志水正義さんが癌との闘病とその原因をFBで明かす

追記:志水正義さんは2018年9月27日に死去しました。


『相棒』ファンには衝撃的なニュースです。

2000年の『相棒』ファーストエピソードから脇役の大木長十郎刑事として出演している俳優の志水正義さん(60歳)が
重いガンと闘病中であることを明かし、併せて病気になった原因について告発しています。


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志水正義さん


『相棒』の大木刑事は杉下右京(水谷豊)のいる特命係に隣接する組対5課の所属で、角田課長(山西惇)の部下。
大柄の小松真琴刑事(久保田龍吉)と共にいつも特命の様子をうかがっている、小柄で髭面のダンディな刑事です。
『相棒』歴は古く、2000年6月に土曜ワイド劇場で2時間ドラマとして放送された『相棒』第1作から、
最新作の『season16』(2017年10月-2018年3月)まで、大木にとっての“相棒”である小松刑事と共に出演を続けています。
もっとも、この大木、小松の役名がついたのはずっと後ですが。


志水さんは2018年7月15日付と21日付のフェイスブック(FB)で、

・手術不可能の膵臓がんと肝臓がんに侵されていること
・その原因は現在関わっている某局(テレビ局と思われる)の過酷な仕事によるストレスであること
・経済的に困窮しており、治療のための義援金を求めていること


要約すると、以上のようなことを記しています。
大変ショッキングな内容です。詳しくは志水さんのFBを参照してください。
https://www.facebook.com/seigi.shimizu.9


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↑志水さんのFBの画像です。クリックしても開きません。
上記のアドレスからアクセスしてください。


FBは不慣れな人には読み難いでしょうから、少し補足をしておきます。
まず記述を読む限り、病気の原因となった過酷な仕事とは『相棒』ではありません。
明らかに違います。



志水さんはこの年代の男性にしては珍しく、小まめに自撮り写真付でFBを更新しています。
昨年までは『相棒』の話題を中心に比較的のんびりした印象でした。


今年になってから、故郷熊本を中心とする各地での過密なロケについての記述と、
合わせて体調不良に関する記述が増えていきます。
病気の原因になった仕事とは、この地方ロケに関わるものだと推測されます。

4月3日のFBで「N局」の仕事で熊本に向かう記述があり、この局に対する軽い不満も書かれています。
これ以前に脚本の仕事に関わる記述で「渋谷のN局」とあり、志水さんの書く「N局」とはNHKのことだと思われます。

ただし、FB記載の地方ロケのすべてが同一の仕事かは断定できないし、
よって病気の原因となったという「某局」がどこかも今は断定できません。

また、元々FBには経済的困窮の理由について、
この某局からのギャラ、経費等の未払いによるものとの記載もあったのですが、
この部分は現在は削除されています。


とり急ぎフェイスブックから得られる情報だけをまとめて紹介しましたが、
志水正義さんのご回復を祈っております。


追記:志水正義さんは2018年9月27日に死去しました。
このブログを書いた後、志水さんはFBで前向きに治療に取り組むと共に、
10月にスタートする『相棒 season17』の撮影に参加していることも記していましたが、
病状は悪化し、残念な訃報となりました。
謹んで哀悼の意を表します。


Old Fashioned Club  月野景史

2018年7月20日 (金)

【ドラマ】『刑事7人 4』第3話に山下巧(片岡愛之助)が再登場

テレビ朝日のドラマ『刑事7人 シーズン4』第2話の展開予想をこのブログでしましたが、
元ホスト浅倉の共犯説はきれいに外しました。
その他は当たっている部分もありましたが、猫面の理由については読み切れませんでした。
無理もありましたが、伏線を回収するという姿勢は見えて、よかったかと思います。


さて次回第3話は更に怒涛の展開。
シーズン1~3までレギュラーだった山下巧(片岡愛之助)が再登場します。



山下は“刑事7人”のうちの1人として前期まで出演。
チームの中で証拠の分析やネットでの捜査等、他のドラマなら鑑識課や科捜研、
サイバー犯罪対策室が行うような科学捜査の部分を1人で担ってきました。

「この山下におまかせを!」
自らを“この山下”と呼ぶのが口癖で、トレードマークになっていました。

しかし、シーズン3の最終話で警察官の立場を逸脱し、自らの正義の為に犯罪に手を染め、
最後は自殺をしたかのような描写で終わりました。
ただ、生死については明確には描かれず、実は生きていたということにもできる展開でしたが、
早くも再登場するようです。


2015年7月の番組スタート時、愛之助さんの出演は大きな目玉でした。
2013年の『半沢直樹』で演じて話題になった国税局検査官黒崎の印象がまだ強い頃で、
その愛之助さんが本格刑事ドラマレギュラーでどんな演技をと注目されたのです。

ところが、他の仕事とのかけもちで相当忙しかったようで出番は少なく、
ちょっと肩透かしを食らった感じでした。
それはシーズン2も3も同じで、
特に3は何者かに拉致されたかのような形で中盤はまったく登場せず。
実は、自ら姿を隠していたということだったのですが。


次回の登場ですが、
山下は東京拘置所に収監されており、そこに天樹悠(東山紀之)が訪ねていくよう。
何らかの事件について聞こうというのでしょう。

山下が何らかの形で関わっていると判断したのか、
参考意見を聞こうというのか?

誰でも思うでしょうが、
『羊たちの沈黙』のレクター教授のようなイメージか。
事件解決の手かがりを提示するような展開が予想されますが、どうなるでしょう。

Old Fashioned Club  月野景史

2018年7月18日 (水)

【昭和プロレス】マサ斎藤死去/アメリカで最も活躍した日本レスラー

訃報 元プロレスラーのマサ斎藤さんが7月14日に亡くなりました。75歳。


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マサ斎藤
(本名:斎藤 昌典  1942年8月7日 - 2018年7月14日)



アメリカで最も活躍した日本人レスラーの1人。
いや、この点について本当のNO.1かもしれません。

グレート東郷に代表される日系人ヒールと呼ばれる悪役レスラー達は戦後の米国マットで多く活躍しました。
実は日系ではない、つまり日本人の血の入っていない、ギミックとしての日系ヒールもいます。

その人達は別にして、日本出身で、日本のプロレス団体に入門して、
それからアメリカに渡って戦ったレスラーも無数にいます。

昭和の時代、日本のプロレス団体に入門したレスラー達は前座での修業を経ると、
海外武者修業に出て、箔をつけて凱旋帰国するのが一般的でした。
日本プロレス界の始祖力道山も、日本にプロレス団体がなかったから前座修業はしていませんが、
ハワイやサンフランシスコでプロレス修業し、実戦のキャリアを積んで日本デビューしました。
その弟子であるジャイアント馬場やアントニオ猪木らも皆そうです。

行き先はアメリカ、カナダの北米地域が主ですが、欧州、メキシコルートもありました。
だから多くの日本人レスラーは海外マットを経験しています。
中には日本に戻らず長期間海外に定着するレスラーもいました。

米国で「ミスター・サイトー」、「マサ・サイトー」等を名乗り、一匹狼の悪役として戦ってきた斎藤は、
その期間の長さ、活躍した地域の広さ、それも大変レベルの高い地域を回り、どこに行ってもトップを張り、
各地のチャンピオンベルトを巻いてきた、その実績は比類ありません。

今回はそのあたりを中心に少し紹介します。


元アマレス日本一
マサ斎藤は明治大学のアマチュアレスリング部出身。
全日本選手権優勝、東京オリンピック日本代表の経歴を持ち、
1965年に力道山没後の日本プロレスに入門します。
後にプロレス入りする柔道日本一の坂口征二とは明治の同期です。

ただ、それほどエリート扱いされてはいなかったようです。
身長の低さも一因かも知れません。

1966年、日プロを離脱して豊登が作りアントニオ猪木らも参加した東京プロレスに参加。
しかし翌1967年、東プロはあえなく潰れ、猪木ら一部のレスラーは日プロに復帰し、
豊登ら大半は新興の国際プロレスに合流しますが、斎藤は日本を離れアメリカに活路を見出すのです。


米国西海岸都市でトップに
斎藤は日本マットとも縁の深いアメリカ西海岸に定着、
日系のキンジ渋谷とタッグを組み、サンフランシスコ、ロサンゼルス等でトップヒールとなり、
更に北のオレゴンやワシントン、国境を越えてカナダのバンクーバーまで活躍の場を広げます。

当時のロスやシスコは米マットの中心とまではいえませんが、
共に大都市の繁栄マーケットで、斎藤はここでゆるぎない地位を築き数々のタイトルを獲得、
1970年代半ば過ぎまで約10年、トップとして活躍ました。

この間に古巣の日プロ、そして因縁深い猪木と坂口が興した新日本プロレスにも時折参加しています。
主に日本陣営の助っ人格でのスポット参戦で、ヒールではありませんでした。


南部の繁栄地フロリダへ
ところが1970年代後半になると、西海岸マットは斜陽期を迎えます。
斎藤は1977年に西海岸を離れ、米国南部のフロリダに転戦します。
(実は最近知ったのですが、1970年頃にも一時期フロリダをサーキットしたことがあるようです
今はネットでこういう情報も得やすくなりました。)

70年代末のフロリダは繁栄マーケットで、日本のプロレスメディアにもよく情報が載っていました。
斎藤はここでもイワン・コロフ、そして後にグレート・カブキとなる高千穂明久とのタッグでトップを張ります。


ヒールとして新日本再登場
そしてフロリダにはフリーで成功した日本人レスラーの先輩であるヒロ・マツダがいました。
マツダはベビーフェイスなので、フロリダではタッグを組まなかったようですが、
マツダをリーダーに上田馬之助らを巻き込みフリーの日本レスラーのチーム「狼軍団」を結成、
1978年暮れに開催された新日プロのブレ日本リーグ戦に殴り込み、ヒールとして旋風を巻き起こしました。

そこから斎藤はヒールとして1980年初頭まで新日に連続参戦します。
1979年春にはマツダとのコンビで坂口・ストロング小林組から北米タッグ王座を獲得。
続いてすぐに上田と共に国際プロレスにも参戦。

北米タッグは坂口・長州力の新コンビに古巣のロスで奪回されますが、
その後も外国人サイドの参謀格として、北米タッグにもパートナーを変えて何度も挑戦。
個性の強い外国人レスラーを上手くコントロールし、あのタイガー・ジェット・シンとも息の合ったチームを組みました。
猪木、坂口、藤波辰巳らともですが、特に同じアマレス出身でタイプの似ている長州とは
北米タッグ王座をめぐって好勝負を展開しました。


斎藤の実力
1980年春、外国人側の参謀格のバッドニュース・アレンに譲った斎藤はフロリダに戻ります。
フロリダでは早々にTVタイトルを取ると、その後はジョージア、アラバマ等南部を転戦して
アラバマヘビー級王座を獲得と、帰米後も行く先々でトップを張りました。
当時熱心なプロレスファンだった私はプロレス誌でこの活躍ぶりを知り、
やはり斎藤は凄い、どこに行っても必ずトップを取る、格違いだと実感しました。

斎藤はなぜこんなに凄いのか?
斎藤の試合スタイルは伝統的な日系スタイルの卑怯な試合運びをベースにしていますが、
アマレス仕込みのテクニックと鍛え上げられた身体から繰り出すファイトはスピードと切れ、
パワーに溢れたもので、バックフリップやスープレックスなど大技の迫力も文句なく、
比類ないものでした。


WWF AWA参戦
そして1981年、ついにWWF(現WWE)に参戦。
西海岸でも組んでいたことのある日系のミスター・フジとのコンビでWWFタッグ王座を獲得。
ニューヨークMSGの檜舞台でもトップを取りました。

1983年には長州力の革命軍(→維新軍)の大御所格として久々に新日本参戦。

同年後半にはAWAに転戦し、ここではいきなりハルク・ホーガンと抗争を展開します。
ホーガンはWWFでヒールとして活躍した後、他地区を経てAWAでベビーフェイスとして人気を得ており、
WWFに復帰して王者となる直前の時期でした。
斎藤はその後もAWAでニック・ボックウインクルらと組み、ヒールのトップクラスに君臨します。


ざっと斎藤のキャリア概略を紹介しました。
この他に書き洩らしている地域もあります。
まさに全米各地、どこに行ってもトップを張ってきたことがわかります。

その後、AWA参戦中の1984年にケン・パテラが起こした器物破損事件に巻き込まれ服役し、
刑期終了後は新日本プロレスを主戦場とし、猪木との巌流島決戦でも話題を呼びました。
後にはテレビ朝日の中継での解説も務めました。これはまぁ“迷解説”だったかも知れませんが。
1999年に引退。近年は闘病を続ける様子が伝えられていました。


昭和の名レスラーに、謹んで哀悼の意を表します。

Old Fashioned Club  月野景史

2018年7月15日 (日)

【ドラマ】『刑事7人・4』初回SP後編予想/現金強奪実行犯は松原なのか?

テレビ朝日・東映制作の警察ドラマ『刑事7人』第4シーズン。
7月11日に放送された初回拡大スペシャル「再集結!!3億円強奪事件の衝撃真相!!リベンジ開始」は、
次回7月18日放送第2話に続くの前後編となりました。

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新メンバー、新部署設定等も色々気になるところ。
ただそれよりも事件が結構入り組んでいて、後編の展開予想はなかなか難しいと思いますが、
ネットではあまり盛り上がっていません。


事件概略
7年前に現金輸送車が襲撃され3億円を強奪、犯人は逃走中に人質を取ってコンビニに立て籠もるという事件が起きた。
犯人は逮捕され人質は解放された。犯行は松原(永岡佑)による単独犯。3億円の行方は不明。
7年後、松原は仮出所後まもなく逃走、そして殺害された。


松原殺害の容疑者は田村亮か
松原殺しの容疑者としては、輸送車襲撃の際に巻き添えで足を撃たれた若者の
父親である野崎勇一郎(田村亮)が怪しいでしょう。
勇一郎によれば、アスリートである息子は海外で選手兼コーチとして活躍中とのことですが、
銃撃に負傷で選手生命を絶たれ、もしかしたら死亡しているかもしれず、息子の復讐である可能性が高い。
この息子の所在も含め、まず野崎親子が後編の要になるのでしょう。

なにより、前編では出演シーンは少なかったですが、田村亮さんが被害者の身内というだけで、
それ以上ストーリーに絡まないとは考え難いという面もあります。
ただ、ここはわかり易過ぎて、何かミスリードなのではと勘ぐってしまいたくなります。

ところで田村亮さんは1946年生まれの72歳。
3つ年上の兄である田村正和さんは引退の意向とのニュースが流れましたが、亮さんはまだまだ元気そうです。


7年前の事件の真相
しかし、むしろ謎が多いのは7年前の事件の真相の方です。
事件は松原の単独犯とされたが、天樹悠(東山紀之)や新登場の海老沢芳樹(田辺誠一)は疑問を持っているよう。

鍵になるのは現金強奪後、コンビニに立て籠もる前の逃走中に犯人が被っていた猫のお面でしょう。
劇中でも意味不明と一笑に付されていましたが、実は意味があるのか? 回収されるのか?

前期までのメインライター真野勝成さんならスルーすることもありそうですが、
今回の脚本の寺田敏夫さんはこのドラマのみならず、
『相棒』『科捜研の女』『9係』等テレビ朝日の警察ドラマ執筆実績がほとんどなく、
脚本家の傾向からの予想ができません。


強奪犯の入れ替わり?
もしネコの面に意味があるとしたら、犯人の入れ替わりが考えられます。
そもそも犯人は現金強奪の際もフルフェイスのヘルメット姿で顔が見えませんでした。

この点は乗っ取った輸送車内でヘルメットを、
またコンビニ店内で防犯カメラ破壊後にお面を外し、
松原の顔が現れるシーンがありましたが、
これは共に捜査資料から天樹がイメージした映像で、本当に起きたことかは不明です。

もしかしたら共犯者は裏で糸を引くラスボスのような存在などではなく、
そもそも現金強奪犯は松原ではない別の人間との推測もできます。


共犯者がいるなら、前編に登場した人物で一番怪しいのは工場経営者で自警団リーダーの鳥塚(近藤芳正)。
ネットでもこの男が黒幕、共犯者との見方が多いようです。
まあ一番の理由は、演じているのが近藤さんだからなのですが・・・。
鳥塚の工場は現金強奪事件後に建ったようなので、金を手にした可能性はあります。

ただ、近藤さんは松原役の永岡さんより身長が10cmほど低いようで、
入れ替わりには無理がある。


元ホストが共犯か?
そうなると考えられるのが、元ホストでホームレスの浅倉(西興一朗)。
短慮な行動で、7年前の事件も松原殺害も容疑者から外れたように思えますが、
実は現金強奪の実行犯だった可能性が浮上します。
それならば松原と浅倉が共犯というよりも、浅倉が主犯か。

浅倉犯人説には一応の根拠があります。
7年前の捜査資料によると、浅倉はホストクラブで松原の上司的な立場であったようですが、オーナーは別にいます。
つまり浅倉と松原は同じ雇われている立場の従業員だったと思われる。

しかし、松原殺害後の聞き込みでホームレスになった浅倉がその後の7年間を語った中で、
「店長に金を持ち逃げされた」と口走っていました。
その言い方だと自分がオーナーのように聞こえます。
つまり、強奪事件後に多額の金を手にし、自分の店を持ったとも推測されるのです。

ここはまさに脚本家がこのような細かい伏線を張るタイプなのかという問題になりますが、
そうであるなら現金強奪の実行犯が浅倉で、松原はどこかで入れ替わり、罪を被って服役したということか。


鳥塚巻き込まれ型共犯説
浅倉・松原共犯説はちょっと面白いと思うけど、この他にも色々考えられます。

中でも気になるのは鳥塚の存在。
鳥塚についてはコンビニの人質の1人の可能性も考えらます。
松原がコンビニで押さえつけて人質に取った男性、
また警察の突入より早く脱出した3人のうち男性1人は顔が見えません。
これが鳥塚?
だとして、鳥塚は元々の共犯なのか?

そもそもコンビニ立て籠もりの意味もよくわかりません。
まさか盗んだ現金をコンビニで引き渡したということもないでしょうし。

ひとつの可能性として、鳥塚はたまたまコンビニで巻き込まれただけなのだが、
そこで松原から何かを聞き、現金を手に入れたのかも知れません。
そうなると、松原殺しも鳥塚か。
逆に浅倉関与の可能性は薄くなります。

実はこちらの方がシンプルですっきりしているようにも思えます。
ただ、それだとそもそもの犯行は松原単独で鳥塚はたまたま関わっただけ。
天樹や海老沢の見立てと違います。(鳥塚は結果的には“共犯者”になったともいえますが)
そして猫面を被って逃げた意味は不明になってしまう。

ところで、鳥塚は前編で自警団の活動に異様に固執する様子が強調して描かれました。
この事情については説明されるのか?
こんな点にも注目しています。


前編のラストではアパレル会社社長高野みさき(関めぐみ)に疑惑が向けられました。
元々の共犯者ではなく、現金横取りと松原殺害についてです。
これはちょっとミスリードっぽいかな。

考えれば更に色々あるのですが、矛盾点も出てきます。
もしかしたら鳥塚役の近藤さんは事件に関係ないミスリード用員かも知れません。
だとしたら思い切った使い方です。
あるいはコンビニで人質になったけど、それが原因で自警団に力を入れることになったとか。

かなり混沌としています。
どうまとめるのか。


Old Fashioned Club  月野景史

2018年7月13日 (金)

【ビール 祭り】日比谷オクトーバーフェスト2018/7/22まで日比谷公園で開催中

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ドイツのビールと食、文化の祭典「オクト―バーフェスト2018」。
7月22日(日)まで日比谷公園噴水広場にて開催中です。


日比谷オクトーバーフェスト2018
2018年7月13日(金)~7月22日(日)

平 日 16:00~22:00
土日祝 11:00~22:00 (L.O. 21:30)
日比谷公園 噴水広場
主 催 : オクトーバーフェスト実行委員会
後 援 : ドイツ観光局/バイエルン州駐日代表部/東京都/千代田区(予定)
特別協賛 : 日本中央競馬会
協 力 : SKWイーストアジア
https://www.oktober-fest.jp/hibiya/


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ドイツのミュンヘンで秋に開催される世界最大級のビールのお祭り
「オクト―バーフェスト」。

それを模して日本で行われるフェストについて、
最初にこのブログで記したのが、東日本震災からまもない2011年5月でした。
場所も今回と同じ日比谷公園。
当時、始めて1年目のこのブログとしては随分多くのアクセスがありました。


その後、東京近辺でも他の地区でも5月~9月頃まで
オクトーバーフェストの開催は飛躍的に増え、
このブログでも2015年まではあちこちの会場をレポートしました。

今回は3年ぶりの紹介です。



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今は以前に比べるとフェスト自体の数がだいぶ減り、落ち着いたようです。

都内ではこの日比谷公園とお台場が定番の会場になっているよう。
以前は芝公園、代々木公園になども定番でした。
豊洲公園なども本当の海沿いでよかったのだけど、今年の予定にはないようです。


日比谷公園では5月下旬が恒例でしたが、そこも見直したようです。
開催を絞り込んで、充実させてというところなのでしょう。

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Old Fashioned Club  月野景史

2018年7月12日 (木)

【美術展】「ミケランジェロと理想の身体」 国立西洋美術館/ルネサンス大彫刻家の本格展

東京上野の国立西洋美術館では9月24日まで
「ミケランジェロと理想の身体」展を開催中です。

2018


ミケランジェロと理想の身体
会期:2018年6月19日(火)~2018年9月24日(月・休)
国立西洋美術館

主催:国立西洋美術館、NHK、NHKプロモーション、読売新聞社
後援:外務省、イタリア大使館
協賛:大日本印刷協力:アリタリア-イタリア航空、日本貨物航空、西洋美術振興財団
公式サイト:http://michelangelo2018.jp/


ミケランジェロ・ブオナローティ
(1475年3月6日 - 1564年2月18日)

彫刻、絵画、建築のすべての分野で名をなし「神のごとき」と称された男、


ルネサンス芸術の象徴として
ミケランジェロはレオナルド・ダ・ヴィンチ、ラファエロ・サンツィオと並び、
ルネサンス芸術の三代巨匠と称されます。

他の2人はやはり画家としての業績が知られます。
ミケランジェロもまたシスティーナ礼拝堂に描いた天井画と『最後の審判』はあまりにも有名。
しかし、彼は自らを語る時、あくまで「彫刻家」という肩書にこだわりました。
実際、美術館で鑑賞するような大きさの絵画はあまり残っていません。

一方、二十代前半に完成させたサン・ピエトロ大聖堂の『ピエタ』、
フィレンツェ共和国の象徴とされる巨大な『ダヴィデ』など、
その卓越した技と美意識が表現された大型彫刻作品は、各地で至宝とされています。


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そのため、これらの作品を中心に据えたミケランジェロの展覧会は、
これまで日本では実現がきわめて困難でした。


彫刻の二大傑作が来日
本展は、『ダヴィデ=アポロ』、『若き洗礼者ヨハネ』というミケランジェロ彫刻の傑作を核に、
古代ギリシャ・ローマとルネサンスの作品約70点の対比を通して、
両時代の芸術家が創りあげた理想の身体美の表現に迫っています。



Photo_3『若き洗礼者ヨハネ』1495-96年
ミケランジェロの20歳の頃の作品。
聖母子画に描かれる幼子でもなく、
イエス・キリストに洗礼を施す聖人としてでもない、
若き洗礼者ヨハネの像。
20世紀前半、不運にもスペイン内戦によって
大きな被害をうけましたが、
長年にわたる修復でよみがえりました。
修復後、スペインとイタリアで2回しか
公開されていない傑作が早くも来日。
























Photo_4『ダヴィデ=アポロ』1530年頃
こちらはミケランジェロ55歳頃の作品。
旧約聖書の英雄ダヴィデか、ギリシャの神アポロか。
未完ゆえに作品の主題でさえ不明で、どちらか決め切れていません。
ミケランジェロの代表作といえば、
誰でも知っているフィレンツェのアカデミア美術館収蔵のダヴィデ像ですが、
さてこの彫刻はダヴィデなのか?
























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『ラオコーン』 ヴィンチェンツォ・デ・ロッシ 1584年頃 ローマ
これはミケランジェロの作品ではありません。ルネサンス期の大理石彫刻。
この作品のみ、会場内で写真撮影できます。


Old Fashioned Club  月野景史

2018年7月10日 (火)

通算アクセス370万件突破

本日2018年7月10日、当ブログの開設以来の通算アクセスが370万件を超えました。

相変わらずドラマ『科捜研の女』『相棒』関連のページへの来場者が多いですが、
他の分野も少しずつ増えています。
引き続きよろしくお願いします。

Old Fashioned Club  月野景史

2018年7月 8日 (日)

【ドラマ】 『遺留捜査』 (上川隆也主演) 超入門/紆余曲折の歴史を辿る

今回はテレビ朝日・東映制作の上川隆也さん主演の警察ドラマ『遺留捜査』の基礎知識です。


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テレビ朝日の数ある人気警察シリーズのひとつで、
第5シーズンが2018年7月12日20時の木曜ミステリー枠でスタートします。

しかしこのドラマは今まで紆余曲折の歴史を経てきました。
昨日の『刑事7人』の記事と同じような書き始めになってしまいましたが、
『遺留捜査』は『刑事7人』とも違い、放送されてきたペースもかなりバラバラです。
それでは足跡を簡単に振り返っていきます。


『遺留捜査』第1期は2011年4月クールのスタート。
『相棒』を放送する水曜21時枠で、東日本大震災の直後のスタートでした。

警視庁捜査一課の科学捜査係で、遺留品にこだわるマイペースで風変りな刑事・糸村聡(上川隆也)か主人公。
独自の捜査を行い、周囲の反発を受けながらも、遺留品から被害者の声を聞き真相を解き明かす。
ラストで事件関係者から3分の時間をもらい、隠れされていた真実を伝えるのが定番です。
ヒロインは捜査一課刑事役の貫地谷しほりさんでした。

1期は14.3%の高視聴率を残し、当然のように続編が作られました。
第2期は翌2012年の少しずれて7月クール、枠を木曜21時に移しての放送。
第3期は2013年の4月クール、そして枠も水曜21時に戻り、3年連続で放送されました。

クールと枠にずれがあったとはいえ、3年続いたのだから安定していたように思えますが、
実は第1期→2期で、糸村の本庁から所轄の月島中央署刑事課への異動に伴い、
レギュラー陣がほぼ総入れ替えになっています。
ヒロインポジションは上司の刑事課長役の斉藤由貴さんに代わりました。

高視聴率だったのになぜキャストをほとんど入れ替えたのか?
異例だと思います。
正確な事情はわかりませんが、ネットでの情報によると、
続編の製作決定が急で、1期キャストのスケジュールを抑えられなかったともいいます。
枠やクールの変更からも、制作背景に少しバタバタがあったと考えた方が納得いきます。
2期の視聴率は12.5%と、1期よりはだいぶ落としました。


3期で一旦休止
次の3期は月島中央署の舞台はそのままで、キャストを少し入れ替えて作られました。
この時、1期のレギュラーが一部復帰しています。
2期が1期に比べて数字を落としたので、テコ入れの意味があったのかも知れません。

このような変動があっても、1期~3期までいいクオリティをキープしていたと思いますが、
数字は1期から14.3%→12.5%、そして3期は11.5%と残念ながら右肩下がりに終わりました。
ここまでで連続ドラマとしては一旦休止となりました。


今考えると3期の11.5%という数字も立派に思えますが、
この2013年頃までは、同じテレビ朝日の長寿サスペンスドラマだった
『おみやさん』や『京都地検の女』がやはり11%台で休止になっていますし、
『遺留捜査』は1から3までで明らかに下降しているので、
ここらで潮時と判断されてもやむを得なかったと思います。

特に3期のメンバーはバランスはよかったので、もったいなく感じました。


しかし、連ドラとしては休止となってもシリーズ継続の意図はあったようで、
2015年5月まで4本の単発スペシャルが製作されました。


まさかの京都で復活
しかし、それから更に丸2年以上経過し、さすがにもう続編はないかと思われた矢先、
2017年7月クールで枠を木曜ミステリーに移し、
そして舞台を京都府警に移し、
当然糸村以外のレギュラーもほぼ入れ替えて、連続ドラマ第4期が作られたのです。

木曜ミステリーは伝統的に東映京都撮影所製作のドラマが放送されてきましたが、
近年は『科捜研の女』以外は不振で6~7%台の低視聴率が続いており、
遂に4月クールは2016年から東京製作の『警視庁・捜査一課長』に譲り渡していました。
そんな事情で、実績のある『遺留捜査』を京都に持ってきて作ったのでしょう。

新たな舞台は京都府警の中でも特殊な事案を扱う特別捜査対策室(特対=トクタイ)。
糸村は警察庁キャリアとは思えないので、警視庁から京都府警への異動などあり得ない筈ですが、
そこはドラマなので、無理な理屈付けもせず異動させてしまいました。
ニューヒロインには特対の同僚女性刑事の栗山千明さん。


京都科捜研も登場
そして大幅なメンバーチェンジを繰り返してきたこのドラマで、糸村以外で唯一1期から残っているのが、
いつも糸村からの無理な鑑定依頼に振り回される科捜研の村木繁(甲本雅裕)。
村木も警視庁から京都府警の科捜研へ、こちらは期間限定の人事交流という理屈付で異動してきました。

京都府警の科捜研といえば長寿シリーズ『科捜研の女』の舞台。
同一世界ではないようですが、『科捜研の女』を連想させるパロディ表現も挟み込まれています。
そういえば、糸村は東京時代から自転車ユーザーで京都でも引き続き愛用していますが、
『科捜研の女』の主人公榊マリコ(沢口靖子)も自転車通勤が定番です。ただ最近はあまり見かけませんが。


京都編は緩やか
上述のようにこのドラマは風変りでとにかくマイペースに行動をする糸村に周囲が振り回され、
過剰な反発を受けるのが定番でした。
それが名物でもあり、行き過ぎに感じられる時もありました。

京都編はそのような面も含め、過去に比べるとよくも悪くも緩やかでした。
東京からいきなり来た人間が勝手な行動をするのだから反発を受けて当然のように思いますが、
特対の面々は少々呆れながらも意外とすんなり受け入れた印象。
この緩さは木曜ミステリーらしいといえるかも知れません。

あえて指摘すれば、緩やかはいいのですが、その分新レギュラーのキャラの打ち出しが弱く感じました。
しかし、だからこそ安心して観れたともいえるでしょう。
初夏から盛夏にかけて撮影されたろう京都の街や森の風景が印象深いドラマでした。

第4期の視聴率は11%。
過去のシーズンと比べると低い数字ですが、
『科捜研の女』以外の京都製作のドラマとしては久々の二桁獲得でした。

ですので、引き続き第5期が作られる可能性が高いと思っていました。
しかし、今年になって上川さんが1月クールの木村拓哉さん主演の『BG』に続き、
4月クールは『執事 西園寺の名推理』主演とドラマ連投で、どうなるかと思いましたが、
無事放送が発表されました。


新シ―ズンは大きな変更はなし
第5期は引き続き京都編で、特対メンバーもほぼ留任。
ただ、妙な大物感のあるユニークなキャラだった室長役の段田安則さんは降板で、ちょっと残念ですが、
前期は同僚刑事だった戸田恵子さんが室長代理に昇格するので、雰囲気が大きく変わることはないでしょう。
戸田さんが昇格する分、同僚刑事として梶原善さんが加わり、僅かながら若返りするようです。

ともかく、もはや長期シリーズで前期からメンバーもほぼ変わらずとなれば、
まさか『刑事7人』のようなキャラや路線の変更はないだろうから安定は必然。
となれば期待されるのは各話のクオリティー。
楽しみにしています。

Old Fashioned Club  月野景史

2018年7月 7日 (土)

【ドラマ】 『刑事7人』 第4シーズンを迎え波乱の足跡を振り返る/東山紀之主演 7/11スタート

テレビ朝日・東映制作、東山紀之さん主演の警察ドラマ『刑事7人』。
その第4シーズンが7月11日(水)にスタートします。

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2015年7月の開始より毎年7月クールに放映されており、
『科捜研の女』『相棒』『警視庁捜査一課9係(→特捜9)』に次ぐ安定シリーズになった・・・、
ように見えますが、内容、また数字の面でも波乱の多い経緯を辿ってきたドラマです。
今回も、新シーズンの可能性は低いと思っていました。

今までの歴史を簡単に辿ってみます。


スタート時のレギュラーメンバーはこの7人。
東山紀之、髙嶋政宏、片岡愛之助、鈴木浩介、倉科カナ、吉田鋼太郎、北大路欣也。


大変豪華で話題性のあるキャストを集めた刑事ドラマとして注目されました。
ただ、北大路さんの役は解剖医で、『刑事7人』のタイトルはおかしいとの声もありました。
この点はその後のシーズンでも同じですが。


ともかく、期待されたドラマでしたが視聴率は苦戦。
東山さん演じる飄々としたつかみどころのない主役・天樹悠のキャラは賛否が分かれました。

また、当時は『半沢直樹』からあまり時間が経ってなく、
あのドラマで怪演した愛之助さんの刑事ドラマ初レギュラーも注目されたのですが、
他の仕事と重なっており、出演シーンは僅かで肩透かし。

シリーズを通しての縦軸のテーマと思われた天樹の過去についても消化不良の結末でした。

そんなこんなで視聴率は単純平均で9.5%。
『相棒』『9係』と同じテレ朝水曜21時枠でこの数字では、続編は当然ないものと思われました。


大幅イメチェンで第2期
しかし、意外にも第2シーズンがスタートします。
当時のブログです→ http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2016/07/721-d621.html

7人のメンバーも全員留任。
しかし、主人公天樹のキャラと、ドラマ全体の雰囲気がハードな感じに変わりました。
これは「180度変わった」といっていいくらい。

そしてレギュラーメンバーの所属部署もかなり変わりました。
こちらは元設定を変えたのではなく、異動による組織替えに伴うものとしてです。
1期では解剖医以外の6人は同じ捜査一課12係の所属だったのですが、
2期ではバラバラになり、部署を超えたチームを組むと言う形になりました。
そういう形もありとは思いますが、ちょっとわかり難かった。


路線変更の理由
そもそも低視聴率なのになぜ続いたかという疑問があります。
あえて推測すれば、東山さんが所属するジャニーズ事務所との最初からの約束だったのか?

そこは置いといて、数字が悪いのに続けようというのだから、テコ入れが必要というのもわかります。
初期の『科捜研の女』もそうでした。

だから、全体のイメージをハードボイルドに変えたのでしょうか。
更に別の問題もあったかも知れません。
1期は他のテレ朝警察ドラマと相似点が結構ありました。

例えば、警視庁捜査一課の12係の6人(男5人、女1人)が他の部署とほとんど関わらず、
6人でコミカルなやりとりもありながら捜査をするというスタイル・部署設定は
『9係』にそっくりです。

そして、天樹の飄々として他人の話を聞かず、独自の視点で勝手な捜査をするスタイルは
『遺留捜査』の糸村聡(上川隆也)によく似ていました。

これらを是正して、独自のスタイルを作り上げようとしたのとも考えられます。


また2期では途中で鈴木浩介さんが殉職により降板。
後任に塚本高史さんが加わりました。

これも珍しい。
『相棒』や『科捜研』のように長期続いているのならわかりますが、
1クール全話9本のドラマで、途中でメンバーの入れ替えなどあまりしません。
ただ、この殉職譚はクール中盤の山場作りには貢献しました。

2期の視聴率は10.3%と、なんとか二桁に乗せました。


更にハードな第3期
そうして迎えた第3シーズンはメンバー・雰囲気はそのまま、
シーズンを通しての敵を設定し、更にハードに混迷深まる展開でした。

しかし中盤では1期以来の謎だった天樹の過去に一応の決着がつけられ
平均視聴率も11.3%と着実に伸ばしました。


しかし最終回で大波乱。
愛之助さんが闇落ちで自殺したかのような描写(正確には不明)。
倉科さん以外のメンバーは左遷で完全にバラバラとなって終わりました。

これはさすがに終わりにするのだろうと思いましたが、
一方でこのドラマなら続ける可能性もゼロではないなと感じていました。
やはりやります。


第4シーズンのメンバーを見ると、高嶋さん、愛之助さんが降板で、
田辺誠一さん、白洲迅さんが加入します。

愛之助さんは過去3期とも他の仕事との兼ね合いで出演は少なかったし、
前期のラストからしても降板は当然でしょう。

しかし実質的なリーダー役を務めてきた高嶋さんの降板は意外でした。
8月にある劇団の舞台への客演があるようですが、
このドラマの制作だって随分前に決まっているでしょうに。
本人サイドの意向での降板か?


新シーズンは部署設定も、メインライターも変わるようなので、
また雰囲気も変わるのかも知れません。

私は1期のソフト路線、2・3期のハード路線ともに嫌いではありません。
ただ、なにか筋が通ってないドラマのようには感じていました。

好調のテレ朝警察ドラマ。
ビシッとしたのを期待します。

Old Fashioned Club  月野景史

2018年7月 4日 (水)

【落語芸術協会】桂歌丸会長死去で後任は小遊三か昇太か/いずれにしろ『笑点』ではいいネタに

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7月2日の落語家の桂歌丸さん死去(没年81歳)に伴い、
昨日のブログでは歌丸さんと『笑点』について記しました。
ただ、歌丸さんは2016年に『笑点』を降板しており、
番組の今後については問題ありません。
どのような追悼企画が組まれるかが注目されるくらいです。

今後が気になるとしたら落語芸術協会の会長職の後任でしょう。


既に小遊三が会長代行に就任
もっとも、こちらも大して問題があるとは思えません。
現在の副会長は歌丸さんと同様に『笑点』でお馴染みの三遊亭小遊三さんが単独で務めており、
「便所でお尻を拭く(副)会長」などとネタにしているので、一般にもよく知られています。

そして実は歌丸さんが亡くなる前の6月15日の時点で、
歌丸さんの療養を理由に小遊三さんが会長代行の座についているのです。

1936年生まれで、82歳直前でなくなった歌丸さんに対し、
小遊三さんは11年下の1947年生まれで今年71歳。
若くはないですが、歌丸さんからの引き継ぎなら充分世代交代といえます。

ですから次期会長は小遊三さんでまったく問題ないように思えます・・・が、
そうとも言い切れない事情もあるのです。

では誰の可能性があるのか?
歌丸さんの後任として『笑点』司会を務め、協会理事である春風亭昇太さんです。


ライバル団体が既に若返り
昇太さんでは一気に世代交代し過ぎではないかと思うかも知れません。
しかし、そうとも言えないのです。
競合団体で、規模も大きい落語協会が既に大幅な若返りを果たしているから。

昇太さんは1959年生まれで今年59歳。
落語協会現会長の柳亭市馬さんは昇太さんより2歳下、1961年生まれで今年57歳なのです。

ちなみに副会長の林家正蔵さんは更にひとつ下の1962年生まれで今年56歳。
正・副会長とも昇太さんより若いのです。

落語協会は2014年からこの体制。
その前の会長は歌丸さんより3歳下でほぼ同世代の柳家小三治さんでしたから、
既に4年前に大きな世代交代を断行しているのです。


別に落語協会の真似をする必要もないのですが、
ライバルに比べて世代交代が大きく遅れているとのイメージは歓迎し難いところ。
それに改めて考えると、今の小遊三さんは歌丸さんの会長就任時(68歳)より年上だし、
昇太さんの59歳という年齢も、いくら伝統芸能の世界とはいえ、決して若くはありません。
会長などまだまだという歳ではないでしょう。
思い切って若返りを決行するのもありです。

そう考えると、最近の小遊三さんの『笑点』での振る舞いも気になります。
ことさら下ネタを連発しているように思えるのです。

それは元からの番組におけるキャラで、協会とは関係ないといわれるかも知れませんが、
特に最近、下ネタ率が上がっているように思えます。
まるで「自分はこういうキャラだから会長の柄ではないよ」とアピールしているように感じる。


いずれは昇太会長
仮に今回はこのまま小遊三さんが代行から正式な会長に就任したとしても、
いずれも昇太さんが昇格することはまず間違いないでしょう。

実は自分は2年前の歌丸さんの『笑点』降板時にある読み違えをしました。
司会の後任を6代目三遊亭円楽さんと予想したのです。
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2016/05/6-d783.html 

これは読みが甘かった。
政治的事情を見落としていました。

『笑点』の司会は知名度・認知度という点では落語界の顔であることを意味します。
特に落語協会に対して規模で劣る芸術協会としては是が非でも抑えたいところ。
当時57歳だった昇太さんが司会となり、やがて会長となれば、協会もあと20年安泰です。
もちろん番組が続けばの話ですが、50年続いた番組ですし、
今後も長期的な高齢化が進むとなれば、続くと考えて当然というか、そう考えて戦略を練るべき。

ということで歌丸さんはじめ芸協側も昇太さんを強く推し、
日本テレビ側もそれで支障なしと判断したのでしょう。
(先代が長年務めたとはいえ、基盤の弱い円楽一門に司会を託す事に不安を感じたのかも知れません。)


とはいえ、今回は順番通りに小遊三会長という可能性も高いと思います。
昇太さんに会長も『笑点』司会もとなると、あまりにおんぶにだっこ感が強くなるし。

小遊三さんが会長なら、大喜利内でのねじれ現象が更に明確になります。
昇太さんは協会No.1である会長相手に、座布団をあげたり取ったりするのだから。

役職の組み合わせも色々なパターンが考えられますが、
・小遊三会長 昇太理事(留任)
・小遊三会長 昇太副会長
・昇太会長 小遊三副会長(留任)
・昇太会長 小遊三相談役

いずれにしろ大喜利で大いにネタにするでしょう。
これは協会のPRにもなりますし。


Old Fashioned Club  月野景史

2018年7月 3日 (火)

【訃報】桂歌丸死去 長寿番組『笑点』の象徴的存在 その足跡を辿る

落語家の桂歌丸さんが亡くなりました。81歳。


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桂歌丸
かつら うたまる、1936年8月14日 - 2018年7月2日 本名 椎名巌(しいな いわお)
噺家 落語芸術協会 会長

1966年スタート、日本テレビ日曜夕方の大長寿番組『笑点』に
大喜利メンバーとして開始から2016年まで出演し、
終盤10年は司会を務めた事で知られます。

もちろん『笑点』だけの人ではありませんが、
番組との関わりの長さと深さは間違いなくNo.1。
「『笑点』の象徴的存在」と呼んでいいでしょう。
このブログでは『笑点』との関わりに絞り、その足跡を少し辿ってみます。


1966年
演芸番組『笑点』は1966年5月15日にスタート。
現在まで続く長寿番組ですが、
開始時からのレギュラーメンバーで2000年代以降も出演を続けていたのは、
5代目三遊亭円楽さん、歌丸さん、林家こん平さんだけでした。


波乱の日々
『笑点』は開始から3年ほどで初代司会者の立川談志さんとの路線をめぐる対立が起こり、
1969年3月に3人を含む大喜利メンバーが談志さんを残してすべて降板してしまいます。
談志さんのブラックユーモア志向に、他のメンバーが反発したからとされます。

そして同年暮れには談志さんが参院選出馬を理由に降板。
すると元のメンバーが順次復帰していきます。
この時も3人の中では歌丸さんの復帰が一番早かったのです。

※Wikipediaの『笑点』の項目は長大になり過ぎて、このあたりの経緯が解り難くなっています。


全盛期 小円遊との対立が名物に
さて、『笑点』は司会役に前田武彦さんを挟んで1970年12月より三波伸介さんが就任。
1972年までに円楽、歌丸、三遊亭小円遊、三遊亭円窓、こん平、林家木久扇(当時はもちろん木久蔵)が揃い、
全盛期と言われる時代を迎えました。

今では伝説となっていますが、歌丸さんは小円遊さんとライバル関係にあり、
このいがみ合い、罵り合いが番組最大の名物・売り物となっていきました。
もちろんこの対立関係は談志さんの時とは違い、番組の演出です。

しかし、円楽さんが1977年に落語専念を理由に卒業すると、
まもなく円楽さんの円生門下の弟弟子であった円窓さんも同様の理由で降板。
そして盟友・小円遊さんのまさかの死去。
それに伴って若手への交代等があり、番組も少しずつ様変わりをしていきます。

そして1982年暮れ、大黒柱の三波伸介さんの急死という非常事態を迎えます。
その後任司会者として、円楽さんが復帰するのです。


三波さん死去時の司会昇格はなかったか?
この当時の歌丸さんは46歳。
今のメンバーに比べるとかなり若いですが、当時は最年長だし、
円楽さんとも4歳しか違いません。

5年以上番組から離れており、落語協会からの独立で微妙な立場にあった円楽さんの復帰より、
歌丸さんの昇格があり得なかったのか?
今となるとそんな風にも感じます。
しかし、当時はその空気はほとんどなかったように思います。

理由を分析すればふたつ
ひとつは大人気タレントだった三波さんに比べ、
『笑点』では長いといえ、歌丸さんはタレントとしての認知度が失礼ながらかなり劣るように思えたこと。
この点は円楽さんの方が明らかに上でした。

ただ、それ以上の問題は、これは近年の司会交代時にも言われる事ですが、
歌丸さんが司会に昇格してしまうと、回答者が弱くなるという事情がありました。
当時、歌丸さんに次ぐベテランはこん平さんと木久扇さんですが、両方ともいわゆるおバカ系キャラ。
残りは若手ばかりで、それではなんとも軽くなってしまうと感じたものです。

この点は、もし小円遊さんが健在だったら、あるいは円窓さんが降板していなかったら、
この時点での歌丸さんの司会就任もあったかも知れません。


2000年代へ
ともかく、円楽さんの復帰で『笑点』も安定を取り戻しました。
大喜利メンバーも若手に僅かな出入りがあっただけで、20年以上安定状態が続き、
21世紀を迎えてもゆるぎない長寿番組となりました。

しかし2004年、歌丸さんより7歳若いこん平さんが体調不良の為に61歳で長期休養入り。
まもなく円楽さんも病気のためセミリタイヤ状態となり、
番組が40周年を迎えた2006年に正式に降板、歌丸さんが司会就任となりました。


50周年までの10年を司会として
この年歌丸さんは70歳。
既に所属する落語芸術協会会長の要職にありました。

実はこの時もネット等には歌丸さんが司会になると回答者が弱くなるとの声もありました。
しかし、この時点で内部昇格だろうと外部招聘であろうと、
歌丸さんを差し置いて司会の座につける人がいる筈ありません。
文句なしの昇格でした。

一方、70歳を越えても頭も口も回転なめらかな歌丸さんでしたが、
身体は病気だらけで入院を繰り返し、傍目にも辛い面はありました。

しかし2016年、50周年の節目まで務め上げての退場。
“『笑点』の象徴”としての立場を見事に全うしました。

謹んで哀悼の意を表します。

Old Fashioned Club  月野景史

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