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2018年6月27日 (水)

『特捜9』『一課長』 テレビ朝日警察ドラマ好調の原因は2時間ドラマ枠消滅

民放各局の4月-6月クールの連続ドラマ(春ドラマ)が終了しました。
視聴率上位4傑は以下の通り。

第1位 14.2%  ブラックペアン  TBS  日曜21時
第2位 14.0%  特捜9  テレビ朝日  水曜21時
第3位 12.9%  未解決の女  テレビ朝日  木曜21時
第4位  12.8%  警視庁・捜査一課長3 テレビ朝日  木曜20時

第5位以下は一桁なので、この4作のみが勝ち組と言っていいでしょう。
終盤に急伸した『ブラックペアン』が1位をさらった形になりましたが、
2~4位を占めたテレビ朝日警察ドラマの強さが目立ちます。


20180406011


ドラマはテレ朝一人勝ち

現在、日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日のプライムタイム(19時-23時)の連続ドラマ枠は3つずつ。
テレ朝は今年の1月期、4月期とも3枠すべて二桁視聴率を獲得しているのに対して、
TBSは日曜21時の日曜劇場枠が高視聴率で対抗していますが、
日テレとフジは今年二桁取ったドラマはまだ1本もなく、
ことドラマについてはかなりの格差がついています。

テレ朝の連ドラ3枠のうち、水曜21時と木曜20時(木曜ミステリー)は
東映制作のサスペンスドラマで、近年は警察物がほとんど。
『科捜研の女』、『相棒』、『警視庁捜査一課9係』(今年から『特捜9』)などの人気シリーズを抱えています。
(木曜21時は『ドクターX』など非警察物もありますが、今期は波瑠さん主演の警察ドラマでした。)


低迷するドラマ視聴率の中で
2011年のデジタル放送化に伴う多チャンネル時代を迎え、個々のテレビ番組の視聴率は低落傾向にあります。
ドラマも全般にそうだし、テレ朝サスペンスも例外ではありませんでした。
それが最近、テレ朝警察ドラマだけが持ち直し、好調を維持しているのです。

たとえば、上記の今期4位『一課長』は一昨年の連ドラスタート時は二桁ギリギリでしたが、以降右肩上がり。
2位の『特捜9』は主演の渡瀬恒彦さんの死去により『9係』がリニューアルした続編ですが、2011年以来の14%超え。
また3月まで放送されていた『科捜研の女17』の最終2話は連続の15%超えで、これなどは2009年以来の快挙です。


ここに来てのテレ朝サスペンス好調の理由は何でしょう。
もちろん、個々のドラマの出来が一番に決まっていますが、
あえて外的要因を探すなら、
2時間ドラマ(2時間サスペンス)のレギュラー枠の消滅でしょう。
2サスロスに陥った視聴者を吸収しているのだと思います。


今回はこの件を簡単に考察してみます。
そもそも、現在2時間ドラマの枠はどうなっているのか?


◆2時間ドラマ枠の消滅
かつて『火曜サスペンス劇場』を擁した日本テレビは2007年で2サス枠を終了していますが、
それ以外のキー局は2015年頃まではレギュラー枠を維持していました。
しかし、上記の地デジ化以降、2時間ドラマの視聴率も低迷し、
この3年ほどで各局とも段階的に縮小・消滅させていったのです。

傾向としてはどこもだいたい共通なのですが、
それまで毎週2時間ドラマを放送していたのを、
バラエティ・情報番組なども含めた単発スペシャル番組の枠とし、
その一環としてドラマが放送される週もあるという形に変わっていきました。

Photo_2


あの土曜ワイド劇場も終了
例えば、2時間ドラマの象徴ともいうべきテレ朝の『土曜ワイド劇場』は、
上記のような流れを経て、2017年4月をもち40年の歴史に幕を降ろしました。
更に紆余曲折を経て、今年4月より日曜夜に『日曜プライム』として、時折ドラマも放送されるという状態。

一方、TBSの月曜夜は『月曜名作劇場』として名を残していますが、
現在のドラマ放送のペースは月1本ほどで、レギュラー枠とは言い難い状況。

フジの金曜夜は単発スペシャル枠の『金曜プレミアム』となっていますが、
現在、ドラマの比率は極めて低くなっています。
こちらは2時間ドラマからはほぼ撤退状態といっていいでしょう。

テレビ東京の水曜夜も上記のような展開を経て、現在は2時間スペシャル枠自体が消滅しています。

ほんの3年前まで週4本放送されていたのがなくなったのだから、ロスを起こすのも当然です。
特に数字が落ちていたといっても、土曜ワイド劇場などは近年も二桁視聴率が多かったし。
結果的にですが、それをテイストの近いテレ朝サスペンス系連ドラが吸収しているのです。
そもそも『相棒』も『一課長』も元は土曜ワイドでの放送だったのだから。


なぜ今なのか?
しかし、最近急に無くなったわけではないのに、なぜ今反応が出ているのか?
それは2時間ドラマのそもそもの特性にあります。

2時間ドラマは毎週必ず観るというヘビーなファンは少数派だったでしょう。

・好きなシリーズは観る。
・好きな役者が出るなら観る。
・他に観る番組がなければ観る。
・暇なら観る。

このようなライトな視聴者が多かったと思います。

そして上記のように、段階的に縮小されていったので、
人気シリーズは時折放送されるのだから、急にロス感に陥ることもなかった。
それが気づいたら週に1本も放送されないことも珍しくない状態となっており、
ロスに陥った層を吸収しているのだと思います。
無意識な人達も少なくないでしょう。


テレビ朝日は7月クール(夏ドラマ)も、
水曜21時は『刑事7人』第4シーズン、
木曜20時は前期から京都に舞台を移した『遺留捜査』第5シーズンを放送。
更に好調を維持するのか?

Old Fashioned Club  月野景史

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