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2017年12月 1日 (金)

【テレビ】卑弥呼陵? 奈良箸墓古墳の『池の水ぜんぶ抜く』はやはり中止/古墳調査規制の高い壁

テレビ東京は2018年1月2日に放送予定の番組
『緊急SOS!池の水ぜんぶ抜きましておめでとう2018』で、
既に発表していた卑弥呼の墓との説もある奈良県桜井市の箸墓(はしはか)古墳に
隣接する池の水抜き部分については放送を中止すると発表しました。


Photo
箸墓古墳は奈良県桜井市箸中にある前方後円墳

テレビ東京は中止に至った事情の詳細は明らかにしていませんが、
地元自治体の協力が得られなかったようです。


今年のヒット番組『池の水ぜんぶ抜く』シリーズ
この『池の水ぜんぶ抜く』シリーズは2017年1月から『日曜ビッグバラエティ』で
不定期に放送されているドキュメントバラエティ番組で
11月26日に早くも5回目がオンエアされ、大河ドラマ『おんな城主・直虎』の11.3%を上回る
12.8%の好視聴率を獲得する人気番組になっており、今年のテレ東のヒット作です。

そしてその第5回の放送で、来年の新春特番も告知されていました。

この番組自体、回ごとの当たり外れもあるものの、なかなか面白いです。
凶暴・巨大、怪獣ガメラみたいな外来種ワニガメを捕獲したり、
逆に貴重な絶滅危惧種である在来種ニホンイシガメを発見としたりと。

ただ、それとは別の意味で、次の箸墓古墳に隣接する池の水を抜くという予告には驚きました。
そんなこと、本当にやれるのかと。

そして、今回の中止の報道を聞いて、やはりと思いました。
なぜか?

このシリーズ全般を通してのテーマは上に挙げた例のように、外来生物の駆除、在来生物の保護がメインで、
それは生態系調査・保全にもなり、合わせて池の掃除も行うという良い事づくめの企画です。

しかし、次回については卑弥呼の墓との説もある古墳に隣接する池の調査ということで、
何かお宝が出てくる、つまり歴史的・考古学的発見があるかも、というような煽りをしていました。
これ自体は、バラエティ番組として当然といえばそうとも思えます。
しかし、ことはそう簡単にはにはいきません。


古墳調査の高い壁
箸墓古墳は纒向古墳群に属し、宮内庁により「大市墓(おおいちのはか)」として
第7代孝霊天皇皇女の倭迹迹日百襲姫命の墓に治定されています。
この倭迹迹日百襲姫命が、あの邪馬台国の卑弥呼ではという説もあるのです。
卑弥呼はともかくとして・・・。

一般にはあまり知られていませんが、
国に天皇・皇族の墓と認定されている古墳は宮内庁が管理し、
考古学的調査・発掘が厳しく規制されています。
ほとんどできないと言ってもいいくらいです。

認定は江戸時代以前の古い文献を元に明治時代に為されており、
その状況は大きく時代が変化した大戦後も変わっていません。
つまり、皇族の墓を発掘するとは不敬であるという明治時代の認識がそのまま残っているようなもので、
皇族陵と認定されている古墳は近代的な学術調査がほとんどされていないのです。

今回は古墳そのものではなく、隣接する池の水抜きではありますが、
写真を見ればわかるように、文字通り“隣接”しています。

池の水抜き自体は毎年実施しているとのことですし、
企画が実行されたとして考古学的発見ある可能性は極めて低いとも思えますが、
とにかくガードの堅い古墳調査です。
テレビのバラエティ番組による、箸墓古墳周辺の探索が実現するとは驚きでしたが、
中止と聞いて、やはり無理だったかと思った次第です。

今回はテレ東の宣伝の仕方もまずかった。
あくまで池の清掃、生物保護ということだけにしておけばよかったかも知れません。

ただこの強い規制については保全の意味もあるでしょうが、
日本の考古学発展の妨げとなっている面もあります。
大幅な改革があってもいいとも感じます。

Old Fashioned Club  月野景史


以下、朝日新聞デジタルより引用
http://www.asahi.com/articles/ASKD16Q85KD1UCVL02D.html
☆☆☆
箸墓古墳隣接の「池の水抜く」放送中止 地元が協力断る
2017年12月1日22時08分
テレビ東京は1日、1月2日に放送予定の番組「緊急SOS!池の水ぜんぶ抜きましておめでとう2018」で、既に発表していた卑弥呼の墓との説がある奈良県桜井市の箸墓(はしはか)古墳に隣接する池部分の放送を中止すると発表した。詳細は明らかにしていないが、地元自治体の意見が影響したとみられる。

この池での水抜きは、11月26日放送の「池の水ぜんぶ抜く大作戦5」内で予告された。桜井市はこの前に番組ディレクターに対し、「ため池の掃除が主体であり、宝探しのような企画内容はやめてほしい」と伝えていたという。だが番組では「出るのはお宝か、それとも未知なる生物か」「約1700年前のお宝が眠る!?」などと予告していた。

26日の放送後、奈良県を通じて文化庁から市に問い合わせがあったり、市の教育委員から「宝探しのような企画に協力するのはどうか」との声が寄せられたりした。1日、市はテレ東側に「協力できない」と伝えたという。テレ東が撮影に入る前だった。

箸墓古墳のため池を管理する地区の区長の杉本義衛さん(69)によると、池の水抜きは毎年実施しているという。「古墳の価値を広めるために番組に協力しようと思っていただけに残念だ。ただ、あの予告編を見れば、市が断るのも仕方がない」と話した。

 「池の水」シリーズは今年1月に初めて放送され、これまでに5回放送。水を抜いた池から外来魚のアリゲーターガーなどが次々と見つかり、人気番組となった。26日は視聴率12・8%で、大河ドラマの11・3%を上回った(関東地区、ビデオリサーチ調べ)。(湊彬子、田中祐也)
★★★

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