【ドラマ】『貴族探偵』6/26最終回/切子の死と貴族、愛香の真相を材料不足ながら推理する
フジテレビが社運をかけた“月9”ドラマ『貴族探偵』も次回6月26日の第11話で最終回。
http://www.fujitv.co.jp/kizoku/
スタート当初、このブログでも“迷走”と書きました。
平均視聴率も8%半ばで、この豪華キャストにしては寂しい限りです。
ただ、私は割と楽しんで観ています。
原作は麻耶雄嵩さんの推理小説シリーズ。
麻耶さんは、“新本格”と呼ばれる分野の作家ですが、
私は元々本格ミステリ好きなので、楽しめる面があります。
それは、一足早く6月25日に最終回を迎える観月ありささん主演の
『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』についても同様です。
しかし、そもそも新本格の小説は文字で読むと面白いが映像化には向かない面があり、
そこをどう脚色するかが大事なのですが、うまくやり切れてはいません。
一番まずいのが主人公“貴族探偵”の描き方です。
相葉雅紀さんが貴族役に向いていないという声も多く、それはその通りかと思いますが、
それ以上に連続ドラマの主人公として、あのキャラ設定は無理です。
「使用人は道具」と言い切る主役なんて、共感持てる筈ありません。
ただ、それ以外は女探偵・高徳愛香の武井咲さんはじめ、鼻形刑事役の生瀬勝久さん、
使用人トリオの、松重豊さん、中山美穂さん、滝藤賢一さん、いずれも好演だと思います。
いや、松重さんだけは少々、正しい意味での“役不足”かも知れませんが。
最終回、謎は明かされるか?
さて、最終回なのですが。
今回の第10話と最終第11話は前後編です。
まずは武器商人・具同家の別荘である星見荘に集まった若者たちの間で起こる事件がテーマ。
このドラマは、毎回原作のエピソードを改変を加えながらも描いていくのですが、
それとは別に、愛香の師匠である私立探偵・喜多見切子(井川遥)の死の真相、
そしてその事と貴族探偵との関わりが全編通しての謎となっています。
主人公がラスボス?
貴族探偵の言動からすると、彼が自分の秘密を守るため、切子を殺させたかのように思えます。
切子の弟子である愛香もそれを疑い、遂に貴族のその疑惑を突き付けました。
だとすれば、主人公(しかも“演:ジャニーズ!”)がラスボス・・・まさかと思いますが。
この部分はドラマオリジナルで、原作からのネタバレはありません。
この謎の解明が、全編のクライマックスという事になるかと思います。
ですので、最終回では若者たちの事件と、シリーズ通じての謎を両方とも解き明かす必要があり、
次回予告でも、すべての真相が明かされるような謳い方をしています。
ただ、それにしては前編での若者たちの事件の進行が遅い。
ラストでやっと殺人事件が起こった・・・のかどうか? というところで終わりました。
愛香以外の主要キャラである主人公・貴族探偵と使用人トリオ、鼻形刑事もほとんど出てこないし。
私は第10話を見終わった時点で全体の謎解きを試み、最終話の結末を予想しようと思っていたのですが、
10話がこんな展開で、シリーズ通しての謎にほとんど進展がなく、材料不足で難しいです。
が、一応やってみましょうか。
師匠・切子は生きている? 何をしている?
ネットでは、死んだ筈の師匠・喜多見切子は実は生きているとの見方が多いです。
私もその可能性は高いと思います。
だとすれば、貴族探偵が言った「確実に殺せ」は、「死んだように偽装しろ」という意味か。
切子が生きていたとすると、彼女は貴族探偵に匿われているとの見方が多いのですが、
私はむしろ自分が死んだ事にして、何かを追っているのではないかと思います。
シンガポールで貴族の秘書である鈴木(仲間由紀恵)と共に協力していると考えれば、
一番筋が通るか。
そうなると、その敵というのが愛香が貴族の正体として疑っている“政宗是正”か。
政宗是正は、第10話で名前の出た具同家の当主(具同モトフミ)と同一人物かも知れません。
あるいは政宗とは別人かも知れませんが、いずれにしろそれだけのことで、
その“敵”の正体はもちろん貴族ではなく、またその他の既存の登場人物であった!
といった驚愕の展開の可能性は低いでしょう。
では貴族探偵と愛香の関係は?
上のような流れだとすると、貴族が愛香の前にいつも現れる理由も見えてきます。
愛香は探偵として未熟なまま師匠と別れ、独り立ちすることになったので、
貴族はそれを見守り、誤った推理をしないよう導いているのではないか。
いつも愛香の行く先に現れ、使用人たちを使って愛香の手助けをさせ、愛香の推理を先に披露させる。
そして愛香が真相を見誤った場合は、使用人たちに正解を語らせている。
今までのところ愛香は間違ってばかりで、貴族にコケにされているように見えますが、
それは探偵としての愛香の成長を厳しく叱咤しながら見守っているという事。
このように考えれば、第10話で貴族が「事件を正しく解決すれば切子について話す」と愛香に約束し、
その後に「これで女探偵さんともお別れか」とつぶやいたのは、
彼女が一人前の探偵になれば、もう付きまとって見守る必要もなくなるから、という意味かと。
以上が現時点で最も矛盾点が少なく、全体を説明できる真相ではないかと思います。
切子が死んでいたなら
もうひとつの可能性、切子が本当に死んでいるとしたら、
貴族探偵は切子を殺した敵から、愛香を守っている可能性が高くなります。
その目的で貴族探偵たちが愛香に付きまとっているとしたら、
愛香の身近に敵がいないとおかしい。
善意の人間と思っていたのが実はラスボスという、ミステリドラマの王道ともいえるパターンです。
その場合、一番怪しいのはドラマオリジナルのキャラである鼻形か。
ただ、鼻形=ラスボスに繋がる伏線は見当たらず、
むしろ鼻形もまた、貴族探偵の意向で愛香を見守っている節すらあります。
以上、2つの推理を挙げました。
前者の方が全体に筋が通っているかと思います。
もうひとつ、愛香の部屋の隣人の謎がありました。
貴族探偵自身が隣室に潜んでいるかのような描写がありましたが、
上の挙げた予想のどちらにしろ、貴族一派が愛香を見守っているという事でしょうか。
変な推理に走らないよう、見張っているともいえるかも知れませんが。
あと1人、愛香のクライアントである令嬢・玉村依子(木南晴夏)が怪しいという声もあります。
しかし、彼女が黒幕はさすがにないかと。黒幕と繋がっているという可能性はゼロとはいえないでしょうが。
貴族探偵の正体は・・・?
これは原作でも明らかではないし、種明かしはないでしょう。
原作なしのドラマなら、貴族と使用人達は警察(公安とか)、あるいは政府関係の人間との展開もあり得ますが、
さすがにそこまでの改変はしないかと思います。
さて、少しは当たるでしょうか。
Old Fashioned Club 月野景史
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