【美の巨人たち】アングル『グランド・オダリスク』とドラクロワ『民衆を導く自由の女神』
3月18放送のテレビ東京の美術番組『美の巨人たち』のテーマ作品は
ドミニク・アングル『グランド・オダリスク』と
ウジェーヌ・ドラクロワ『民衆を導く自由の女神』でした。
http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/170318/
19世紀前半のフランス画壇を代表する二人の画家。
この二人は対立関係にあった事は有名です。
その事情は現代の視点からではわかり難い。
この後の絵画の多様化からすれば、
二人の画風に対立するような違いが見出し難いのです。
この2点はフランス美の殿堂・ルーヴル美術館の同じフロアに展示されています。
『グランド・オダリスク』
オダリスクとは、トルコのハーレムにいる女性のこと。
はっきりとした輪郭で細部まで描き込まれています。
しっとり艶やかな肌、魅惑的な身体のラインはアングルならではの写実的なタッチですが、
ただ、身体のバランスがどこか奇妙です。
そう、背中が長すぎるのです。
『民衆を導く自由の女神』
教科書に載っていたかも知れません。
壮大なスケールの傑作で、有名絵画です。
いわゆるフランス革命ではなく、
「7月革命」の様子が鮮やかな色彩で描かれています。
こちらもちょっと奇妙な点があり、主人公ともいえる女神が、女性にしては筋骨隆々。
たいたい革命の最中、1人だけ半裸の姿なのも不思議です。
緻密なデッサンを追求した“線の巨匠”アングル。
生々しい感情を色で表現する“色彩の巨匠”ドラクロワ。
正反対の作風の2人は、生涯にわたってぶつかりました。
フランス美術界の権威・アカデミーの会員だったアングルはドラクロワを認めず、
入会を20年にわたり拒絶したほどです。
今回の番組の解釈としては、
二人の対立は、絵画の歴史を左右する、“ルネサンスの代理戦争”であるとしました。
15世紀から16世紀にかけてイタリアで隆盛を極めた芸術革命と、
二人の対決との関係が描かれました。
Old Fashioned Club 月野景史
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