【科捜研の女】正月SP終了/ユニーク過ぎる新人研究員・橋口呂太(渡部秀)の演出意図は?
『科捜研の女』2017年第1弾は正月スペシャルの1月3日に放送されました。
ちょっとややこしいのですが、このスペシャルは『相棒』の元日スペシャルとは違い、
放送中の『科捜研の女』第16シリーズとは別枠の単発扱いとなります。
まぁ視聴者にとってはどうでもいい事ではありますが。
内容としては、戸田山雅司氏と共に長年メインライターを務める櫻井武晴氏の脚本とあり、
堅実な出来であったと思います。
いや、実は少々無理があったとも感じているのですが、
『相棒』の元日スペシャルがあまりに無茶だったので、それとの比較でそう思うのかも知れません。
それでも、24年前の誘拐犯である夫婦(羽場裕一・森尾由美)の処遇が甘いのはちょっと気になりました。
なんらかの制裁は受けるでしょうが、ほとんどハッピーエンドのようにも思えます。
24年前に彼らが犯した犯罪については、同情できる面はまったくないのに。
一方の24年前に子どもを誘拐された父親(鶴見真吾)の方は不幸過ぎます。
随分ひどい話ですが、このあたりが櫻井氏らしい不条理感ともいえますが。
この加害者と被害者のキャスティングでちょっと不思議に感じたのは、
24年前に幼い子どもを誘拐された父親(鶴見真吾)よりも、
現在子どもを誘拐された父親(=24年前の犯人 羽場裕一)の方を、役の上でも俳優さんの年齢も年上にした事です。
現実にはそういう犯罪だって起こり得るかも知れませんが、
ドラマの演出として考えると、視聴者としてはちょっと違和感がありました。
だからこそ、余計に残酷なのかも知れませんが。
さて、問題の新人研究員はなかなかユニークでした。
物理担当研究員・橋口呂太(はしぐち・ろた) 演:渡部秀(わたなべ・しゅう)
事前にちょっと特殊なキャラである事は告知されていた面もあってか、
このくらいなら私は比較的好印象だったし、ネット上でも同旨の意見も見られます。
しかし、全体としては批判的な評価が多いようです。
特に匿名の掲示板では、「まるで発達傷害みたい」のような意見も散見されます。
たしかに、橋口のKYぶりは前任の相馬涼(長田成哉)とは明らかに異なります。
私は発達障害について詳しくないですが、発達障害の中には、
例えばアスペルガー症候群のように、ある分野には天才的でありながら、
コミュニケーション能力が欠如している傾向が見られるとも言われます。
橋口呂太はどうもそれに当てはまるようにも感じます。
発達障害のついての認識が進んだのは比較的最近の事だと思います。
ドラマの中で、それも特にそういった問題をテーマとした作品でなく、
『科捜研』のように長く続く警察ドラマの脇役として、このようなタイプが登場するのも、
今の時代ならばこそなのかも知れません。
しかし,現時点では制作サイドがそこまでの意図を持っているのかわかりませんので、
ここまでにしておきます。
前回のブログでも書きましたが、
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2016/12/16201713-24-4ad.html
渡部秀さんは以前、『科捜研の女』と少し似たドラマに出演しています。
寺脇康文さんと相武紗季さんが監察医役で主演した
『ラスト・ドクター〜監察医アキタの検死報告〜』(2014年7月11日 - 9月12日、テレビ東京)
http://www.tv-tokyo.co.jp/last_dr.akita/
このドラマは『科捜研の女』同様、科学鑑定の現場である監察医務院が主舞台のドラマで、
渡部さんは渡辺いっけいさん演じるベテラン刑事とコンビを組む刑事役でした。
『科捜研』でいえば土門の部下の若手刑事役、現在なら蒲原勇樹(石井一彰)のポジションでした。
ただ、このドラマでは『科捜研』と違い、監察医の寺脇・相武さんと警察のいっけいさんの関係があまりよくなく、
渡部さんはその間に挟まって苦労し、また寺脇さんや相武さんに上手く利用されてしまうような役回りでした。
強いていえば、『相棒』における芹沢刑事(山中崇史)に近い面があるかと思います。
もちろん、今回の橋口呂太とは全然違うキャラでした。
ともかく、ファンとしては今後の橋口呂太に注目です。
『相棒』もそうなのですが、複数の脚本家が執筆しているドラマは、
途中参加の複雑な個性を持ったキャラの描き方は難しいのですが、どうなりますか?
視聴率は11.2%
正月スペシャルの視聴率は11.2%と発表されました。
『相棒元日SP』の17.3%にはたいぶ差をつけられたし、せめて12%ほしかったところではありますが、
正月三が日の激戦であることを考慮すれば、充分立派な数字かも知れません。
特に、裏番組に嵐の櫻井翔さん、長澤まさみさん、香川照之さんら華キャストを揃えた
フジテレビの新春ドラマスペシャネル『君に捧げるエンブレム』があり、ドラマ対決となったのですが、
あちらは8.4%だったので、『科捜研』の完勝でした。
Old Fashioned Club 月野景史
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