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2016年12月 3日 (土)

【相棒】season12「待ちぼうけ」 甲斐享期 異色の傑作/伊丹に何が起こったか? 往年のアイドル達も出演

昨日は『相棒』で3代目相棒を務めた成宮寛貴さんについて思わぬ話題で書きましたが、
その成宮さん演じる甲斐享(カイト)が出演した『相棒』シーズン11から13まで57本の中で、
色々な意味で異色の作品ながら、もしかしたら一番の名作かも知れないと思えるのが

『相棒season12』第18話「待ちぼうけ」
(2014年3月12日放送 脚本:古沢良太 監督:近藤俊明) 

※「待ちぼうけ」は2023年4月11日(火)にテレビ朝日で再放送されました


場面と時間
この回は何が異色なのか
まず冒頭、杉下右京(水谷豊)とカイトはバラバラに動いており、プライベートなのか捜査かも不明です。

一方、捜査一課の伊丹憲一(川原和久)と芹沢慶二(山中崇史)は殺人事件の捜査中のようだが、事件の詳細は不明。
視聴者からすると、何が起こっているのかさっぱりわかりません。

その中で、時間を遡って前夜からの流れが少しずつ描かれ、驚きの事実が明らかになっていきます。
この場所と時間のトリッキーな展開がまず異色です。
この点は、シーズン8の同じ古沢氏脚本の「右京、風邪をひく」が近いかも知れません。


愛の大河ロマン
しかし、展開がトリッキーにも関わらず、テーマは気の遠くなるような長いスパンでの愛憎ロマン劇。
その大河ストーリーを演じるゲスト俳優は太川陽介さん、芳本美代子さん、新田純一さんら、
1970年代後半から80年代前半、言い換えれば昭和50年代にデビューしたアイドル歌手出身者で固められています。
この点も異色といえば異色です。



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右京はどこやら田舎の駅で、偶然居合わせたかのようにして男性と会っています。
メインゲストの太川陽介さんは水谷さん若き日の代表作『熱中時代』で共演した間柄。



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右京が田舎の駅で太川さんと会っている頃、
カイトは芳本美代子さんと都内の落ち着いたクラシカルなカフェで。


太川さんと芳本さんはアイドルとしては少し年代が離れています。
太川さんの相手役としては、本当は石川ひとみさんあたりがピッタリなのですが、
そこまで求めては贅沢か。

更に、異色なのはそれだけではありません。
お馴染みのレギュラー脇役達の扱いも結構そうなのです。


主要脇役4人 出てはいるけど
この回は前述の伊丹芹沢に加え、米沢守(六角精児)角田課長(山西惇)ら、
長年の警視庁内主要レギュラー4人はちゃんと登場します。
角田はワンシーンだけですが、残りの3人は通常回と比べてもしっかり出てきます。

しかし、登場はしますが、特命コンビとの絡みが回想シーンも含めて一切ありません。
電話での会話すらまったくなし。
彼ら4人全員、あるいは4人の内の誰かががまったく出ない回はそれまでもありましたが、
4人とも出てはいるのに、誰も特命コンビのどちらとも一切絡まないというのは、この回が唯一だと思います。

そして、中でも伊丹刑事は実に異色な描かれ方です。


右京と同等 伊丹の推理力
この回の伊丹は芹沢、そして遅れて現場にやってきた米沢と共に事件を捜査し、抜群の推理力を見せます。

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自信満々に的確な推理を披露し、勝ち誇ったかのような伊丹。

ところが、実は同じ推理を特命コンビが先に行っていた事が明らかになり
やはり特命には敵わない、ガッカリという展開となりました。
大半の視聴者も「やっぱりな」という感じだったでしょう。

しかしよく観ると、特命コンビが伊丹に先んじる事ができたのは
たまたま事件発覚直後に現場近くを通りかかったからで、
伊丹は右京からなんのヒントをもらう事なく、自力で同等の推理をしています。
これもなかなかレアです。

そして、伊丹についてもうひとつ気になるシーンがありました。


伊丹に何が?

冒頭近く、事件現場を芹沢と二人で検証中の伊丹が目まい(頭痛?)を起こして座り込むシーンがあります。
芹沢での会話で、事件が重なっての過労によるものだろうと説明されました。
最初に観た時はこのシーンの意味がよくわかりませんでした。
ネットでは、伊丹の体調不良による死亡フラグではとの説までありました。

見直して気付いたのですが、目まいのシーンでは「キーン」という特殊な効果音が流れており、
この後、伊丹は明晰な推理を披露し出します。
となると、あの目まいは伊丹に何かが降りてきた、そんな表現だったのかも知れません。
推理のシーンでの伊丹は、どこか神がかっていましたし。


しかし、一番異色なのは相棒コンビが最初からラスト近くまで別々に行動している事かも知れません。
これについては前夜からの回想の中で二人で捜査するシーンも描かれていますが、ダイジェストのような扱いです。
バディの二人が終始別行動を取っている回が、カイト期の代表作というのもちょっと微妙な話ですが。

もうひとつ、これは異色というわけではないですが、ちょっと不思議なこと。
前夜、右京やカイトと共に花の里にいたカイトの恋人でCAの笛吹悦子(真飛聖)は、
2人と別れてフライトに旅立っていきました。
その後すぐに2人は事件現場に遭遇するのです。

悦子は国際線のCAなので、その夜は空港近くのホテルにでも泊まって、早朝の出発なのでしょうか?
だとすれば、しばらくは帰って来れないでしょう。
しかし、悦子は翌日の夜にはもう花の里にいました。

これはどういうことなのでしょう?
まぁ国内線ならあり得なくもないのかもですが、あまり深く考えてないのかな(笑)


古沢良太最後の『相棒』?
この異色作の脚本は『リーガルハイ』シリーズ等で知られる古沢良太さん。

『相棒』ではシーズン4以来、印象的な作品を書いてきましたが、
シーズン7以降は1シーズン1回のみの執筆となり、
この「待ちぼうけ」を最後として執筆がありません。
少なくともテレビドラマについてはそれほど多忙とも思えず、理由は不明です。
再登場を望む声も多いのですが。

Old Fashioned Club  月野景史

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