【美術展】『世界に挑んだ7年 小田野直武と秋田蘭画展』サントリー美術館/江戸の世の謎深き“天才洋画家を“観賞
先日のブログで紹介した『世界に挑んだ7年 小田野直武と秋田蘭画展』を鑑賞してきました。
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2016/11/7-8d1e.html
世界に挑んだ7年 小田野直武と秋田蘭画展
2016年11月16日(水)~2017年1月9日(月・祝)
サントリー美術館
公式サイト:http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2016_5/
重要文化財 不忍池図(部分)
小田野直武筆 一面 江戸時代 18世紀 秋田県立近代美術館
【展示期間:11/16~12/12】
本展の看板作品。
まさに“蘭画”。
日本人により、日本の風景を題材にし、
西洋の技術である遠近法を取り入れて描かれた、
江戸期日本の西洋風絵画といった趣きの絵です。
鑑賞して目に付いたのはやはりこの絵と、
もうひとつ、こちらは掛け軸で『鷹図』という力作がありました。
個人所像作のためか、残念ながら公式サイトやパンフにも載っていません。
さて、本展の主人公である小田野直武は秋田藩士の家に生まれですが、
江戸に出て平賀源内の下で蘭画を学びました。
『解体新書』の挿絵を描き、秋田蘭画の創始者となるのですが、
30歳になる前に謹慎を命じられて秋田に戻り、
翌年31歳の若さでなくなりました。
謹慎の事情は定かではありません。
謹慎と前後して源内の殺人罪による投獄があったのですが、
これと謹慎との因果関係も不明です。
そして、若くしての死の事情もよくわかっていません。
つまり、謎に満ちた人物なのです。
本展のタイトルに「世界に挑んだ7年」とありますが、
そのような意図を持って画業に取り組んでいたのか、
おそらく、人となりもあまりわかっていないようです。
しかし、主筋にあたり、絵師としても知られる秋田藩主の佐竹曙山や角館城代の佐竹義躬、
そして、西洋の技法を取り入れた画風で知られる高名な司馬江漢を指導したともされ、
短い生涯ながらその影響力は大きかったようです。
残された作品からも、並々ならぬ技量を感じます。
夭折の天才と呼んでいいでしょう。
秋田蘭画という分野自体、直武や曙山の死後、永く忘れられており、
再評価されたのは20世紀以降といいます。
なかなか面白い展覧会でした。
Old Fashioned Club 月野景史
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