【声優】肝付兼太さん死去/ジャイアンからスネ夫へ 藤子アニメに欠かせぬ声の名優
訃報 声優の肝付兼太さんが10月20日に亡くなりました。80歳。
肝付 兼太
(きもつき かねた、1935年11月15日 - 2016年10月20日)
声優、俳優、演出家として長く、幅広く活躍した方ですが、
やはりアニメ『ドラえもん』のスネ夫の声が有名ですし、
実はそれ以前から、藤子不二雄作品との結び付きが強い声優さんでした。
ニュースで「初代スネ夫役」などと書かれていますが、
より正確にいえば、『ドラえもん』アニメにおける「初代ジャイアン役」と言った方が正しいです。
1979年にスタートし、現在に続くテレビ朝日版の『ドラえもん』の6年前、
1973年に日本テレビで放送された『ドラえもん』最初のアニメ化作品ではジャイアンを演じていたのです。
藤子不二雄作品と肝付兼太さん
脇役として、アニメ声優の仕事が増えつつあった1965年、
肝付さんは藤子アニメの第1作であるTBS版『オバケのQ太郎』にゴジラ役で出演します。
ゴジラといっても、別に怪獣ではありません。
『オバQ』における“ゴジラ”は、ガキ大将の少年のニックネームです。
つまり『ドラえもん』におけるジャイアンとほぼ、いやまったく同じと言っていいポジションでした。
アニメ『オバQ』は空前の大ヒット。
肝付さんはその後番組として制作された『パーマン』(1967年)にも
やはりガキ大将のカバ夫役で出演します。
そして1971年、局を日本テレビに移して放送された『新・オバケのQ太郎』でも、
肝付さんは再びゴジラを演じました。
局も制作会社も変わったせいか、TBS版とは声の出演者もほとんど変わった中での再登板ですので、
肝付さんのガキ大将役がいかにはまっていたのかがわかります。
最初はジャイアン役!
そして、前述のように1973年の日テレ版『ドラえもん』でジャイアンを演じたのでした。
それまで藤子アニメのガキ大将キャラを演じ続けてきたので、無難すぎるくらいのキャスティングでした。
この時のスネ夫役は八代駿さん。『いなかっぺ大将』の西一(にし はじめ)などが知られます。
一方で、この日テレ版『ドラえもん』と同時期にNET(現テレビ朝日)で放送された藤子アニメ
『ジャングル黒べえ』で肝付さんは主人公の黒ぺえを演じました。
これが初の主役・主演のようです。
ジャイアンからスネ夫へ
ここから6年ほどおいて、1979年4月よりテレビ朝日版『ドラえもん』がスタートします。
ジャイアン役は『ど根性ガエル』で番長のゴリライモを演じた、たてかべ和也さんに譲り、
肝付さんはスネ夫役に就任したのでした。
(“相棒”ともいえるたてかべさんは昨年亡くなりました。)
以来、2005年3月まで26年間、ドラえもんの大山のぶ代さん、
のび太の小原乃梨子さん、しずかの野村道子さん、そしてたてかべさんと共に、
『ドラえもん』国民的人気アニメに育て上げ、5人一緒に勇退したのです。
スネ夫の後すぐ、1980年スタートの同じテレ朝版『怪物くん』で肝付さんはドラキュラを演じます。
この役もイメージはスネ夫に近いですね。
肝付さんの声にはスネ夫やドラキュラのような、悪く言えば“小悪党”的なイメージが強く、
ガキ大将がイメージし難い人も多いかも知れません。
さて、駆け足で肝付さんの藤子アニメのおける足跡を見てきました。
もはや大河作品ともいえる『ドラえもん』において、ジャイアンとスネ夫は単純に、
悪役=ヒールと分類できるようなキャラクターではありません。
しかし、基本構成としては、のび太をいじめる悪役ポジションではあります.
ただ、その悪役の中でも、ガキ大将のジャイアンと、腰巾着で金持ちの息子のスネ夫では、キャラは好対照です。
この組み合わせは『ドラえもん』に限らず、藤子アニメの定番でした。
例えば、『オバケのQ太郎』=ゴジラとキザ男
『パーマン』=カバ夫と三重晴三
『キテレツ大百科』=ブタゴリラとトンガリ(アニメオリジナルの要素も強いですが)
肝付さんは40年にわたる藤子アニメの歴史の中で、
この重要な二つのタイプをキャラクターを演じてきたことになります。
藤子アニメを語る上で、欠かす事のできない重要な役者さんでした。
謹んで哀悼の意を表し、追悼の文を記させていただきました。
Old Fashioned Club 月野景史
以下、オリコンスタイルより引用
http://www.oricon.co.jp/news/2080424/full/
☆☆☆
声優・肝付兼太さん死去 『ドラえもん』公式が追悼「多くの子どもたちに夢と希望届けた」
『ドラえもん』の先代・スネ夫役などで知られる声優の肝付兼太(本名・肝付兼正【きもつきかねまさ】)さんが20日、肺炎のため80歳で亡くなった。きょう24日、テレビ朝日の『ドラえもん』公式サイトは肝付さんの死を悼み「多くの子どもたちに夢と希望を届けて下さった」とコメントを掲載した。
▼肝付兼太さん追悼コメント
「1979年から2005年まで26年もの長い間、“骨川スネ夫”の声優を務めていただいた、肝付兼太さんがお亡くなりになりました。多くの子どもたちに夢と希望を届けて下さった肝付兼太さんのご冥福を心からお祈りいたします。」
肝付さんは1935年11月15日生まれ。鹿児島出身。1979年から2005年まで『ドラえもん』でスネ夫役を務めたほか、『怪物くん』のドラキュラ役や『それいけ!アンパンマン』ホラーマン役、子供向け番組『にこにこぷん』のじゃじゃまる役などで人気を博した。
★★★
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