【ドラマ】『ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子』/波瑠好演 しかし描写残酷過ぎ 視聴率は苦戦必至
高視聴率を残したNHK連続テレビ小説『朝が来た』で国民的ヒロインとなった波瑠さんの民放連続ドラマ初主演作
『ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子』(フジテレビ 火曜21時)の初回2時間スペシャル放送が終わりました。
http://www.ktv.jp/on/index.html
先日のブログでも書いたように、
私は波留さんがヒロイン格で検視官を演じた2014年の小栗旬さん主演の警察ドラマ
『BORDER』が大変印象に残っているので、今回は期待していました。
『BORDER』はドラマとして秀逸でしたが、朝ドラでブレイク前年の波瑠さんが演じた比嘉ミカもなかなかよかったです。
ミカは有能でひたすらクールですが、特殊な事情を抱える小栗さんと向き合おうとする役。
『BORDER』も異常犯罪を扱う事が多く、独特の暗いトーンで描かれていました。
『相棒』などの比較的リアルな刑事ドラマと一線を画す、サスペンス・ホラーティストの強いドラマ。
番組予告を観る限り、今回の『ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子』も近いテイストのようで、
それに刑事役で主演とはまさに願ったり適ったりでした。
欲をいえば、『BORDER』と同じテレビ朝日でやってほしかったとは思いますが。
いきなりグロ惨殺シーン
第1話冒頭、いきなりグロテスクな惨殺死体のシーンでした。それも少女の。
『相棒』や『科捜研の女』にも毎回死体が出てきますが、それとは比較にならない残酷さでです。
しかも少し話が進むと、もっと残酷な死体も出てきました。
こういうシーンが頻発するドラマを忌避する人は必ずいますので、視聴率的には厳しくなります。
今回は2時間の初回スペシャルの冒頭からですので、すぐにチャンネルを変えてしまった人もいるでしょう。
これでは次回からではなく、この回の視聴率に影響するでしょう。
連続ドラマの初回なので、内容についてさほどの理解もなく、
「朝ドラヒロインの波瑠さんの主演の刑事ドラマか」くらいの認識で観て、驚いた人もいたでしょう。
まるで視聴者を篩にかけて選別するようなやり方です。
数字的には確実に苦戦する方法をあえて選んでいるかのようですが・・・、これで上げていければ大したものですが。
初回の視聴率は9.6%と発表されました。
関西ではもっとよかったようですが、
一般に視聴率を論じる場合は関東地方の数字を参考にするので、9.6%で語ります。
朝ドラの後、間を置かずヒロインを務めた4月期の大野智さん主演『世界一難しい恋』でも
好数字を残してきた波瑠さん主演ドラマとしては寂しい数字です。
グロをもう少し抑えていれば、二桁は確保していたでしょう。
波瑠さんは良
初回を観た限り、波瑠さんは申し分ないです。
彼女が演じる主人公・藤堂比奈子は殺人事件への興味が強く、
新人女性刑事ながら、惨殺体にもまったく動じないのですが、
まるで捜査を楽しんでいるような、異様な傾向が見られます。
その嗜好の理由はこれから明らかになっていくのでしょう。
この主人公絵の性格付けは原作小説とは大幅に違います。
原作の比奈子は初めて現場で死体を見た際は強いショックを受け、
激しく嘔吐してしまうような、“普通の女の子”といったタイプです。
七味唐辛子の缶を持ち歩いてるのはそのままですが。
そんなドラマオリジナルキャラを演じる波瑠さんについて、
「どんな役をやっても一緒」のような批判も見受けられます。
しかし、この人はそういうタイプなのだと思います。
例えれば、高橋幸治さんに似ています。
「波瑠」としての凛とした存在感がまず先にあるタイプ。
こういうやや現実離れしたドラマでは、余計にその存在感が際立ちます。
ドラマ全体としては、ストーリーはいいですね。
先の展開に興味が引かれます。
これは原作によるところが大きいのでしょう。
その一方で、細かな脚本・演出は微妙でした。
特に気になるのは、比奈子の相手役ということになるのでしょうが、
同僚刑事の東海林泰久(横山裕)です。
こちらも何か過去を抱えているようで、犯罪者を異常に憎んでいるのですが、
殺人捜査を楽しんでいるに感じる比奈子がよほど気に入らないようで、怒鳴りまくりです。
といっても、比奈子は少なくとも表面上は熱心に仕事に取り組んでいるだけですし、
その結果、自力で真相に近づているので、
現状、東海林の態度は鬱陶しいだけです。
少なくとも今の段階では、周りは比奈子の異常さには
せいぜい違和感を覚えるくらいの方がいいでしょうに。
脇役陣も個性的ですし、今後のストーリーにも興味が惹かれますが、
視聴率は苦戦間違いなく、展開に不安があります。
期待と不安・・・・、良い方に行ってほしいですが。
Old Fashioned Club 月野景史
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