【特撮】ウルトラマン誕生(1966年7月17日)50周年/放送開始1週延期と前夜祭
本日、2016年7月17日(日)は『ウルトラマン』誕生50周年の記念日でした。
『ウルトラマン』の第1話「ウルトラ作戦第1号」は今からちょうど50年前、
1966年(昭和41年)7月17(日)、19:30よりTBSテレビで放送されました。
曜日まで一緒ですね。
いまや「ウルトラマン」といっても星の数ほどいますが、
いうまでもなく50周年を迎えたウルトラマンとは、いわゆる“初代”『ウルトラマン』。
科学特捜隊のハヤタ隊員が変身する『ウルトラマン』です。
ハヤタ隊員(黒部進) ウルトラマンとは“一心同体”
誕生は7月10日(日)?
ところで、テレビであるタレントさんが1週間の7月10日を『ウルトラマン』誕生の日と言っていました。
これ、まったくの誤りとも言い難いのです。
この7月10日という日は初回放送を1週間後に控え、
「ウルトラマン前夜祭・ウルトラマン誕生!」と銘打った前宣伝番組が放送されたのです。
旧・杉並公会堂での公開録画で、科学特捜隊の隊員達レギュラー俳優や多くの怪獣達、
円谷プロダクション社長で“特撮の神様”と称された円谷英二監督まで登場する豪華版でした。
しかし、これはあくまで宣伝のためのバラエティ番組で、
『ウルトラマン』としての第1話の放送は翌週の7月17日。
やはりウルトラマンの誕生日は1966年7月17日(日)が正しいです。
それにしても、初回放送の前に公開録画までして宣伝番組を作るとは、
よほど力が入っていたのかと思いますが、実はそういう事情でもなくて、
むしろ窮余の策だったようなのです。
そのあたりの事情を説明しましょう。
本当は7月10日が初回放予定だった?
実は当初は7月10日が『ウルトラマン』第1話放送予定日だったのです。
このTBS夜7時30分の枠では、7月3日まで『ウルトラマン』の前身ともいえる『ウルトラQ』が放送されていました。
『ウルトラQ』こそ、テレビにおける本格怪獣ドラマの元祖です。
ただ、ウルトラマンのような巨大超人ヒーローや、科学特捜隊のような対怪獣・宇宙人専門チームは登場しません。
後のウルトラシリーズとはタイプの異なるドラマです。
『ウルトラQ』は前年の1965年までに全28話の撮影が終了した後、
1966年1月2日より放送が開始され、一躍怪獣ブームを引き起こしました。
『ウルトラマン』はその後番組として企画されたのです。
『ウルトラQ』は撮影・編集済の全28話を放送すると、7月10日が最終回となります。
しかし、そのうちの1本「あけてくれ!」という話が子ども番組としてはストーリーが難解で
放送が見送られることになりました。
というわけで『ウルトラQ』は7月3日が最終回、
『ウルトラマン』は7月10日スタートというスケジュールが決定したのです。
『ウルトラマン』の制作が遅れる
さて、前番組の『ウルトラQ』は放送開始前に全話制作が終わっていたのだから、
次の『ウルトラマン』は余裕を持って準備できたのではないかと思えます。
しかし、色々と新機軸を取り入れた『ウルトラマン』の制作は遅れ込みます。
実は第1話から順番に撮影せず、第2話以降を先に撮り始め、
慣れたところで第1話の撮影に始めるというスケジュールを組んでおり、
これが災いしたともいえます。
窮余の策で前夜祭放送
とにかく7月10日の初回放送が厳しくなってきたのです。
そこで、急遽差し込んだのが「ウルトラマン前夜祭・ウルトラマン誕生!」だった、というわけ。
これは当時の関係者の証言によりたしかな“定説”です。
ただ、ちょっとおかしい気もしますね。
制作スケジュールがひっ迫した為の窮余の策にしては、
レギュラー俳優すべて揃えて公開録画は、手間をかけ過ぎのように思えます。
もっといくらでも簡単にできたでしょうに。
実際、公開収録の現場は混乱を極めたいいます。
例えば、『ウルトラQ』の放送開始前にも『ウルトラQは怪獣の世界』という宣伝番組が放送された記録が残っています。
映像は現存しないのですが、漫才コンビの晴乃チック・タックが進行役を務め、
撮影済の怪獣達の映像をダイジェストで流したようです。
もちろん、公開録画ではありません。
『ウルトラマン』もこんな感じでもよかったろうに。
その時点で全話撮影が終わっていた『Q』と違って、『ウルトラマン』は撮影済のストックは少なかったでしょうが、
それならば『ウルトラQ』の総集編+『ウルトラマン』の予告としてもよかった筈です。
そもそも『ウルトラマン』は “『ウルトラQ』の新シリーズ” としての位置づけであり、
当初は『Q』の怪獣が多く再登場する予定でしたので。
(実際にはメインでの再登場は1体だけ、カメオ的な登場がもう1体
着ぐるみの改造例はたくさんありますが)
更に言えば、最も楽な方法としては、
前述のように放送取りやめの決定をした『Q』の「あけてくれ!」を放送してしまうという手もありました。
悪い作品ではない・・・というか、むしろ傑作です。
子ども向けとしては難解ですが。
ともかく、産みの苦しみで始まった『ウルトラマン』は『ウルトラQ』を上回る超人気番組となりました。
それは50年を経た現在でもです。
いったい『ウルトラマン』の魅力は何なのか?
また書かせてもらいます。
Old Fashioned Club 月野景史
« 【美術展】「ルノワール展」国立新美術館/社交ダンスをテーマとした傑作3点が来日中 | トップページ | 【ドラマ】『刑事7人2』 キャラも雰囲気もシリアスに変更/更に第4話で永沢(鈴木浩介)が殉職 »
「34.特撮 ヒーロー」カテゴリの記事
- 【ウルトラマン】「バラ―ジの青い石」 アントラーの活動と隕石の関係(2024.08.30)
- 【昭和特撮】「ノアの神」はウルトラマンの先祖か?/「バラ―ジの青い石」五千年の深淵(2024.08.27)
- 【昭和特撮】『仮面ライダー』第一作が東映YouTubeで無料配信/2022年6月1日より(2022.06.01)
- 旧作ファンが観た『シン・ウルトラマン』/オマージュ満載で楽しめる内容 ※具体的ネタバレなし(2022.05.23)
- 【俳優】二瓶正也死去/『ウルトラマン』イデ隊員は永遠に(2021.08.26)
« 【美術展】「ルノワール展」国立新美術館/社交ダンスをテーマとした傑作3点が来日中 | トップページ | 【ドラマ】『刑事7人2』 キャラも雰囲気もシリアスに変更/更に第4話で永沢(鈴木浩介)が殉職 »