【美の巨人たち】ミレー『羊飼いの少女』1/23放送/ミレーを国民的画家に押し上げた作品
2016年1月23日放送のテレビ東京系『KIRIN~美の巨人たち~』のテーマ作「今週の一枚」は、
ジャン・フランソワ・ミレー作『羊飼いの少女』でした。
http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/160123/index.html
大平原をバックに羊の群れを従え、編み物に熱中する一人の少女
ジャン・フランソワ・ミレー
(Jean-François Millet 1814年10月4日 - 1875年1月20日)
広大な平原を背景に描かれる人物。
ミレーには同じような構図のより有名な、
そして『羊飼いの少女』に先んじて描かれた傑作があります。
『晩鐘』(1857年)
『落穂拾い』(1857年)
しかし、50歳を目前にしたミレーを一気に国民的画家にまで押し上げたのは、
今回のテーマ作である『羊飼いの少女』 でした。
都会を離れてパリ南東の寒村バルビゾンに移住し、農村に生きる人々の普遍的な美しさを生涯追求し続けたミレー。
人物画といえば高僧や貴族といった身分の高い人たちが描かれるのが主流だった時代。
過酷な農作業に黙々と向かう人々をありのままに描いた作品は正当に評価されませんでした。
『晩鐘』や『落穂拾い』、あるいは『種まく人』のような作品は、
農村の貧困を告発する危険な反体制画家のようにさえ取られており、
絵は売れず、多くの子どもを抱えて生活も困窮していました。
そんな時期、画商でありミレーの伝記著者でもある親友サンスィエから受けた
「やさしく描け」とのアドバイスがにより描かれたのが、『羊飼いの少女』だったのです。
この少女のモデルはミレーの次女ルイーズといわれています。
少女は毛糸で編んでいます。
毛糸を与えてくれるのは、画面にたくさん描かれた羊。
その羊を生かしているのは草原。
ミレーが考えた「やさしさ」とは、生きるもの達の連鎖でした。
『羊飼いの少女』は展覧会で1位となり、ミレーをフランスの国民的画家に押し上げました。
Old Fashioned Club 月野景史
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