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2015年12月 1日 (火)

【相棒14】新相棒 冠城(反町隆史)と鑑識 米沢(六角精児)の不仲の理由と意味

放送中の『相棒season14』ですが、第6話まで終わったところで目立つのが、
4代目相棒として登場した冠城亘(反町隆史)と、おなじみ警視庁鑑識課の米沢守(六角精児)の不仲です。
第5話で特に米沢が反抗的で、冠城がなだめるような感じでしたが、
第6話では冠城も応戦していて、対立関係がエスカレートしているように思えます。

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写真は第3話より。


この不仲の理由・原因が解り難いという声があります。
実際、解り難いです。
というか、ある程度推測をまじえないと解釈できません。
結論をいうと、第2話にきっかけがあり、第3話で不仲が表面化したという流れだと思うのですが、
問題の第2話には冠城と米沢の絡みはありません。
それでは解り難いのも当然です。

不仲設定の良し悪しは別としても、特命係と他部署のレギュラーとの関係は
『相棒』というドラマの大事な要素であり、この説明不足は関心できません。
仕方ありませんので、とりあえず初回まで遡り、2話と3話を中心に冠城と米沢の関係を検証してみます。
この件については脚本家が誰かも重要なので、脚本・監督も記します。


◆第1話 2015年10月14日 「フランケンシュタインの告白」
脚本:輿水泰弘  監督:和泉聖治

冠城の初登場回。
杉下右京(水谷豊)と冠城と米沢、3人のシーンがありますが、険悪になる要素は見当たりません。


◆第2話 10月21日 「或る相棒の死」
脚本:真野勝成 監督:橋本一

前述のように、この回は冠城と米沢の絡みはありません。
しかし、右京と米沢の興味深いやりとりがあります。

米沢が冠城から頼まれたという鑑定結果を持って特命係に来ます。
しかし、右京は冠城が鑑定を依頼していたことを知りませんでした。
米沢は「特命係で捜査していることだと聞いたのですが…。」と不可解そうな表情でした。
ですが、この回はそこまでで、特に米沢が冠城に対して不満を口にするような描写はありませんでした。

この回を観ただけでは、冠城と米沢が険悪になるとは予想できないと思います。
とりあえず、第3話の検証に進みます。


◆第3話 10月28日 「死に神」
脚本:金井寛 監督:橋本一

さて、問題の第3話は2話と監督は同じですが、脚本は違います。
この回で冠城と米沢は右京も一緒に事件現場で顔を合わせますが、
その時から米沢は右京に反抗的です。

そして、次に鑑識課で顔を合わせます。
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この時の米沢は更に反抗的で、それに対して冠城が
「この前利用したことを根に持ってます? 悪気はなかったので勘弁してください。」
という発言をします。
「この前」のこととなると、前述の第2話しか考えらませんから、あれが理由なのか、ということになります

それにしても、冠城は謝ったのだから、それで終わりでよさそうにも思えますが、
冠城はその後すぐに、また米沢を小馬鹿にするような態度を取っており、更に尾を引くことになります。


不仲の原因は第2話の偽りの鑑定依頼
とりあえず、れ以外に考えられないですし、ネットでも同様の見解で統一されています。

しかし、第2話の冠城は策略を持って右京を捜査に巻き込むという謀略家の一面を見せ、
右京や大河内監察官まで手玉に取ったようなところもありましたので、それに比べれば米沢のことなど些細なことのように思えます。

この件について、ネット上では冠城は米沢に「右京からの依頼」だと嘘をついたとの記述も見らますが、それは間違いで、
「特命係で調べている件で鑑定してほしいと頼まれた」というだけです。

右京にしても、冠城から米沢へ依頼したことはは知らなくても、その時点で事件には関わっているので、
特命係として捜査しているというのも、嘘ではありません。
そして警視庁副総監の更迭されるような、大きな事件の解明に繋がったのだから、結果オーライともいえます。

それ以前に、この回の前半では右京が米沢を使って冠城のことを調べさせ、
米沢がさすがに呆れたような表情をするシーンまであり、米沢が冠城にだけ極端に反応するというのも理解し難いのです。

それと、2話と3話での冠城のキャラの違いも少し気になります。
2話では監察官まで利用し、あの右京を奸計を持って捜査に巻き込んだくらいなのに、
3話では右京のお使い仕事に無理やり同行して車酔い(?)したりと、子どもみたいな行動。
シリアス回と軽めの回で多少キャラが変わるのは仕方ないとしても、少し振れ幅が大きいように感じました。

さて、その後の展開も見ておきましょう。


◆第4話 11月4日 「ファンタスマゴリ」
脚本:真野勝成 監督:和泉聖治

不仲の原因を作ったと思われる真野氏の脚本です。
この回でも右京、冠城、米沢が顔を合わせるシーンはありますが、
険悪な様子はまったくありません。
この回はシリアスで、話のスケールも大きく、内輪の揉め事など描いてる暇はないということでしょうか。


◆第5話 11月18日「2045」
脚本:徳永富彦 監督:橋本一 

前述のように米沢が反抗的、冠城がなだめるというシーンが二カ所ありました。



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◆第6話 11月25日 「はつ恋」
脚本:谷口純一郎(協力:徳永富彦) 監督:和泉聖治 

この回では更にエスカレートして、反抗的な米沢に冠城も応戦という展開です。
コミカルなシーンとしてではありますが、もはや敵対状態です。


説明不足・不親切な展開
前述のように、この不仲の原因は第3話での冠城の「この前利用したこと」発言から、
消去法で第2話での鑑定依頼以外に考えられないので、そう推測しただけです。
せめて、第2話で米沢が具体的に冠城への不満を口にするシーンでもあれば、まだ解り易かったのですが。
もしかしたら、カットされたのかも知れませんけど。
主要レギュラーキャスト同士があそこまでいがみ合うなら、やはりその原因は明示しないと不親切です。

そして、もうひとつ違和感を覚える点があります。。
不仲のきっかけを作ったのは真野氏脚本の回だと思われるのですが、
その真野氏の次の回では不仲は描かれず、他の脚本家によってエスカレートしている。
なにか不自然です。

ともかく、現在まではこういう流れなので、後はこれからの展開を見守るだけですが。


不仲設定の是非
説明不足の件は明らかだとしても、この不仲にはどのような制作意図があるのでしょう?

ネット上には温厚な米沢のあの態度は信じられないという声もあります。
しかし、実は米沢は、2代目相棒の神戸尊(及川光博)、3代目の甲斐享(成宮寛貴)の
登場初期にも少し反発するようなシーンもありました。
意外とプライドの高い面もあり、比較的最近、右京にも強く反発したこともありました。
しかし、これだけ引っ張るのは初めてでしょう。

事件捜査物では、あまりレギュラー陣の関係が良すぎると緊張感がなくなり、マイナスの面もあります。
ただ、『相棒』において特命係と鑑識課が決定的に不仲になるとは考え難く、この件はあくまで冠城と米沢の私怨止まりでしょう。

かつて、初代相棒の亀山薫(寺脇康文)と、捜査一課の伊丹憲一(川原和久)のいがみ合い、罵り合いが
『相棒』名物だったような時期がありました。
まさかその再現をイメージしているのでしょうか?

亀山と伊丹については、元々は右京と亀山の特命係に対して、捜査一課の伊丹と三浦信輔(大谷亮介)はかなり険悪で、
それが少しずつ融和されていく中で、亀山と伊丹の対立だけがやや戯画化されてような状態で残った面がありました。
ただ、最後の方はちょっと大人げないし、鬱陶しいようにも感じていました。

今回の冠城と米沢の不仲は更に大人げないし、必要なのかどうか、疑問に思えます。

Old Fashioned Club  月野景史

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