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2015年11月

2015年11月26日 (木)

【訃報】原節子さん死去/日本の「伝説の大女優」といえばこの人

元女優の原節子さんが9月5日に亡くなっていたことがわかりました。95歳でした。
http://www.nikkansports.com/entertainment/news/1571283.html

俳優、特に映画スターには伝説的な存在の人は数多いでしょう。
しかし、「伝説」という言葉をどう捉えるにもよるかも知れませんが、
日本で「伝説の大女優」といえば、一番はこの方だと思います。

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まずは、ごく簡単にその映画女優としてのキャリアを振り返ります。


原節子(はら・せつこ 本名:会田 昌江)
1920年(大正9年)6月17日-2015年(平成27年)9月5日 95歳没

神奈川県出身。1935年、15歳の年に日活入社、『ためらふ勿れ若人よ』で映画デビュー。
同作で演じた役名「節子」から芸名をとって「原節子」とした。
翌1936年、日独合作映画『新しき土』のヒロイン役に抜擢されて国際的スターに。

戦後は黒澤明監督『わが青春に悔なし』(1946年)や今井正監督の『青い山脈』(1948年)に主演。
更に小津安二郎監督『晩春』(1949年)以降6本小津監督の6作品に出演を果たすなど、
戦前から戦後の映画黄金期を通して大女優として活躍しました。

1962年、42歳の年の稲垣浩監督・東宝創立三十周年記念作品『忠臣蔵 花の巻・雪の巻』を最後に、
映画界・芸能界から完全に引退し、公の場に一切出ることはありませんでした。


例えば、山口百恵さんも引退後は公の場には出ず。伝説の大スターといえるでしょう。
しかし、彼女は多くの映画・ドラマに出ていますが、22歳で引退していますので、
「大女優」とまではいえないでしょう。

原さんは15歳での映画初出演、16歳での国際映画出演でスターとなって後、
戦前、戦中、戦後の混乱期から、1950年代の映画黄金期を通して、
1962年、42歳での引退まで25年以上、数々の名作・ヒット作に出演し、多くの賞にも輝き、
大スター・大女優として活躍しました。

そして、突然の引退後は一切表には出ませんでした。
いわゆるフェイドアウトではなく、すっぱりと身を引いたのです。これも大きな特徴です。
これだけトップとしてのキャリアを積み重ねて、これだけ綺麗な引退。
他に例はないでしょう。
だからこそ唯一無二、伝説の大スター、大女優であるのです。


多くの名監督の作品に出演
原節子さんといえば小津安二郎監督作品の印象が強いですね。
小津監督といえば松竹映画です。
しかし、原さんはキャリアの早い時期に日活から東宝に移り、
戦後は早くにフリ―となりますが、活動の拠点は末期まで東宝でした。
当然、小津作品にばかり出ていたわけではありません。

出演作も最も多いのは山本薩夫監督の7本で、6本の小津、島津保次郎、渡辺邦男、今井正各氏が続きます。
小津監督作品以外の代表作だと、それもたくさんありますが、やはり今井正監督の『青い山脈』でょうか。
映画史に輝く、文芸・青春映画の代表作として、戦後を象徴する作品です。

黒澤明監督では、なんといっても『わが青春に悔なし』でしょう。
黒澤作品は本作を挟んで計3本ありますが、『生きる』『七人の侍』など、
黒澤監督が東宝に復帰して以降の代表作とは縁がありませんでした。


『相棒』
さて、このブログなので『相棒』から話題をひとつ。
『相棒』シリーズには、明らかに原節子さんをイメージした作品があります。

『相棒season5』第19話「殺人シネマ」
サブタイトルは原さんのオマージュ作に相応しいとは思えませんが、
引退後、一切公の場に出なかった大女優が、ある殺人事件について、
なぜかテレビのインタビューに応え、雄弁に語る。その理由は? という展開。
女優役を東宝映画の後輩で、共演作もある星由里子さんが演じました。
往年の映画監督、女優、スタッフ、作品への厚い敬意が籠められた作品でした。


昭和の大女優に、謹んで哀悼の意を表します。
Old Fashioned Club  月野景史


以下、日刊スポーツcomより引用
http://www.nikkansports.com/entertainment/news/1571283.html
☆☆☆
原節子さん亡くなっていた95歳肺炎…姿消し53年
[2015年11月26日6時59分]
「東京物語」「青い山脈」などで知られる昭和を代表する女優、原節子(はら・せつこ)さん(本名・会田昌江=あいだ・まさえ)が9月5日、肺炎のため神奈川県内の病院で亡くなっていたことが25日、分かった。95歳だった。葬儀は近親者による密葬で行った。「永遠の処女」「不滅の大スター」と呼ばれたが、コンビを組んだ小津安二郎監督が亡くなった後、女優を引退。公の場に姿を見せない“隠遁(いんとん)生活”を送っていた。

42歳で女優を引退後、半世紀以上も表舞台から姿を消していた原さんが静かに永遠の眠りについていた。近所に住む親族によると、8月半ばに神奈川県鎌倉市内の自宅で倒れ、親戚に付き添われて病院に行き、肺炎と診断されて入院。退院することなく、そのまま亡くなったという。

原さんは近年、足は弱っていたが、つえを持たずに歩き、1人暮らしを続けていたという。外出機会は少なく、親戚が買い物をしていた。甥(おい)が買った食材で自炊していることなどが昨年12月に一部で伝えられた。

原さんは女優志願ではなかった。横浜高等女学校中退後、姉光代さんの夫、熊谷久虎監督の勧めで映画界に入った。1935年(昭10)に「ためらふ勿(なか)れ若人よ」でデビュー。役名「お節っちゃん」から芸名を原節子とした。

日本人離れした大きな瞳と、彫りの深い顔立ちで人気を集め、戦後は黒沢明監督の46年「わが青春に悔なし」で主人公を熱演。今井正監督の49年「青い山脈」に主演し、主題歌とともに映画も大ヒットした。

原さんの人生を大きく変えたのは小津監督との出会いだった。49年「晩春」で初めてコンビを組んだ。「東京物語」では上京した老夫婦を気遣う嫁を好演し、世界的巨匠となった小津監督の代表作となった。その後の「麦秋」「秋日和」などにも出演し、誠実でしとやかな日本女性というイメージを印象づけた。恩師のような存在だった小津監督作品には6本に出演。親密ぶりから結婚のうわさも立ったが、監督と女優として互いにリスペクトする関係を続けていた。

小津監督のほか、木下恵介監督や成瀬巳喜男監督ら多くの名監督と組んで、日本映画の黄金期を築いた。イングリッド・バーグマンを目標にしていると話していたこともあった。

63年12月に小津監督が死去すると、女優業への意欲を急速に失ったといわれ、その後、映画に出演することはなかった。最後に公の場に姿を見せたのは、62年11月、都内で行われた映画「忠臣蔵」の公開記念パーティーだった。「永遠の処女」「不滅の大スター」と呼ばれたが、引退後は映画人やファンと交流を一切絶ち、鎌倉市内で静かな生活を送っていた。小津監督とともに、生涯独身を貫いた。公の場に姿を見せず、スクリーンのイメージを保ち続けた。

◆原節子(はら・せつこ)1920年(大9)6月17日、神奈川県生まれ。日本映画の黄金時代を体現し「永遠の処女」と呼ばれた。出演映画は46年「わが青春に悔なし」(黒沢明監督)、47年「安城家の舞踏会」(吉村公三郎監督)、49年「お嬢さん乾杯」(木下恵介監督)、49年「青い山脈」(今井正監督)、51年「めし」(成瀬巳喜男監督)、53年「東京物語」(小津安二郎監督)など。63年に女優を引退。
★★★

2015年11月25日 (水)

【相棒14】2016元日SP「英雄」に三浦刑事(大谷亮介)が再登場! /過去の因縁が深く絡むストーリーか

『相棒』の公式ツイッターで2016年元日スペシャル「英雄~罪深き者たち」に、
かつて三浦刑事役で長くレギュラーを務めた大谷亮介さんの出演が告知されています。
https://twitter.com/AibouNow/status/669533932430360576
※放送は終了しました。感想等は こちら

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以下、ツイッターよりの引用です。
☆☆☆
相棒 @AibouNow
相棒14 元日スペシャル決定! 1月1日(祝)元日よる9:00~11:30
【レギュラーキャスト】
水谷豊 反町隆史 鈴木杏樹 石坂浩二
川原和久 山中崇史 山西惇 六角精児 大谷亮介 小野了 片桐竜次
※大谷亮介さんの出演気になりますねー
#tvasahi #aibou #相棒 2015年11月25日
★★★

少しわかり難いですが、最後の「※大谷亮介さんの出演気になりますねー」も、
フォロワーの感想ではなく、公式twitterの一文です。

恒例となった毎年元旦の長時間スペシャル。その2016年版の最初の告知になると思いますが、
内容やゲスト出演者についての記述はなく、レギュラー出演者の羅列だけで、
一見、来年正月もやりますよ、とのお知らせだけのようですが、さりげなく大谷さんの名前が並べられています。
詳細はわかりませんが、とにかく三浦刑事が久々に再登場するということでしょう。う
だとすれば、『相棒』ファンにとっては大きなお年玉になりますね。


◇三浦信輔刑事(演:大谷亮介)
大谷さんは2000年に土曜ワイド劇場で2時間ドラマとして放送された
『相棒』第1作(プレシーズン1)に三浦とは別の刑事役で出演した後、
翌年の土曜ワイド版第2作に警視庁捜査一課刑事・三浦信輔役として登場しました。

以来、2013年10月放送の『season12』第1話まで12年間、国民的人気ドラマに育っていく『相棒』を脇で支えてきました。
『相棒』は主役は“ふたりだけの特命係”、杉下右京(水谷豊)とその相棒とハッキリしていますが、
一方で、他部署の個性豊かな脇役達の人気に負うところも大きいドラマです。
三浦刑事は捜査一課同僚の伊丹刑事(川原和久)、芹沢刑事(山中崇史)との「トリオ・ザ・捜一」として、
『相棒』シリーズに欠かせない名物的存在でした。

2013年10月、『season12』第1話スペシャルでの降板は事前告知なしの突然なもので、
しかも刺されて足を負傷し、杖なしでは一生歩行困難になるとの診断を受け、
内勤への異動を打診されるも退職を選ぶという痛切な展開、ショックを受けたファンも多かったです。
その時のブログはこちら→http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/12-8542.html

その後、三浦刑事は翌2014年4月公開の映画『相棒 -劇場版III- 巨大密室! 特命係 絶海の孤島へ』に登場していますが、
これは劇中の時系列でいうと、三浦刑事退職以前の出来事を描いた作品で、実際の撮影も卒業回の前でした。
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/post-8cff.html

ですので、来年元日の出演が実現すれば、2年3ヶ月ぶりの相棒世界への再登場ということになります。


◇過去のレギュラーキャストの再出演
同じテレビ朝日の長寿警察ドラマ『科捜研の女』は出演者の入れ替えが頻繁だったこともあり、
過去のレギュラー俳優の再登場も何度かあります。
特に2013年のクリスマススペシャルは再登場スペシャルでもあり、高視聴率を獲得しました。
一方、かつて研究員としてレギュラーだった俳優が別人の犯人役で出るなど、とんでもないこともやります。

それに対して、脇役キャラが比較的多いにも関わらず、レギュラー交代の少ない相棒で、再登場は稀少です。
陣川警部補(原田龍二)のように元々単発の出演で、その後も時々登場するような人は別にして、
元は完全なレギュラーで降板したといえるのは、亀山薫(寺脇康文)、神戸尊(及川光博)、甲斐享(成宮寛貴)の相棒三代に、
奥寺→亀山美和子(鈴木砂羽)、宮部たまき(益戸育江)、笛吹悦子(真飛聖)の女性陣、
そして殉職した小野寺官房長(岸部一徳)と三浦刑事くらいです。

その中で再登場となると、神戸が劇場版に2本出ていますが、テレビ版ではかつてなかった思います。
つまり、今回三浦刑事が出演すれば、TVドラマ『相棒』としては初のレギュラーキャスト再登場ということにな.るのです。


気になる展開は?
もちろん、三浦刑事の再登場は多くのファンにとって嬉しいニュースでしょう。
ただ、期待を裏切るというか、とんでもないサプライズをやるのが『相棒』。
登場の仕方、つまり三浦の現況とストーリー展開が気になるところ。
例えば罪を犯して逮捕されてしまうとか、やり切れないよう話にはしてほしくないのですが、『相棒』ならあり得るので怖いです。

もうひとつ、まさか三浦とは別の役での登場・・・、さすがにそれはないかと思いますが、
とにかく『相棒』は前シーズンも色々ありましたし、ついあれこれ余計な警戒をしてしまいます。


※追記:『相棒』の公式ブログが11月28日に更新され、「三浦元刑事(大谷亮介)の再登場」と明記されました。
これにより、別役の可能性はなくなりました。まぁそれはないとは思ってましたが、僅かな不安は払拭されました。
既にクランクアップも近いようで、掲載された写真を見ると、港・客船が舞台になるようです。
http://www.tv-asahi.co.jp/reading/aibou/24446/

更に、12月1日付の公式ブログでは撮影アップの報告と、
花の里での右京と幸子、そして三浦らしき人物が写った撮影シーンの写真が公開されています。

14_01

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http://www.tv-asahi.co.jp/reading/aibou/24596/

花の里で右京とサシで酒を飲む三浦。
現役時代にもなかったシーンかも知れません。

12月13日付公式ツイッターより
☆☆☆
相棒 元日スペシャル!「英雄」新年1月1日(祝)よる9時!
水谷豊 反町隆史 鈴木杏樹 石坂浩二
古谷一行 内山理名 西村和彦 木村佳乃
★★★


ゲスト出演者が公表されました。
古谷一行、内山理名、木村佳乃といえば、かの“赤いカナリア”のテロリスト本田篤人父娘と、片山雛子議員です。
今回は、過去の因縁が深く絡んだ話になりそうです。
もう一人、西村和彦さんと聞くと、片山とも因縁のある鹿手袋啓介を思い浮かべてしまいますが、
それは西村雅彦さんです。西村和彦さんは『相棒』初登場だと思います。

ただ、この再出演ゲストの顔ぶれは、あまり三浦刑事再登場回に相応しいとも思えません。
むしろ、篤人父娘、片山雛子とくれば、一番因縁深いのは二代目相棒神戸尊(及川光博)です。
神戸は出ないのでしょうか?


もう一人、小野田官房長(岸部一徳)もですが、こちらは殉職していますし、過去の回想としても、新撮での再登場はないでしょう。
名前が出たり、過去映像での登場の可能性は高いと思いますが。
元日スペシャル全般については →こちら 


12月16日、本年最後となる第9話の放送が終わり、元日スペシャルの予告映像が公開されました。
しかし、三浦元刑事の登場については何もふれられていません。
一方、公式サイトでも予告がアップされ、こちらでは三浦刑事の登場も告知されています。
それによると、訪ねてきた三浦からある情報を聞き、捜査に乗り出すという、
ちょうど『劇場版Ⅲ』の神戸と似たような役どころで、予告文を読む限りでは、
それほどストーリーに深く絡むわけではなさそうです。
http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/contents/story/0010/

しかし、公式SNSではいち早く三浦のことをアピールしておきながら、
PR映像ではまったくふれないというのも、不思議なやり方です。

それ以上に気になるのが、伊丹や芹沢との共演があるのかです。
あらすじ読む限り、ないようにも思えるので。

Old Fashioned Club  月野景史

2015年11月20日 (金)

【訃報】昭和の大横綱北の湖死去/相撲ファンがリアルタイムで見た強さの履歴

第55代横綱で、現㈶日本相撲協会理事長・北の湖敏満氏が11月20日に亡くなりました。62歳
http://news.livedoor.com/article/detail/10857314/

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戦前の双葉山、戦後の大鵬、北の湖、千代の富士が「昭和の大横綱」。
「20世紀の大横綱」なら、これに貴乃花が加わるでしょう。

現役時代、「憎らしいほど強い」と言われた・・・と、盛んに語られています。
北の湖がまさに横綱に駆け上がった時期、私は熱心な大相撲ファンでした。
今日はその“憎らしいほどの強さ”の実態を、リアルタイムで見たファンの目で記します。


北の湖 敏満
(きたのうみ としみつ、本名:小畑敏満 1953年5月16日 - 2015年11月20日)

北海道有珠郡壮瞥町出身。
中学1年生で三保ヶ関部屋に入門し、1967年1月場所で初土俵。
当時は中学に通いながら、力士になることができたのです。

1971年5月場所に当時史上最年少の17歳11ヶ月で十両に昇進。
これは大関貴ノ花の18歳0ヶ月の記録を破ってのもの。
(ただし、貴ノ花は中学卒業後の入門なので、スピードでは貴ノ花が上。)
1972年1月場所には新入幕(18歳7ヶ月)。
その後の2年間で順調に番付を上げ、そして一気にトップに立つ快進撃が始まります。

新関脇として迎えた1974年1月場所。14勝1敗で初優勝。
この場所はベテラン横綱の北の富士と琴桜が途中休場し、二人とも7月場所までに引退。
時代の転換を強く思わせる年になりました。
更にこの場所では第一人者となるべき横綱輪島も前場所の負傷の影響で調子が上がらず、
その状況下で二十歳の新星が台頭したのです。
この優勝で大関昇進を決めた北の湖ですが、その地位も三場所で通過、同年9月場所で第55代横綱となりました。

強くて巧い
当時の北の湖は身長は180cm足らずで、この時代の幕内の中でも大きい方ではありませんでしたが、
150キロ超の体から繰り出すパワーを生かし、立ち合いのかち上げ から相手を圧倒しました。
その反面なのですが、差し手でも喧嘩四つの相手には確実に得意の左四つに持ち込む堅さ、器用さを併せ持っていました。
一方、不得手の右四つでも確実に勝てる相手は、最初から右四つに組み止めて仕留めるような、
自分の力、相手の力量を計りきった上で狡猾に対処する面もあり、実に隙がなく強く、そのあたりも憎らしいと言われる所以でした。

元々日本人は判官贔屓で、この時代の人気No.1は軽量大関の貴ノ花。
強過ぎる横綱にはアンチが増えるのは当然なのですが、北の湖の場合は今書いたようなどうしようもないほどの強さでしたね。



花のニッパチ組
北の湖に続き、同じ1953年=昭和28年生まれの、大錦、若三杉(後の横綱二代目若乃花)、
麒麟児、金城が1974年までに幕内に昇進、昭和28年生まれなので「花のニッパチ組」と呼ばれました。
当時21歳、昭和50年代を迎え、ヤングパワーの象徴となったのです。
二十歳から21歳の力士がの幕内に5人揃うのは、なかなかフレッシュでそうそうない事でしょう。
その後の相撲人生、更に引退後もそれぞれ色々ありましたが。


輪湖時代 そして北の湖時代へ
さて、横綱に駆け上がった北の湖ですが、昇進当時は毎場所優勝というほどではありませんでした。
1974年は輪島の巻き返しに合い、優勝は輪島3回、北の湖は2回。
翌1975年は輪島が不振で優勝ゼロだったにも関わらず、大関貴ノ花に二度の優勝を許すなどして自身は2回。
その貴ノ花戦も含め、2年間で優勝決定戦に4連敗し、ここ一番に弱いなどと言われました。
(逆にいえば、ここ一番には弱いが、普段は滅法強い、そんなイメージでした。)

翌1976年には輪島も復調。
北の湖も安定感を増し、毎場所のように両者で優勝争いを繰り広げ「輪湖(りんこ)時代」と呼ばれました。
輪島28歳、北の湖23歳で5歳差。共に左四つ得意で左下手がほしい輪島と右上手がほしい北の湖ですから、合い口がぴったりだったのです。
Wikipedeqには「がっぷり四つ」との記述がありますが、それは少なく、北の湖が右上手を取り、
輪島がは左下手を取って右から絞るという形が定番でした。
お互いに得意の体勢であり、大相撲が繰り広げられました。

しかし、1978年になると輪島を突き放し、81年までは独走状態で通算22回の優勝を記録、大横綱への道をひた走ります。
当時28歳。圧倒的な強さ。怪我にも強く、入門以来一度の休場もなし。
27歳頃から休場の目立っていた大鵬(優勝32回)と比べても、どこまで記録を伸ばすのかと思われていました。


千代の富士との不思議な関係
北の湖 1953年生まれ 優勝24回
千代の富士 1955年生まれ 優勝31回
二歳差、この優勝回数を見れば、二人で随分と優勝争いを繰り広げたかと思いますが、意外にもその印象はほとんどありません。

千代の富士も若手時代からホープといわれてきましたが、肩の脱臼を繰り返して一進一退。
横綱昇進は26歳になる1981年9月場所でした。
対照的に怪我に強かった北の湖ですが、この年の夏巡業で負った負傷が原因となり、
11月場所で初の休場となりました。
以後、北の湖は休みがちになり。1985年1月場所まで現役を続けますが、82年~85年の優勝は2回だけ。
時代は急激に千代の富士時代に転換し、「湖千代時代」は到来しなかったのです。

本当に、二人の全盛期は入れ違いでした。これはやはり残念でした。
千代の富士は右四つ左上手を取っての相撲。輪島と違って真っ向のケンカ四つです。
北の湖の全盛期がせめて後1~2年続いていれば、更なる伝説が生まれていたろうと思うと、やはり残念です。


それはともかく、衰えは急速だった北の湖ですが、それでもほぼ丸8年間、圧倒的強さで相撲界のトップに君臨し、
「憎らしいほど強い横綱」として記憶にも、もちろん記録にも残る大横綱でした。
謹んで哀悼の意を表し、追悼文を記させていだきました。

Old Fashioned Club  月野景史


以下、スポニチアネックスより引用
http://news.livedoor.com/article/detail/10857314/
☆☆☆
北の湖理事長が多臓器不全で死去、62歳 第55代横綱 優勝24回で一時代
2015年11月20日 20時29分
スポニチアネックス   

日本相撲協会の北の湖敏満(きたのうみ・としみつ、本名小畑敏満=おばた・としみつ)理事長(元横綱)が20日午後6時55分、死去したことが分かった。玉ノ井広報部副部長が発表した。62歳だった。北海道出身。

同広報部副部長によると死因は直腸がんによる多臓器不全だという。「急変だった。きのうも元気に公務されていたのに、いきなりこういうことになって。何ともいえないです」と神妙に話した。日本相撲協会は理事長代行を八角親方(元横綱北勝海)が務めると発表した。

この日朝、貧血で救急搬送され、開催中の九州場所を休場することが発表されていた。今年7月の名古屋場所では腎臓に尿がたまる両側水腎症で途中休場。体調面に不安を抱えているが、九州場所は初日から勤務して報道対応などを連日こなしていた。

北の湖理事長は1953年(昭28)5月16日、北海道生まれ。中学時代の67年初場所で初土俵、18歳の72年初場所で新入幕するなどスピード出世し、74年名古屋場所後には21歳2カ月で第55代横綱に昇進した。優勝は24回を重ね、輪島、初代貴ノ花らと一時代を築いた。

85年の引退後は一代年寄として「北の湖」部屋を興し、2002年には理事長に就任した。就任後は07年の朝青龍騒動や時津風部屋力士暴行死事件、08年9月8日、ロシア人力士の大麻問題と立て続けに不祥事に見舞われ辞任に追い込まれた。12年1月に理事長に復帰し、13年には還暦土俵入りを行った。同年12月には大腸のポリープを除去手術を受けるなど病気と闘っていた。 
★★★

2015年11月17日 (火)

【美術展】「青児とパリの美術 ~東郷青児のコレクションより~」11月21日(土)開幕 損保ジャパン日本興亜美術館

新宿の東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館で11月21日(土)より
「青児とパリの美術 ~東郷青児のコレクションより~」展が開催されます。

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東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
私は新宿が地元のようなものなので、この美術館はよく訪れます。
当然、このブログにも頻繁に登場することになりますが。
当館は昨年、親会社の合併により美術館の名称も「損保ジャパン東郷青児美術館」から、
「東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館」に変わりました。

都心のビルの高層階という好立地。
所蔵品としては、名称にもなっている東郷青児の作品に加え、
ピカソの『ひまわり』、ゴーギャン、セザンヌらの名品、
また20世紀アメリカの画家グランマ・モーゼスのコレクションなどが特筆されます。

そして、大規模ではありませんが、なかなかユニークな展覧会をコンスタントに開催してくれる美術館です。
そして今回は、館名にもなっている東郷青児作品の展覧会です。



青児とパリの美術 ~東郷青児のコレクションより~
2015年11月21日(土)~12月23日(水)
会場・主催:東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
(東京都新宿区西新宿1-26-1 損保ジャパン日本興亜本社ビル42階)
公式サイト:http://www.sjnk-museum.org/program/3323.html 


本展のPR文より
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1921(大正10)年から1928(昭和3)年までフランスに滞在した東郷青児は、
日本にパリの香りをもたらしました。
しかし、青児が洋菓子の包装や雑貨に描いたイメージはお伽噺のように理想化
されたものであり、戦後、二科会の海外展のために再び青児が訪れたパリは、
経済成長や国際情勢の変化の中で大きく変わっていきました。

当館の収蔵品で構成する本展では、青児が現実のパリに対峙して制作した展覧会出品作と、
私達の憧れに応えて作り上げた甘美なイメージの世界を比較展示します。
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東郷青児
(とうごう せいじ、1897年(明治30年)4月28日 - 1978年(昭和53年)4月25日)


東郷青児といえば、デフォルメされた独特の女性画で知られます。
一度知れば、誰でも一目で東郷作品だとわかるほど、特徴的です。
今回の展覧会では、もちろんそれらの甘く美しい作品も堪能できるでしょうが、
それだけではない東郷青児に出会える機会です。
製作年代も1970年代後半も最晩年の作品まで、東郷青児展の決定版となりそうです。

Old Fashioned Club  月野景史

2015年11月15日 (日)

【訃報】 ニック・ボックウィンクル死去/ダーティー王者と呼ばれた正統派レスラー

プロレスラーのニック・ボックウィンクルが11月14日亡くなりました。80歳。
http://www.sponichi.co.jp/battle/news/2015/11/16/kiji/K20151116011520570.html


Nickbockwinkel01

ダーティーチャンプと呼ばれました。
1970年代後半から1980年代にかけ、NWA世界王座に次ぎ、WWF(現WWE)王座より上位にあった、
AWA世界ヘビー級王座に長く君臨し、アメリカプロレス史に一時代を築きました。

ダーティーなヒール王者だが、リングを降りれば紳士などと言われました。
タイガ―・ジェット・シンなども同じような言い方をされますが、
ニックはシンのような凶悪ファイトをするわけではありません。

端正なマスク、適度にシェイプされたボディ、いかにも正統派という容貌で、リング上でも充分紳士に見えます。
王者時代の試合運びも、守り中心ながら概ね正統派のものなのですが、
防衛方法が、「反則負けやリングアウト負けでは王座の移動はない」というルールを逆手に取った卑怯なものでした。
例えば、負けそうになったらレフェリーに暴行して反則負けにしてしまうとか。

同時代にNWA世界ヘビー級王者として君臨したハーリー・レイスもダーティーチャンプでした。

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ニックとレイス

しかし、ニックは悪徳マネージャーのボビー・ヒ―ナンが付いてる分、ダーティーなイメージが強かった。
ヒーナンが乱入したら、反則負けで試合終了・王座防衛になってしまうのですから。

もちろん、ダーティー王者はビジネスとしてのもの。
ニックの足跡を主に日本での活躍を中心に、ごく簡単に振り返ってみます。
(wikipediaにも、日本での足跡については、意外なほど僅かな記述しかないですね)


ニック・ボックウィンクル
(Nick Bockwinkel、本名:Nicholas Warren Francis Bockwinkel、1934年12月6日 - 2015年11月14日)
父のウォーレン・ボックウィンクルも1930年代から1950年代にかけてヒールとして活躍した名レスラー。
父のコーチを受け、15歳の時になんとあの鉄人ルー・テーズ相手にデビュー。
以後は陸軍やオクラホマ大学に在籍しながらプロレスを続け、28歳でフルタイムのプロレスラーとなりました。

その後は各地を転戦して実績を重ね、1970年頃にAWA圏に入ります。
これと前後して同年、日本プロレスのNWAタッグリーグ戦に来日。
ジョニー・クインとのチームでアントニオ猪木・星野勘太郎組と決勝を戦いました。

AWAでは前述のボビー・ヒーナンをマネージャーにつけ、1972年にレイ・スティーブンスとAWA世界タッグ王座を獲得。
1974年には王者チームとして国際プロレスに来日。ラッシャー木村・グレート草津組の挑戦を退けました。

そして1975年11月18日、ミネソタ州セントポールでバーン・ガニアを下し、AWA世界ヘビー級チャンピオンとなりました。
既に40歳と遅咲きでしたが、以後1987年までの13年間で同王座を合計4回獲得し、
悪役王者ながらAWAの象徴的存在として、長く活躍しました。


国際プロレスで日本初防衛戦
戴冠した1975年当時、AWAは日本の提携先を国際から全日本プロレスに変えており、
ニックは3年後の1978年暮れの世界最強タッグリーグ戦にブラックジャック・ランザとのチームで全日初参戦。
なのですが、NWA至上主義の当時の全日本はAWA王者を呼んでも防衛戦はさせないという勿体ない事をしていました。
(そのかわり、1979年春にハワイでジャンボ鶴田が挑戦しています。ハワイはニックにとっても古巣。)

その為、日本でのAWAヘビー初防衛戦は1979年10月、一時的に提携復活した国際プロレスでのラッシャー木村戦となりました。
この時はルー・テーズがレフェリーを務めたのですが、ニックは相手がテーズでもしっかり突き飛ばし、反則負けで防衛しました。
その翌日には、テーズとドリームタッグを組んで、木村・草津組と対戦しています。

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ニックとテーズ

翌1980年3月に国際で大木金太郎の挑戦を受けた後、バーン・ガニアに敗れて一時的に王座転落。
この年の暮れに全日の最強タッグにAWAの若手正統派ジム・ブランゼルと組んで参戦しました。
ここではダーティーファイトの必要もなく、正統派の試合を披露。
日本にはヒーナンを帯同しなかったこともあり、汚い防衛はビジネスとしてのもので、
「やはりニックは正統派の名レスラー・実力派」とのイメージが定着しました。

このまま王者に戻らない方がいいのでは…などとも思わせましたが、ガニアの王座復帰は引退前の一時的なもので、
翌1981年のガニア引退後に王者復帰、再びダーティー王者としての日々が始まります。
翌1982年新春シリーズの全日再登場以降は、主に鶴田と王座をかけての攻防を繰り広げ、
1984年にはタイトルを奪取した鶴田がアメリカに乗り込んだこともありました。


1987年にリタイヤしてからも日本との関係は続き、
1990年には猪木のレスラー生活30周年イベントに参加。
その後、猪木との対戦が告知されたこともありましたが、残念ながら実現せず。
その後もUWFインターなどと関係を持ちました。


昭和の名レスラーまた一人逝く。
謹んで哀悼の意を表し、追悼の辞を記させていただきました。

Old Fashioned Club  月野景史


以下、スポニチアネックスより引用
http://www.sponichi.co.jp/battle/news/2015/11/16/kiji/K20151116011520570.html
☆☆☆
日本でも活躍のプロレスラー、ニック・ボックウィンクル氏死去
往年の名プロレスラーのニック・ボックウィンクル氏が14日に死去した。80歳だった。ニューヨーク・デーリー・ニューズ紙(電子版)など複数の米国メディアが15日に報じている。

ボックウィンクル氏はヘビー級の世界タイトルを保持し、日本プロレス、国際プロレス、全日本プロレスと、日本のプロレス団体にもたびたび参戦。ジャンボ鶴田らと対戦した。2007年には米プロレス団体WWEの殿堂入りも果たしている。

WWEは同日に「4度のヘビー級王者に輝き、WWEの殿堂入りも果たしているニック・ボックウィンクル氏の死という知らせに我が団体は悲しみに包まれている」と声明を発表した。死因は明らかにされていないが、プロレスOB会の「カリフラワー・アレイ・クラブ」のサイトでは「健康上の問題」とある。    [ 2015年11月16日 12:26 ]
★★★

2015年11月13日 (金)

【相棒】【科捜研の女】同じ俳優の別役での再出演の是非は?

テレビの連続ドラマに、同じ俳優さんが別の役で再出演する事についてが今回のテーマです。
刑事ドラマ・警察関係ドラマは1話完結で様々な事件を扱うのが基本ですから、
多くの俳優が単発でゲスト出演します。
『相棒』や『科捜研の女』のように15年も続くような作品だと、同じ人が別の役で出てくることもあります。

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特に『相棒』について、ネットの掲示板には、この状況に極端な拒否反応を示す人がいます。
一度出た人を別の役で出すな! という主張の人々です。
匿名の掲示板なので、同意見の人が多数いるのか、同じ人が何度も繰り返してるのか判然としませんが。

こういう意見を述べる人は何歳くらいなのでしょうね?
『相棒』や『科捜研』にそんなに若い人が固執するとも思い難いのですが、
ある程度の年配の人がこのような意見を持つのが不思議に感じます。
なぜなら、昔のドラマでは当たり前のことだったし、それに比べれば『相棒』などはセーブされている方だと思うからです。


昔のドラマはどうだったか?
例えば『水戸黄門』。長寿ドラマの代表格です。

wikipediaによれば、『水戸黄門』には15回以上ゲスト出演した俳優が150人以上おり、
リストが掲載されています。最多は内田勝正氏の68回
『水戸黄門』はあまりに長く続いたので、通算出演数の多さは桁違いでしょうが、
しかし昭和のある程度続いた時代劇や刑事ドラマはみな同じようなペースでした。
『水戸黄門』だけが、際立って同じ俳優が別役で何度も出てくるということもなかったです。

特に時代劇の悪役だと、悪奉行・家老役、悪徳商人役、子分役などではまり役の人がおり、
観る方もOPクレジットで、「今日は南原宏治と黒部進か!」などと楽しみにしていました。
それが当たり前でした。

『相棒』といえば、内村刑事部長役で長く出演する片桐竜次さんは『水戸黄門』には17回で113位のようです。
その片桐さんの面白い例なのですが、松田優作さんの伝説のドラマ『探偵物語』に、2クールの放送中3回、
別役でゲスト出演しています。端役ではありません。それなりに重要な役です。
これは当時でも異例だとは思いますが、別におかしいことでもなかったです。

ともかく、昭和の時代は当たり前の光景でした。


現在は
たしかに今は状況が違いますから、「昔そうだったのだから今もいい」とはいえません。
まず第一に長寿ドラマが少ない。
そして1シリーズあたりの放送期間も、『相棒』や今期の『科捜研』のような2クールは稀で、
基本1クールで終了ですし、また1クールあたりの話数も8~10本程度と少ないです。
『相棒』も近年は2クールで19本が定番です。
昔だと、例えば前述の『探偵物語』(1979年~80年)などは2クールで27話ありました。
ほとんど休止することなく、毎週放送していたのですね。(プロ野球中継にかぶる時期・時間帯は別)
それに比べると今は全般に休止週も多く、放送期間に対する話数も少ないのです。

この状況ですから、昔のように同じ俳優が頻繁に別役で出てくることはある程度避けられるでしょうし、
実際避けられていると思います。
しかし、10年~15年続くドラマとになれば、再出演も出てくるでしょう。
むしろそれが望ましい場合もあるかと思います。


『相棒』では

ちょうど良い例があります。
次回、11月18日放送の『相棒14』第5話では女優の平岩紙さんがゲスト出演します。
http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/contents/story/0005/

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平岩紙さん(右)と新相棒コンビ

平岩さんは2008年1月放送のseason6 第10話「寝台特急カシオペア殺人事件」に出演しており、今回が約8年ぶり2度目です。
前回はクレジット順で、ゲスト俳優の9番手でした。
今回はおそらくゲストヒロインの扱いでしょう。

15年の間には、無名だった人が評価を上げ、人気俳優になることもあるでしょう。
端役での出演歴のある人が、ランクを上げてゲスト主役で出演。祝福すべき嬉しい話です。
平岩さんの前回の出演回は元日の長時間スペシャルでゲストも豪華でしたので、
9番手でも端役ではありませんでしたが、それにしても出世しての再出演の好例です。
このような出演にも文句をつける人がいるのは、寂しいことです。

その意味では、一度出演しているけど、別の役で是非もう一度という人も多いです。
松重豊、吉田鋼太郎、滝藤賢一、吉田羊、田中哲司、手塚とおる・・・。(敬称略)
現在、個性派として大活躍の方々ですが、『相棒』出演時には今ほどのポジションではありませんでした。
今ならどんな役が似合うか考えると、楽しくなります。

一方で、単回の出演でも、ゲスト主役として強烈な印象を残した人は、
もう別役で出演してほしくないという気持ちはわかります。
ただ、逆に全然別なタイプで出てほしいと思ったりもしますが。


『科捜研の女』は
さて、以上は主に『相棒』の話でした。
『科捜研の女』については、特に初期に昭和時代でも稀なほどの無茶なキャストの使い回しがあったので、
今更細かいこといってもしょうがないという面もあります。
それでも、言う人はいますが。

Old Fashioned Club  月野景史

2015年11月11日 (水)

【芸能】スカートを履かない“科捜研の女”が美脚大賞獲得/沢口靖子さん、レアなミニドレスの艶姿

「第13回クラリーノ美脚大賞2015」の表彰式が11月11日、都内のホテルで行われ、
特別賞を受賞した女優の沢口靖子さん(50)が、ゴールドの艶やかなミニドレス姿で出席しました。

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50歳とは思えぬ沢口靖子さんの姿の美しさ、若々しさに感嘆ですが、
それ以前に沢口さんのスカート姿自体がかなりレアです。

沢口さんといえば国民的長寿ドラマ『科捜研の女』。
34歳だった1999年より16年間演じ続け、今やライフワークといった趣ですが、
警察勤務の法医研究員という役がらなので、パンツ(ズボン)姿が定番。
以前はプライベートが描かれることもありましたが、それを含めてもスカート姿はほとんど記憶にありません。
実は、第7シリーズ(2006年)で捜査のために土門刑事(内藤剛志)と高級レストランで行く回があり、
その時はスカートを履いたのですが、膝が隠れる丈でした。

もうひとつ長く演じている『鉄道捜査官』シリーズも刑事役なので同様ですね。
もちろん、CMやトーク番組などではスカートもありますが、そういう機会自体多くはないですし、
脚がはっきり見えるような姿の印象は希薄です。
幻の美脚(?)の、大変レアな公開となりました。


今日の受賞式には沢口さんと共に、20代部門のすみれさん(25)、30代部門の土屋アンナさん(31)、
そしてオーバーフォーティー部門を受賞した早見優さん(49)らが登壇しました。

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沢口さんは49歳の早見優さんとは同世代です。
しかし、百花繚乱だった80年代女性アイドルの中でも、ミニスカの似合う美脚系として、
早見さんは屈指の存在でした。
今回のスカート(ワンピース?)は、40代最後の年の晴れ舞台としては、少し丈が長いようにすら感じます。
それに対して、沢口さんはデビュー当時から正統派美人女優路線。
そもそもその時代から、ミニスカートのイメージはありません。

脚を見せる印象のない人が美脚大賞・・・という疑問はおいといて、
今期は2クールの長丁場である『科捜研の女』のPRも兼ねているのかも知れませんが、
一方で最近の沢口さんはトレードマークでもあったほくろも除去したようで、
50代を迎え、更に美を追求しているようにも思えます。
『科捜研の女』で沢口さんが演じる榊マリコはシリーズごとに微妙に髪型が変わるのですが、
放送中の第15シリーズでは髪も少し長めで、メイクも含めて艶やかに感じます。
同世代にとっては、男性にとっても女性にも輝ける星といったところでしょう。

Old Fashioned Club  月野景史


以下、スポニチアネックスより引用
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151111-00000117-spnannex-ent
☆☆☆
すみれ&土屋アンナ 美脚特別賞の沢口靖子に感嘆の声「憧れる…」
「第13回クラリーノ美脚大賞2015」表彰式が11日、都内のホテルで行われ、20代部門のすみれ(25)、30代部門の土屋アンナ(31)、オーバーフォーティー部門の早見優(49)、第13回特別賞の沢口靖子(50)が出席。華やかなドレスとハイヒールで自慢の美脚を披露した。

ピンクのショートパンツ姿のすみれは「脚にコンプレックスがあったけど、呼んでいただいて、すごいうれしい」とニッコリ。「こんな大勢の前で見せるのは緊張しちゃう」と照れながらも「とにかく動くのが好き。動かないとハッピー感もなくなる。これからも(ケアを)頑張りたい」。11センチのハイヒールを履いた土屋は「高さを感じない。ずっと履ける」と笑顔。「筋肉質な脚」としながらも「バレエって全身の運動になるからいいのかなって思って」と美脚を保つ秘けつを分析した。

娘2人の母である早見は黒のミニスカート姿に「次女にスカートが短いよと注意された。でも、きょうは脚を見せないとダメって説明したら、きょうだけはいいって許可をもらってきた。(すみれ着用の)ショートパンツも履いてみたかった」と意外な母の顔を見せた。

50周年を迎えたクラリーノと同じ50歳ということで受賞した沢口は「まさか私が受賞の対象者になるとは夢にも思っていませんでした」。ドラマなどではパンツ姿の多いイメージだが、この日はシャンパンゴールドののミニのドレスとハイヒールを着用。ウオーキングの練習もしてきたといい、「靴に合わせたドレスを選ばせていただいた。ここまで高いヒールの靴は履かないので緊張しましたね。今も震えています。背筋も伸びます」と穏やかに笑った。そんな沢口の姿にすみれと土屋からは「言葉が素晴らしい」「学ばなきゃ」「憧れる」と思わず、感嘆の声がもれた。

さまざまなシーンで活躍する美脚の持ち主を表彰する同賞。昨年は20代部門の武井咲(22)、30代部門の吹石一恵(33)、ティーン部門の大野いと(20)、オーバーフォーティー部門の萬田久子(57)が受賞した。
★★★

2015年11月 8日 (日)

【相棒】アガサ・クリスティ『オリエント急行の殺人』を基とした4本のエピソード

ミステリの女王アガサ・クリスティの『オリエント急行の殺人』。
(または『オリエント急行殺人事件』 原題「Murder on the Orient Express」1934年)

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欧州を縦断する長距離列車内で起きた殺人事件に名探偵エルキュール・ポアロ(ポワロ)が挑む。
その舞台設定の面白さに加え、明かされた驚愕の秘密とプロットで知られる傑作推理小説。
後発のミステリーに与えた影響も少なからぬものがあります。

『相棒』シリーズにも、この作品をベースとした話が、少なくとも4本あると思います。
といっても、『オリエント急行』のどの要素を基とするかで、そのテイストはだいぶ変わってきます。

もっとも分かり易いのはこの話でしょう。

◆season6 第10話 (2008年元日スペシャル)「寝台特急カシオペア殺人事件」
脚本:戸田山雅司 監督:和泉聖治
密室状態となった長距離電車内で起こった殺人事件を、
乗り合わせた杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)が捜査する。
舞台設定がそのまま、そもそもサブタイトルだけ聞いても、誰でもすぐに思い付きます。

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元日スペシャルに加えてテレビ朝日開局50周年記念作で、2時間30分の大作。出演者も長山藍子さんはじめ多彩。
個人的には『ウルトラマン』ハヤタ隊員役の黒部進さん唯一の『相棒』出演作として印象に残ります。

ただ、この回は『オリエント急行』のオマージュとしてドンビシャですが、
これ以外に『相棒』で、長距離列車内の殺人といった舞台設定のエピソードは思い浮かびませんね。
では、他の3本はどのエピソードなのか?


改めて、『オリエント急行殺人事件』の特徴を挙げてみます。

①外界から閉ざされた、大きな密室状態の寝台列車内での殺人事件。
②犯行の動機は過去の少女誘拐殺人犯への復讐。
③同じ意志を持つ複数の人間による計画的犯行。
④関係者が他人を装って集まる。

「カシオペア」はまさに①です。
そしてやはり、①をモデルにした、つまり密室状態の長距離列車内での殺人扱ったを作品は
これ以外に『相棒』はないでしょう。

では、他の要素はどうでしょうか?

実は、②と③のテイストを併せ持つ作品が二つあります。

◆season5 第3話 「犯人はスズキ」 
脚本:岩下悠子 監督:森本浩史
http://www.tv-asahi.co.jp/aibou_05/contents/story/0003/
列車を“町内”あるいは“町内会”という器に移し替えたような異色の作品。
少女誘拐殺人事件の犯人への復讐という点はまさにそのままです。

ただし、『オリエント』での復讐殺人は、多数の関係者による計画性の高いものですが、
この回の復讐殺人は少女の父親による突発的なもので、計画性は乏しい。
そり代わり、事実を知った町内会の人々が父親を庇おうとしての偽装工作が計画的で、
それを右京と亀山が崩していくのがメインストーリーでした。

大変面白い作品なのですが、偽装の過程で誘拐殺人とは無関係の人間(犯罪者ではあるが、極悪人とまではいえない)を
計画の為に巻き込み、殺害してしまう点は同情できず、少々残念でしたが。

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『科捜研の女』に研究員→所長役で長くレギュラー出演する
斉藤暁さんの、現在までて唯一の『相棒』出演回です。
斉藤さんは元警官で、計画の首謀者の1人の役でした。

斉藤さんは水谷豊さんのひとつ年下の1953年生まれで、当時53歳。
劇中では警察官を定年(60歳)で退職したとは明示されていなかったと思いますが、
印象としては定年退職後の元警官という感じでした。


◆season8 第11話 「願い」
脚本:太田愛 監督:安養寺工
http://www.tv-asahi.co.jp/aibou_08/story/0011/index.html
これも少女誘拐殺人犯への復讐がテーマ。
ただ、少女といっても原作や「スズキ」は幼児ですが、本作では女子中学生なので、だいぶ年上です。
2代目相棒・神戸尊(及川光博)時代の作品。

この回の復讐は誘拐犯の殺害ではありません。
そもそも、少女の遺体は見つかっておらず、行方不明の状態です。
ですので、計画者達の目的は真相の解明と、犯人の告発ですが、
時効が過ぎているので、過去の犯罪で真犯人が逮捕されることはありません。

そこで、真犯人に新たな犯行をさせて逮捕させ、併せて過去の罪も明らかにして破滅させるのが目的です。
その為、少女の親族、親友、そして冤罪被害にあった男性の親族らが協力しての複雑な計画が描かれました。
無関係に見える人間達が実は繋がっているという点で、④の要素も入っています。
一方で、舞台設定の密室性は薄いですが。

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素人の復讐劇としては計画が大胆かつ念入り過ぎて、プロットに無理がありますが、
計画成功の為、忘れたい過去として事件に無関心を装う関係者達の隠された強い思いは感動的で、
私の好きな作品です。


さて、まだ他にあるでしょうか?
もうひとつ、④をフィーチャーした話があります。

◆season9 第12話 「招かれざる客」 
脚本戸田山雅司 監督:近藤俊明
http://www.tv-asahi.co.jp/aibou_09/story/0012/index.html
郊外のオーベルジュに偶然居合わせた客達、実はみな関係者であった。
そこに招かざる客の右京が現れて・・・。

過去の因縁で結ばれた人々が他人を装い、ひとつの場所に集う設定は『オリエント急行』に非常に近いです。
しかも、そのほとんどがある家の使用人であった点も同じ。
誘拐殺人は関係ありませんが、その家の娘に纏わる話であることも共通しています。

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そして、犯人だけではなく、探偵側の右京と神戸の計画的小芝居も魅力です。
更にいえば、全体に芝居がかっていて、舞台劇を思わせる雰囲気は、
クリスティ作品の持ち味が色濃く反映された作品と言えるのでしょう。

列車も誘拐殺人も復讐もないので、この回を『オリエント急行』と結び付ける人はあまりいないかも知れませんが、
元使用人達の主(あるじ)と、その家の娘(孫)への強いという点は共通しています。
作品の持つテイストでいえば、もっとも近いかも知れません。

この回はそれ以外にも、なにやらマニアックな雰囲気が漂っています。
小芝居の中で右京が演じたキャラは、『熱中時代』より前の若い頃の水谷さんの
封印されたアウトロー的な演技を彷彿とさせるものがあったりとか。
これも私の好きな作品です。


以上、4作を見てきました。
実は、ネット上にもこの4本のどれかを挙げて、『オリエント急行の殺人』との関係に言及する意見は散見されます。
しかし、4本まとめて挙げてる方はいないようです。

では、『オリエント急行の殺人』と『相棒』の決定的な違いは何か?
これは『相棒』ファンなら誰でもわかるでしょう。
ボアロと違い、右京は決して犯罪を故意に見逃したりしません。
私は、ポアロの判断も好きですが。

Old Fashioned Club  月野景史

2015年11月 7日 (土)

【Bar】京王プラザ新宿 ポールスターで飲むオールドファッションド・カクテル

京王プラザホテル新宿45階のスカイバー「ポールスター」。
http://www.keioplaza.co.jp/restaurant/polestar/
かなり久々の訪問です。

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高層階のバーでは、やはりマンハッタンを飲みたくなります。

バックバー越しの夜景、一部さえぎられるととはいえ、やはり新宿屈指です。
ベースのウイスキーはバーボンのウッドフォードリザーブ。


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ウッドフォードリザーブを使ったオールドファッションド・カクテル。
このブログのタイトルと同名カクテル。これも久々の登場です。

Old Fashioned Club  月野景史

2015年11月 5日 (木)

【相棒14】第4話「ファンタスマゴリ」放送終了/ 力作だが賛否両論も止む無しの内容

注目された『相棒season14』 第4話「ファンタスマゴリ」(11月4日(水)21時)の放送が終了しました。
http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/contents/story/0004/

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ネットではまさに賛否両論、評価が分かれています。
そうなるのもやむなしという内容でした。
力作であったとは思います。その点は評価したい。
しかし、残念な面もありました。


ダイジェスト版?
この回の展望予想を書いたブログで、この内容で通常枠で収まるのだろうかとの疑問を呈しましたが、
まさにその通りで、まるでダイジェスト版を観ているようなイメージでした。
拡大版か、前後編でやるべきではなかったかと感じます。

時間を伸ばすと冗長になる、短い方がテンポがいいという面もありますが、
今回の場合はストーリーを更にもう少し肉付けして、時間をしっかり費やしてやった方がいいと思いました。
実際、かなりのカットシーンが発生しているではないでしょうか?


老人と若い女性
まさに老醜とでもいうべき、老いた黒幕・譜久村(織本順吉)。
若い被害女性との関係は、別のドラマならばこのようなテーマもあるのかも知れませんが、
『相棒』としては違和感が強いですね。性的なイメージが絡むことは極めて少ないですから。
今回にしても、具体的な描写はありませんでしたが、かなりの、それも二重の生々しさでした。
この点に批判が集まるのは仕方ないかも知れません。
私も、タブーを作るのはよくないと思いますが、今回は少々しつこかった。


片野坂と譜久村
被害女性との問題は別にしても、譜久村、そして片野坂(岩松了)も、人物の掘り下げが浅かったように感じます。
これは時間的制約のせいでもあるでしょう。

特に片野坂については、長編映画の題材になるような後半生を送ってきたのだし、
右京との関係についての描き方も不満が残ります。

譜久村役の織本順吉さんは名優だし、今回も熱演だっとと思いますが、やはり大物黒幕役はピンときません。
これは、私が過去の役のイメージに囚われているからかも知れませんが、
例えば故南原宏治氏のような、40代から黒幕を演じてきた人だったらどうだったでしょう。


20年問題
前回のブログで指摘した時系列の問題。
20年前も、杉下右京(水谷豊)は既に特命係にいた筈という点については、やはりスル―でした。
ただ一ヶ所、ラスト近くで冠城亘(反町隆史)が20年というべきところを30年と言うシーンがありました。
30年だと、右京のキャリアの問題は解決します。
ただ、今回のストーリーには色々と無理が出てしまいますが。

Old Fashioned Club  月野景史

2015年11月 3日 (火)

【科捜研の女】2013スペシャル/過去のキャスト再登場のイベント回

11月7日(土)12時よりテレビ朝日で『科捜研の女 2013スペシャル』が再放送されます。
「疑惑の観光タクシー 予告された転落事故!奇妙なタイヤ痕、飛沫血痕の罠!!冤罪を生んだ鑑定ミス!?
父親に尋問されるマリコ!辞職を要求する元管理官」(本放送:2013年12月25日)
http://www.tv-asahi.co.jp/pr/contents/20151107_09995.html

本作は2クール放送(2013年10月~2014年3月)だった第13シリーズ中のクリスマススペシャルとしてオンエアされたのですが、
通常枠と曜日が違った為、第13シリーズとは別枠のスペシャルとしてカウントされています。
この点は『相棒』恒例の元日スペシャルとは異なる位置づけで、少々ややこしいのですが

さて、この回は榊マリコ(沢口靖子)達の京都府警科学捜査研究所、及び土門薫(内藤剛志)達の刑事部捜査一課が
上層部からの指示による性急な捜査・鑑定により冤罪を引き起こし、窮地に追い込まれる重い展開でした。

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危機に瀕する科捜研メンバー

結果として、第5シリーズ(2004年)以来、長く刑事部長役を務めた田中健さんが
すべての責任を取って引責辞任の形で降板する、節目の回でもあります。

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この回がラストエピソードとなった佐久間刑事部長(左手前)

ただ、この回はそのような事情とは別の意味で、全シリーズ屈指のイベント回でもありました。
それはどういうことなのか?


過去のレギュラーキャストの再登場。
1999年に連続ドラマとしてスタートした『科捜研の女』は『相棒』とは異なり、頻繁なキャストの入替を繰り返してきました。
つまり、番組OBの俳優が多く存在するのです。
一方で、特に初期の頻繁な交代は視聴率の低迷によるところが大きく、
退場エピソードなしに消えていったキャストも多く、彼らが再登場することは稀でした。

長く続くドラマであれば、過去に親しんだ主要キャストの再登場はファンにとっても嬉しいビッグイベントでしょう。
その意味で、この『2013スペシャル』は、再登場スペシャルでもありました。


榊伊知郎前所長の再登場
冤罪を招いた京都府警科捜研の鑑定が適切であったかの審査の為に、
前所長であった榊伊知郎(小野武彦)が、科学鑑定監察所の監察官として登場します。

榊伊知郎は主人公榊マリコの実父であり、第6シリーズ(2005年)に所長として赴任、
第10シリーズ(2010年)まで完走し、その後のスペシャルをもって降板しました。
視聴率的には低迷していたこの番組を、長寿人気ドラマに引き上げた立役者の1人です。

ただ、このスペシャルの場合は再会を喜んでもいられません。
マリコや、かつての部下だった日野所長(斎藤暁)らを追求する立場でしたから。

芝管理官も登場
そしてもう1人、第12シリーズ(2012年)に捜査一課管理官として登場した芝美紀江(戸田菜穂)が、
近畿管区警察局主任監察官として再登場します。

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共に監察官として再登場した榊伊知郎(左)と芝美紀江

伊知郎は科捜研を、芝は捜査一課を、共に古巣を監察するわけです。
この2人は退場の時点で、それぞれ現職への異動が明示されていましたので、
まるでこの回の制作が想定されていたかのように、ストーリーもしっかり繋がっています。

視聴率でいうと、『科捜研の女』の全盛期は常に13%を超えていた2006年~2010年頃で、
2013年頃やはやや落としていたのですが、この回は15.6%の好数字でした。

※ただ、この回の再放送は8月にも行われています。
テレ朝での『科捜研』の再放送はかなりアトランダムで、平日毎日必ずというわけでもありません。
放送頻度の低い作品も多く、それらも放送してほしいものですが。


最終回では先々代所長も登場

この好結果を受けてというわけでもないかも知れませんが、
第13シリーズでは最終話に榊伊知郎の更に前の所長・宮前守(山崎一)も再登場します。
宮前は大型放射光施設スプリング8に勤務しており、科捜研からの依頼で高度な鑑定を行い、手助けをしました。

宮前所長は第3~第5シリーズまで務め、第6シリーズの第1話でスプリング8への転職設定で降板しました。
どちらかといえばことなかれ主義のサラリーマンタイプ。
今よりKYの度合いがひどく、鑑定に邁進するマリコに振り回されることが多かったキャラです。
この再登場では、宮前とのやりとりでマリコが昔に戻ったようなKYぶりを発揮して、笑わせてくれました。
そして、この回も視聴率は14.0%と好結果でした。

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宮前元所長を演じた山崎一さんは『相棒』でもレギュラーとまではいえませんが、同じ役で複数の出演がある稀有な存在です。
(単発でゲスト出演し、間を開けて前後編に再登場。なので登場回でいうと3回)


放送中の第15シリーズでは?
現在放送中の第15シリーズは、13シリーズ以来の2クール放送です。
長丁場で好数字を維持するには、色々とイベントも必要でしょう。
また懐かしい顔の再登場を期待したいところです。

Old Fashioned Club  月野景史

 

2015年11月 1日 (日)

【相棒14】第4話「ファンタスマゴリ」展望 右京が20年前の未解決事件に再挑戦!/注目だが疑問も有り

『相棒season14』 第4話「ファンタスマゴリ」は11月4日(水)21時より通常通り放送予定ですが、
その内容がなかなか注目すべきものです。
以下、公式サイトの次回予告より、概要を抜粋します。
http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/contents/story/0004/

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「杉下右京(水谷豊)は、捜査二課時代の上司で現在は金融コンサルタントの片野坂(岩松了)と再会。
20年前、右京と片野坂は、当時君臨していた黒幕・譜久村(織本順吉)を逮捕しようと動いていた。
しかし、唯一の手掛かりだった証券会社の男が自殺し、真実は闇に消えた。
20年の時を超え、右京が日本の黒幕と対峙する!」


今まで語られることのなかった、右京が関わった過去の事件。
今回、右京は片野坂の依頼で、新相棒・冠城亘(反町隆史)と共に、この事件の関係者の捜査に取り掛かるようです。
これは、『相棒シリーズ』において極めてレアな展開です。

※追記:放送は終了しました。感想などは →こちら


杉下右京が関わった過去の知られざる事件

といわれて、『相棒』ファンなら誰もが思い浮かべるのは、
特命係設置のきっかけであり、捜査二課にいた右京が特命係に配属される要因になった
「外務省公邸人質監禁・籠城事件」でしょう。
シーズン1の最終エピソード前後編でその存在が明らかになりました。

ただ、それ以外となると、思い浮かびません。
そもそも、過去がよくわからないのが右京です。
シーズン11の「アリス」など、プライベートで関わった人に纏わる事件はありましたが、
警察官として捜査に関わり、しかも未解決に終わった、政界黒幕絡みの大事件への再挑戦。
前述の人質事件を除けば、初めてだろうと思います。

これは期待したいですね。
しかし、通常枠1話で納まるのでしょうか。
もしかしたら前後編・・・かは、ちょっと微妙ですが。


時系列の疑問
しかし、公式サイトのあらすじを読むと、大きな疑問があります。
時間の問題です。

予告のストーリーによれば、問題の事件は今から20年前とされます。
単純に数えれば、1995年。
この年に捜査二課にいた右京が、上司と共に捜査を行ったということになります。

一方、「外務省公邸人質監禁・籠城事件」は、シーズン1の時点で15年前の出来事とされます。
シーズン1は2002年の放送ですから、これまた単純に計算すれば、1987年です。
この籠城事件により、右京は特命係に配属されたのですから、1995年には、もう特命係にいた筈です。
この矛盾をどう説明するのか・・・?

まぁ『相棒』で、この手の時間軸の問題を色々追求しても、ノータッチで軽くいなされることも多いので、
あまり拘る必要もないかも知れませんが。


ファンタスマゴリ(Fantasmagorie)
聞き慣れない言葉です。
18世紀末フランス発祥の、幻灯機を用いた幽霊ショーで、パリでの興行により有名となり、
ヨーロッパ、とくにイギリスで、19世紀を通して流行しました。


ゲスト俳優
黒幕役は織本順吉さん。
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88歳の大ベテランです。
どちらかといえば小市民、小悪党的な役が多かったと思いますが、
高齢になって大物もやるようになりました。


右京の元上司が岩松了さん
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この人も個性派ですが、予告編を観る限り、
今回も良き上司といったタイプではなく、クセの強いキャラのようです。

さて、期待と疑問を孕んで、どう展開しますか?
Old Fashioned Club  月野景史

予告全文
☆☆☆
ある日、右京(水谷豊)は、捜査二課時代の上司で現在は金融コンサルタントをしている片野坂(岩松了)と再会する。裏社会の人間も顧客にしている人物のため、右京はかかわりあいを避けようとするが、片野坂は思わぬ話を切り出してくる。20年前、右京と片野坂は、当時君臨していた日本の政財界とつながりがあり、フィクサーとも呼ばれていた黒幕・譜久村(織本順吉)を逮捕しようと動いていた。しかし、唯一の手掛かりだった証券会社の男が自殺し、真実は闇に消えた。それから20年後の今、片野坂は自殺した男の娘・愛(伊藤久美子)と偶然再会したと語る。しかし、一週間ほど前から連絡が途絶えてしまったため、当時の事情を知る右京に調べてほしいのだという。自分が追い切れなかった譜久村が、今回の一件に何らかのかかわりを持っている可能性を感じた右京は早速、譜久村と接触。しかし、今なお各界に絶大な影響力を持つ裏社会のドンだけに、調べ始めただけで即座に上から圧力をかけられるのだが、右京は亘(反町隆史)と共に捜査を続ける。

女性失踪事件の裏に見え隠れする巨悪の存在。
裏社会の金融屋となった右京の元上司の狙いとは?
20年の時を超え、右京が日本の黒幕と対峙する!

ゲスト:岩松了 織本順吉
脚本:真野勝成
監督:和泉聖治
★★★

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