【科捜研の女15』 初回スペシャル 木島刑事(崎本大海)まさかの卒業/『相棒』三浦刑事と似たラスト
10月15日、『科捜研の女』第15シリーズ(沢口靖子主演) 第1話2時間スペシャルが終了しました。
http://www.tv-asahi.co.jp/kasouken15/story/01/
新キャラクター、「ソタイの女」こと落合佐妃子(池上季実子)の登場が注目でしたが、それ以外にサプライズがありました。
京都府警刑事部捜査一課・木島修平刑事(崎本大海)の退場・降板回となったのです。
この件については事前告知がなく意外な展開でした。
ただ、実はもしかしたらとも思っていたのですが、その理由は後ほどふれるとして、今回は木島刑事について記します。
木島修平(崎本大海)
第12シリーズ第6話(2013年2月)より、土門薫刑事(内藤剛志)の部下として登場。
殉職した権藤克利(高橋光臣)の後任として、異動してきた設定でした。
土門の右腕となり、科送研メンバーと協力して事件解決に当たる主要レギュラーとして、
第13シリーズ(2クール)、第14シリーズを完走し、足掛け4シリーズで卒業となりました。
爽やかで、とにかく純粋、やや幼いイメージすらある典型的な好青年タイプの若手刑事。
あまりに陰りがなさ過ぎだったかも知れませんが、こういうタイプの刑事がいてもいいと思います。
悲しい別れのシーンとなったラストも、爽やか過ぎるほどでした。
ただ、ここは演出の難しかったろう面もあり、後述します。
木島刑事の在任期間は2シリーズ(1クールと2クール)+数本で、これは前任の権藤刑事とほぼ同じ。
話数をざっと数えてみたところ、二人とも33本で、まったく同じようです。
これはまた、偶然かも知れませんが、きっちり合わせたものです。
この初回SPでの木島刑事は捜査中に拳銃で撃たれて重傷を負ってしまいます。
命に別状はないものの、病床で刑事部から同じ京都府警内の警務部での内勤業務への異動を提示され、受け入れました。
この流れならば、所属部署が変わるだけで、今後も出てきておかしくないように思えます。
実際、これで番組卒業とは理解せず、ただの部署異動だと思って観ていた人も多いかも知れません。
しかし、ラストに木島の初登場シーンから始まって過去の回想映像が流され、
上司であった土門刑事と握手を交わすという、いかにも卒業回らしい演出がされたこと。
また本人や他のキャストの番組終了後のSNSの書き込みからも卒業であることがうかがえ、
更に決定的なのは、初回終了後に公式サイトから木島の名は消えており、降板は間違いないようです。
土門刑事と木島刑事
実は降板は予想できた
では、なぜ上で書いたように木島退場が予想できたかというと、今回からもう1人若手刑事が加わったからです。
このことは事前に告知されていました。
新人は蒲原勇樹刑事(石井一彰)。石井さんは東宝ミュージカル生え抜きで、テレビドラマは初めてのようです。
この若手刑事のポジションは以前は2人体制だったこともありますが、近年はずっと1人なので、
1人追加になれば、もう1人は退場となることは予想できたのです。
まして、木島が狙撃されることは予告で明らかでしたし。
ただ、蒲原は土門に対する立ち位置が木島とは違うようで、それならば若手2人でも無理ではないし、
他にも、負傷で今シリーズ前半は欠場とか、部署が変わってセミレギュラーで残ることもあり得たので、
完全な卒業となったのは、やはり意外でした。
降板の理由は?
これはわかりませんが、元々この若手刑事のポジションは比較的早いサイクルで入れ替わっており、
まして前任の権藤とほぼ同じ期間でとなれば、ローテーション通りと理解していいのかも知れません。
ただ、木島は権藤以上に土門に忠実、科捜研にも協力的なキャラでした。
後任の蒲原は、それとは逆に近い立ち位置のようなので、落合佐妃子の加入と併せ、
府警内部の関係の調和を崩し、刺激を加える意図があるようには感じます。
『相棒』三浦刑事と類似
ところで今回の退場へのストーリーなのですが、『相棒』の三浦刑事(大谷亮介)の降板回とよく似ています。
三浦刑事は相棒初期からのレギュラーでしたが、season12の第1話で足を刺されて負傷してしまいます。
症状は重く、後遺症で杖なしでの歩行は無理と診断され、やはり内勤への異動の内示を受けます。
・第1話で
・刑事が重傷を負い
・内勤に異動となる(=刑事ではなくなる)
三浦と木島では、このような共通点があります。
ただ、三浦刑事は今回の木島とは違い、異動を受け入れず、退職してしまいました。
この時は放送前には降板の予兆がなく、最初期からのレギュラー突然の退場に、ファンにもショックが広がりました。
(この件について書いた私のブログは今でもアクセスが多いです。 →こちら)
今回の話は、おそらくこの三浦刑事の回をモデルにしていると思います。
ただし、この第1話のみ出て降板というのは、『相棒』ではなく『科捜研』の専売特許です。
木島は宮前守所長(山崎一 ~第6シリーズ第1話)、土門美貴(加藤貴子 ~第10シリーズ第1話)に次ぐ3人目だと思います。
ところで、木島は三浦と違い、怪我の後遺症については言及されていません。
その心配がないのなら、なぜ内勤に異動になるのか、解り難い面もあります。
木島自身が、自分を納得させるように理由を述べるシーンはありましたが。
「高校生に撃たれた奴が刑事を続けるなんて、示しがつかない」と。
そして、土門や科捜研スタッフの後方支援に回ることを宣言しましたね。
ラストで病室のベッドの周りにゆかりの人物が揃うところも、三浦刑事と同じでした。、
しかし、生涯癒えぬ傷を負い、退職を決意した三浦はひたすら痛切でしたが、木島は随分明るく元気そうでした。
未来ある若者ですし、番組は降板でも、ドラマ内では退職するわけではないので、当然ですが。
木島を見舞った後、帰り際に病室を見上げる科捜研メンバー。
劇中では府警内の他部署への異動 実際は降板(「別れ」)
考えてみると、この降板はなんとも微妙な面があります。
木島の負傷は後遺症が残る程のものとは言及されておらず、あくまで同じ府警内で部署異動となったのに過ぎません。
劇中で大袈裟に別れを惜しむような展開ではないですね。
しかし降板となれば、キャスト・スタッフも、視聴者にとっても、木島(崎本)とは実際は「お別れ」です。
『科捜研』では、かつて吉崎泰乃(奥田恵梨華)が他部署へ異動という点ではほぼ同じパターンで番組から去りました。
それでも、泰乃の場合は科捜研メンバーでしたから、科捜研から離れるのは確かなので、「別れ」ではありました。
しかし、木島は科捜研メンバーからすれば元々他部署の人間なので、
そこから更に他部署への異動と言われても、別れをどう表現するか、キャスト・スタッフも難しかったでしょう。
上に掲げた写真のラストシーンでは、科捜研メンバーは何を思って木島の病室を見上げたのか?
『相棒』と違って『科捜研の女』は元々レギュラーキャストの入れ替わりが激しいのが特徴で、多くのOB・OGがいます。
2クール放送だった第13シリーズ中は過去のレギュラー3人の再登場などもあり、盛り上がりました。
木島刑事もまた出てくれるでしょう。せっかく府警内に残したのだから、そうするべきかと思います。
同時に、崎本さんの今後の活躍に期待しましょう。
一方、“死神”こと落合佐妃子(池上季実子)
資料の偽造、自ら暴力団事務所に密告電話するなど、ダークな面を見せました。
(『ヤメゴク』の永光麦秋(大島優子)かとつっこみたくなりましたが。)
更に、土門の新しい部下蒲原も落合の息のかかった刑事。
2代続いた真っ直ぐの好青年タイプとは違います。
落合と榊マリコ&土門の対立はどうなるか・・・、とりあえず次回は落合は出なさそうですが。
舞台バッティングの風丘医師は?
もうひとつの注目は法医学者の風丘早月。
演じる若村麻由美さんが舞台『放浪記』公演が重なり、厳しいスケジュールが想定されます。
今回はしっかり出演していました。
2時間SPにしては登場シーンがやや少ないようにも思いましたが、元々多くはないので、気にするほどではないかも。
ただひとつだけ、落合と科捜研で鉢合わせる場面があったのですが、2人一緒の画面には映りませんでした。
スケジュールを合わせられず、別撮りしたのか? などと勘繰ってしまいます。
ともかく、若村さんの降板はなさそうです。
後はどう乗り切るかでしょう。
初回視聴率は13.5%と発表されました
このドラマの実績からすれば、まずまず、可もなく不可もなくというところでしょうが、
最近の木曜ミステリ―枠の数字、橋爪功さん+名取裕子さんの『最強のふたり』が7%そこそこなのを思えば、
やはり『科捜研』は別格の強さを見せたというところでしょう。
Old Fashioned Club 月野景史
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