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2015年9月 1日 (火)

【幻の藤子アニメ】『ウメ星デンカ』『ジャングル黒べえ』 DVD発売

ネットニュースより
藤子・F・不二雄、幻のアニメ「ジャングル黒べえ」「ウメ星デンカ」が初パッケージ化
http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20150901_718848.html

これはたしかに、それぞれ意味合いは多少違いますが、“幻の作品”に違いありません。
この2作のDVDがリリースされるとは!
ネットのニュースでは『ジャングル黒べえ』が先に書かれていますが、
放送順通り『ウメ星デンカ』から先に記述し、『黒べえ』に繋がる藤子アニメの流れも併せて記します。

Op

ウメ星デンカ
1969年4月1日から同年9月30日までTBS系で放送 全26回(52話)


TBSは1965年の『オバケのQ太郎』の大ヒット以降、『パーマン』『怪物くん』と、
藤子不二雄作品のアニメ化を放送してきました。
厳密にいうと、『オバQ』は藤子・F・不二雄氏と藤子不二雄Ⓐ氏の共作、『パーマン』はF氏、
『怪物くん』はⒶ氏の作品ということになりますが、当時はすべて「藤子不二雄」名義で発表されていました。

しかし、ブームを巻き起こした藤子アニメシリーズも一時の勢いはなく、『ウメ星デンカ』は半年で終了してしまいました。
決して悪い作品ではないのだが、時期に恵まれなかったとの見方もあります。
そして、日本のテレビも急速にカラー化が進んでいた時代なのですが、モノクロで制作された本作は
再放送の機会が少なく、また前3作のようなカラーでのリメイクもなく、忘れられた作品となってしまいました。

ソフト化については、TBSモノクロ版の前3作ですらビデオ化されてなかったので、望むべくもなかったのですが、
近年に『怪物くん」『パーマン』はDVD化されました。
それに続いた形ではありますが、まさか『ウメ星デンカ』とは、驚きました。

異世界からきたキャラクターが普通の家庭に住み着くという、藤子F漫画の定番スタイルですが、
宇宙からの来訪、親子3人で居候という際立った特徴があります。
故郷のウメ星が爆発してしまい、帰る地を失ったという、どこかで聞いたようなハードな設定もユニークです。


『ウメ星デンカ』以後の藤子アニメ
4作続いたTBSの藤子アニメシリーズも『デンカ」が終わる1969年9月にて休止。
その後はどうなったか?

実は、翌1970年1月より小学館学年誌にてあの『ドラえもん』の連載が始まるのですが、アニメ化は見送られます。
そして、1971年9月より局を変えて、日本テレビで『新オバケのQ太郎』がカラーで放送されます。
これは1972年12月まで1年3か月、それなりの人気を得て放送され、
終了後も更に何度も再放送されたので、幅広い世代に視聴されました。

そして、『新オバQ』の終了から4ヵ月後の1973年4月、日本テレビは『ドラえもん』をスタートさせました。
今に続く、テレビ朝日・シンエイ動画版とは別シリーズで、“旧ドラえもん”などとも呼ばれます。
しかし、人気は得られず、半年で修了してしまい、この作品もまた“幻”となりました。
この“旧ドラ”とほぼ同じタイミングで現テレビ朝日系で始まったのが『ジャングル黒べえ』なのです。



Op_2

ジャングル黒べえ
1973年3月2日から9月28日まで毎日放送制作、NETテレビ(現・テレビ朝日)系で放送  全31回 (61話)


このアニメは藤子作品としては異例のアニメ先行企画で、藤子F氏が関わる以前に既に原案がありました。
だから、アニメと同時に藤子F氏による雑誌連載が始まったのです。
小学館の学年誌に『ドラえもん』と併載されていました。

物語はピリミー国のジャングルから来た黒べえが日本の平凡な家庭に住み着く王道パターン。
やがて弟の赤べえもやってくるのですが、これは『新オバQ』のO次郎と類似したキャラで、声優さんも同じでした。
黒べえは居候している家の少年・しし男に恩義を感じていて、その恩を返そうとして騒動を起こすのが基本テーマです。
軽快なオープニングテーマ、テンポの良い展開でなかなか面白かったのですが、途中から様相が変わってきます。

ピリミーから黒べえの宿敵ガックが登場。
ガックはオバQのドロンパのイメージに重なる面があり、『新オバQ』のドロンパと声優さんも同じでした。
ガック登場後、彼が呼び寄せる珍獣と黒べえの戦いがテーマのようになっていきます。
私はこの変化は、あまり歓迎しませんでした。
そもそも、ガックは藤子氏による雑誌連載にほとんど登場しないキャラなので、
アニメスタッフが勝手に原作を変えてしまっているようにも感じていました。
まぁ実際には、前述のようにそもそも藤子F氏原作とも言い切り難い面もあったのですが、


“幻のアニメ”の理由
しかし、『黒べえ』はこのような事情で幻の作品になったわけではありません。
終了後もしばらくは再放送されていました。
ある理由で封印されたのです。

その理由とは・・・タイトルやビジュアルからすぐわかるでしょうが、黒人差別問題です。
『黒べえ』自体が批判対象になってわけではないのですが、
『オバケのQ太郎』の1エピソードへの抗議を受け、版元側が自主規制したということのようです。
時代を考えれば致し方ない面もあったと思います。


ともかく、『ジャングル黒べえ』は今年12月、『ウメ星デンカ』は来年1月の発売です。

Old Fashioned Club  月野景史


以下、AV Watch‎ のニュース記事より引用
http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20150901_718848.html
☆☆☆
藤子・F・不二雄、幻のアニメ「ジャングル黒べえ」「ウメ星デンカ」が初パッケージ化

藤子・F・不二雄原作で、1973年に放送された「ジャングル黒べえ」と、1969年放送の「ウメ星デンカ」が初パッケージ化。どちらもDVD-BOXで、「ジャングル黒べえ」は12月9日に29,800円で、「ウメ星デンカ」は2016年1月6日に24,800円で発売される。初回生産限定。発売元は東映ビデオ。販売元は東映。

2015年12月9日 ジャングル黒べえ
DVD-BOX 片面2層×5枚 本編775分 4:3 (1)モノラル DSZD-08145 29,800円

2016年1月6日 ウメ星デンカ
DVD-BOX 片面2層×4枚 本編650分 4:3 (1)モノラル DSZD-08147 24,800円

なお、東映ビデオでは両作品について、「本編の一部に現在では不適切と思われる表現が含まれている箇所があるが、作品の歴史的価値を尊重し、なるべく作品完成時の状態を忠実に再現することを優先して収録した」と説明。また、映像や音声の一部には、オリジナルマスターに起因する、現在の技術において修復困難なフィルム上の退色や傷、音声ノイズなどが発生するカ所があるとしている。

ジャングル黒べえ
ピリミー国の王さまの息子、通称・ジャングル黒べえがひょんなことから来日。黒べえのピンチを、何をさせてもまるでダメな小学生・佐良利しし男が偶然助けたことから、義理がたい黒べえは恩を返すまで日本にとどまることを決意。得意の魔法でしし男のピンチを救おうとするが、毎回、逆にてんやわんやの騒動を起こす……という物語。
黒べえの弟・赤べえや、ペットのパオパオ、ライバルの魔法使い・ガック、そしてガックがピリミーから呼び寄せる様々な珍獣など、藤子・F・不二雄作品らしいユニークなキャラクターが多数登場する。
演出を出崎統、絵コンテは吉川惣司、石黒昇、作画監督は椛島義夫、杉野昭夫、脚本は金子裕、山崎晴哉といった、黎明期の東京ムービー(現トムス・エンタテインメント)作品を支えた名匠たちが一堂に会して手掛けている。
黒べえの声を、かつて「ドラえもん」でスネ夫を演じていた肝付兼太が、しし男の声は、キテレツ大百科のコロ助などで知られる、杉山佳寿子が演じている。「ウラウラ」、「ベッカンコ」、「これジャングルの常識!」など“黒べえ語”も当時子供たちの間で流行した。
ディスクは5枚組で、全62話を収録。なお、9話は映像のみの収録となる。映像特典としてノンスーパーオープニングを収録予定。36ページのブックレットも同梱する。

ウメ星デンカ
はるか宇宙の果てのウメ星の爆発により、王様とお妃、それにデンカを乗せた瓶(カメ)が地球の中村家へ漂着する。何かと揉めごとが起きるが、王様一家を気の毒に思う中村家は同居を許可。その日から王室と中村家の奇妙な共同生活が始まり、珍騒動が巻き起こる。
デンカがいろいろなアイテムを不思議な瓶(カメ)からとり出すのは、「ドラえもん」の原点ともいえ、この作品の人気を受けて「ドラえもん」の連載がスタートした。
忠臣ベニショーガ、イモ掘りロボット・ゴンスケを始めとした藤子・F・不二雄作 品ならではのユニークなキャラクターも多数登場。声優、杉山佳寿子の主役デビュー作でもある。
東京ムービー、スタジオ・ゼロ作品を手掛けた名スタッフが参加。彼らは後に「天才バカボン」、「ど根性ガエル」など、東京ムービー・ギャグアニメを生み出すことになる。
ディスクは4枚組で、全52話を収録。特典映像として、ノンスーパーオープニング/エンディングを収録予定。36ページのブックレットも同梱する。
★★★

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