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2015年7月31日 (金)

『科捜研』『おみやさん』『京都地検』『迷宮案内』/木曜ミステリー(東映京都枠)の過去と現況

『相棒』と並ぶテレビ朝日の人気長寿ドラマ『科捜研の女』(沢口靖子主演)。
『科捜研の女』は、木曜日の20時台「木曜ミステリー」(木ミス)枠での放送です。

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「木曜ミステリー」のドラマは警察や報道関係者、探偵等を主人公とし、京都を舞台とした事件捜査物である事が特徴。
かつては『科捜研』の他にも『京都迷宮案内』(橋爪功主演)、『おみやさん』(渡瀬恒彦主演)、『京都地検の女』(名取裕子主演)と、
常時視聴率12%~14%台、大ヒット作とはいえないまでも、安定した人気シリーズを4本抱えていました。

現在は『科捜研』以外の3作は休止状態で、新作ドラマが放送されていますが、
特に昨年以降、新作が軒並み6~7%台の低視聴率に喘いでいます。
大袈裟かも知れませんが、枠存亡のピンチといえるでしょう。


東映京都撮影所枠
そもそもこの枠のドラマはなぜ京都が舞台なのか?
それは、原則としてすべて東映京都撮影所で制作されているからです。

戦後の映画黄金期、東映は東京で現代劇、京都で時代劇を制作していましたが、柱は京都で作られる時代劇でした。
そして、他の映画会社も時代劇を作っていましたが、時代劇の総本山といえば東映だったのです。
昭和40年代に入り、時代劇映画は不況で作られなくなりましたが、多くのテレビ時代劇が京都で制作されてきました。
しかし1980年代から90年代へと進む中、テレビ時代劇も少しずつ退潮していきました。
このテレ朝木曜8時も東映京都制作の時代劇枠だったのですが、
1999年1月から「木曜ミステリー」として現代劇を放送するようになったのです。

時代劇は京都で撮影していても、劇中の舞台は江戸というのがほとんどです。
しかし現代劇、とくに屋外ロケを多用する刑事ドラマ、事件捜査物では、
京都で撮影しながら、舞台は東京の設定は無理です。
だからみな、京都が舞台なのです。

これで判るように、この枠は歴史と伝統ある東映京都撮影所の生命線なのです。
単純に考えても、もし木曜ミステリー枠がなくなれば、京都撮影所の仕事が大幅に減るでしょう。
最近も他局でドラマ枠の廃止が公表されましたが、木ミスに関してはそう簡単にはいきません。
それでは、簡単に木ミスの歴史を辿ってみましょう。


『迷宮案内』も『科捜研』も一桁スタート
前述のように「木曜ミステリー」は1999年の1月スタート。
原則として1クール3ヶ月で、第1弾が『京都迷宮案内』、10月スタートの第4弾が『科捜研の女』でした。

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第1シリーズの平均視聴率は『迷宮案内』が9.6%、『科捜研』が9.3%。
この頃はテレビ番組全体も、ドラマ分野も、現在と比べて全般に視聴率が良かった筈です。
それなのにこの視聴率では、通常続編は考えられません。
にも関わらず続編が作られたという時点で、この枠が特別であることがわかります。
実は、初期2年の間に放送された他の作品はこの2作より更に数字が悪く、2作を続けるしかなかったのです。

翌2000年の続編で『迷宮案内』は数字を伸ばし、その後も安定した数字を残してこの枠の柱となりました。
しかし『科捜研』は大幅にキャストを入れ替えて臨みましたが、9.2%と僅かですが下げてしまいます。
ですが、同年に放送された他の2本の新作ドラマよりはいいので、また入れ替えを行い、第3シリーズを制作します。
視聴率が悪いのに続けようというのだから、リニューアルを繰り返すことになります。
この第3シリーズでは数字を伸ばしましたが、4でまた落としと、まだしはらく迷走が続きました。
結局、第6シリーズ(2005年)頃まで極端なリニューアルを繰り返し、ようやく安定期を迎えたのです。


全盛期へ
そうこうしているうちに2002年に『おみやさん』、2003年に『京都地検の女』がスタート。
2005年頃には4作とも12%~13%台を獲るようなりました。
まさに人気シリーズが目白押し状態、2010年頃まで全盛期が続きます。
ただ、1年間でこの4作がすべて放送されたのは2006年だけです。

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期ごとの視聴率では2005年~2010年の間に『科捜研』と『おみやさん』は13%以上が4回ありました。
『科捜研』はその内1回が14%突破(2009年 14.5%)。『おみやさん』は2008-9年の13.5%が最高。
『迷宮案内』の13%越えは1回だけですが、13.9%の好数字。(2006年)
『京都地検』は13%越えはなく、最高が12.8%でした。(2007年)


『京都迷宮案内』の終焉
2008年、『迷宮案内』が第10シリーズを持って休止します。
(翌2009年には単発スペシャルを放映。これが現時点での最終作。)
第10シリーズの視聴率は12.6%で、これは全10シリーズ中の第2位の数字。
やめる必要はなかったように思いますが、これには橋爪功さん初め主要キャストの年齢や、
橋爪さんの劇団円の代表就任等の事情があったともいいます。
他に人気シリーズもあり、『科捜研』や『おみやさん』に比べるとやや数字も低く、
出演者の高齢化も目立ってきた『迷宮案内』に、区切りの良いところで終止符を打ったのでしょうか。

2007年の新作『その男、副署長』(船越英一郎主演)が13.5%を獲ったことも原因のひとつかと思います。
ただ、『副署長』はその後2回、11%台2回が続き、終了してしまいました。
もう一作『女刑事みずき』(浅野ゆう子主演 2005年~)もそうですが、この頃は11%台が続くと継続は難しかったようです。
初期を思えば、そして今から考えれば贅沢な話です。


低迷期へ~ 『おみやさん』『京都地検』の休止
『迷宮案内』の休止後も好調を維持していた3作ですが、
2011年頃を境に、数字の落ち込みが目立つようになります。
『おみやさん』と『京都地検』が12%を割り込み、『科捜研』でさえも13%を切るようになりました。

そして『おみやさん』は2012年の第9シリーズ、
『京都地検』は2013年のやはり第9シリーズを最後に休止状態となりました。
(『おみやさん』は2014年正月に単発SPが放送されていますが。)
これには、裏番組の影響も指摘されていますが、番組側にも事情がありました。

『おみやさん』はスタート以来2011年まで10年8期、渡瀬さんの相棒役を務めた櫻井淳子さんが、
第9シリーズ(2012年)の第1話冒頭で、脇役陣の会話だけで異動による降板が告げられるという、異常事態がありました。
この9期で11.0%まで落とし、連ドラ休止となってしまいました。
しかしそれ以前、2010年の7期の13.0%から、翌年の8期は11.5%に落とし、低落傾向にはあったのですが。

一方の『京都地検』は、スタート時から名取さんの上司役を務めてきた蟹江敬三さんが
2014年3月に死去したことが理由との見方もされます。
ただ、それ以前の2011年~2013年の数字が11.5%→10.3%→11.1%と低迷しており、
蟹江さんが健在ならば続いていたかというと微妙です。

※追記:『おみやさん』は2016年2月13日に土曜ワイド劇場で新作スペシャルが放送されます。
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2016/02/post-9d6e.html


昨年からの急落 枠自体の弱体化
しかし、一気に数字が悪化したのは2014年からです。
2013年の第1期が12.1%だった『刑事110キロ』の第2期が7.7%と急落。
続いて木ミスを一旦休止し、時代劇に先祖帰りした『信長のシェフ』も7.3%と、
二桁が当たり前だった枠としては信じられない低視聴率が続きました。
(『110キロ』の1期の数字が良かったことも、『おみやさん』『京都地検』の休止を後押したのかも知れません。)

そして今年2015年は1月から新機軸の新作が続いています。
結果は1月期の『出入り禁止の女』が6.4%、4月期の『京都人情ファイル』が6.7%と、
コンスタントに13%前後を獲っていた2010年頃までに比べると、半分まで数字が落ち込んでいます。
これは非常事態と言っていいでしょう。


かつての人気昨の主演二人の共演で勝負
そんな中、木ミス制作サイドもこの7月期は勝負に出ました。
かつての人気シリーズ『京都迷宮案内』の橋爪功さんと、
『京都地検の女』の名取裕子さんをW主演に迎えた『最強のふたり』の登場です。

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橋爪さん73歳、名取さん57歳、平均65歳。刑事物連ドラでは、おそらく過去最高齢バディでしょう。
もっとも、今のところこの2人が組んで動くシーンは多くはないですが。

ただ、私には苦肉の策にも思えました。
なんとか二桁確保、悪くても9%台というところかと予想していました。
しかし、現実は更に厳しい。
初回こそ9.7%でしたが、2話は6.2%、3話が6.5%と不振が続いています。

さすがのベテラン2人、なかなか面白いドラマと思うのですが、脚本や演出に甘い面もあり、難しいところです。
それでも、2013年までなら、まさか一桁はなかったでしょう。
やはり枠自体力が弱っていると感じます。

『最強のふたり』はまだわかりませんが、これからの大きな挽回は難しいでしょう。
こうなると、10月スタートが予想される『科捜研の女』も心配です。
格違いを見せつけてくれればいいのですが。

次の『科捜研』は2クールになる可能性もありますが、その後はどうするのでしょう。
強力な新作が望ましいですが、近年の新作が不振続きなので、『おみやさん』の復活もあるかも知れません。
その場合は相棒役の櫻井淳子さんの復帰が大前提かと思います。
櫻井さんの降板は双方に不本意だったことが想像されますが、
2014年のSPにはゲスト出演しており、修復不可能ということもなさそうです。

まぁ根拠なき予想に過ぎないので、見守るしかありませんが。

Old Fashioned Club  月野景史

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